廃車手続きには様々な書類が必要です。主な書類として「廃車証明書」と「譲渡証明書」があります。

今回は廃車時に発生する廃車証明書と譲渡証明書の内容、それぞれの書類の入手方法や使用シーンについて詳細に説明します。

これから廃車手続きを考えている方は、今回の内容をぜひ参考にしてみて下さい。

廃車証明書も譲渡証明書も廃車時に必要

廃車証明書も譲渡証明書も廃車時に必要
廃車証明書は廃車手続きが行われた場合に発生する書類であり、譲渡証明書は廃車手続きをする際に必要な書類です。

このように各書類は廃車にまつわる必要書類ですが、使用用途が異なるためそれぞれの役割や意味をおさえておく必要があります。

ここからは、各書類の詳細や必要な場面、入手方法について紹介していきます。

廃車証明書は4種類の書類を総称したもの

廃車証明書は4種類の書類を総称したもの
廃車手続きの際に発生する書類を一般的に「廃車証明書」と呼んでいますが、実は正式名称ではありません。

廃車証明書は4つの書類に分かれており、それぞれに名称があります。

  • 登録事項等証明書
  • 登録識別情報等通知書
  • 自動車検査証返納証明書
  • 検査記録事項等証明書

ここからは、この4つの書類の内容について詳しく説明していきます。

①登録事項等証明書

登録事項等証明書は、普通車に関係する書類です。普通車の自動車検査証に記載されている内容を確認する「登録事項等証明」手続きの際に発行されます。

書類が必要になるタイミングは、任意保険の中断や廃車後の自賠責保険解約時、廃車手続きの完了状況の確認、放置車両の所有者の確認などです。

登録手続きは、自動車検査証に記載されている現在の状況を記した「現在証明」と新車登録から現在に至るまでの「詳細証明」の2種類があります。

その車の過去から現在までの経過を読み取れる書類のため、保険の中断や解約、廃車時の手続きなどの節目に必要な書類であると考えられます。

②登録識別情報等証明書

登録識別情報等通知書は、廃車手続きの一種である「一時抹消登録」申請をした場合に交付される書類であり、普通車に関係する書類です。

一時抹消登録の詳細については後述しますが、一時的に所有している車に乗らない状況から、もう一度乗り始める場合に登録識別情報等通知書は必要です。

再度乗り始める際の登録や保険や税金関係の手続きに必要な本書類ですが、紛失すると再発行ができない点に注意してください。

③自動車検査証返納証明書

自動車検査証返納証明書は、軽自動車に関連する登録識別情報等証明書のような書類と理解しておきましょう。自動車検査証を返納した旨について所有者が承諾したことを確認する書類です。

こちらの書類は、軽自動車における一時抹消登録をした際に発行される書類であり、再度車に乗る場合や保険の途中解約、税金の還付申請をする場合に必要な書類です。

また、紛失した場合は再発行ができないため、注意して保管しておく必要があります。

④検査記録事項等証明書

検査記録事項等証明書は、軽自動車の車検証記載の情報を確認する手続きで発行される書類です。

発行されるタイミングは、普通自動車における永久抹消登録と同じ手続きが軽自動車でも行われた時です。軽自動車であれば「解体返納」と呼ばれます。

この書類は、軽自動車検査協会から発行されます。記載内容によって2種類に分類され、現在の内容を確認したい場合は「現在記録ファイル記録事項分」、新車登録から現在の内容まで網羅的に確認したい場合は「現在記録ファイルおよび保存記録ファイル記録事項分」の申請が必要です。

廃車証明書は無くしても再発行できますか?
廃車証明書をなくした場合、再発行できる書類とできない書類があります。再発行できる書類は、登録事項等証明書と検査記録事項等証明書です。一方で再発行できない書類は、登録識別情報等証明書と自動車検査証返納証明書です。

廃車証明書が必要なシーン

これまで紹介した4種類の廃車証明書が必要になるシーンはいつなのでしょうか?

大きく分けると「自賠責保険の解約時」と「一時抹消登録から車を復活させる時」の2つがあるので、詳しく説明していきます。

自賠責保険の解約時

1つ目のシーンは自賠責保険の解約時です。

自賠責保険は自動車を購入する際に加入しなければならない強制保険です。そのため、自賠責保険を解約する場合には所有している車がないことを証明しなければならず、廃車手続きをすることで入手できる廃車証明書を提出しなければなりません。

自賠責保険を解約する場合、自賠責保険を契約している保険会社と手続きを進める必要があります。

必要な書類は廃車証明書をはじめ、自賠責保険加入者の本人確認書類、自賠責保険承認請求書、認印、還付金の振込口座が確認できる書類などです。

一時抹消登録から車を復活させる時

2つ目のシーンは一時抹消登録をした後に再度、車を復活させて使用する時です。

一時抹消登録の場合は解体を行わず、一時的に名義を消滅させる手続きです。そのため、所定の手続きを行うと名義の再登録ができます。

再登録に関しては、普通車であればお住まいの地域を管轄する運輸支局、軽自動車であれば管轄の軽自動車検査協会で手続きを行えます。

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一時抹消登録とは?廃車には2種類ある

一時抹消登録とは?廃車には2種類ある
これまで何度かでてきた「一時抹消登録」の言葉ですが、これは一体どのような内容なのでしょうか?

一時抹消登録は廃車に関する登録ですが、廃車登録は一時抹消登録以外にも「永久抹消登録」といった登録方法もあります。

ここからは、廃車手続きにおける2種類の登録方法について詳しく紹介していきます。

一時抹消登録

一時抹消登録は登録情報を一時的に抹消する手続きのことです。一時抹消登録をすると登録完了した車は公道を走行できませんが、名義を再登録することで再び車を利用できます。

車の情報を再度登録する場合は運輸支局にて「中古車新規登録」をしましょう。

一時抹消登録の特徴は、海外出張など長期間にわたり車に乗らない期間が増えた場合の税金の納付義務免除や保険を途中解約できることです。

長期間にわたり車に乗らない場合は金銭的な節約メリットがありますが、車を完全に手放すわけではないため、駐車場代などの維持費は免除されない点に注意しましょう。

永久抹消登録

永久抹消登録は車の登録情報を完全に抹消する手続きのことです。

永久抹消登録をする場合、事前に車の解体を済ませておく必要があるため、手続きが完了した後は車を再登録できません。また、永久抹消登録には車を解体した際に発行される「解体証明書」が必要です。

一時抹消登録と同様に、登録後は自動車税の納付義務がなくなったり、自賠責保険や任意保険の支払いが不要になったりするため金銭的なメリットが生まれます。また、一時抹消登録と異なり自動車重量税が還付される点も特徴です。

一時抹消登録がおすすめの人はどんな人ですか?
一時抹消登録がおすすめの人は、長期間車に乗る予定はないけれど、いつか再び車に乗る可能性がある方です。特に海外出張や転勤によって一時的に車に乗れない場合、出張・転勤先に持ち込むことが難しい場合におすすめです。

譲渡証明書とは?

譲渡証明書とは?
譲渡証明書は第三者に車を譲り渡す際に必要となる書類です。そのため、車の売買時に必要となります。

一方で車を廃車する場合にも必要となる点がポイントです。

ここからは、譲渡証明書について詳しく説明していきます。

車の所有権が移る場合に提出する書類

譲渡証明書は普通車に関係する書類です。旧所有者から新所有者へ車を譲り渡す際に、譲渡したことを証明します。

普通自動車は資産としてカウントされることがあり、売買や贈呈によって車の所有権が変わる場合は証明書の作成が法律的に義務付けられています。

ここで注意すべきポイントは、譲渡証明書が必要な場合は赤の他人との売買や贈呈以外にも親族との売買や贈呈の場合にも作成が必要な点です。また、売買や贈呈の対象が個人ではなく団体や企業である場合にも譲渡証明書の作成は必須です。

間柄や規模などに関係なく、車の所有権が移る場合には必ず作成が必要な書類であることを理解しておきましょう。

一方で、軽自動車の売買や贈呈に関しては、譲渡証明書の作成は不要とされています。

譲渡証明書が必要なシーン

車の所有権が移動する場合に作成する譲渡証明書ですが、どのようなシーンにおいて必要になるのでしょうか?

ここからは、廃車手続きにスポットをあてて、「ローンを組んでいて所有者がローン会社やディーラーになっている場合」と「業者に廃車手続きを依頼する場合」の2つに分けて紹介します。

車の所有者がローン会社やディーラーになっている場合

ローンを組んで車を購入している場合、使用者は購入者本人でも所有者がローン会社やディーラーになっている場合があります。

廃車手続きは原則所有者のみが行える手続きです。そのため、使用者が廃車手続きを行うためには、所有者をローン会社やディーラーから自身に変更する必要があります。その際に、譲渡証明書の作成が必要です。

業者に廃車手続きを依頼する場合

業者に廃車手続きを依頼する場合には所有権の移譲が必要です。

理由としては前述のとおり、廃車手続きをする者が廃車予定の車の所有権を有していなければならないからです。そのため、第三者に廃車手続きを依頼する場合には必ず所有権の移譲を行わなければならないと理解しておきましょう。

名義変更と廃車手続きをセットで行うことを「移転抹消」といい、この手続きの際に譲渡証明書が必要となります。

譲渡証明書の書き方

譲渡証明書の書き方
譲渡証明書はどのように準備したらよいのでしょうか?

ここからは、譲渡証明書の書き方について、記載用紙の入手場所や記載項目、記載時の注意点について紹介していきます。

一見難しそうな内容と思いがちですが、ポイントさえ押さえておけば誰でも簡単に作成できます。

入手場所

譲渡証明書のひな型を入手する方法は、以下の3つがあります。

  • 国土交通省のホームページからダウンロードする
  • 運輸支局の窓口で入手する
  • 業者から入手する

国土交通省のホームページからダウンロードする場合、GoogleやMicrosoft Edgeといった検索エンジンに「譲渡証明書 ダウンロード」と入力するとPDFが表示されます。その該当ページをクリックすると印刷可能です。

運輸支局で入手する場合、平日の午前8時45分〜11時45分、午後13時〜16時までが開庁時間のため、開庁時間内に手続きをしましょう。

業者に廃車手続きを依頼する場合は、譲渡証明書の準備を業者側で対応してもらえます。

記載項目

譲渡証明書に記載が必要な項目は次のとおりです。

  • 車検証に記載されている内容(車名・型式・車台番号・原動機の形式)
  • 所有権の移譲日
  • 旧所有者の氏名及び住所と新所有者の氏名及び住所
  • 旧所有者の実印

※新所有者は実印を押さない点に注意しましょう。

記載時の注意点

譲渡証明書を記載する場合、以下の注意点があります。

①書類への記入は黒のボールペンを使いましょう。役所に届け出る書類については、消せるボールペンであるフリクションペンを使用してはいけません。

②プリントアウトする用紙に感熱紙は使用できません。感熱紙を長期間保管しておくと色あせてしまいます。書類の劣化を防ぐためにも普通紙を使わなければなりません。

ローンを完済していないのに廃車することは可能ですか?
ローンを完済していない場合、金融機関によりますが、車の所有権はローン会社やディーラーに属していることがあります。その場合、購入者の判断で廃車手続きはできません。もしローン未完済でも廃車手続きをしたい場合は、一括返済後に所有権解除申請を行い、所有権を取得する必要があります。

廃車でよくあるトラブル

廃車でよくあるトラブル
ここからは、廃車手続きにまつわるトラブル事例を3つ紹介します。

それぞれのトラブル内容とトラブル発生時の対処方法について詳しく見ていきましょう。

①ローンの支払が済んでいないのに廃車手続きを取ろうとした

ローンの支払いが済んでいないと、購入者の判断で廃車手続きができない場合があります。

ローン返済期間中の車の所有権が金融機関やローン会社である場合、所有権が購入者自身に移っていないと廃車手続きはできません。

また、所有者以外の代理人が廃車手続きをする場合、委任状があれば廃車手続きはできますが、ローン未完済の場合に廃車手続きのための委任状を金融機関やローン会社が提供する可能性は低い傾向です。

どうしても廃車にしたい場合は、ローン残価を一括返済し、所有権解除申請後に廃車手続きをしましょう。

②所有者が自分だと思っていたら親の名前だった

日々自分がメインで乗っている車の廃車手続きをしようとした際、実は車の所有権が親名義のままだった場合も廃車手続きはできません。

このパターンであれば、所有権の名義を親から自分へ移譲させるか、親から廃車手続きに関する委任状を入手する必要があります。

親から自分に所有権を移す場合は譲渡証明書が必要です。もし、親自身が廃車手続きを進めることが難しい場合は親からの委任状を受け取るか、認知症等で判断ができない状況であれば成年後見制度を利用して手続きを進めましょう。

③所有者が亡くなってしまった

もし所有者が亡くなり、生前に所有していた車を廃車にする場合は、軽自動車と普通車でそれぞれ手続き方法が異なります。

軽自動車の場合は名義変更ののち廃車手続きを、普通自動車の場合は相続手続きののち廃車手続きをしましょう。

なぜこのような手続きの違いが生まれるかは、軽自動車は資産として扱われず、普通自動車は資産として扱われるためです。

とはいえ、軽自動車であっても個人の所有物を勝手に廃棄することはできないため、軽自動車検査協会にて名義変更をする必要があります。

普通自動車については資産として取り扱われるため、所有者を相続人に設定し廃車手続きを進めましょう。

手続きが難しいと感じた場合は廃車業者に相談しよう

手続きが難しいと感じた場合は廃車業者に相談しよう
廃車手続きは、日中仕事をしている方にとって大変な労力を要します。廃車にまつわるトラブルが発生した場合も、同様に複雑な書類の準備が必要となるため、手続きが難しいと感じた場合は廃車業者への相談がおすすめです。

廃車業者であれば必要な書類の準備に慣れており、代行業務に関する知識や経験が豊富です。複雑な書類の準備や作成を廃車業者に依頼することでかなりの労力削減につながるでしょう。

まとめ

①廃車証明書は廃車手続きの際に発行される4種類の書類の総称
②廃車証明書には再発行ができるものとできないものがある
③譲渡証明書は第三者に車を譲り渡す際に必要な書類
④譲渡証明書は所有者と使用者が異なる車の廃車手続きに必要
⑤譲渡証明書は業者に廃車手続きを依頼する際に必要

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