近年のアウトドアブームで、キャンピングカーを購入する人が増えています。
キャンピングカーは「特殊用途自動車」に分類され、「8ナンバー車」と呼ばれることも多いです。一般車両とは異なるため、どこの保険会社でも自動車保険に加入できるのか、保険料は高いのか、といったことが気になる方もいるでしょう。
ここでは、キャンピングカーの種類やナンバーなどのマメ知識と共に自動車保険に加入できるのかについて説明していきます。
また、保険料や保険会社を探すコツなども紹介するので、今後キャンピングカーの購入や自動車保険の加入を検討している方は、参考にしてください。
車のナンバープレートの見方
車のナンバープレートには、数字やひらがな、地名が記載されており、それぞれに意味があります。
左上の地名は、住所地を管轄する運輸支局もしくは自動車検査登録事務所の所在地を表しています。
地名の右横の数字は、自動車の分類番号です。
左下のひらがなは、自動車の用途を区分しています。自家用車、事業用車、レンタカーなどの用途によって使われるひらがなは異なります。
4桁の数字は、一連指定番号です。希望ナンバー制度を使えば、自分の好きな数字を登録することもできます。
ナンバープレートの分類番号について
地名の右横に表示されている自動車分類番号は、自動車の種類や用途によって区分されている番号です。2桁もしくは3桁で表示されています。
ナンバープレートの頭の数字(上一桁)によって、以下のように分類されています。
- 1…普通貨物車
- 2…普通乗合車
- 3…普通乗用車
- 4と6…小型貨物車や軽貨物車
- 5と7…小型自動車や軽自動車
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8ナンバーの車について
自動車分類番号の頭が「8」の車は、8ナンバー車と呼ばれています。
8ナンバー車は、特殊用途自動車に区分される車のことです。それは、具体的に以下の車になります。
パトカー、消防車、救急車、ガス会社・水道会社など
血液輸送車、移植用臓器運搬車両など
給水車、採血車、移動図書館、霊柩車、自動車教習車など
現金輸送車、タンク車、ゴミ収集車、移動販売車、レッカー車など
キャンピングカー、放送宣伝車など
キャンピングカーについて
8ナンバー車に含まれるキャンピングカーとは、特別な仕様変更を施して車内にベッドやミニキッチンなどの設備を備えた車のことです。
移動先で宿泊施設に滞在しなくても、食事や睡眠、シャワーなどの日常生活を送ることができる環境が整っています。
日本RV協会によると、キャンピングカーの販売総額は2011年~2021年までの10年間で約3倍となっていると発表しており、需要が増えていることが分かります。
キャンピングカーの種類について
「キャンピングカー」と、一言で言っても色々な種類があります。
まず、走行方法別に2つに分けることができます。
1つ目は、車両とベッドやキッチンなどの居住スペースが一体化した自走式キャンピングカーです。
2つ目は、一般的な車両と箱型の居住スペースのトレーラーを連結させ、車両が牽引しながら走行するトレーラー式です。このタイプは車両と居住スペースが分離しています。
また、自走式キャンピングカーは、べースとなる車によって種類分けされています。バスをベースとした「バスコン」、ワゴンをベースとした「バンコン」、トラックをベースとした「キャブコン」、軽自動車をベースとした「軽コン」などに区別されています。
これらの自走式キャンピングカーについて、以下で詳しく説明していきます。
フルコンとは、「フルコンバージョン」の略で、キャンピングカー専用のフレームやエンジンなどが備えられた車のことです。
つまり、車が製造される過程で既にキャンピングカー仕様として完璧な装備が備わっている車になります。
車体は大きいですが、車内は広々としていてキッチンなどの使い勝手が良いのが特徴です。キャンピングカーとしては申し分ない構造になっています。
バスコンとは「バスコンバーション」の略で、バスをベースとしたキャンピングカーのことです。
後方の乗客が座るシートを改造し、キッチンやベッドなどを取り付けています。外観はバスそのままですが、内装はキャンピングカー仕様になっており、広々として奥行きがあるのが魅力です。
ただし、車体が長いので運転慣れしていないと運転しづらく感じます。
バンコンとは「バンコンバージョン」の略で、ハイエースなどのワンボックスバンをベースとしたキャンピングカーのことです。
外装はバンのままで内装のみがキャンピングカー仕様となっているので、普段使いもできます。運転はしやすいですが、バスコンと比べると車内がやや狭く感じる方もいるかもしれません。
キャブコンとは、「キャブコンバージョン」の略で、トラックの運転席だけを残し、荷台の部分にキッチンなどの居住空間を取り付けたキャンピングカーのことです。
車内は広く、快適で見た目のカッコよさに惹かれる方も多いですが、車体が大きめなので狭い道などが通りづらい、重心が高いので安定性に欠けるという一面もあります。
軽コンとは、「軽コンバージョン」の略で、軽自動車や軽トラックを改造したキャンピングカーのことです。
キャンピングカーの中でも価格が一番安く済むので、手が届きやすいのが魅力です。
車体がコンパクトなので狭い道でも省スペースの駐車場でも困ることがないですが、やはり他のキャンピングカーと比べると車内が狭いので、つけられる装備も限られています。
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キャンピングカーの自賠責保険について
自賠責保険は公道で走行する車全てに加入義務があるので、キャンピングカーも加入の対象です。一般的に車購入時に加入し、車検ごとに更新していきます。
キャンピングカーの車検は、初回2年、以降も2年ごとに受けることになるため、2年分の保険料をまとめて支払います。
24カ月分の保険料は、キャンピングカーが22,450円、軽コンが12,200円です。普通自動車は20,010円なので、キャンピングカーとは料金が異なることを覚えておきましょう。
キャンピングカーの自動車保険について
キャンピングカーは特殊用途自動車に区分されています。任意の自動車保険において、保険会社では特殊用途自動車を保険対象車両として扱っていないところもあります。
一般的に保険会社が加入対象としているのは、自家用5種とされる車です。
具体的には、以下の5つになります。
- 軽乗用車
- 軽貨物車
- 小型乗用車
- 普通乗用車
- 小型貨物車
キャンピングカーのような特殊用途自動車は含まれていないので、一般的な保険会社では自動車保険に加入できない場合もあります。
キャンピングカーの自動車保険の加入が難しい理由
キャンピングカーも自動車保険には加入できますが、扱っている保険会社が少ないのが現状です。
では、なぜキャンピングカーの自動車保険を扱っている保険会社が少ないのでしょうか?
その理由を見ていきましょう。
以前、8ナンバー車は、税金や保険料を優遇されていました。
3ナンバーの車を8ナンバーに改造し、納税から逃れようとするケースがあったため、官庁が8ナンバー車の構造基準を厳しくしました。
さらに、各自動車保険会社に保険加入時の審査を徹底的に行うよう、加入時の基準を引き上げるように指示を出しています。
結果的に、各保険会社は8ナンバー車の加入を拒否するようになったとされています。
キャンピングカーは、トラック、バス、ワゴン車、軽自動車を改造しているタイプが多いです。そのため、車種や型式が同じであっても、設備などによって車両価格が大きく違ってきます。
自動車保険の車両保険は、車両価格が保険料の決定に影響してくるため、ネットや電話で問い合わせただけでは簡単に保険の申し込みができません。つまり、実店舗を持たないネット通販型の保険会社では、手続きができないことになります。
実際にスタッフを派遣して車の状態を確認する必要があるため、キャンピングカーを保険対象車として扱うのが難しくなる保険会社も多いのです。
キャンピングカーの中には、フレームやエンジンなどが最初から備わっているフルコンではなく、一般車両を改造によりキャンピングカー仕様にしたタイプが多いです。そのため、1台1台の構造や設備が異なります。
保険に加入するには、どのような仕様になっているのか1台ずつ外観や車内の状況を目視し、写真撮影を行い調べなければなりません。
そして、車両の使用目的や用途がキャンピングカーに該当するか確認した上で、保険会社内で稟議にかけて基準をクリアしていると認められてからやっと契約にこぎつけることができます。
そういった調査や情報集め、稟議には人手が必要で手間も時間もかかるため、保険会社では敢えてキャンピングカーを保険対象から外しているところが多いです。
自動車保険の保険料は、生産台数や販売台数、事故や盗難の発生率などのデータを元に決められています。
キャンピングカーの場合、圧倒的に普通乗用車などの一般車両よりも販売台数が少ないため、当然事故発生率などのデータも集めにくいと言えます。
また、車両の破損状況、被害程度などの情報や保険料支払いの実績も少ないので、保険料を決定するための材料も欠けています。
そうなると、保険料をいくら位にすれば良いのか判断しづらく、少なめにすれば保険会社が損をすることにもなりかねません。
保険料決定のための材料集めに時間や労力をかけるよりも、始めから保険対象外としたほうが効率的だと保険会社が考えているのも、理由の一つです。
キャンピングカーの自動車保険の保険料について
キャンピングカーの自動車保険料は、普通車などの一般車両に比べると、車体も大きく設備が備わっているので、高いようなイメージを持っている方もいるでしょう。しかし、一概に高いとは言えません。
キャンピングカーは、レジャー目的に使われるので、混雑した街中を走行する機会も少なく、交通事故の発生率もさほど高い傾向にはないからです。
ただし、車両保険に関しては車両の時価に比例するので、キャンピングカーの装備によっては高くなる可能性があります。
例えば、ゴールド免許で等級が20等級のケースで年間の保険料を見ていきましょう。
時価600万円で保険料が約72,000円
時価850万円で保険料が約80,000円
時価400万円で保険料が約65,000円
このように、キャンピングカーの種類によって保険料は変わってきます。
また、運転者の条件や車両保険の補償範囲を狭くするプランにすれば、金額も変わってきます。
自動車保険料は、車の使用目的によっても金額が異なります。
その使用目的は、以下の3つに分けられます。
- 通勤・通学
- 日常・レジャー
- 業務
この中で「業務」は、保険料が一番高いです。次いで「通勤・通学」、一番安いのが「日常・レジャー」となっています。
「業務」で使用する場合、「通勤・通学」や「日常・レジャー」と比べると運転時間や走行距離が長くなる可能性があります。その分、事故にあう危険性も高くなるため、保険料が高く設定されているのです。
キャンピングカーの場合、使用目的は「日常・レジャー」になります。通勤や通学、仕事に使う場合と比べると、使用目的においては保険料は割安になるでしょう。
自動車保険において、事故などで自分の車が破損した場合の補償として車両保険をつけることができます。ただし、キャンピングカーの場合は特に注意が必要です。
キャンピングカーは、車内を居住スペースとして改造し、ベッドやキッチンなどの設備を施しています。装備や改造程度によっては、同じ車種であっても車両時価が異なる場合があります。
より機能的で豪華な装備にした場合、車両時価が高額になるでしょう。そうなると、事故の際の破損程度によっては保険金額も跳ね上がる可能性が高く、保険会社によっては車両保険の加入自体断られる場合もあります。
車両保険といっても、適用範囲が決まっていることがあります。
キャンピングカーは、一般車両と違い、キッチンやトイレなどの水回りや電気配線などの付属品が装備されています。もし事故によって破損した場合、車両本体の他にこういった付属品まで保険で補償されるかどうかがポイントとなります。
もし、付属品が補償対象外となると、自己負担分の修理費用が高額になる可能性が高いです。保険に加入していても損することになりかねないので、きちんと確認しておきましょう。
キャンピングカーの自動車保険で、車両保険をつければ安心というわけではありません。車両保険はかかった修理費用を全額補償してくれるというわけではなく、上限金額が決まっているからです。
キャンピングカーは、仕様によっては設備が高額になるため、事故の程度によっては修理費も高くつきます。車両保険の上限金額が低いと、修理費が保険でカバーしきれずに自腹となる可能性も高いです。
上限金額と、万一の際の修理費用がある程度見合っているかもチェックしておきましょう。
また、車両保険の免責金額にも注意が必要です。例えば、免責額を10万円に設定していた場合、10万円かからない修理などは保険で補償されません。損になる場合もあるため、免責金額も確認しておくことが大事です。
キャンピングカーの自動車保険に加入する方法
では、キャンピングカーの自動車保険に加入したい場合、どうしたらいいのでしょう?
ここからは、その加入方法について詳しく説明します。
前述しましたが、全ての保険会社でキャンピングカーの保険を扱っているわけではないので、まずは扱っている保険会社を探すことから始めましょう。
インターネットから探すこともできますが、キャンピングカーの購入先の販売店が保険会社の代理店になっている場合もあるので、紹介してもらうことも可能です。
補償内容などの契約条件を比較しながら、いくつか候補をピックアップしておきましょう。
キャンピングカーは、同じ車種や型式の車であっても、内装の状況や設備などによっては車両の時価が異なります。
大体の保険料の目安はありますが、個々のケースで保険料が大きく異なる可能性もあるため、候補となった保険会社から1社ずつ見積もりを取ることをおすすめします。
一般車両と違って一括見積もりなどはできないので、手間と時間はかかるかもしれません。しかし、見積もりを比較することでより納得のいく保険に加入できるでしょう。