車を運転しなくなったため、車を手放して自動車保険を解約するという方もいるでしょう。その際は等級を維持できる「中断証明書」を取得しておくことができます。
中断証明書の有効期間内なら、自動車保険の再開をすることもできます。ただし、この再開には条件が設けられているので、事前にチェックしておくことが大切です。
この記事では、中断証明書を使って自動車保険を再開するための条件や手順について詳しく説明していきます。また、再開するメリットなどの役立つ情報も紹介します。
今後、中断証明書を使って自動車保険を再開させる方は、参考にしてみてください。
自動車保険の新規登録は6等級からスタートする
自動車保険には、保険料の割引・割増率を定める区分である「等級制度」が導入されています。等級は1~20等級まであり、数字が大きくなるほど割引率が高くなって保険料が安くなります。(一部の保険では24等級まである)
初めて自動車保険に加入する際は、6等級からのスタートです。その後、保険を使わないと翌年は1等級ずつ上がっていきます。
ただし、事故により保険を使えば、事故の形態によっては翌年に1等級もしくは3等級下がることになります。(ノーカウント事故の場合は、保険を使っても等級は下がりません)
さらに、事故で保険を使い等級が下がった人は、事故有係数という低い割引率が適用されます。そのため、同じ等級であっても、事故を起こしていない人と比べて保険料が高くなるので注意しましょう。
自動車保険を再開するメリットについて
自動車保険が不要になれば、解約もしくは契約の満期時に更新しないことになるでしょう。その際、保険契約そのものを無効にするわけではなく、中断できる制度があります。
この中断をするには、保険の解約時や満期時に中断証明書を保険会社から取得します。そうすれば中断時の等級をそのまま10年間は維持できます。そして、中断証明書の有効期限内に再び自動車保険が必要になったら、再契約することができます。
保険を再開する時のメリットというと、やはり中断時の等級で再契約できるという点です。通常なら新規契約となり6等級からのスタートですが、中断証明書を取得しておけば、6等級よりも高い等級で保険契約をスタートさせることができます。
これは、保険料を安くするという意味では有効的な手段だと言えるでしょう。
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自動車保険を再開するための条件について
自動車保険を再開するには、いくつか条件があります。
まず確認したいのが、中断証明書の有効期間内であるかです。有効期間を過ぎていれば再開はできず、等級がリセットされます。
次に新たに車を購入したら、新しい車の取得から1年以内に再開しなければならないという期限もあるので気を付けましょう。
また、新たな車の所有者や記名被保険者、車種や用途などにも条件があります。
そして、長期間に渡る海外渡航を理由に中断をした海外特則の場合は、帰国後から1年以内に再開しなければいけないという期限も設けられています。
これらの条件について以下で詳しく説明していきます。
自動車保険を再開する際は、中断証明書が有効期間内かをまず確認しましょう。
中断証明書は、保険の解約日や満期日の翌日から10年間と決められています。
中断証明書を取得すれば、いつでも再開できると思うかもしれませんが、有効期間が切れていれば中断証明書は無効となります。そのため、再契約する際は新規契約となり、6等級からのスタートとなってしまうので注意しましょう。
前の車を廃車したり、売却や譲渡という形で手放した場合、新たな車を取得すれば自動車保険も再開することになるでしょう。
車の譲り受けや購入など車を所有する手段は様々ですが、新たな車を取得した日というのは、保険契約の対象車を新規に登録し、車検証の発行やナンバープレートの交付を受けた日のことを意味します。
保険を再開にする場合、新たな車の取得日から1年以内と条件が決まっています。保険会社によっては1ヶ月以内と期限が短い所もあります。
新しい車を取得したものの乗らないということで保険契約を再開せずにそのまま1ヶ月もしくは1年以上経過すると、中断時の等級は消滅するので注意しましょう。
再開後の車の所有者や保険の記名被保険者についても条件が設けられているので、確認しておく必要があります。
車の所有者の条件は、中断証明書に記載されている車両所有者もしくは記名被保険者、その記名被保険者の配偶者もしくは同居の親族でなければなりません。
記名被保険者の条件は、中断証明書に記載されている記名被保険者、その記名被保険者の配偶者もしくは同居の親族でなければなりません。
このように条件があることは覚えておきましょう。
前の契約時と再開後の保険契約車両が、自家用8車種であるというのも再開の条件です。
自家用8種とは、以下の車種になります。
- 普通乗用車
- 小型乗用車
- 軽自動車
- 小型貨物車
- 軽貨物車
- 最大積載量0.5t以下の普通貨物車
- 最大積載量0.5t超2t以下の普通貨物車
- 特殊用途車(キャンピングカーなど)
また、用途は全て自家用でなければなりません。自家用ではない事業用や8車種以外の車種の車では、自動車保険の再開ができないので注意しましょう。
長期間に渡る海外渡航が中断の理由となり、中断証明書が発行される海外特則の場合は、再開の期限が通常とは異なるので注意が必要です。海外特則の再開は、帰国日から1年以内となっています。
「中断証明書の有効期間が出国日から10年だからまだ大丈夫!」と思う方も多いでしょう。そして、帰国後も再開しないで1年以上自動車保険を使わないと、次に必要な時に期限が切れて等級がリセットされてしまうというケースもあります。
帰国した場合は、中断証明書が有効なうちに再開の手続きを済ませておくことをおすすめします。
自動車保険の再開に必要なもの
自動車保険の再開に必要な書類は、中断理由によって異なります。
車の廃車、売却、譲渡によって中断した場合は、以下の書類が必要になります。
- 中断証明書
- 印鑑
- 新たに契約する車の所有者や記名被保険者、用途や車種が確認できる書類
新しい車の所有者や記名被保険者、用途や車種が確認できる書類は、車検証や車検証に記載されている内容を確かめる際に発行できる登録事項等証明書が当てはまります。
海外渡航によって中断した場合は、以下の書類が必要になります。
- 中断証明書
- 印鑑
- 出入国日を確認するためのパスポート
自動車保険を再開させたいのに、必要となる中断証明書が紛失してしまうということもあるでしょう。有効期間が長いので、その間に引っ越しをして荷物に紛れこんでしまったり、間違って破棄したりしてしまったということも十分考えられます。
その場合、中断証明書は再発行することができます。前に加入していた保険会社に中断証明書の再発行を依頼すれば、必要な書類が郵送されます。届いた書類に必要事項を記載し、返送するだけと手続きは簡単です。
ただし、再発行までには2週間ほどかかるのが一般的です。再発行を待つ間に有効期間が過ぎてしまうと、中断証明書が使えない場合もあります。
再開の予定があれば、まずはすぐに中断証明書が紛失していないか、期限が過ぎていないかを確認することが大事です。
中断証明書を再発行するのに必要なもの
再発行には、中断証明書に記載されている情報のいくつかが分かれば手続きできます。それは、契約者名や記名被保険者名、自動車保険の証券番号、車両の登録番号と車両の所有者名などです。
保険会社に問い合わせた際に、契約者名などが分かれば、これらの情報を調べてもらうことができます。また、確認のために中断時の契約車両のナンバーや車の所有者名、できれば前の保険の保険証券番号などが分かるとよりスムーズに手続きができるでしょう。もし全ての情報が分からなくても、中断証明書が発行された履歴があるので問題なく再発行はされます。
中断証明書を使い自動車保険を再開する際は、前と同じ保険会社とは別の保険会社と契約することもできます。
再開時は保険の記名被保険者や車種や用途などが前の契約と異なる場合もあるでしょう。
例えば、親の中断証明書を子供が引き継いで保険を再開させる場合、記名被保険者は子供になり、運転者の年齢も以前より若くなり保険料が上がります。また、車種もグレードアップすれば保険料に影響が出てきます。
その場合、以前と同じ保険会社では保険料の条件も良いとは言えない可能性もあります。別の保険会社に変えたほうがお得になることもあるので、数社の見積もりをとって比較し、条件の良い保険会社を選びましょう。
自動車保険の中断は、自分で再開させなくても他の人に等級を引き継いで再開させることができます。
しかし、友人や知人といった他人に引き継ぐことはできません。引き継げるのは家族や親族のみです。
その上、中断時の記名被保険者の配偶者、記名被保険者もしくは配偶者の同居の親族に限ります。同居の親族については、6親等内の血族及び3親等内の姻族というように決められているので注意しましょう。
また、配偶者に関しては内縁関係でも引き継げる場合が多いですが、保険会社によって対応が異なるので確認しておきましょう。
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自動車保険を再開する時の保険内容の見直しについて
自動車保険を再開させる際は、少しでも保険料がお得になるように前の契約内容をきちんと見直すことをおすすめします。
また、前の保険内容では補償が不十分な場合もあります。万一の際にきちんと保険で損害がカバーできるように、補償内容もチェックしておきましょう。
例えば、等級を同居の親族に引き継ぐ場合などは、運転者の範囲や年齢、走行距離などの条件を見ておく必要があります。また、車両保険や特約を見直すだけでも、保険料を抑えるのには効果的です。
自動車保険を再開する時は、ネットから契約申し込みをするとネット割引が適用される場合もあります。
ただし、ネット割引には中断時と同じ保険会社に再契約するなどの条件が設けられている保険会社もあるので注意しましょう。また、ネット割引自体行っていない所もあるので、事前に調べておきましょう。
保険会社には通販型と代理店型の2つのタイプがあります。
通販型は、ネットから申し込めるため手数料がかからず、保険料が安く抑えられるのがメリットです。しかし、契約する内容や補償内容を自分で調べなくてはいけないので手間がかかる一面もあります。
代理店型は、保険会社の代理店を通じて保険契約を結ぶため、手数料が含まて保険料がやや高めです。しかし、その分契約内容について相談に乗ってくれるなどサポートが手厚いのが魅力です。
通販型と代理店型、どちらが自分に合っているかも検討してみましょう。
自動車保険を契約する際は、運転者の範囲を決めます。本人しか運転しない、本人と配偶者しか運転しないなど本人限定や配偶者限定にすれば、保険料を抑えることが可能です。
例えば、保険の再開時に親や子供に等級を引き継ぐ場合、以前は自分と妻のみが運転していたので配偶者限定にしていたけれど、子供のみの本人限定に変えることもできます。
また、運転者の年齢に関しても年齢区分によって保険料が違ってきます。年齢が若いと運転経験が浅いため、事故リスクが高いと考えられ保険料が高くなります。
中断時よりも年齢が上がったのに、年齢区分が以前の若いままだと保険料が高くなるので、正しい年齢区分に変えることによって保険料を抑えることが可能です。
他にも年間走行距離が以前よりも短くなる場合は、設定を変えれば保険料の節約になるでしょう。
車の搭乗者に対する事故時の補償がどうなっているかも見直しましょう。
同乗者の補償は「人身傷害保険」でカバーできます。この人身傷害保険には補償タイプが2つあります。
- 契約車両に搭乗中した時の事故にのみ補償される「限定タイプ」
- 契約車両以外にも、他人の車やバスやタクシーに搭乗中や歩行中、自転車に搭乗中などの「車内車外ともに補償されるタイプ」
このうち限定タイプのほうが保険料は安く抑えられます。また、必要に応じて補償タイプや補償額の変更も可能です。
同乗者の補償に関しては、人身傷害保険の他に「搭乗者傷害保険」というものもあります。
人身傷害保険は実際にかかった損害額が過失割合に関係なく支払われるのに対し、搭乗者傷害保険はケガの症状によってあらかじめ決められた金額が支払われます。
人身傷害保険と搭乗者傷害保険の両方をつけている場合は、どちらか一つに絞ると保険料を抑えることができるので確認しておきましょう。
事故で自分の車が損害を受けた時、修理費用などをカバーするのが車両保険です。車両保険も補償タイプがあります。
- 基本的に車同士の事故のみ補償され、当て逃げなどは補償対象外となるが、その分保険料を抑えられる「エコノミータイプ」
- 車同士の事故の他にも当て逃げや自損事故などエコノミータイプでは補償されない事故に関しても補償がカバーされる「一般タイプ」
車が新車でどんな事故でも補償してもらいたい場合や運転歴が浅い方は一般タイプにしたほうが安心です。
逆に車も古くなり運転にも慣れてきたので、とにかく保険料を節約したい場合はエコノミータイプが良いでしょう。
さらに、自己負担額となる「免責金額」も自分で設定できます。免責金額を高くするとその分保険料を抑えることができるので、検討してみましょう。
特約は自動車保険の基本補償に付随して任意で付帯できる補償のことです。この特約には様々な種類があるので注意しましょう。
自動車保険の中断から再開までにライフスタイルに変化が生じたり、自分以外の同居の親族に等級を引き継がせたりすれば、前の契約時には付帯させていた特約が再開時には不要となる場合もあるでしょう。
特約はオプションであり、付帯させるとその分保険料が加算されるので、不要なものは再開時に外せば保険料の節約になります。
例えば、車内においてあったゴルフ用品やカメラなどの補償をする「身の回り品特約」を付帯させていた場合を考えてみましょう。再開時に等級を引き継ぐ子供はゴルフもカメラも趣味ではない場合、この特約は不要となるので外すのが賢明です。
また、バイクや自転車搭乗中の事故を補償する「ファミリーバイク特約」や「自転車傷害特約」に関しても同様に、乗らないなら特約は不要となるため外したほうがいいです。
付帯させていた特約があれば、一つずつ必要性をよく考えてみてください。