残価設定クレジットでは、契約中に事故などで車が壊れたり故障したりすると、修理代等は全て自己負担となります。
さらに、事故修復歴が付くと追加金が請求されるかもしれません。全損となればローン返済に加え残価の支払いも要求されます。
このように、万が一の際は経済的な負担が大きくなるので、任意保険の自動車保険に加入すべきだと考えられています。
任意保険は補償内容が細かく、自分で補償範囲や特約などを自由に選ぶことができるので便利です。では、残クレにはどのような補償を付けたらよいのでしょうか?
補償の種類と共に見ていきましょう!
残価設定クレジットに潜む追加金というリスク
残価設定クレジットは、ローン契約終了時の車の価値である「残価」を契約前に設定し、車両価格から残価分を差し引いた金額でローンを組みます。
そんな残クレは契約時に「残価保証条件」が決められています。
条件の一つが、車の傷や凹みが生じると追加金が発生するというものです。契約終了時に査定が行われ、傷や凹みの程度に応じて追加金が決まり、請求されるのです。
他にも、車両の走行距離の上限が決められており、月間1000㎞、1500㎞など各自動車メーカーによって上限は異なります。契約終了時に走行距離が上限を超えている場合、何㎞につきいくらという形で追加金が算出されるので支払わなければなりません。
残価自体は、契約終了後まで下がることがないというのはメリットでもありますが、車の状態によっては追加金という形で費用がかかるため、結果的に残価が保証されないリスクを抱えているということも知っておくことが必要です。
車が損傷もしくは故障すると修理代も必要
残価クレジットでは、ローンの返済中に交通事故で車に傷が付いたり凹みができるなど損傷を負うことも考えられます。
ただ、整備工場などに持ち込んで修理する際にかかる費用は、ディーラーでは支払ってくれないので自腹となってしまいます。
また、車の傷などをキレイに直してもらっても「事故修復歴あり」となるので、査定では大幅に減点となってしまうかもしれません。
このように減点が規定数を超えると、追加金の対象となってしまいます。
例えば、停車中の自分の車に相手側が追突する事故は、自分に過失はありませんが、残価保証条件ではそういった過失割合は全く考慮されないので、追突事故であっても通常の衝突事故と同様、事故修復歴ありとして判断されてしまうので要注意です。
全損の場合は一括返済を求められる
交通事故で車の損傷が激しく、走行不能となる場合もあるでしょう。修理不可ならもう車に乗ることもできません。それだけではなく、車が全損となってもローンの支払いは続きます。
また、ローン契約前に設定された残価分の支払いはローン返済最終回まで据え置かれています。ローン契約終了時に車は「返却する」か「下取りに出して新しい車に買い替える」か「買取る」かの3つから選ぶことになりますが、車が全損して廃車となってしまえば、返却も下取りに出すこともできません。そのため、残価分を支払う必要が出てきます。
車がないうえに残ったローンと利息分、残価分を返済しなければなりません。一括返済を求められる場合もあるので注意が必要です。
残価設定ローンでは万が一に備えて任意保険が必要
残価設定クレジットを利用中に事故を起こすと、自分に過失がなくても大きな損害を被るリスクが高いといえます。このリスクを軽減するためにも自動車保険に加入しておく必要があります!
これは、残クレを利用していない場合にもいえることです。自動車保険に加入すれば事故の際も補償される場合が多いので、自腹での修理代の負担も軽減されるというメリットがあります。
ただ、当然保険料は支払わなければならないので、ローンの返済に加え保険料を含む維持費がかかってきます。
そもそも車の保険には、強制的に加入しなければいけない「自賠責保険」と、任意で加入する「自動車保険」の2つがあります。
自賠責保険は法律で加入が義務付けられており、車の購入時や車検時に加入、更新されていきます。未加入の車を運転すると法律違反です。
その自賠責保険では人が亡くなる、ケガをする、障害を負うなど対人補償はされます。ただ、対人補償があっても金額の上限が決まっているので、もし賠償金が上限額を超える場合は自分で弁済するしかありません。
また、自賠責保険では対物補償はカバーされていないため、交通事故で車や物が壊れても、修理や弁償のための費用は全く支払われないので全て自腹となります。事故の程度によっては多額の賠償金を負担することにもなりかねません。
自分で加入するかを自由に決められる自動車保険は、自賠責保険よりも補償内容が広く、補償が手厚いのがメリットです。ただしその分、保険会社や補償内容によっては保険料が高くなります。
自動車保険の中には、自分の車が壊れたり故障したりした際の修理代を補償してくれる、車両保険があります。
自賠責保険ではそもそも対人補償しかなされないので、自分の車が壊れても自分で修理代を工面するしかありません。自分に過失がない場合も同様です。
そこで車両保険を付けることで、交通事故の他にも自損事故や災害により自身の車が損傷した場合の修理代が保険金で賄えます。
残クレの場合、どのようなケースであっても契約車両に傷が付けば、全て契約者の責任となり追加金の請求がきます。自動車保険の車両保険を付けておくことは、万が一の場合でも経済的に困窮しなくて済むために必要なことだといえるでしょう。
任意保険の選び方
自動車保険の補償内容は大きく分けて3つあります。
賠償責任保険の中には「対人補償保険」と「対物補償保険」が含まれています。
傷害保険の中には「人身傷害補償保険」「搭乗者傷害保険」「自損事故保険」「無保険車傷害保険」が含まれます。
車両保険の中には「一般車両保険」と「スタンダードプラン」と2つのタイプがあり、どちらか選べます。
自動車保険は自分でどの位の補償を付けるかを決めることで保険料も違ってきます。補償は手厚いほうがいいですが、あまり色々付けると保険料が高くつくので慎重に判断しなければなりません。
これらの任意保険の種類について詳しく内容を解説していきますので、是非参考にしてみてください。

自賠責保険でも法的賠償責任は対応できますが、ケガをさせた際は最高120万円、後遺障害を負わせた場合は最高4000万円、死亡時は最高3000万円までしか保険金は下りません。
訴訟の際に賠償額が億を超えるケースもあるので、自賠責保険だけではとてもカバーしきれないでしょう。その点、自動車保険の対人賠償保険では無制限となっているので安心です。

自賠責保険だけでは対物補償はありません。対物補償保険の場合は、もし店舗の入り口に車が突っ込んだ場合、壁や扉の補償の他に商品や修理時に休業を余儀なくされた場合の休業補償までが賠償責任に含まれます。
対人賠償の保険金額は無制限とするのが基本となっていますが、対物賠償の場合は上限金額が選べます。補償額が増えるとその分保険料は増えますが、高額な賠償金を支払わなければいけなくなった場合、制限額を超えた金額に関しては自腹となってしまうのです。
そのため、万一に備えて対物補償も無制限にしておくと安心できるでしょう。

事故が起こり双方に過失があると、過失割合に応じて示談交渉の末、賠償金が支払われます。示談が終わらないと保険金は下りず、支払いまでは長い時間を要する場合もあるのです。
しかし、人身傷害補償保険と搭乗者傷害保険に加入しておけば示談交渉が終了していなくても、自身が加入している保険会社から1名ごとにケガの治療費、治療中の休業補償金などが支払われるので、その間の経済的な負担が減ります。
ただ、人身傷害補償保険は損害額が確定しないと支払われません。一方、搭乗者傷害保険は医師の診断で通院もしくは入院の日数が5日以上になったら、決められた損害額が支払われます。

自賠責保険では対応できない場合に、任意保険の自損事故保険から賠償金が支払われることになっています。
しかし、無保険車傷害保険の補償は無制限ではなく1名につきいくらというように上限が決まっている保険がほとんどとなっています。

車両保険は2つのタイプに分かれています。
他の車との接触事故を始め、自損事故や当て逃げ、火災や洪水などの自然災害、盗難に遭った際などあらゆるケースをカバーするのが「一般車両保険」です。また、単独事故と当て逃げの補償を除外したのが「スタンダードタイプ」となっています。
車両保険は、新車購入者や中古車でも初年度登録から7年目までの車、高級車に乗っている、運転に自信がない人は入ったほうが良いとされています。
ただ、車両保険に入ると保険料が高くなるので入らない人もいますが、残クレを利用している人は別です。
残クレの場合は事故や災害、盗難など理由が何であろうと、車が全損すれば残りのローンと利息、残価分の支払いは免れません。自分に過失がなくても同様です。
万が一の事態に備えて、フルカーバータイプの「一般車両保険」に入っておくことをおすすめします!
必要な特約もつけておく
自動車保険には基本の補償にプラスしてオプションとして付ける特約があります。
事故の際に弁護士に示談交渉を依頼する際の費用をカバーしてくれます。
車の修理期間中の足となる代車にかかる費用を負担してくれます。
車が半分壊れる事故で走行可能であっても新車に買い替えることができるようになります。
自動車事故のみならず、飼い犬が通行人にケガをさせてしまった時の賠償など、日常生活におけるトラブルで賠償責任が生じた場合の補償などに対応してくれるものなんかもあります。
特約を付けるかどうかは契約者の自由ですが、万が一に備えて補償の範囲を広げたい場合は有効的だといえるでしょう。
残価設定ローンを組んだ車は買取に出せる?買取に出すための条件などを解説
自動車保険に付帯されているロードサービスとは?
自動車保険には、サービスの一環として「ロードサービス」が付いているものが多いです。
具体的には、パンク時のスペアタイヤへの交換、脱輪時の引き上げやバッテリー上がりの際のジャンピングなどです。
また、交通事故で自走不能となった場合は事故現場から修理工場まで、レッカー移動してもらえる内容も盛り込まれています。レッカーの場合は移動距離や条件などによって別途費用がかかることもあるでしょう。
他にも遠方で事故を起こし、車が自走不能となってレッカーで運んでもらうと移動手段がなくなります。電車などで移動する際の交通費や宿泊費なども、条件によっては負担してもらえます。
こういったトラブル時の対応をロードサービス会社に依頼すると結構な費用がかかりますが、自動車保険に加入しておけば、ある程度カバーできるという点がメリットです。
自動車保険はダイレクト型保険のほうが保険料が安い
残価設定クレジットを利用する際は、任意の自動車保険に加入しておくべきです。ただ万が一に備えて車両保険に入っておくと、入らない場合に比べて保険料は高くなってしまいます。
少しでも保険料を安くすることを考えるなら、保険会社選びも重要です!
そして、保険会社には「代理店型」と「ダイレクト型」があります。
店舗を構える代理店を通して保険契約を行う方法です。代理店のスタッフは保険の知識が豊富なため詳しい説明が受けられ、自分のライフスタイルにはどの補償が良いかをアドバイスしてくれます。
ネットなどを通じて、ダイレクトに保険会社に契約の申し込みを行う方法です。このダイレクト型の方が保険料が安く抑えられるといわれている理由は、店舗を構えておらず、代理店を通さないためです。
自分で保険内容をきちんと調べればダイレクト型でも問題ありませんね。
割引制度も利用しよう
自動車保険に加入すると保険料がかかるので、少しでも安くしたいなら割引制度にも注目してください。
それは、自動車保険証券を書面で発行しない「保険証券不発行割引」です。
さらに、保険の契約が有効となる日を起点とし、被保険者の運転免許証がゴールド免許なら保険料が割引となる「ゴールド免許割引」も典型的な割引サービスです。
さらに、契約車両が電気自動車やハイブリッド車などのエコカーであることが条件の「エコカー割引」や、決められた期日以内に保険契約をすることが条件の「早期契約割引」などもあります。
保険会社によって様々な割引制度があり、条件なども違ってくるので調べて活用すると、保険料の節約につながるでしょう。
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ライフスタイルの変化と共に定期的な見直しを
自動車保険は一度加入すれば、自動更新されるものも多いのでそのまま放置するという人も少なくありません。数年経つと、加入時の補償内容も忘れてしまい事故の際に慌てて確認するということはよくあるでしょう。
しかし、ライフスタイルの変化によって保険内容を見直し、更新時に契約内容を変えるだけでも保険料が安くなることもあります。用途や使用目的、年齢条件や運転者の範囲などによって保険料は違ってきます。
例えば、使用目的は通勤・通学よりもレジャー目的の方が保険料は安いです。さらに運転者と配偶者限定にすると保険料が抑えられるのです。
数年に1度は保険内容を見直してみてください。