新しい車の買い方として認知度が高くなってきているのが「残価クレジット」です。月々の支払額がリーズナブルになることで憧れの新車が買えるようになったことも背景にあり、利用者も増えています。

しかし、実際のところ残価クレジットはお得なのか?ほかの買い方と比べると値引きはどうなのか?という疑問もきっと出てくるでしょう。

そこで今回は、残価クレジットの値引きや金利、実質負担額といった部分にフォーカスを当てて解説していきます。

残価クレジットの特徴と他の支払い方との違い

残価クレジットの特徴と他の支払い方との違い
まずはじめに、残価クレジットの特徴について確認をしていきましょう。

残価クレジットを一言で表すのであれば「新車をローンで買うときにお得に購入することができる新しい車の買い方」ですが、今までのローンとは決定的な違いがあります。

例えば、300万円の車を5年(60回払い)で買う場合、今までのローンだと300万円を単純に60分割し、金利を考慮せず毎月5万円となります。

しかし、残価クレジットの場合は、その車の5年後の中古車としての価値をあらかじめ予測し、その価値を60回目の支払いに充てることで、残り59回の支払い金額が抑えられるという点が特徴です。5年後の価値が100万円と仮定し、それを最終回支払いに充てます。残り200万円を59分割することになり、月々の負担額は通常のローンより1万円安い、約4万円となります。

これが通常のローンと残クレの違いであり、メリットです。

残価クレジットと他のローンの決定的な違いはこれ

残価クレジットと他のローンの決定的な違いはこれ
残価クレジットと今までのローンとの決定的な違いは、支払額以外にも存在します。それは、「契約期間と車の使用に制限が出てくる」という点です。

残価クレジットには数多くの制限があります。具体的には「走行距離」や「車体に事故などによる修復がないか」といった部分です。

契約期間が経過した最終回時点での車の価値を予測するには「あらかじめ定められた走行距離以内であること」が必要となります。車の価値は年式と走行距離によって左右されることがあるため、定められた走行距離に収まっていなければなりません。

これ以外にも、「車に損傷がないこと」も大切な要件となります。日常の使用で付くであろう傷の範囲内であれば問題ありませんが、規定以上の車体の傷やへこみであったり、事故によるフレーム修復がある場合には中古車としての価値が下がってしまいますから、これにも制約がかかってきます。

残価クレジットは買い替えが前提のローン

残価クレジットは、前述した通り契約期間の最終回に将来的な車の価値を残価として据え置くことで、毎月の支払いがグっと抑えられる支払いプランです。

最終回に据え置かれた残価を一括払いをすれば乗り続けることができますが、実際は数十万円~100万円以上といったまとまったお金を用意することが厳しいという方も多いかもしれません。そうなってしまうと、「乗り換え」もしくは「返却」という選択をせざるを得なくなります。

一般的に残価クレジットは買い替えることが前提となるローン商品なので、これらの選択をする方がほとんどでしょう。3年ごとの車検やメーカー保障が切れる5年で車を定期的に乗り換えたいという方にとっては、メリットのある買い方ともいえます。

残価クレジットの値引きを徹底検証

残価クレジットの値引きを徹底検証
現金支払いや今までのローン支払いと比較をした場合、残価クレジットで購入する場合の値引き額にはどのような違いがあるのでしょうか?

「残価クレジットを利用した方が今までのローンや現金払いよりも値引き率がいい」といわれることもありますが、実際にどうなのか確認していきたいと思います。

残価クレジットを利用すると値引きが大きくなるのは本当?

通常のローンよりも残価クレジットを利用した方が値引き額が大きくなると認識している人もいるかもしれません。

これについては「部分的には間違っていない」という答えになります。

ディーラーでローンを組む場合、メーカー系のクレジット会社からお金を借りるという方がほとんどでしょう。この際にディーラーとクレジット会社は提携関係にあり、それぞれ顧客を紹介すると「手数料」が支払われることになります。

その手数料にもさまざまなパターンがあることが多く、通常のローンよりも残価クレジットを利用する顧客を紹介した方が手数料が高くなる場合もあります。

なぜなら、残価クレジットは前述した通り「買い替え前提のクレジット」という理由だからです。定期的に買い替える(=ローンを利用する可能性が高い)と判断されるため、手数料が高くなることがあります。

こうした理由から、ディーラーも残価クレジット利用の方が値引きができる確率が高くなるのです。

現金と残価クレジット、安く買えるのはどっち?

現金と残価クレジット、安く買えるのはどっち?
ローンを組まずに現金一括で車を買おうか?それとも、残価クレジットで買おうか?とお悩みの方もいるかもしれません。

ディーラーの担当者に相談して決めるという方もいるかもしれませんが、支払われる手数料の兼ね合いもあり、「ローン(残価クレジット)で契約する場合はもう少し値引きできますよ!」といった提案をされることもあります。これは、お店にローン利用のノルマがあり、そのノルマを達成すると追加ボーナスが得られることから提案してくる背景があります。

ローン利用で値引き額が増額される場合、数万円程度ローン利用の方が値引き額が大きくなる場合が多いです。そのため、金利負担の分も考慮しトータルの支払い金額で比較していくことがおすすめでもあり、賢い車の買い方(交渉術)といえるでしょう。

普通のローンと残価クレジットに値引き額の違いが出る?

次に、普通のローンと残価クレジットの場合の値引き額に違いが出るのかどうかという点について触れていきたいと思います。

基本的には大した違いがないという場合がほとんどですが、車を買う状況(月末間際や9月・3月決算期)に交渉をする場合は、値引き額に変化が出てくる場合があります。

前述したクレジット会社から支払われる手数料の関係で、これらの時期に手数料が増額したり獲得件数によってボーナスが支払われたりすることがあり、その際に残価クレジットを利用した方が値引きが高くなるということがごくたまに起こります。

この値引きについては、ディーラーの会社ごとや店舗ごとによって違ってくる可能性があるので、留意しておきましょう。普通のローンと残価クレジットの値引き額の違いについて確認をする必要があります。

残価クレジットと普通のローンに金利の違いはある?

残価クレジットと普通のローンに金利の違いはある?
車の買い方として残価クレジットを使用するか、それとも今まで通り普通のローンを使用して車を購入するか、どちらの支払い方法にするか悩む方も多いかもしれません。

残価クレジットにも普通のローンにもそれぞれ違いがありますが、この項目では「金利」にフォーカスを当てて確認していきたいと思います。

それぞれの金利の違いや、その差について確認をしてどちらを選べばいいのかチェックしておきましょう。

普通のローン金利はこれくらい

まずはじめに、一般的にディーラーで扱われているローンの金利を確認していきましょう。

ディーラーで扱われている普通のローンを利用した場合、契約した金利によって毎月の支払額が変わってきます。契約できる金利はディーラーによっても差がありますが、全体的に5%台が多く、高くても7%台、低い場合は4%台です。

ローンの中にはディーラーの取り扱いではないものがあります。それは、信販系ローン(一部のディーラーでは取り扱いあり)と銀行オートローンです。

信販系ローン

審査基準がディーラーローンよりも緩く、金利は6~8%台となっています。

銀行オートローン

ディーラーローンよりも審査がやや厳しく手間もかかりますが、金利が1~2%台と安く契約ができます。

残価クレジットは低金利の場合が多い

次に、残価クレジットを利用した場合の金利はどれくらいなのかを確認していきましょう。

残価クレジットは、国内メーカーと海外メーカーによって金利が異なってきます。

国内メーカー各社で残価クレジットを利用した場合

金利の基本は4.9%に設定されています。これにキャンペーン金利が適用されると、2.9%や1.9%という低金利で車を買うことも可能です。

キャンペーン金利は9月や3月の決算期に行われることが多いです。決算以外の時期だと車種限定で低くなるという場合がよくあります。さらに低いキャンペーン金利で、0.9%という金利のパターンもあります。

海外メーカーで残価クレジットを利用した場合

車両価格が高いため国内メーカーよりも金利が低く、0.9~2.9%台で推移することが多いです。

残価クレジットの金利が低めに設定されている理由とそのカラクリ

残価クレジットの金利が低めに設定されている理由とそのカラクリ
前述した通り、残価クレジットとディーラーローンを利用した場合の金利を比べると、残価クレジットの方が金利が安い場合があるということが理解できたかと思います。

それでは、なぜ残価クレジットの方が金利が低めに設定されているのでしょうか?

その理由について解説していきます。

残価にも金利がしっかりとかかる

まず、ローンの仕組みについて確認をしていきましょう。

一般的にローンを利用する場合は、購入した商品の金額(借り入れをする金額)すべてに金利がかかるというルールがあります。普通のカーローンや残価クレジットも、例外なく借り入れをする金額に金利がかかってきます。

普通のローンと残価クレジットを比較すると、残価クレジットの方が残価を最終回に据え置いているという関係上、ローン最終回までの残債(残りの支払額)が必然的に多くなるでしょう。そのため、車種や残価にもよりますが、金利が低くなっていたとしても普通のローンよりも負担する利息(金利)が必然的に高くなっていきます。

最終回に車を返却、もしくは乗り換えをすればトータルの支払額は少なく済みますが、買い取りをした場合は普通のローンよりも総支払額が高くなってしまう可能性が出てきます。

車を買い取りたい人が残価クレジットに向かないといわれているのは、そのためです。

金利が安く見えるため利用者を集めやすい

前述の通り、残価クレジットの方が普通のローンよりも金利負担が大きくなる傾向となっています。

しかし、実際は残価クレジットの金利に関するカラクリや本質まで見極めている人は少なく、「金利が安いこと」と「毎月の支払額が抑えられるから新車が買える」という点から残価クレジットには「お得感」があると思ってしまうのです。

新聞の折り込みチラシなどで「残価クレジットを利用するとお得に車が買える」といった広告をよく目にすることもあるかと思います。実際に金利が低く支払額が少ない方が購入意欲は高くなるでしょう。

つまり、残価クレジットは、お得感が非常に強い新車の買い方としているため、利用者を集めやすいクレジット商品ということになります。

残価クレジットを使って値引き交渉をする裏ワザ

残価クレジットを使って値引き交渉をする裏ワザ
残価クレジットを利用した方が値引き額が高くなる可能性があるということを説明しましたが、残価クレジットの利用を考えていないとしても、残価クレジットを利用するということを意思表示すると値引き交渉をすることもできます。

少しばかり高度なテクニックですが、お得に買うことができるかもしれません。

次の項目で残価クレジット利用を切り札とした交渉方法を紹介します。

現金購入だとしても残価クレジットを利用する

現金一括払いを希望していたとしても、残価クレジットをはじめとしたローンを利用することで値引き額を増額させることが可能です。

その方法でクレジット利用を前提とした値引きをしてもらった場合は、必ずローンを組んで支払いを開始しなければいけません。その後、車の納車後に2回ほど毎月の支払いをして、残債を一括返済することで車両を購入することができます。

現金購入よりもトータルの支払額は増えてしまいますが、現金一括払いとローン利用の値引き額以下の差額負担であればお得になる場合もあります。

これは銀行オートローンの利用を希望する場合であっても有効な方法で、借り換えに伴う手数料や手間もかかってきますが、場合によってはお得になる買い方です。

残価クレジットと普通のローンはどっちがお得?

最後に、お得に買うなら残価クレジットが良いのか?それとも、普通のローンが良いのか?という疑問を解説していきたいと思います。

この答えはどちらが正解とも間違いとも言い切ることはできません。

その理由は、使用者自身の「車の使い方」や「車を保有する年数」によって左右してくるからです。定期的に買い替えをする場合であれば残価クレジットがお得になりますし、長期間同一車両を使うこと前提に車を購入する場合であれば普通のローンが最適となります。

5年以内に乗り換えるのであれば残価クレジット

5年以内に乗り換えるのであれば残価クレジット
最初の車検(3年)や2回目の車検(5年)というスパンで定期的に新しい車に乗り換えていきたいのであれば、残価クレジットがおすすめです。

頭金を多く入れる必要がなく、残価のおかげて月々の支払いを抑えられることができます。それ以外にも、自分や家族のライフスタイルの変化に合わせ、自己負担を最小限に抑えて車を乗り換えることができるのもメリットでしょう。

残価クレジットの期間でもある5年間は、車が自然故障してもメーカー保証で無償修理してもらえることも多く、車のローン以外の出費を極力抑えられるのもポイントです。

ローンで乗り換え続けると、結果的には車に関する支払いを終えることはできませんが、急な出費の可能性を減らせるという面についてはおすすめの買い方ともいえます。

定期的に買い替えをしない場合でも、3年または5年後に確実に車の使い方が変わったりする場合の「お試し期間」として車を買う場合にも有効です。

乗りつぶすなら普通のローン

乗りつぶすなら普通のローン
1度車を購入したら壊れるまで乗り続けたいという人の場合は、普通のローンを長期で組んで購入する方法がおすすめです。

残価クレジットは毎月の支払いを抑えられることが最大のメリットでもありますが、最長5年までしかローンが組めないのが欠点でもあります。

ディーラーのローンでは長期ローンが組めますが、金利負担が安いとはいえません。そのため、10年まで無担保で借り入れができる銀行や信用金庫などの金融機関系オートローンなどを活用していきましょう。

超低金利時代の影響もあり、銀行の金利は比較的安く設定されています。そのため、長期でローンを組んだとしてもそれほど大きな負担増となることは少ないです。

1台の車を大切に乗りたいのであれば、銀行オートローンで車を購入する方法がおすすめです。5年で切れてしまうメーカー保証に関しては、ディーラーで初回と2回目の車検をすることで有償加入できる「延長保証」を利用しましょう。

延長保証を利用すれば、最長7年までは補償修理が受けられるようになります。

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まとめ

①残価クレジットはさまざまな制約があるが支払いを抑えられます。
②残価クレジットは定期的に車を買い替える人のためのローンです。
③場合によっては、残価クレジットを利用すると値引き額が大きくなる可能性があります。
④現金購入でも一括返済を前提に交渉することでお得になる場合があります。
⑤車を乗りつぶすのであれば残価クレジットはお勧めできません。

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