残価設定型クレジットは、自由にローンの契約期間を決めることができます。

それでも、車検前には乗り換えたいので「3年ごとにローンを組みたい!」という人も多いと思います。3年ごとに新車に乗り換えるとなると、月々の支払額はいくら位になるのでしょうか?

また、残価は車種によっても異なるので、車種ごとの支払いシミュレーションも参考にしてみてください。残価設定型クレジットの特徴についてもご紹介しますので、利用するか検討してみましょう。

残価設定ローン(残クレ)とは?

残価設定ローン(残クレ)とは?
車購入時に一括で購入代金を支払わずに、ローンを組むときの手段として、残価設定ローン(残価設定型クレジット)を利用することができます。

残価設定ローンとは?
契約から数年後の車の価値「残価」を、車両購入価格から差し引いた金額を分割返済していくローンです。残価設定型クレジットとも呼ばれていて、それを略して「残クレ」とも呼ばれています。
車両購入価格から引かれる「残価」の金額はいくらぐらいでしょうか?
残価は車種によって違いますが、軽自動車よりも普通車の方が高くなるのが一般的です。大体車両価格の30~50%前後に設定されることが多いと言われています。

残価設定ローンでは、車両価格の70~50%前後の価格をローン返済していくことになります。

また、年数が経過するごとに、10%、15%と残価率は下がっていきます。ただ、金利は車両購入価格全額に対してかかってくるので、実際には残価を差し引いた金額プラス全額にかかる利息分を支払うことになるのです。

残価設定ローンの契約期間終了後、車はどうなるの?
ローンの契約期間が終了したら3つの選択肢から選べます。
・車を返却する
・残価分を支払って購入した車を所有して乗り続ける
・下取りに出して新しい車に乗り換える

残価設定ローンの契約期間は3年・5年・7年で設定

残価設定ローンの契約期間は3年・5年・7年で設定
残価設定ローンは短い期間での契約が可能です。基本的には自分で好きにローン返済期間を決めることができます。

一般的には、新車購入後からの「車検のタイミング」に合わせてローンを組むケースがほとんです。

なぜ車検を受ける前にローンを完済させるの?
車検では税金や検査手数料などで数万円の大きな出費となります。そのため、車検を受ける前に乗り換えれば、車検費用を払わなくてもいいので節約になるからです。
車検は新車購入から3年後、以降は2年ごとにやってくるので「3年」「5年」「7年」を残価設定ローンの契約期間に設定するのが一般的であり、ディーラーでもそのように組まれたプランが提示されています。
残価設定ローンを3年で組んだ場合…

短期間なので無駄に利息を支払わなくてよい、残価率が高いというメリットがあります。ただ、5年や7年と比べると契約期間が短い分、月々の支払額はやや多くなります。

残価設定ローンを5年で組んだ場合…

月々の返済額は3年よりはやや抑えられます。残価率は少し下がりますが、計画的な返済が目指せます。

残価設定ローンを7年で組んだ場合…

残価率はかなり低く、利息も余分に支払うことになるので、場合によってはあまり得にならないこともあります。

3年の残クレ支払いシミュレーション・軽自動車

3年の残クレ支払いシミュレーション・軽自動車
現金価格150万円の一般的な軽自動車を、3年の残価設定ローンを組んで購入したとします。

金利を年約4.9%とし、下取り額が約70万円と仮定して計算してみると、月々約2万7000円の返済額となります。残価保証条件を満たすと、契約終了時までのローン総支払額は約96万7000円で、下取りに出して乗り換えも可能です。

また、金利を年約2.9%とやや低くすると月々のローン支払額は約2万5000円になります。残価保証条件を満たしたとして、契約終了時のローン支払額は約89万7000円に抑えられます。

3年の残クレ支払いシミュレーション・コンパクトカー

3年の残クレ支払いシミュレーション・コンパクトカー
現金価格230万円の一般的なコンパクトカーを、3年の残価設定ローンを組んで購入したとします。

金利を年約4.9%とし、下取り額が約88万円と仮定して計算してみると、月々約4万7000円の返済額となります。残価保証条件を満たすと契約終了時までのローン総支払額は約164万円です。その後は下取りに出して乗り換えもできます。

また、金利を年約2.9%とやや低くすると月々のローン支払額は約4万4000円です。残価保証条件を満たしたとすると、契約終了時のローン支払額は約154万円に抑えられます。

3年の残クレ支払いシミュレーション・普通車(ミニバン)

3年の残クレ支払いシミュレーション・普通車(ミニバン)
現金価格320万円の一般的な普通車のミニバンを、3年の残価設定ローンを組んで購入したとします。

金利を年約4.9%とし、下取り額が約175万円と仮定して計算してみると、月々約5万4000円の返済額となります。残価保証条件を満たすと契約終了時までのローン総支払額は、残価分を引いて約189万円となりかなりお得です。その後、下取りに出して乗り換えも可能です。

また、金利を年約2.9%とやや低くすると月々のローン支払額は約5万円になります。残価保証条件を満たしたとすると、契約終了時のローン支払額は約173万円に抑えられます。

3年の残クレ支払いシミュレーション・普通車(セダン)

3年の残クレ支払いシミュレーション・普通車(セダン)
現金価格220万円の普通車のセダンタイプを、3年の残価設定ローンを組んで購入したとします。

金利を年約4.9%とし、下取り額が約48万7000円と仮定して計算してみると、月々約5万4000円の返済額となります。残価保証条件を満たすと、契約終了時までのローン総支払額は約191万円で、その後は下取りに出して乗り換えることもできます。

また、金利を年約2.9%とやや低くすると月々のローン支払額は約5万2000円です。残価保証条件を満たしたとし、契約終了時のローン支払額は約182万円に抑えられます。

3年の残クレ支払いシミュレーション・普通車(SUV)

3年の残クレ支払いシミュレーション・普通車(SUV)
現金価格287万円の一般的な普通車のSUVを、3年の残価設定ローンを組んで購入したとします。

金利を年約4.9%とし、下取り額が約138万円と仮定して計算してみると、月々約5万1000円の返済額となります。残価保証条件を満たすと、契約終了時までのローン総支払額は約180万円です。その後は下取りに出して乗り換えも可能です。

また、金利を年約2.9%とやや低くすると月々のローン支払額は約4万7000円です。残価保証条件を満たしたとすると、契約終了時のローン支払額は約167万円に抑えられます。

残価設定ローンを使う際の注意点

残価設定ローンにはメリットもデメリットもあるので、利用する前にきちんと特徴を理解しておくことが大事です。そのうえで利用した方が得なのか、通常のフルローンにすべきかを慎重に判断した方が良いでしょう。

また、残価設定ローンでも、毎月のローン返済と「車の維持費」が必要となります。家計をしっかり見直して、無理のない返済計画を立てることが大切です。

そして、ローン契約期間中に事故で車を損傷すると、契約終了時に「下がった査定額と残価との差額を請求される」こともあります。車が全損したら残価の金額、つまりフルローン分の支払いを要求されることもあります。

そのうえ、ケガの治療費や車両の修理代も必要です。相手のいる事故なら多額の賠償金などがかかる可能性も出てきます。万一の事故に備えて「自動車保険」にも加入し、車の修理は車両保険でカバーできるようにしておいた方が良いでしょう。

残価設定ローンのメリットとデメリットを把握する

残価設定ローンのメリットとデメリットを把握する
残価設定ローンのメリットとは?
主に下記の3つです。
・月々の返済額が抑えられる
・残価が保証されている
・残価設定ローンは短い期間での契約も可能

メリットについて詳しくご説明します。

月々の返済額が抑えられる

本来の車両価格から残価分を据え置いて、差し引いた金額でローンを組みます。そのため同じ契約期間でもフルローンよりも返済額が少なくて済むので経済的な負担が減るでしょう。

残価が保証されている

予め数年後の車の価値である残価が、下取り額として保証されています。そのため、契約終了時に据え置かれた下取り額で車を引き取ってもらえるという安心感があります。
新車の中には、数年乗った後に下取りに出すとかなり価格が下がる車もあり、損することにもなりかねません。

残価設定ローンは短い期間での契約も可能

短いスパンで新車に乗り換えることもできます。頭金やボーナス払いも不要であり、長く乗らない分メンテナンス代も節約できます。

残価設定ローンのデメリットとは?
主に下記の4つです。
・利息が高くなる
・カスタマイズできない
・下取り額が査定額を下回ることもある
・車の状態によっては追加金が発生することもある

デメリットについて詳しくご説明します。

利息が高くなる

ローンには金利が設定されますが、残価設定ローンでは残価を差し引いた金額ではなく、元本に対して金利がかかってきます。そのため通常よりも利息が高くなるのです。

カスタマイズできない

契約終了後に車を返却することを前提にしているので、カスタマイズを禁止している契約が多いのが特徴です。万一カスタマイズした場合は、残価を返済し買い取る形を要求されるか、追加金を請求されることもあります。

下取り額が査定額を下回ることもある

契約終了後に予め設定された残価で下取りしてもらうことになります。しかし、中古車市場で人気の車種だと残価よりもそのときの査定額が高くなる場合もあります。
下取り額は上がらないので、結果的に損をすることになるでしょう。

車の状態によっては追加金が発生することもある

契約期間中に事故などで車を損傷すると、終了時の再査定で残価との差額が生じた場合、追加金を請求されることもあります。また走行距離の上限があって、それを超えている場合も同様です。

経済状況を見て、利用が得かどうか判断する

経済状況を見て、利用が得かどうか判断する
新車を購入しローンを組む予定があるなら、毎月の家計の収支状況を見直してみましょう

「ローンの返済額がいくらなら、負担がさほど大きくないのか?」計算して知っておくことが大事です。

フルローンよりも月々の支払いが抑えられる残価設定ローン、家計には優しい反面、リスクもあるので利用が得かどうか総合的に判断する必要があります。

また、車に乗っていると予想外の事故や故障などで、急な出費が必要となることもあるので、それに対応できるように余裕をもったローン計画が大事です。

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万一に備えて車両保険に加入する

万一に備えて車両保険に加入する
残価設定ローンを組んでいて、一番のリスクとなるのが交通事故による車の損傷です。

事故で車が損傷すると、契約終了時の査定で残価よりも査定額が下がり、追加金の請求が来るかもしれません。また、全損で残価が0になると、残価分の支払いを請求されます。そうなると車の修理代はもちろん、残価の返済など急な出費がかさんでしまいます。

さらに、相手方や自身、同乗者がケガを負う、最悪亡くなってしまった場合の治療費や賠償金が必要となることもあるでしょう。

また、ガードレールなどの物が破損した場合も修理代などが別途発生します。

自動車保険に加入し、万一に備えて車両保険を手厚くして補償が十分に受けられるようにしておいた方が良いでしょう。

残価設定ローン手続きの流れ

残価設定ローンの場合、手続きはほぼディーラーのスタッフが進めてくれるのでスピーディーで効率的です。

手続きの大まかな流れ
  1. まず、購入したい車を選び、商談時にスタッフに残価設定ローンを組みたいと申し出ます。
  2. その後、ローン審査に通ると契約が成立し納車となる流れです。
  3. ローンの返済を終えて、契約終了時には、「車の返却」をするか「残価分を返済してそのまま車に乗り続ける」か「下取りに出して新車に乗り換える」か選ぶことになります。
手続きに必要なもの
  • 運転免許証などの本人確認書類
  • 所得確認書
  • 勤務・勤続確認書 など

金融機関に平日に出向かなくてもいいことから、平日会社勤務の人の場合、わざわざ休まなくてもよいので効率的です。更に、印紙代や振込手数料なども不要なので、とてもスピーディーかつ通常のローンよりも簡単に手続きできます。

対象車種で支払いシュミレーションする

対象車種で支払いシュミレーションする
実際に残価設定ローンを利用する場合、月々の返済額がいくら位になるかを予め知っておくことは大事です。

また、ローン返済に加えて車を使用するには「維持費」もかかってくるので、月に車にかかる費用を合算しておく必要もあります。支出から車にかけられる予算を算出し、そのうえで経済的に乗れる車種が決まってくるでしょう。

購入したい車両を扱う自動車メーカーのホームページでは「支払いシミュレーション」のページがあります。そこで、車両やグレードを選んで、支払い回数などを選ぶと「月にどの位の返済額になるのか」「総額はいくらになるのか」などが表示されます。

とても便利な機能なので利用してみてください!

残価設定ローンの使用が向いているケース

残価設定ローンの使用が向いているケース
残価設定ローンはフルローンよりも月々のローン返済額が安くなる、頭金がないというのも魅力です。そのため、「貯金はないけど月々の収入をやりくりして新車に乗りたい!」という人に適していると言えます。

その他、以下のような考えをお持ちの方は、残価設定ローンの使用に向いています!

  • 「3~5年の短いスパンで新車に乗り換えたい!」
  • 「色々な新車に乗り続けたい!」
  • 「大学在学期間中だけなど、決まった期間だけ車に乗りたい!」

そして、特定のメーカーの車が気に入っていて、ずっと乗りたい方にもおすすめです。なぜなら、残価設定ローンは、自動車メーカーが販促のために推奨するローンで、車を乗り換えるにも同じメーカーだと手続きがとても楽だからです。

残価設定ローンの使用を控えたほうがよいケース

残価設定ローンの使用を控えたほうがよいケース
これまでに、「クレジットカードローンなどで返済が上手くいかなかった…」「返済遅延が度々あった…」と言う人は残価設定ローンに向いていないと言えます。

残価設定ローンで返済遅延が重なると、遅延金を請求される場合もあります。

また、交通事故で車が全損となると、残価も含めた残りのローンを返済しなければなりません。そのため、「運転に自信がない人」や「初心者の人」なども利用を控えた方が良いでしょう。

また、契約終了後に車を返却する予定なら車の変更ができないので、「カスタマイズが好きな人」には不向きです。

そして、走行距離の上限が決まっており、その距離をオーバーすると追加金を請求されることもあります。そのため、「長距離通勤や通学をするという人」も適していません。

残価設定ローンのQ&A

残価設定ローンのQ&A
残価設定ローンでよくある質問を紹介します。

契約期間中でも乗り換えできますか?
前もってローン返済期間を決めて、支払いをしていくことになります。ただ契約の途中で別の車に乗りたいとなっても下取りに出して、乗り換えることは可能です。その際は残りのローン返済分を精算する必要があります。
車を傷つけても残価は保証されますか?
ローン契約において、車の傷も条件の範囲内であれば残価が保証されます。しかし契約終了時の査定により、条件を超える車の損傷や修復歴がある場合は残価が下がることもあります。
数年後車の価値が下がると、残価も下がりますか?
数年後に下取りに出す際も、残価設定ローンを組む際の残価は保証されています。中古車市場で価格変動などで車の価値が残価より下がり、実際の下取り額が安くなったとしても基本的には残価が下がることはありません。
ただし、契約期間中の事故による車の損傷、走行距離の上限を超えた場合は残価が下がることもあります。逆に追加金を請求されることもあるので契約時に確認しておきましょう。
引っ越した場合も契約を継続できますか?
引っ越した場合も引き続き残価設定ローンを継続させることは可能です。新住居の最寄のディーラー販売店で手続きできます。

まとめ

①残価設定ローンは車両価格から残価を据え置き、差し引いた残りの金額で組むローンです。
②車検費用を節約するため、新車購入から3年、5年もしくは7年で契約するケースが多いです。
③3年の残クレは月の返済額が多いが、残価が高いので乗り換えにはお得でしょう。
④残価設定ローンにはメリットもデメリットもあるので、きちんと理解しておくことが大事です。
⑤残価設定ローンが得かどうか、ライフスタイルに合っているか慎重に判断すべきです。
⑥メーカーの対象車支払いシミュレーションを活用して、購入計画を立ててみましょう。

※本記事は公開時点の情報になります。
記事内容について現在の情報と異なる可能性がございます。
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