車検を受けた際、車のフロントガラスに「車検シール」を貼らなければなりません。貼り付けしていないと、法令により50万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
また現在の車検シールは、2023年と2024年に仕様が変更されているため、前回の車検が2023年の方は、旧式の方法と混同しないようご注意ください。
当記事では、2024年10月現在における車検シールの概要と、貼り付けに失敗した場合の対処法について解説します。
2023年と2024年で車検ステッカー(検査標章)の形式が変わった
2023年と2024年より、車検シールの仕様が一部変更されています。これまでと同じ感覚で車検を受けると混乱する可能性があるため、ご注意ください。
2023年7月、国土交通省は無車検運転の対策として、車検シールの貼り付け位置を変更しました。これを破ると、警察から車を止められたり、罰金を課せられる可能性があります。
また2024年1月には、軽自動車の車検証電子化に伴い、車検シールのデザインが変更されました。従来のデザインは黄色でしたが、新しくブルーカラーに変更されています。さらに同年の6月にはシールの台紙も変更されていますが、こちらに関しては後述します。
車検ステッカーの貼り方
従来の車検シールは貼り付けが難しいと言われていましたが、現在はシンプルな形に変更され、比較的簡単に貼れるそうです。
しかし、失敗すると陸運局や軽自動車検査協会にて再交付しなければならないため、間違えないように注意しましょう。
こちらでは、車検シールの貼り方について解説します。
現行の車検シールは、表と裏の2枚のシールを貼り合わせる形式です。これは普通自動車と軽自動車のどちらでも変わりません。もらったシールをそのまま貼り付けるのではなく、合体して貼り付け用のシールを作る必要があります。
シールの作成手順は、以下の通りです。
- 左側を、シールの右半分が離れるように折り曲げる
- 台紙の真ん中を谷折りにし、両方のシールの端を重ね合わせる
- 台紙を抜き取る
- 上から押さえる
なお、左のシールを完全にはがして、右のシールにぴったり重ねて合わせる方法もあります。ただしブレやすいため、不安な方は上記の方法を実践したほうがよいでしょう。手先の器用さに自信がある方は、お試しください。失敗すると再交付に手間がかかるため、注意が必要です。
次に、運転席内部から、フロントガラスに車検シールを貼り付けます。従来では真ん中の上部も許されていましたが、現在は「右上」で、真ん中は禁止されているためご注意ください。間違うと、警察に指摘される可能性があります。
なお、外車で左ハンドルの場合は、シールも左上です。国土交通省では「前方運転席から見やすい位置」としているため、国産車と同様に右上へ貼らないようご注意ください。
また、今後車検を受ける際ですが、シールを自分ではがす必要はありません。かえって傷がついて修理費用がかさむ可能性があります。粘着力が強い分はがすのも一苦労のため、基本は整備士の方にそのままで車検をお願いしましょう。
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車検シールを貼る際の注意点
車検シールは粘着テープで貼り付けるため、ほこりや指紋、砂といった不純物が入り込むとはがれやすくなります。そのため、シールを合体させるときや貼り付ける際は、異物が入り込まないようご注意ください。
さらに、フロントガラスに貼り付ける際も、できるだけ指の指紋が付着しないようにしましょう。指に含まれる油分がシールの粘着力を弱めてしまうため、端だけはがれてしまう可能性があります。一度はがれたところが広がって落ちやすくなってしまいますし、人によっては少しはがれた部分が気になってしまうでしょう。
車検シールは、ミスがないよう慎重に貼り付ける必要があります。
以前の車検でシールを車の真ん中の上部に貼り付けている方(2023年7月以前に車検を受けた方)は、シールを貼り直す必要はありません。ただし、次回の車検時には貼り付け場所を変更しなければならないため、いつもの感覚で同じ場所に貼らないようご注意ください。
シールは一度はがすと貼り直しができないため、再交付が必要です。貼らずに運転すると警察に止められるため、シールの貼り直しは必ず再交付した後に行いましょう。基本的に、車検シールを貼らない状態で公道を走ってはいけません。
短時間車検だと検査自体は短時間で終わりますが、車検証やシールが後日郵送の場合があります。
このときシールの代わりとして使えるのが、検査後にもらえる「保安基準適合標章」です。車検シールと同じ場所に貼り付けることで、シールが交付されるまでの代用になります。
保安基準適合標章はシール形式ではなくただの用紙のため、フロントガラスにセロテープを使い貼り付けします。はがした際にシール跡が残らないよう、シールをもらったらすぐに交換しましょう。セロハンテープは日光や外気温差で粘着室がフロントガラスに残る可能性があります。爪や道具でこすると傷がつくかもしれないため、使うシールにも注意しなければなりません。
また、保安基準適合標章には15日の有効期限があります。有効期限内にシールが交付されないといったケースはありませんが、保安基準適合標章はシールよりサイズが大きいため、視界が悪くなります。あくまでその場しのぎの方法である点にご注意ください。
車検ステッカーが貼りづらいと言われる理由
世間一般において、車検シールは貼り付けづらいという声が散見されます。原因の一端は、シールが台紙からはがれにくいことにあります。しかし、2024年6月に台紙が変更され、以前よりはがしやすくなりました。そのため現在は、以前のような苦労をしなくて済むそうです。
場所によってはシールを合体させた状態で渡してくれるところもあるため、手先の器用さが心配な方は車検場で聞いてみるとよいでしょう。基本的に予備はないため、失敗しないよう注意しなければなりません。
車検ステッカーを貼らないリスク
車検シールの貼り付けは「道路運送車両法」によって義務付けられています。違反すると、50万円以下の罰金に処せられるかもしれません。
なお、現在の車検シールがなんらかの理由ではがれてしまい貼り付けできない場合は、急いで陸運局か軽自動車検査協会にて再交付しなければなりません。また、シールを貼り付けしないまま走行はできないため、一度警察に連絡して事情を説明しましょう。
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車検シールとは?
車検シール(検査標章)とは、車検の有効期限を記した用紙です。車検シールを貼ることで、運転中に「この車は車検が有効な車」だと表示できるわけです。つまり、「この期間内は公道を走ってもよい」という証明ともいえるでしょう。車検シールを貼っていないと、警察に止められてしまいます。
車検は基本的に2年に1回必要なため、人によっては次回の車検時期を忘れることがあります。車検シールを確認すれば有効期限が記載されているため、気になったときはフロントガラスを見るとよいでしょう。1日でも車検の期限を過ぎると、その車は公道で使えません。車検に猶予期間はないため、有効期限の1カ月前を目処に車検に出すとよいでしょう。
車に貼り付けるシールには、車検シール以外にも「法定点検シール」や「車庫証明シール」があります。
貼り付けが義務化されているのは車検シールだけではないため、ご注意ください。
法定点検シール(点検整備済ステッカー)とは、法定点検や点検時期の証明です。真ん中とその周辺に数字が記載されており、中央の数字は次の年、周囲の数字は次回の月を表しています。
貼り付け場所はフロントガラスの左上(車検シールと左右対称の位置)ですが、こちらは乗用車の場合は貼り付けが義務化されていません。ただし、タクシーやトラックといった事業用車は貼り付けが義務化されています。
なお、法定点検シールに記載された期限を過ぎた場合は、公道を運転しても問題ありません。ただし、法定点検は道路運送車両法によって義務付けられており、期限を過ぎると車の安全性が不安視されます。警察に指摘される可能性もあるため、基本は期限通りに点検を受けましょう。
車庫証明シール(保管場所標章)とは、車の保管場所を確保している証明です。自家用車は道路以外の場所に保管場所を持つことが義務付けられており、車庫証明がなければ自動車を持つことはできません。
車庫証明シールの貼り付けは「自動車の保管場所の確保等に関する法律施行規則第7条」によって、以下のように定められています。
- 自動車の後面ガラスに後方から見やすいように貼り付ける
- 後面ガラスがないまたは後面ガラスへ貼り付けても確認が困難場合は車体の左側面に貼り付ける
車庫証明シールの貼り付けは義務付けられているものの、破った場合の罰則はありません。ただし、警察に指摘される可能性はあります。
なお、車庫証明シールは2024年5月17日の参院本会議の「改正車庫法」が可決されたことにより、廃止が決定しています。本制度は、2025年5月までに施行されるそうです。ただし、車庫証明の手続き自体は引き続き必要である点にご注意ください。
車検シールは、普通自動車と軽自動車で発行元が異なります。普通自動車は陸運局、軽自動車は軽自動車検査協会にて発行されます。初めて車検を受ける方は、検査後に向かい場所を間違えないようご注意ください。
なお、軽自動車のデザインは、従来の黄色から普通自動車と同じブルーに変更されました。貼り付けする方法も従来の軽自動車のものから変更されているため、ご注意ください。
車検ステッカーの貼り付けに失敗した場合の対処法
ここからは、車検シールの貼り付けに失敗して再交付が必要になった場合の対処法とその手順を解説します。
車検シールは新しくなったと同時に扱いやすくなりましたが、それでも失敗することは稀にあります。
車検シールは後日郵送の場合でも車検シールを完成した状態で送ってもらえることも。そのため、貼り付けに失敗して貼り直しになるケースは少ないかも知れません。
それでもうっかり落として砂埃がついたり、指紋が付着してはがれやすくなったりすることもあるでしょう。そのまま使用するとフロントガラスが傷ついたり汚れたりするかもしれないため、明確に失敗したと感じた場合は以下の手順をお試しください。
車検シールの再交付手続きには、以下の書類が必要です。
- 車検証
- 検査標章(車検シール)
- 検査標章再交付申請書(OCR第3号様式)
- 申請手数料(印紙代)
- 使用者の印鑑
車検シールについては、現物を持ち込まなければならないため、失敗してもそのまま捨てないようにしましょう。ただし、紛失した場合は理由書を記入することで対応してもらえます。
上記の「検査標章再交付申請書」は、陸運局でももらえますが、インターネットでデータをダウンロードしてコピーすることも可能です。スムーズに再交付を進めるなら、事前に記入して持ち込みましょう。ただし、検査標章再交付申請書は折り曲げ厳禁です。記入した用紙はそのままの状態でクリアファイルか大型のケースに入れ、曲がらないように注意しましょう。
必要書類が揃ったら、陸運局または軽自動車検査協会の窓口へ行き、手続きを行います。
前の車検シールを紛失した場合は理由書も同時に書かなければなりませんが、このとき車検証における以下3点の情報が必要です。
- 自動車登録番号または車両番号
- 車体番号
- 理由書提出の事由
このうち上の2つは車検証に記載されているため、そのまま書けば問題ありません。3つ目の理由書提出の事由は紛失にあたるため、「管理不足で紛失した」と書くだけで大丈夫です。ただし、盗難による紛失の場合は、盗まれた年月日や届け出た警察署、詳しい盗難状況を書き込まなければなりません。
検査標章再交付申請書は、コピーしたものに記入してもよいですが、不備がある場合は書き直しが必要です。記入方法や場所がわからない場合は、当日に窓口で記入したほうがよいでしょう。記入後は提出し、受理されれば車検シールが再交付されます。後は車のフロントガラスの所定位置に貼り付ければ、無事公道を走れます。
ここで注意したいのが、車検シールを再交付すると車検証も新しいものが交付される点です。再交付された車検証には「検査標章再交付」と書かれているため、保管するほうを間違えないようにご注意ください。
なお、陸運局や軽自動車検査協会ではナンバープレートの交換を行えますが、基本的に車を持参しなければなりません。しかし、車検シールの再交付に車は必要ないため、電車やバス、タクシーできても大丈夫です。
普通自動車の車検シールを再交付する場合は、陸運局で手続きを行います。
通常、ナンバープレートの再交付や廃車手続きは、特別な手続きを踏まない限り管轄の陸運局でしか行えません。しかし、車検証の再交付に関しては管轄外の陸運局でも対応可能です。
県境にお住まいで他県の陸運局のほうが近い、またはアクセスしやすいといった方は、近い陸運局で手続きを行いましょう。
営業時間は、平日の午前8時45分〜11時45分、午後1時〜4時までです。ほかの公的機関より時間が短い点にご注意ください。
なお、毎年12月29日〜翌年1月3日はお休みです。営業日時は手続きの内容や地域によっては異なることもあるため、事前に確認しておきましょう。
軽自動車検査協会とは、軽自動車の新規登録や車検といった手続きを、国に代わって行う特別民間法人です。名義変更や車検証の再交付も行っています。
軽自動車における車検シール再交付は、普通自動車と同じように管轄外の場所でも対応できます。営業日時も基本的に陸運局と同じですが、場所が異なる点にご注意ください。
なお、車検シールの再交付は代理申請が可能です。陸運局や軽自動車検査協会は平日しか開いていないため、土日休みのサラリーマンだと時間を取れない場合があります。そのような場合は、委任状を作成したうえで、パートナーや両親、知り合いに代理申請してもらいましょう。
委任状は陸運局で取得できますが、国土交通省のホームページからダウンロードしてコピーすることも可能です。
また、代理申請はディーラーや整備工場、行政書士に依頼もできます。ただし、手数料を取られる点にはご注意ください。特に行政書士やディーラーは費用が高額な傾向にあります。できるなら、知り合いに頼むのがよいでしょう。
再交付手続きは誰でも問題ないため、必要書類と委任状さえ用意できるなら代行してもらうのがおすすめです。