「家族が高齢になり免許を返納することになった」「転勤によって車が必要なくなった」など、様々な理由によって車を手放す機会は少なくありません。
乗らなくなった車を有効活用する場合において、名義を変更する機会があっても、どのような準備が必要か知らなければうまく対応できないでしょう。
この記事では、軽自動車にスポットをあてて名義変更する際に必要な書類や手続きの流れなど、具体的な内容を解説していきます。
軽自動車の名義変更をするなら必要書類を事前にそろえよう!
車の名義変更が必要な場合、手続きには様々な書類を準備しなければなりません。特に役所や関係各所に出向いて取得しなければならない書類も多く、準備に時間を要します。
軽自動車は一般的に普通車と比べて必要書類は少ないとされています。しかし、準備には相応の時間が必要です。
スムーズに手続きを進めるためには手続き前にすべての書類を用意できていることが望ましいでしょう。そこで、用意すべき書類の内容と準備する際の注意点を理解しておくことが重要です。
軽自動車の名義変更が必要になるとき
車の名義を変えなければならないパターンにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、軽自動車の名義変更が必要になるタイミングについて紹介していきます。
車を売却する、つまり車両の所有者が自分でなくなるため、持ち主を変更しなければなりません。このような場合であれば、車の買い替え時に対応することが多いでしょう。
新車を購入するタイミングであれば、多くの場合、ディーラーの担当者から用意すべき書類を教えてもらえます。
ディーラー経由でなければ買取業者に引き渡すケースも考えられます。その場合においても業者から必要書類を指示してもらえるため、準備は比較的容易です。
車を売却する場合は、名義変更の処理に慣れた業者を介するため、手続きに不安を覚えることはないでしょう。
中古車を新たに購入した場合においても車の名義は変えなければなりません。前の所有者から持ち主を自分に変えるためです。
このような場合においても、基本的に中古車販売業者の指示に従って書類を準備します。そのため、特に不安を感じることは少ないでしょう。
しかし、個人間で売買した場合は注意が必要です。例えば、知人から買い取る場合や個人での売買を仲介するようなサイトを経由して購入したパターンが該当します。
このような場合においては、もろもろの手続きの処理に慣れた業者を介しません。そのため、すべて自分で進める必要があり、準備しなければならない書類を理解しておかなければならないでしょう。
売買ではなく、譲渡するパターンにおいても名義変更は必要です。たとえ譲り受けた場合であっても、車の持ち主が変わるのであれば名義変更しなければなりません。
このようなパターンにおいては、多くの場合、個人間でのやり取りがメインです。そのため必要な手順や準備すべき書類の項目を事前に調べておく必要があります。
さらに、元の持ち主の死亡により車を相続する場合においても譲渡と同じように所有者の名義を変えなければなりません。
このような場合は、変更手続きまでのタイムラインが非常にシビアになりがちです。なぜならば、車の名義変更は法律上、自分のものになってから15日以内に済ませなければならないためです。道路運送車両法13条1項に定められているため、速やかに手続きを進めましょう。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
軽自動車の名義変更時の必要書類
車を手放すとき、手に入れるときに必要な名義変更のために、具体的にどのような書類を準備しなければならないのか気になる人もいるでしょう。
業者に依頼できない場合に困らないためにも、事前に把握できていれば安心です。
ここからは、軽自動車の名義変更時に必要な書類を紹介します。
自動車検査証(車検証)は手続きの基本となる書類です。この書類がなければ手続きを開始できないといっても過言ではないでしょう。
車検証は車の検査が終了し、合格した車に対して発行されます。交付年月日や自動車の種別、使用者や所有者の住所や氏名が記載されています。
記載項目の中で重要な項目は所有者と使用者の氏名や住所です。使用者と所有者が一致していれば名義変更はスムーズに進みますが、一致していない場合もあります。
一致していない場合、ローンの返済中やカーリースの契約期間中が考えられるでしょう。所有者が信販会社やディーラー、リース会社になっているためです。その場合は所有者へ名義変更の許可をもらわなければなりません。
使用者の住所を証明する書類として、住民票の写しもしくは印鑑証明書が必要です。これらの書類は使用者または使用者の住所の変更がある場合に限り用意しなければなりません。
新しく使用者になる人の書類を提出する必要があり、発行後3カ月以内のものであれば有効です。そのため、手続き前に早めにとってしまった場合は期限に注意しましょう。
また、住民票の写しを準備する場合、マイナンバーが記載されていないものを準備しなければなりません。
名義変更によって車検証の「使用の本拠」欄が変更になる場合に必要となります。「使用の本拠」に記載のある住所を管轄する陸運局の地域が変更になればナンバープレートも変えなければならないためです。
管轄が変更になる場合はナンバープレート代が必要になるため、いくらかのお金も用意しておきましょう。
さらに、そのような場合においては「車両番号標未処分理由書」の用意も追加で必要になります。準備方法については、軽自動車検査協会に問い合わせましょう。事務所や支所の窓口、公式サイトからのダウンロード、どちらでも都合の良い方法で入手できます。
自動車検査証変更記録申請書(軽第1号様式)は名義変更以外にも新規検査や予備検査、住所変更、自動車検査証返納後の所有者変更記録申請など様々な場面で使用する書類です。
車検証と同様に使用車や所有者、使用の本拠の位置など、名義を変える際に内容を更新しなければならない項目があります。
この書類についても、使用者と所有者が違うような場合には手続きに注意しましょう。書類作成時に使用者と所有者が署名する欄が設けられているためです。所有者側の書類作成時間も意識した早めの行動をおすすめします。
手続きを自分以外の代理人に依頼する場合に必要な書類です。特に使用者が変更になるような場合に準備しましょう。
そのような場合、多くのケースは軽自動車を手放すパターンが該当するでしょう。中古車買取業者に依頼したり、買い替え時にディーラーへ依頼したりするパターンです。業者が手続きを代行するため、書類の準備の手間は省けます。
とはいえ、業者を介さず自分で変更しなければならないような個人売買においては、売主とどちらが手続きを進めるのか十分に協議しましょう。
個人で手続きを代行する場合は、軽自動車検査協会の事務所や支所の窓口、ホームページからのダウンロードで書類は入手できます。
前述のような書類以外に準備しなければならない書類についてケースごとに紹介します。
<名義変更までいかない改姓の場合>
改姓の事実確認として戸籍謄(抄)本等が必要です。ただし、住民票の写しに旧姓の記載がある場合は、住民票の写しで構いません。
<所有者が亡くなり、相続を受ける場合>
亡くなられた事実と新たな所有者が相続人(親族等)であることを確認する書類として、戸籍謄本等もしくは法定相続情報一覧図が必要です。とはいえ、死亡診断書は原則使用できないことに注意しましょう。
軽自動車の名義変更手続きの流れ
準備しなければならない書類がわかれば、次に押さえておくべきポイントは手続きの流れです。
大まかな流れは次の通りです。
- 必要な書類を確認し、用意する
- 管轄の軽自動車検査協会の窓口へ書類を提出する
- 必要に応じて手数料を支払う
- 新しい車検証とナンバープレートを交付してもらう
- ナンバーを変更する場合は、隣接する窓口で手続きをする
基本的に新しい車の持ち主となる人が手続きを進めましょう。
出向く軽自動車検査協会は手続きを進める人が住んでいる地域を管轄している協会です。
都道府県ごとに手続き内容が異なる場合もあるため、事前に公式ホームページで手順を確認しておきましょう。
軽自動車の名義変更が必要になる具体的なシチュエーション
これまで名義変更に必要な書類や手続きの進め方について紹介しました。基本的な方法についての理解が深まったでしょう。
ここからは、シチュエーション別の具体的な名義変更の注意点について紹介します。
個人間の売買やディーラーへの下取り依頼、中古車買取業者への売却などが該当します。
軽自動車を他人に売却した場合、所有者情報を正確に変更しなければなりません。そのため、個人間での売買では十分注意しましょう。
変更が正しく行われていなければ、自動車税や何かしらの交通違反の通知が元の所有者に届くかもしれません。新しい所有者が必要な支払いをしなければ、支払い義務は元の所有者になるため、支払いトラブルが発生するでしょう。
家族や友人へ車を譲渡した場合においても、第三者に売却した場合と同様に所有車の変更を正しく行いましょう。
正しく変更できていない場合のリスクは、支払いトラブル以外にも、保険が適用されない、保険金が支払われないなどがあります。車の保険は保険名義と車の名義が一致していなければならないためです。
もし、旧所有者の保険が適用されない場合、事故時に保険金が支払われず、全額負担しなければなりません。
所有者が亡くなり、相続として車を受け継いだ場合も注意が必要です。
基本的に名義変更を進める主体は新しく車を所有する人が該当します。そのため、このような場合においては相続人が手続きを進めなければなりません。
ここで注意すべきポイントは手続きの完了期限です。前述しましたが、軽自動車の名義変更は所有者が変わったタイミングから「15日以内」に完了させなければなりません。
元の所有者が亡くなった後の手続きなどで忙しくしているタイミングにもかかわらず、期限内に完了しなければ罰金を科される可能性があります。
急逝されれば致し方ない部分もありますが、日ごろから何かしらの手続きのために必要な書類の確認と交付申請の方法について理解しておきましょう。
引っ越しなどで登録地の管轄が変更になる場合も手続きに注意しましょう。
名義変更は名前だけではなく、名義人の住所も変更しなければならない項目です。そのため、忘れがちになりますが引っ越しによって住所が変わる場合においても変更手続きを忘れずに行いましょう。
住所変更においても住所が変わってから「15日以内」に手続きを完了させなければなりません。
新生活が始まるようなタイミングであれば、生活がバタバタしており手続きも大きな負担になるでしょう。しかし、罰金額は50万円以下と高額になるため、住民票の移動とあわせて変更することをおすすめします。
軽自動車の売買をする際の必要書類とは?
軽自動車の名義変更をする際に注意すること
軽自動車の名義変更では必要な書類以外にもシチュエーションごとに注意すべきポイントがいくつかありました。しかし、変更する名義は車検証のような代表的な書類だけで問題ないのでしょうか。
ここからは、名義変更しなければならないものの、つい忘れがちな項目について紹介します。
名義変更をする場合に忘れてはいけないものに自賠責保険があります。
自賠責保険は車自体にかけられる保険であり、名義変更時に保険期間が残っていれば保険名義を変えていなくても補償は受けられます。
しかし、残っている期間中に事故が起こってしまうと手続きで手違いが起こるかもしれません。そのため、車の名義変更と同じタイミングで自賠責保険の名義も変更しておくことをおすすめします。
任意保険は車自体にかけるものや搭乗者にかけるもの、モノ(対物)にかける保険です。保険商品の種類やオプションによって内容は様々です。
任意保険についても、車両の名義変更にあわせて新規加入と車両入替手続きをしなければなりません。
手続き自体はそこまで難しいものではありませんが、新しい車検証に記載されている情報が必要になります。そのため、以下の内容をメモしておきましょう。
- 登録番号(ナンバープレート番号)
- 初度登録年月(軽自動車の場合は初度検査年月)
- 型式
- 車台番号
- 車両所有者
同居している家族や友人から車を譲り受けた場合、任意保険は名義変更することで保険の等級を引き継げます。
新たに加入するよりも等級を引き継げば保険料が安く済む場合もあるため、覚えておきましょう。
名義変更が必要なタイミングで、引き継いだ等級で支払う保険料と新たに加入して支払う保険料を比較すると、保険料を節約できるかもしれません。