残価設定型クレジットは自動車ローンの一つですが、一般的な「車両本体価格」から「設定された残価」を差し引いた額でローンを組む「フルローン」とは異なります。また、ローン契約終了時に車をどうするか選択できる点も特徴と言えます!

残価設定型クレジットには利点もマイナス面もあるので、きちんと理解しておきましょう。各自動車メーカーの「残クレプラン」も少しずつ違いがあるので知っておくと便利です。

また、仕組みが似ているカーリースとの比較や、残クレを上手く使うコツなど役立つので見ていきましょう。

残価設定型クレジット(ローン)とは?仕組みを知ろう

残価設定型クレジット(ローン)とは?仕組みを知ろう
残価設定型クレジットとは?
予め数年後の車の下取り額を設定します。そして、「購入した車両の本体価格」から「下取り額」を初めに差し引いた残金で組んだローンを意味します。下取り額は残価と呼ばれ、ローン返済の最終回まで据え置かれる仕組みです。
ローンの設定期間は?
3~5年が一般的とされています。ローンの契約年数が3年であれば3年後の残価、5年なら5年後の残価が設定され、残価は新車から年数が経過するごとに減っていきます。

車種やメーカーによって残価の設定額は異なります。3年後だと車両本体価格の半分程度、5年後だと約3割程度というのが一般的です。

例えば、200万円の車に3年で残クレを組んだとし、残価を100万円とすれば、半分の100万円を3年で返済し、最終回の支払いに残価分の100万円の返済が据え置かれるという形になるでしょう。

残価設定型クレジット終了時の選択肢

3年や5年というローン契約期間を予め決めて、残クレの返済が進みます。その契約期間終了時の最後の支払い前に、車や残価をどのようにするか選ぶことができます!

そのまま車を返却することを選んだ場合、査定が行われ追加金などの発生がなければ終了です。

また、下取りに出して新たに車を乗り換える選択をすることもできます。この場合は、下取りに出す=残価の精算となるので、再度残クレを新たに組みなおして新しく車を購入できます。

車が気に入ってそのまま乗り続けたい場合は、最終回の支払いで差し引いていた残価分の返済が必要です。難しい場合は再ローンを組んで分割返済していくことも可能です。

残価設定型クレジットがおすすめな点

残価設定型クレジットがおすすめな点
残価設定型クレジットの大きな魅力の一つが「月々の返済額が抑えられる」点です。車両本体価格から予め下取り額を差し引いた分でローンを組んでいるので、フルローンよりも月の返済額が安くなります。

さらに、予め設定された「残価がローンが契約終了まで保証される」点です。中古車市場での相場は刻々と変化するので、契約時の下取り額と数年後の下取り額に差額が生じる可能性もゼロではありません。万が一、ローン契約終了時に車の価格が下がったとしても、残価は減ることはないので安心です。

残クレは短期でのローン契約を前提としています。同じメーカーで乗り換えをし続けるなら、ディーラーの方で乗り換えの度に車を探すだけでローン契約は全てしてもらえるため、「手続きも楽」です。

また、中古車でも残クレプランがあるので、月々の返済をさらに安く抑えることができます。

短いスパンで車の乗り換えを行うことで、「常に好きな新車に乗り続けることができる」というのも魅力の一つだと言えるでしょう。

ユーザ-に短期間で車を乗り換えて貰えば、ディーラーの利益にもつながるため、残クレを勧める販売店も多いです。

残価設定型クレジットで気を付けたい点

残価設定型クレジットで気を付けたい点
残価設定型クレジットは魅力的な面が多いですが、反対に利用する際に注意しなければならない点もあるので頭に入れておきましょう。

まず、ローンを組む際は金利が設定されます。

残クレの場合の金利とは?
車両本体価格に対して利息が発生します。ローン返済では残価分が車両本体価格から引かれますが、利息は残価を含んだ全額に対してかかってくる仕組みです。

返済が最終回まで据え置かれた残価分まで利息を支払うことになるので、最終的に利息の金額がかさんでしまうでしょう。

また、ローン契約中に事故などで車に傷がついたら、契約終了時に査定で減点となることがあります。傷や凹みの程度によるので一概には言えませんが、場合によっては追加金が請求されます。

他にも、走行距離の上限が決まっており、オーバーすると追加金を支払わなければならないので注意ししてください。

自動車メーカーの残価設定型クレジットプランの特徴

自動車メーカーの残価設定型クレジットプランの特徴
各自動車メーカーでは、それぞれ独自の残価設定型クレジットプランを打ち出しています。残クレの基本的な仕組みの部分は共通していますが、各メーカーによってプラン内容や特典などは異なります。

例えば、残価をローン支払いの最終回まで保証するための「条件」を設けてあります。

  • 走行距離に上限を決めている
  • カスタマイズを禁止としている
  • 事故で車を傷つけた場合、契約終了時の査定による減点次第で追加金が請求される

これらは返却、もしくは下取りに出された車を再度中古車として販売することに備えての条件だと言えます。

また、この3つの条件はほとんどの自動車メーカーの残クレで共通していることですが、そこにメーカー独自のサービスを盛り込んだプランもあります。

残クレを利用する前にどういったプランがあるのか知っておくと、ローンを組む上で役立つでしょう!

5年の残クレでカスタマイズOKの残クレプラン

5年の残クレでカスタマイズOKの残クレプラン
マツダの残価設定型クレジットの一つ「マツダアドバンテージローン」は5年の残クレです。支払い方法は通常の残クレとほとんど変わりません。

大きく異なっているのは、残価を据置額として設定している点です。残価は予めディーラー側から提示される金額となりますが、据置額は決められた範囲内ですが任意で設定できます。通常残クレでは禁止されているカスタマイズやドレスアップなども、制限なく自由にできるというメリットがあります。

ただし、据置額なので最終回の支払いまで価格は保証されません。最終的な査定において据置額との間に差額が生じた場合は、差額分を負担しなければならなくなります。

それでもカスタマイズしたいという車好きな人には嬉しいプランだと言えるでしょう。

メンテナンスサービスパックがついている残クレプラン

メンテナンスサービスパックがついている残クレプラン
残価設定型クレジットには、メンテナンスパックがついたプランもいくつかあります。

メンテナンスパックとは?
オイル交換や点検など、通常費用が発生する車のメンテナンスが無料になるというサービス特典です。

スズキの残価設定型クレジット「かえるプラン」は、半年ごとにある規定の点検とオイル交換、オイルフィルターの交換が無料で行えるメンテナンスパック特典がついています。

さらに、スバルの残価設定型クレジット「安心プロテクト3」は、バンパーとドアミラー、ドアパンチの3つの部位の修理に対し、3年間の補償がついてきます。

また、三菱の残価設定型クレジット「スーパーマイカープラン」は、3つの修理補償がついてきます。具体的には、窓ガラスとドアミラー、タイヤの修理費用が無料というものです。

交通事故による修復歴があると査定額がダウンしますが、その価値下落分の一部をカバーしてくれるということもあり、修理補償やメンテナンスパックがついていると、車の維持費の節約にもつながります。

車にかかる費用を少しでも減らしたい人にとっては、ありがたいサービスだと言えるでしょう。

3年の残クレを2回で支払う残クレプラン

3年の残クレを2回で支払う残クレプラン
通常の残クレは、3年36回、5年60回と月ごとに支払いを行います。しかし、2回に分けて支払うタイプの残クレもあります。

ダイハツの「ワンダフルツイン」は3年の残価設定型クレジットですが、支払いを購入時と3年後の2回に分けて支払うことになっているプランです。1回の支払額は多いですが、月々の支払額が家計に負担をかけることもないというメリットがあります。

他にも、ホンダの保証「バリュープラン」というローンも、同様に3年のローン契約で初回と3年後の2回の支払いです。

純粋な残クレのプランというよりは、一括購入希望の人向けのローンだとも言えます。なぜなら、「一括購入する際の初回の支払額を減らす、負担を軽くする」という趣旨で提供されているからです。

月々の支払いよりも、初回で少し支払いをして、3年後までにお金を少しずつためて、残りの分を支払う方が良いという人には適したローンプランだと言えます。

中古車対応の残クレもある

残価設定型クレジットは新車購入にだけ使えると思われがちですが、中古車向けのプランもあります。

例えば、ホンダの「Honda中古車限定 据置クレジット」が挙げられます。このプランでは、中古車の残価が据置額として設定され、契約終了時まで据置額は保証されません。もし査定額が据置額を下回る場合は、差額を負担しなければならなくなります。毎月の支払額は3000円以上で、支払い回数は12回~60回(1年~5年)までとなっています。

ただし、最終回の支払い月は初年度登録から8年以内という条件もついています。

中古車向けの残クレの場合は、残価は据置額となり契約終了時まで保証されないタイプが多いので注意しましょう。

残クレと比較されやすいカーリースとは?

残クレと比較されやすいカーリースとは?
残価設定型クレジットと似ているサービスと言えばカーリースがあります。

カーリースとは?
自分が希望する車をリース会社が代わりに購入し、リース代金を支払うことで、その車を借りて乗ることができるというサービスです。

リース代金は車両本体価格から数年後の残価を差し引いた残金で設定されます。残価を取り入れる点は残価設定型クレジットと似ていると言えるでしょう。

リース契約は年単位で、月々決まったリース代には税金や自賠責保険料、車検費用など一部の維持費が含まれています。

リース契約終了時には「車を返却する」か「再リース契約をしてそのまま乗り続ける」か「別の車に乗り換える」かから選ぶことができます。

残価設定型クレジットと違い、車の所有者はリース会社です。カーリースは車の売買を前提としておらず、名義の関係からもリース中は基本的に車を売買することはできません。

残クレとカーリース、どちらがお得?

残クレとカーリース、どちらがお得?
サービス内容が似ている残価設定型クレジットとカーリース、どちらを利用するのがお得なのか知りたいところです。

カーリースも車両の本体価格から車の残価を差し引いた額でリース代を算出します。ただ、月々のリース代に税金や車検費用など、車維持費の一部が予め含まれる点が残クレとは異なります。

そのため、月々の支払額はカーリースよりも残クレの方が一般的に安くなるでしょう。しかし、結果的に残クレを組んだとしても、税金や車検費用などは負担しなければなりません。

総支払額でいうと利息の分だけカーリースの方が安くなります!

月々の支払額を減らし、車検前に乗り換えるなら残クレでもいいでしょう。ただし、トータルで得かどうかを判断するなら総支払額が安いカーリースに軍配が上がります。

どちらを利用した方が良いかは、ライフスタイルや優先事項、経済状況などによって変わってくるため、一概には言えないところです。

残価設定型クレジットを上手く使うコツ

残価設定型クレジットは、得な面もあれば逆に損してしまう場面もあります。どちらになるかは個々のカーライフ次第であり、何を優先にするかによっても違ってくるでしょう。

自分にとって残クレの方がメリットが大きいと感じれば、フルローンより有効的に使うことができます。

残クレで損しない、できれば得する使い方のポイントがあります!

例えば、中古車として再販する際に高く売れそうな車種を選ぶ、お得な残クレプランのあるメーカーにするといった点です。デメリットもあるので使うかどうかも判断は慎重に行いましょう。

よりお得なプランを選ぶ

よりお得なプランを選ぶ
各自動車メーカーによって残価設定型クレジットのプラン内容は違いがあります。残クレの基本的な仕組みについては同じですが、特典つきのプランがあるものを選べばお得です。

例えば、特定の部位の修理が無料、点検やオイル交換などのメンテナンスがサービスでついてくる、といった内容のプランがあります。

メンテナンスナス費は車の維持費としても必要です。例え一部の費用であっても、無料となれば維持費節約にもつながるのでお得だと言えるでしょう。

また、残クレは低金利キャンぺーンも定期的に行われます。対象車種は限定されますが、1%台の低い金利でローンが組めることも可能です。さらに金利0のプランもあったりするため、情報収集し、タイミングよくローンを組めば、支払額が抑えられます。

他にも、新車を購入する際に、一部キャッシュバックされる特典などもあります。各自動車メーカーの残クレの内容をチェックし、比較して少しでも得になるようなプランを探しておくことも大事です。

中古車市場で人気車種や色にも注目する

中古車市場で人気車種や色にも注目する
残価設定型クレジットは、ローン契約終了後に車を返却、もしくは下取りに出すことを前提とすれば、乗っていた車は中古車市場に出回ることになります。

ディーラー側は利益が出るように、返却もしくは下取りに出された車も、少しでも中古車として市場で高値がつくようにしたいと考えます。そうなると、中古車市場でも人気の車種や、万人受けするベーシックな色の車であれば、残価率が高く設定されやすいと言えるでしょう。

残価が高くなればその分、月々のローン返済額も少なくなるので、経済的は負担も軽くなり、結果的にお得だと感じるはずです。

中古車市場では、トヨタのミニバンやSUVなどは根強い人気があります。同じ車種でも自動車税が安い排気量の少ない車も人気です。

また、ブラックやシルバー、パールホワイトなどは人気色です。エアロ仕様の車は見た目にもスタイリッシュでノーマルより人気が出やすいと考えられています。

新車を購入する時は、中古車市場でも人気がある車種や色を選び、できれば高値がつきやすいエアロ仕様にすることで、残価率をアップさせることに繋がりますよ。

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中古車を選ぶ

中古車を選ぶ
新車ばかりではなく、残価設定型クレジットは「中古車」もローンの対象となります。

新車なら残クレを使っても購入額が高くなりがちですが、中古車となると新車の7、8割から半分程度の価格で残クレを組むことができるので、さらに月々の支払額の負担が減ります。

中古車というと、エンジン機能が低下している、燃費が悪く長く乗れないと思われがちですが、年式も初年度から3年落ちまでと比較的新しく、走行距離も5万㎞以下ならさほど悪い状態とは言えず、まだまだ乗れます。

特に、中古車でも人気の車種であれば、需要が高く値段もさほど安くないといった車もある位です。

日本車は特に高性能なので10年経った車でも乗れますが、そこまでいくと「燃費が悪くなる」「故障のリスクが高まる」など、費用が余計にかさむことも考えられます。

比較的状態の良い中古車を探し、残クレを使って安く乗り、短いスパンで乗り換えるというのもある意味経済的だと言えるでしょう。

まとめ

①残価設定型クレジットは車の残価を車両本体価格から引いた残額で組んだローンです。
②ローン契約終了時は車の返却、下取り後に乗り換え、買取から選ぶことができます。
③残クレは月々の支払額が少ないなどのメリットもあれば、利息が高いなどデメリットもあります。
④残クレのプランは各自動車メーカーで内容が少しずつ違います。
⑤残クレと似たカーリースは、月々リース代に維持費が含まれます。
⑥総支払額で言うとカーリースの方がお得になります。
⑦残クレを上手く使うには、残価率の高い車を選ぶなどのポイントがあります。

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