車が故障してしまった時、修理費をかけるならいっそ乗り換えようかと迷っている方もいるかもしれません。
車を買取業者に売却して次の車の購入資金に充てるケースもありますが、果たして故障している車を売ることは可能なのでしょうか?
今回は、故障した車が売れるのか、故障車を売却する方法や適切な買取業者の選び方などについて詳しく解説していきます。
故障車を高く売るために知っておくべきこと
結論から言ってしまうと、走行に支障がない程度の軽い故障の車や重度の故障を抱えた不動車であったとしても、時間と労力を惜しまなければ売ることができます。
ただし、故障の程度によっては買取業者に足元を見られ、安く買い取られてしまうかもしれません。そのため、以下では故障している車を少しでも高く売るために知っておくべきことを紹介します。
まずは「なぜ故障車でも売れるのか」という点から、1つずつ整理していきましょう。
実のところ「売れない車」はほぼ存在しない
今や貴金属やブランド品はもちろん、家具、家電、本、CDに至るまで、どんなものでもリサイクルショップや専門の買取業者に持ち込めば、売ってお金に変えることができる時代になりました。
しかし、故障している車や深い傷やへこみが多く入っている車、年式の古い車や走行距離の長い車は「価値がないため売れないだろう…」と、思っている方は多いかもしれません。
どんなに故障してボロボロの状態であっても、その車の状態に応じた買取業者を選ぶことができれば、売ってお金に変えることはできます。
エンジン・ミッション・足回りからネジ・ボルト1本に至るまで、車は約3万個の部品からできています。そして、それぞれが正常に役目を果たすことで初めて、安全・快適に走行することができます。
極端な話をすると1ヶ所でも故障・不具合が起こると走行に支障が出ることがあるものの、逆を言うとそれさえ直せば機能を取り戻すことが可能です。
つまり、お金と時間さえかければ、ほとんどの故障は修理可能なため、車としての価値は失われず売ることができます。
また、故障に対しては整備や部品交換などで修理対応できるように、傷やへこみ、色あせや色落ちなどに関しても、板金塗装によって元通りの状態に復旧できます。そのため、外装がボロボロの車も故障がある車同様、売れる可能性は十分あります。
複数の箇所に故障や傷などの不具合が発生している場合、修理・修復に多額のコストがかかってきます。
例えば、時価評価額50万円の車に修理コストが50万円かかる不具合がある場合、その車の価値は「0円」になるため、売ってお金にすることは難しいでしょう。
ただし、これは車を単なる移動手段の道具としてだけではなく、ステータスシンボルとしてや趣味・娯楽の一環として、デザイン性・快適性・趣向性などに強いこだわりを持っているユーザーが多い国内市場での話です。
海外のユーザーは、走行に支障のない範囲なら多少の故障や傷、へこみがあっても気にしない傾向にあります。また、車検が存在しない国や地域も多数存在します。
そのため、国内販売を考えると50万円かけて修理・修復する必要がある車でも、海外向けならもっと少ないコストで販売し、きっちり利益を上げることが可能です。
さらに、海外市場では「日本車は丈夫で長持ち」として年々人気と需要が高まってきているため、故障などが多く国内販売向きではない車を海外輸出用として高価買取をする業者も増えてきています。
国内販売にも海外輸出にも適さない、不動車や事故車であってもまだまだ価値が残されています。
例えば、どんなにひどい状態の故障車でもすべての部品がいっぺんに壊れてしまうわけではなく、継続使用可能な部品・パーツがいくつも残されています。そのため、部品取りをすることで価値が失われることはありません。
また、元々鉱物資源に乏しい日本において、車は鉄などの再利用可能な有用資源の塊です。継続使用に耐えうるパーツをすべて外し、スクラップされて鉄くずになったとしても、「資源としての価値」は残っています。
しかし、部品取りや資源回収は、数万円の価値が残っているに過ぎないため、車をスクラップした後に残る再利用できないゴミ(シュレッダーダストやフロンガスなど)の処理費用で相殺されていました。
現在は、多くの車(2005年1月1日の自動車リサイクル法施行以降に購入した車)がすでにリサイクル預託金として、この処理費用を前払いしています。そのため、ボロボロの廃車でも高額とは言えませんが、一定の額で売れる可能性があります。
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車の故障の程度による買取査定の減額幅について
どんな状態の車でも売れる可能性があるということが分かりましたが、その故障の程度によってどのくらい買取査定に影響が出るのでしょうか?
ここからは、故障の程度による買取査定の減額幅について詳しく説明していきます。
故障とは、機械などに何らかの不具合が生じ、普段通りの機能を果たせなくなってる状態を指します。そのため、車が故障しているということは、安全で快適な走行に支障が出ているということになります。
ただし、その原因がバッテリーやタイヤなどの消耗品と呼ばれる部品の「寿命切れ」だけの場合、それらを交換するだけで車の機能は回復するため、価値はほとんど下がりません。
査定でマイナスされるのは交換が必要な消耗品の仕入れ代程度で、大きな減額材料になることはありません。もちろん車種によって大きく異なりますが、ライト類・オイル類・ワイパーなどの些少なもので2,000円~3,000円の減額、バッテリーで5,000円~10,000円の減額、タイヤやブレーキパッドなど比較的高価な消耗品でも20,000円程度の減額で収まるでしょう。
車には、走行性能や安全性とは直接関係しない数々の車内装備品がついています。これらが故障している場合の減額幅は、ケースバイケースです。
まず、性能や流行の移り変わりが激しいカーコンポやカーナビのようなAV関連とETC・ドラレコといった後付け装備は、それらの存在価値がほぼゼロに近い海外はもちろん、国内市場でも故障している装備を外してそのまま転売できます。そのため、買取査定時のプラス材料にはなりませんが、大きく減額されてしまうこともないでしょう。
ただし、車のデザインやカラーリングとマッチしていて他の機能と連動していることもある「純正マルチナビ」が故障している場合は、故障の程度に応じて20,000円~30,000円ほど買取査定額から減額されることがあります。
また、季節によって目まぐるしく車内温度が変わる日本において、カーエアコンは欠かすことのできない必須装備です。カーエアコンが故障している場合は、その修理にかかる費用分の5,000円~20,000円程度がマイナス査定されると考えておきましょう。
そのままでは走行できない部品が故障している場合は、国内・国外に関わらず修理しないと売れないため、かかる修理コスト分がマイナス査定されます。
特に、エンジンやミッション関連、ハイブリッド車の充電・発電システムや駆動用モーター・バッテリーが故障している場合は、パーツ取りか資源回収用としての買取査定になることもあります。
傷やへこみについては、その大きさや数によって減額幅は変化します。それより重要になるのが、傷やへこみが入っている「場所」です。
事故などによって傷やへこみ、またはダメージが車の骨格部分(フレーム)まで及んでいる場合、いくらきれいに直しても、その車には「修復歴あり」というレッテルが張られてしまいます。
「修復歴あり」となってしまうと、中古車市場での価値がぐんと下がってしまいます。そのため、時価100万円の車でも70万円近くまで売却額が低下、つまり3割程度は減額されることになるでしょう。
ちなみにこの減額幅については、損傷と修復の度合いによって変わります。
故障した車の賢い売り方
故障している車でも、その価値が完全に失われることはないため、売ってお金に変えることができます。しかし、買取業者も商売ですから、故障していることを逆手にとって、できる限り安くその車を買い取ろうとしてくることもあります。
そこでここからは、故障した車の賢い売り方を「程度別」に紹介していきましょう。
消耗品や車内装備など、修理・交換すればすぐに車の性能が回復し、費用もそれほどかからない故障の場合は、大手・中小どんな規模の買取業者に出しても査定時の減額幅が大きく変わることはありません。
しかし、その車を欲しがっている「度合い」は、業者の在庫や顧客の状況などによって異なります。そのため、故障による減額幅はともかく、そのもとになる車の評価額も変わってきます。
例えば、大切な顧客が求めている条件に合う車が在庫にない時、故障しているもののそれ以外は条件にマッチする車の買取査定依頼が舞い込んだとしましょう。
この場合、元となる査定額を多少引き上げてでも、その車を何とか買い取ろうとしてくることがあるため、故障による減額幅を多少なりとカバーできるかもしれません。
故障の程度が軽いからどこに出しても変わらないだろうと査定の依頼先を1社に絞り込むのではなく、複数の業者に査定を依頼して見積もりを比較することが大切です。
故障の程度が重く、修理・交換に費用がかさむ車を売る場合は、修理・板金工場も運営している買取業者に買取査定してもらったほうが有利になります。
そのほうが修理・板金にかかる費用、特に工賃(人件費)に当たる部分を安く抑えることができるため、同じ程度の故障でも減額幅が小さく済む可能性があります。
また、修復費にコストがかかる、もしくは国内では敬遠されてしまう修復歴がある車の場合は、海外輸出に力を入れている買取業者を選ぶのも一つの方法です。
海外ユーザーは、国内ユーザーほど傷やへこみを気にしない傾向にあるため、多少のものは修復しないまま輸出してしまうこともあります。
さらに、海外の中古車市場には「修復歴のある・なし」を記載するというルールすらないため、減額幅を抑えられる可能性があります。
車は走るために存在するため、故障して走れない場合は国内外問わず車としては売り物になりません。
そのため、自走可能状態に持っていくまであまりにも高額な費用がかかる場合や古い車で交換部品の入手が困難な場合といった修理が現実的でないケースでは、車としてではなく部品取りや資源回収用としての売却を狙いましょう。
例えば、一般的な買取業者に査定を依頼した時に「故障がひどいので買取は難しいですね。」などと言われても、決して諦めてはいけません。このような場合は、不動車・事故車・廃車の買取専門業者に持ち込めば、ある程度の価格で売れる可能性があります。
故障車を高く売る秘訣!
最後に、故障車を高く売る秘訣を3つ挙げて紹介していきます。
いずれも高価買取につながる秘訣となりますので、今後車を売却する予定がある方は参考にしてください。
故障した車に限らず、一般的にディーラーなどが行っている「下取り」より、「買取り」のほうが車は高く売れる傾向にあります。
下取りは、あくまでも新車購入をする時のサービスなので、高い査定をしてライバルを出し抜く必要がありません。
特に故障車の場合は、下取りに出すと故障の程度やかかる費用などをあまり考慮せず、不具合のある車とひとくくりにされて大幅に減額されたり、場合によっては下取り不可となったりすることもあります。
そのため、故障を抱えている車を少しでも高く売りたいのであれば、下取りではなく買取りに出したほうがいいでしょう。
故障車を高く売りたいなら下取りより買取りに出したほうがよいと前述しましたが、買取業者といってもその規模や業態は様々です。
店頭に数多くの在庫車を並べ、ユーザーへの直接販売を積極的に行っている買取業者もあれば、業者間での転売や海外輸出だけで利益を得ている買取業者もあります。
また、修理・板金工場を運営しつつ小規模に買取と販売を行っている業者や、スクラップ作業を伴う、部品や資源回収と転売を専門に行っているところもあります。
このように買取業者にも様々な種類があるため、どういったところを選べば、自分の車が高く売れるのか判断するのは難しいでしょう。
しかし、故障の程度が重かったり、複数箇所に及んでいたりする車ほど、タイプの異なる数多くの買取業者に査定を依頼したほうが高く売れる確率も上がります。そのため、まずは車の故障の程度をしっかり把握し、それに合わせて複数の買取業者をピックアップしましょう。
車を売る機会はそう頻繁にやってくるわけではないため、どの買取業者をピックアップすべきか見当もつかないという方も多いかもしれません。そんな時は、インターネット上にある「車の一括査定サイト」を利用する方法もあります。
故障している車を高く売りたいのであれば、最低でも3~4社で相見積もりをしたいところです。
一括査定サイトだけでは、数が足りずタイプも偏ってしまう場合があるので、故障の程度がひどい時は、不動車・事故車・廃車の買取専門業者を加えて相見積もりをすることをおすすめします。そうすれば、業者同士が競い合い、売却益がUPする可能性も高くなるでしょう。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!