車の一括査定は、一度に複数の買取店に査定を依頼できるサービスです。手続きは簡単で、専用サイトに情報を入力すれば、買取業者のほうから連絡をくれるというシステムです。

一方で、一括査定には買取業者からの営業がしつこいなどのデメリットもあります。

ここでは、一括査定を利用する際に注意するポイントを間に挟みながら、査定を申し込んで売買契約に至るまでの流れを説明します。

一括査定のメリットを最大限に活かすための参考にしてください。

一括査定とその手続きの流れ

車を売却する際、買取金額を算出するために、必ず専門の査定士による査定が行われます。査定にはいくつか種類がありますが、最も手間がかからないのは「出張査定」でしょう。

出張査定とは、自宅などの車の保管場所へ査定士に来てもらい、その場で査定を受けられるサービスです。

複数の業者に出張査定を依頼し、「相見積もり」として比較すれば、車を動かすことなくお得に高値で車を売却できます。

ただこの方法は、複数の業者を探して依頼をする手間がかかります。その手間を省けるのが「一括査定」という方法です。

一括査定とは、一度の手続きで一括して複数の業者へ査定を申し込むことができます。それ以降の流れは出張査定と同じです。

いわば「出張査定」と「相見積もり」のいいとこ取りをして、申し込みも手軽にできるという方法です。

しかし、一括査定には独特の注意点やリスクもあります。ここでは、一括査定の手続きの流れと注意点を説明しましょう。

一括査定の専用サイトへアクセスする

一括査定の専用サイトへアクセスする
車の一括査定を申し込む場合は、初めに一括査定の専用サイトへアクセスします。そして申し込み手続きを1回行うだけで複数の買取業者へ自動的に情報が伝わり、後は業者からの連絡を待つだけとなります。

一括査定専用サイトは、大手の中古車販売業者などが運営していることが多いです。そういった業者のホームページから簡単にアクセスすることができるでしょう。

インターネットを活用したこの手軽さが、一括査定の一番の魅力です。

車の情報と個人情報を入力する

一括査定専用サイトへアクセスしたら、最初に、査定を依頼したい車の情報を入力します。具体的にはメーカー、車種、年式、走行距離などです。

まずはこれらの内容をもとに、車のざっくりした査定金額が示されます。もちろん、これはあくまでも「目安」です。

より正確な査定金額を出すためには、直接業者に来てもらって現車を確認してもらう必要があります。そのため、氏名や住所、電話番号などの個人情報も入力しなければなりません。

この個人情報を入力する段階で、少なからず抵抗を感じる方もいるでしょう。実際、この情報が素性の分からない複数の業者へ渡っていくわけで、その中に悪徳業者が含まれている可能性もゼロではありません。

また、車の査定と売却が終わったにも関わらず、なおも業者から営業の電話が来た、などという話もあります。

このように、一括査定には個人情報がどこへ流れていくか分からないというリスクがあることは、覚えておきましょう。

注意点①信用できる業者を利用しよう

一括査定を申し込む場合、最初に専用サイトへ車と個人情報を入力します。この時、サイトを運営しているのが信用できる業者かどうか、事前にネットの口コミなどを調べて確認しておくことをおすすめします。

また、査定してもらう業者を選択することができるサイトであれば、ここでもできるだけ口コミなどの評価が高い業者を選んでください。

少なくとも、悪評がある業者を避けておけば、悪徳業者に当たってしまう可能性は減るでしょう。

注意点②頼れる業者を利用しよう

一括査定に限ったことではありませんが、車を売却する際は信頼できる事績を持つ業者に依頼するようにしてください。

買い取った車を確実に売却できる販売ルートを持っている業者なら、その分を買取価格に反映できます。

例えば、外車の場合は外車・輸入車の専門業者に依頼するのが適当です。国内で買い取り手がつきにくい事故車や過走行車は、輸出販売が得意な業者に依頼するなど、車の性質に応じた業者選びをしましょう。

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一括査定サイトを通して業者から連絡がくる

一括査定サイトを通して業者から連絡がくる
サイトへの情報入力と申し込みの手続きが完了すると、サイトと提携している買取業者から連絡が来ます。この業者たちは、いわば「ライバル同士」の関係にあるので、我先にと営業の電話をかけてくることが多いです。

一括査定を利用した方の多くは、ほとんどの場合、最初に連絡をくれた業者に車を売却するという統計もあります。業者からの営業の電話がしつこくなるのはそのためで、中にはサイトでの申し込み手続きを終えてから数秒後に連絡が来るようなケースもあります。

ここでの注意点は、業者からの電話が多すぎる場合と、逆に業者から全く電話がこない場合です。この2つのパターンについて、以下で詳しく説明します。

注意点③大量の電話がかかってくるので対策を考えておく

一括査定の最大のデメリットと言われるのが、業者からくる大量の営業の電話に対応しなければならないことです。

先述の通り、一括査定の場合は、車の売り主に最初に連絡した業者に決まることが多く、業者は誰よりも早く連絡を取ろうとします。

これは、最初に申し込む時点で依頼する業者を3~5社程度に絞ることで予防することが可能ですが、必ずしも絞り込みができるとは限りませんし、そもそもあまり絞り込みをかけると一括査定の意味がありません。そのため、大量の電話のさばき方が課題になります。

例えば、取り引きをしたくない業者は「他の業者に売ることに決めた」と嘘をついてでもきっぱり断り、そうでない業者は連絡し合う時間帯などを最初に取り決めるなどの方法が考えられるでしょう。

また、業者同士で横のつながりがないので、車の売却が終わったにも関わらず、なおも業者から営業の電話が来ることがあります。

注意点④業者から全く連絡がこないこともある

一括査定では、査定を希望する業者がほとんど現れないこともあります。出張査定をするにあたり、査定場所があまりに遠かったりすると、申し込んでくるのが一社だけだったり、ゼロだったりということもありえます。

このような場合は、一括査定を利用して複数の業者から査定してもらうことを諦めるしかありません。

申し込んだ一括査定をキャンセルし、業者を自力で探して出張査定を依頼するか、あるいは直接お店に車を持ち込む「持ち込み査定」を行いましょう。

複数の業者と連絡を取り合う

複数の業者と連絡を取り合う
一括査定の申し込みを受けて、連絡してきた業者の中から査定を依頼する業者を決めたら、出張査定に来てもらう日時を打ち合わせましょう。

注意点⑤車の状態は包み隠さず説明する

業者から電話が来ると、サイトに入力した情報とは別に、車の状態やコンディションについて聞き取りが行われます。

この時、もしも車の故障や修復歴などがあるにも関わらず黙っていると、後でトラブルになることがあります。

特に安全性・機能性に関わるような大きな修復歴があると、いわゆる「事故車」「修復歴車」として、査定でも慎重に扱われることになります。車の査定時に、こうした修復歴があると、査定額の減額は避けられません。

だからと言ってそれを隠していると、後でバレた時に結局減額となりますし、最悪の場合は契約のキャンセルや損害賠償に発展することもあります。

注意点⑥査定依頼する業者の数は3~5社に絞る

業者からくる大量の電話対策の中でも説明しましたが、一括査定で査定を申し込む際、業者の数は3~5社程度にするのが適当です。

あまりに多くの業者とやり取りしていると、収拾がつかなくなるかもしれません。業者の数が多すぎると、並行して打ち合わせをしなければならず大変です。

スケジュール調整に失敗すれば査定日に業者同士がかち合うトラブルが起きることがありますし、全ての業者が査定を終えるまでに時間がかかりすぎる可能性もあります。

しかし、一括査定は気軽に複数の業者に査定を依頼できる点が魅力なので、業者の数を絞りすぎるとせっかくのメリットが活かせなくなります。依頼する業者の数は、そのあたりのバランスを考えて決めましょう。

注意点⑦必要書類を準備しておく

車の査定を受ける前に、ダッシュボードの中に車検証やメンテナンスノートがきちんと保管されているか確かめておきましょう。また、その車が新車で購入したものであれば、新車購入時についてきたオプションや備品も可能な限り揃えてください。

こうした物品がきちんと保管されていると、車の保存状態について信頼がおけるものと見なされ、査定額アップの可能性が高くなります。

特にメンテナンスノートは、こうした信頼度を推し量る大きな目安です。メンテナンスノートには、それまでの修理や点検の履歴が全て記録されています。先述したような修復歴や部品交換の内容をチェックすることができるため、査定時にも有利になります。

業者に車を査定してもらう

業者に車を査定してもらう
査定を依頼する業者とそれぞれの査定スケジュールが決定したら、後は査定士が出張査定に来てくれるのを待ちましょう。

査定時は基本的に業者に任せておいて大丈夫ですが、いくつか注意すべき点もあります。

注意点⑧査定には30分~1時間の時間がかかる

車の査定にかかる時間は、車両のコンディションや業者のやり方により違いはあるものの、30分~1時間程度と考えておきましょう。

事前に洗車や清掃をしておくと、業者も査定がしやすくなります。

注意点⑨強引な業者に注意する

一括査定で起こり得るトラブルのパターンとして、査定のために来た業者が、強引に居座ってなかなか帰らないというものがあります。業者がその場での即決を迫る、いわゆる「押し買い」に近いものです。

車を売る側としては、複数の業者の見積もりを比較したうえで売却先を決めるのが希望です。しかし、こうした業者は自分の出した査定価格ですぐに売買契約を結ぶように迫るか、あるいは契約するまで帰らないという態度を取り続けます。

一括査定の場合、業者も他のライバル業者と競合していることを分かっています。ライバル業者を出し抜くためにこうした強引な方法に出るのですが、これは度を超すと「不退去罪」という犯罪です。

こうした業者に対しては、まずは毅然とした態度で「帰ってほしい」という意思表示をしてください。それでも帰らなかったり脅迫的な言動が飛び出してきたりしたら、すぐに警察へ通報しましょう。

注意点⑩その場で即決しないこと

業者の強引な営業に押し切られてしまい、納得ができないまま売買契約を結んでしまうという場合もあるかもしれません。法的には、売買契約を一度結んでしまうとキャンセルはできないので、注意が必要です。

さらに問題となるのは、他の業者と売買契約を結んでいたにも関わらず、強引な業者から契約を結ばされてしまう「二重契約」の状態に陥った場合です。こうなると自力で簡単には解決できないので、国民生活センターなど、しかるべき相談窓口に連絡してください。

車の査定時に、その場で即決するのはおすすめできません。一括査定のメリットを活かすためにも、売却先を決めるのは全ての業者の査定見積もりが揃ってからにしましょう。

見積もりを比較して売却する業者を決める

見積もりを比較して売却する業者を決める
車の査定が終了すると、業者から見積金額が提示されます。これを全て比較し、最も高値をつけてくれた業者へ最終的に売却することになりますが、この時に見積金額に不審な点がないかどうか注意するようにしましょう。

一括査定には、顔見知りの業者同士が談合して高値をつけないようにするケースや、逆に一つの業者が最初に法外な高値をつけておいて、後になって難癖をつけて減額するというケースがあります。

注意点⑪業者同士が談合していることもある

一括査定サイトを通して申し込んでくる業者は、基本的に横のつながりがありません。しかし、査定先でよく出くわすなどの理由から担当者同士が顔見知りで、談合を行っている場合もあります。

談合されると、売り手側がそれを確認するすべはありません。ただ、査定見積額があまりにも似通っていたり、交渉しても価格アップの余地がなさそうだったりした場合は談合されている可能性もあるので、一括査定のキャンセルを考えてみてもいいでしょう。

注意点⑫高額過ぎる見積もりには注意する

一括査定の目的は、最も高い査定価格をつけてくれた業者に車を売ることです。そのため、売り手は高値をつける業者に注目しますし、もちろん業者のほうもできるだけ高値になるように査定してくれることでしょう。

しかし、悪質な業者もいるので注意が必要です。査定の段階で高い値段をつけて自分のところを選ばせておき、売買契約を結ぶ直前になって「車に故障や修復歴があった」などと理由をつけて減額することがあります。

こうした事態を防ぐためにも、実は故障や修復歴があったと言われてもきちんと対抗できるよう、あらかじめ車の状態をきちんと把握しておきましょう。

もちろん業者が信用できない場合、売買契約を結ぶ前ならキャンセルも可能です。

車の売買契約を結ぶ

車の売買契約を結ぶ
業者から提示された見積金額を比較したら、最も高値で買い取ってくれる売却先に決定し、その他の業者には断りを入れておきましょう。

後は売買手続きのための書類を準備し、契約書を取り交わすことになります。

注意点⑬一度契約したらキャンセルは難しい

ここまでで、一括査定で注意しておくべき点などを説明しました。もし業者との間で何かあったとしても、売買契約を結ぶまでは「いつでもキャンセルできる」という切り札があるので、その意味では安心です。

問題は売買契約を結び、車そのものと契約書をすでに業者に引き渡した後です。こうなると基本的にキャンセルは不可で、気が変わって車を売るのをやめたいと思っても、法律上できません。

業者側も、売買契約が結ばれた時点で既にその車の次の売却先が決まっていることがあります。売買契約は覆せないのが原則なので、業者も安心して次のステップへ進むことができるのです。

そのため、売買契約を結んだ後で無理にキャンセルしようとすると、業者には損害が発生することになるため、キャンセル料を請求される可能性が高いでしょう。

あまりに法外なキャンセル料は払う必要はありませんが、いずれにせよ売買契約を結ぶまでは慎重に事を進めるようにしてください。

車などを業者に引き渡す

車などを業者に引き渡す
売却する業者が決まったら、車両を引き渡します。この時、車や契約書類と一緒に車検証・自賠責保険証・自動車税納税証明書・リサイクル券・印鑑登録証明書なども渡す必要があるので、事前に準備しておきましょう。

車の売却代金が支払われる

車の売却代金が支払われる
車を引き渡したら、後は売却代金が支払われるのを待つだけですが、支払期日は前もってチェックしてください。

日取りが不明だったり口約束だけだったりすると待ちぼうけになるので、契約書など書面できちんと確認することが大切です。

まとめ

①一括査定を受ける場合は、まず専門サイトへアクセスして申し込み手続きをする
②車の詳しい情報と個人情報を入力する
③買取業者から連絡が来るので、査定にきてもらうスケジュールを打ち合わせする
④この時、業者から大量の電話がかかってくるのが一括査定の最大のデメリット
⑤査定を受けて、それぞれの見積金額を比較検討する
⑥強引に取り引きを迫る業者や、不自然に高値をつける業者に注意する
⑦売買契約を結んで車を引き渡したら、代金が入金されるのを待つ

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