車を所有しているのであれば、定期的に車検を受けることが必要ですが、その費用は車検を受ける場所によって変わってきます。

この記事では、車検の依頼先による費用の差、諸費用の内訳はどうなっているのかについて解説していきます。

どこに車検を依頼すればいいのか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも車検とは何か

そもそも車検とは何か
車検とは、道路運送車両法に定められている保安基準を満たした車かどうかを確認する検査のことです。正式名称は「自動車検査登録制度」です。

車検を受けていなかったり、車検の有効期限が切れていたりする車は、公道を走ることはできません。罰則、罰金の対象となりますので、注意する必要があります。

車検を受けるタイミング

車検は、有効期限の1ヶ月前~満了日の間に受けるのがベストとされています。

満了日は車検証かフロントガラスに貼られている車検ステッカーから確認できます。

車検証の「有効期間の満了する日」の欄に記載がある年月日が満了日になります。

車検ステッカーの外側は年月のみ、内側は年月日が記載されています。年は西暦ではなく和暦(令和)での記載です。

車検は有効期限の1ヶ月以上前に受けることも可能ですが、次回の有効期限満了日が繰り上がってしまい、自分で有効期限を早めることになってしまいます。

よほどの理由がない限り、満了日から1ヶ月を切ったあたりで検査を受けるのがベストタイミングです。

車検を受けられる場所とそれぞれの費用の差とは?

車検を受けられる場所とそれぞれの費用の差とは?
車検を受けられる場所はいくつかありますが、依頼先によって金額もかなり変わってきます。単純に金額だけ見るのではなく、それぞれのメリットを理解した上で、現在の車の状態に合わせて車検の依頼先を選びましょう。

ここからは、車検を受けられる場所と大まかな金額を説明します。

整備工場

車検を受けられる場所のひとつは、整備工場です。

工場なので経験豊かな整備士が在籍している場合が多く、質の高い車検を受けることができます。しかし、在籍している整備士次第であるため、工場によっては技術にバラつきが見られるので注意が必要です。

車検にかかる費用は20,000~65,000円程度で、ディーラーよりは多少安いでしょう。

費用が少々高くても、技術があるところに車検を依頼したい場合は整備工場がおすすめです。

なお、国産車だけでなく輸入車でも車検をしてくれる整備工場は多いので、車種の問題で他店に車検を断られた場合には、整備工場に確認してみるのが良いかもしれません。

ディーラー

ディーラーでも車検を受けることができます。

自分の車と同じメーカーなので詳しい知識があり、信頼できる点検と整備を行ってくれるでしょう。車検後に故障した場合はメーカー責任になる可能性もあるため、ディーラーは丁寧な点検を行います。

ただ、他の業者よりも消耗品などを早めに交換することがあるので、その分費用が高くなってしまうことは否めません。しかし、ディーラーには純正部品がありますので、部品を交換する場合でも質の高い整備を期待できます。

車検費用は高めで35,000円~80,000円程度です。

品質の高さや安心感、純正部品を重視するのであれば、ディーラーに依頼するのがおすすめです。

ガソリンスタンド

ガソリンスタンドにも車検を依頼できます。

ガソリンスタンドは行きやすいというだけでなく、24時間営業だったり、キャンペーンや割引を実施していたりする店舗も多く、日中に時間が取れない場合やお得に車検を行いたい方にはおすすめです。

しかし、車検はガソリンスタンドではなく提携している整備工場などで行われるため、日数がかかったり、その間の代車がない可能性もあります。また、部品交換の際に純正部品を取り扱っていないこともあるので注意しましょう。

車検費用は15,000円~35,000円程度です。整備工場やディーラーよりは安い傾向にあります。

品質よりも手軽さと費用の安さを重視するなら、ガソリンスタンドがおすすめです。

カー用品販売店

他にも、カー用品販売店に車検を依頼することができます。

お店によって「整備工場を自社で持っている場合」と「提携している工場に依頼する場合」があります。

カー用品販売店は営業時間も長めで全国にお店があることも多いため、依頼しやすいと言えます。また、車検で部品の交換が必要な際には、そのお店で取り扱っている商品から機能性や安さなどでパーツを選べるため、交換費用の節約にも繋がります。

ただし、ディーラーほどの設備がなく技術面でバラつきが見られる可能性はあるでしょう。

車検費用は10,000円~45,000円程度となっています。

依頼の気軽さや交換部品の安さを重視するなら、カー用品販売店がおすすめです。

車検専門店

車検満了日が近く一刻も早く車検を終わらせたいという場合には、車検専門店に依頼するのがおすすめです。

車検だけに特化していることから、点検や整備をスピーディーに行ってくれます。整備工場やディーラーが1日~3日程度かかるところを、車検専門店によっては30分~3時間で完了してくれる場合もあります。

ただし、車検を通すための最低限の点検しかしないこともあるため、品質面を気にする場合は内容を確認しましょう。また、車検に関わらない点検は受け付けていないことが多く、そのようなメンテナンスは別で行わなければなりません。

車検費用は10,000円~30,000円程度です。

急いでいる場合やとにかく費用を抑えて車検を受けたい場合には、車検専門店がおすすめです。

ユーザー車検

ユーザー車検を利用して自分で車検を行うことも可能です。

整備を行った車を運輸支局に持っていき、スタッフの指示に従いつつ検査を受けます。

ただし、点検・整備・車検を自分で行うため手間暇がかかります。そして、もし車検に通らなかった場合には、もう一度整備して再度検査を受けなければなりません。

車検費用は基本的に法定費用のみで、その費用の安さがメリットです。

ユーザー車検は、車を自分で整備できる方にとっては費用を抑えられる有効な手段です。しかし、車の状態によっては業者に依頼する場合より日数がかかる可能性があることは、覚えておく必要があります。

車検にかかる費用の内訳とは?

車検にかかる費用の内訳とは?
車検に含まれる費用は、大きく3つに分けられます。

法定費用

法定費用の中には「自動車重量税」「自賠責保険料」「印紙代」が含まれています。

車検検査料

車検を依頼する場合に、業者に支払う車検基本料金となります。

部品交換費用

車に損傷や劣化、摩耗の見られる部品を交換するためにかかる費用です。

それぞれの費用について詳しく見ていきましょう。

法定費用①自動車重量税

自動車重量税とは、車の重量によって金額が変わってくる税金のことです。

重量とは、車検証に記載されている「車両重量」のことであり、車両総重量のことではありません。

軽自動車は重量によって税額が変わることはなく、一律の料金となっています。

そのため、重量が関係するのは普通自動車です。同じ車名であっても、グレードや装備より重量が異なれば、課税額も違ってくる場合があります。

ただし、エコカーであるか否か、初年度登録からの経過年数が13年、18年を超えているか否かで課税額が変わってきます。これは普通自動車、軽自動車共通です。

エコカー減税が適用される場合、車の種類によっては初回の車検の自動車重量税が免除されることもあります。

自動車重量税を納める時期は、車を購入したときと車検のときです。

車の種類ごとの正確な金額については、国土交通省の「次回自動車重量税額照会サービス」で確認することができます。

自動車重量税 参考金額

自動車重量税の参考金額は以下です。

エコカーの場合

軽自動車:5,000円
普通自動車(~1トン):10,000円
普通自動車(~1.5トン):15,000円
普通自動車(~2トン):20,000円

エコカーではない場合

軽自動車:6,600円
普通自動車(~1トン):16,400円
普通自動車(~1.5トン):24,600円
普通自動車(~2トン):32,800円

エコカーではなく13年超えの場合

軽自動車:8,200円
普通自動車(~1トン):22,800円
普通自動車(~1.5トン):34,200円
普通自動車(~2トン):45,600円

エコカーではなく18年超えの場合

軽自動車:8,800円
普通自動車(~1トン):25,200円
普通自動車(~1.5トン):37,800円
普通自動車(~2トン):50,400円

法定費用②自賠責保険料

自賠責保険とは、自動車の所有者に加入の義務がある損害保険のことです。正式名称は「自動車損害賠償責任保険」といいます。

自賠責保険は、次の車検満了日までをカバーしていることが必要です。車を新車で購入した際は、車の代金と共に3年分の保険料を支払い、3年目以降は車検の際に次の車検までの保険料を支払うことになります。

自賠責保険が車検満了日より前に切れてしまうことのないように、通常は車検満了日より有効期間を1日以上長くして加入することになるでしょう。なぜなら、車検証は満了日の24時までが有効ですが、自賠責保険は満了日のお昼12時までが有効期間となっているからです。

仮に満了日が同日であった場合、自賠責保険が先に切れてしまうことになります。細かいですが、1日以上の余裕を見ておくことは大切です。

自賠責保険料 参考金額

2021年4月以降に加入した場合の普通自動車と軽自動車の自賠責保険料は、以下となります。

※一部の地域(沖縄や離島など)は保険料が異なりますので注意してください。

普通自動車

37ヶ月:27,770円
36ヶ月:27,180円
25ヶ月:20,610円
24ヶ月:20,010円

軽自動車

37ヶ月:27,330円
36ヶ月:26,760円
25ヶ月:20,310円
24ヶ月:19,730円

法定費用③印紙代

印紙代は、車検証を交付してもらうための手数料の支払いに必要です。印紙と証紙の2つが含まれています。

車種や車検を依頼する先(指定工場・認証工場)によって金額が異なりますが、それほど大きな差はありません。

指定工場とは、整備と検査がどちらも可能であり、「民間車検場」とも呼ばれる地方運輸局長の指定を受けた工場のことです。

認証工場とは、整備のみ行える、地方運輸局長の認証を受けた整備工場のことです。検査は運輸支局に持ち込む必要があります。

認証工場は検査を別に頼む必要があり、その費用の証紙代がかかるため指定工場よりも少し金額が高くなります。

印紙代 参考金額

指定工場、認証工場それぞれの印紙代は以下となります。

指定工場(印紙代のみ)

普通自動車:1,200円
軽自動車:1,100円

認証工場(印紙代+証紙代)

普通自動車(3ナンバー):1,700円
普通自動車(5ナンバー):1,800円
軽自動車:1,400円

車検基本料

車検基本料は、「24ヶ月定期点検料」「整備技術料」「車検代行手数料」を合わせた金額のことで、法定費用以外に必ずかかる費用です。

24ヶ月定期点検料や整備技術料は、合計56の項目からなる法定24ヶ月点検の費用と、そこで発見された不具合や劣化部分の整備にかかる費用を指します。

車検は保安基準を満たしているかを検査するとはいえ、車が安全に走行することを保証しているわけではありません。そのため、走行中に不具合が発生しないよう、法定24ヶ月点検で整備や必要に応じ部品交換を行います。

車検代行手数料は、車の所有者の代わりに業者が車検証の更新手続きを運輸支局で行うための費用です。「事務手数料」「検査手続き代行料」などと呼ばれることもあります。

車検代行手数料に含まれるのは運輸支局までの往復労賃、書類の手続き代、印紙代などですが、車検を行う業者によって金額は変わってきます。

車検基本料 参考金額

車検基本料は業者でばらつきがありますが、以下は参考金額となります。

整備工場

20,000円~65,000円ほど

ディーラー

35,000円~100,000円ほど

ガソリンスタンド

15,000円~30,000円ほど

カー用品販売店

10,000円~45,000円ほど

車検専門店

10,000円~30,000円ほど

部品交換費用

部品交換費用とは、車検や法定24ヶ月点検で見つかった劣化や不具合箇所の整備を行う際に必要となる部品、消耗品、油脂類の費用のことです。

そのときの車の状態によって、交換が必要な部品や整備の内容は変わってきます。

交換する部品の種類やメーカーによって金額は違いますし、車検を行う業者によって工賃も異なってくるでしょう。

部品交換費用 参考金額

交換部品とその費用の例は下記となります。

エンジンオイル

4,000円~
(走行距離5,000km、もしくは6ヶ月ごと)

エンジンオイルフィルター

2,000円~
(エンジンオイルの交換2回ごと)

ラジエーター液

5,000円~
(2年ごと、ただし新車は3年)

ブレーキオイル

4,000円~
(2年ごと、ただし新車は3年)

バッテリー

10,000円~
(2〜3年に1回)

ブレーキパッド(4輪)

20,000円~
(走行距離20,000kmごと)

スパークプラグ

5,000円~
(走行距離普通乗用車20,000km、軽自動車10,000km)

エアクリーナー

3,000円~
(走行距離40,000km)

ワイパーブレードゴム

2,000円~
(1年ごと)

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車検の費用を安くするためにできること

車検の費用を安くするためにできること
車検は安全のために必要といえども、できるかぎり出費を抑えたいと思う方も多いかもしれません。

一回の出費を少なくしたい場合、クレジットカードで分割払いにすることができます。また、審査に通れば、車検費用をマイカーローンで支払うことも可能です。

その他、車検の費用を抑えるためにできることを下記でいくつか挙げていきます。

普段からメンテナンスをしておく

車検の費用は、車の劣化具合や交換が必要な部品の多さによっても大きく変わってきます。

車は使用頻度や時間の経過とともに劣化するものですが、こまめにメンテナンスをすることで、車検時の費用が膨らむことを多少避けることができるでしょう。

不要な整備は頼まない

車検の整備項目には、車検を通すために必須なものもあれば、後回しにしても問題のない項目もあります。

車検費用の見積もり時に整備項目の詳細を出してもらい、今やらなくてもいい項目が含まれていないかを確認しましょう。後に回しても良い項目の例としてはエアコンのフィルター交換などがあります。

しかし、自分で要不要の判断は難しいため、車検依頼先の担当者に聞いてみましょう。

重量税の安い軽自動車に乗る

生活上や自分の車の好みからも不都合がないのであれば、軽自動車を選ぶといいでしょう。

軽自動車は重量税が安いため、その分車検の費用も安く抑えられます。

車検の時期と費用はあらかじめ確認しておく

車検の時期と費用はあらかじめ確認しておく
これまで見てきたように車検に対して自分が何を重視しているのか、「品質なのか」「費用の安さなのか」などによって依頼先が変わってきます。

車の走行に問題はないものの多少違和感を感じているなど、車の状態によってはしっかり丁寧に見てもらいたい場合もあるかもしれません。

車検は定期的に受ける必要があるものです。満了時期やかかるであろう費用をあらかじめ確認しておけば、車の状態に合った最適な車検を受けることができるでしょう。

まとめ

①車検は有効期限内に受けないと、車を公道で走らせられなくなる
②車検は有効期限の満了日から1ヶ月を切ったあたりで受けることがおすすめ
③車検は整備工場、ディーラー、ガソリンスタンド、カー用品販売店、車検専門店で受けられるが、依頼先によって費用が異なるので自分が車検で重視するポイントを明確にしておく
④車検の費用は大まかに法定費用、車検基本料金、部品交換費用の3つがある
⑤日頃からメンテナンスをする、不要な整備を行わない、重量税の安い軽自動車に乗るなど、自分の状況に応じて多少車検の費用を抑えることができる
⑥直前で慌てないよう、車検の時期や費用は前もって確認しておく

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記事内容について現在の情報と異なる可能性がございます。
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