車の点検を定期的に行っているという方は少ないかもしれません。定期的に点検をすることで、不具合を早期発見でき、安全に運転できます。
点検項目はいろいろとありますが、今回紹介するタイヤの空気圧をチェックすることも大事です。安全に運転できないだけでなく、燃費が悪くなるなどさまざまな悪影響が懸念されます。
ここでは、タイヤの空気圧の点検方法についてまとめました。どれくらいの頻度で行うべきか、どのようにチェックすればいいかについて紹介しますので、参考にしてみてください。
空気圧の点検を怠ると生じる不具合について
タイヤの空気圧を定期的に点検することは、安全に運転するために欠かせないことです。もし点検を怠っていると、車の運転に不具合が生じる可能性があります。
では、具体的にどのような不具合が生じるのでしょう。主だった問題点についてまずは見ていきます。
タイヤの空気圧の低い状態をそのまま放置していると、運転中にパンクするリスクが高まります。
空気圧が低いということは、たわんだ状態でタイヤが回転し波打った状態になり、接地面が変形しやすくなります。これが、スタンディングウェーブ現象です。
タイヤが変形すると、地面に押し付ける力と元に戻ろうとする力が両方働きます。その結果、タイヤの発熱量が高まり、最悪の場合パンクしてしまいます。
運転中に突如タイヤがパンクしてしまうと、ハンドルを取られかねません。事故リスクも高まり、とっても危険です。
タイヤの空気圧が低下すると、燃費が悪化します。
空気圧が低い状態だと、運転している時にたわみが生じやすいです。たわんだ分、通常よりも接地面積が大きくなります。そのため、タイヤが回転する時に抵抗も増えてしまいます。
抵抗が大きくなるということは、それだけタイヤを回転させるのにより大きな力が必要です。つまり、車を動かすエネルギーも高まってしまいます。
同じ距離・速度を走行するにしても、より多くのガソリンを消費しなければなりません。つまり燃費が悪くなってしまって、ガソリン代の負担がより大きくなってしまうのです。
通常ハンドルを水平に保っていれば、車は直進します。これはタイヤの空気圧が均等かつ適正に入っていることが前提です。
ところがタイヤ1本でも空気圧が少なくなっていると、空気圧の低いタイヤを回転させるために、大きな抵抗がかかってしまいます。ハンドルを水平に保っているつもりでも、抵抗の大きなタイヤの方向に曲がってしまいます。そのため、まっすぐ運転している時にハンドルを取られてしまうわけです。
特に凹凸のひどい道路やわだちのある道を走行している時には危険です。突如ハンドルを取られてしまって、思わぬ方向に車が向かってしまう恐れがあるので、注意しましょう。
タイヤの空気圧が低い状態をそのままにしていると、塗れた路面でスリップしやすいので注意が必要です。これは地面からの抵抗が強まってしまうからです。
タイヤの地面を押す力やグリップ力がダウンしてしまいます。地面を掴む力が低下すれば、どうしても滑りやすくなります。
ちなみに、空気圧が高すぎてもスリップしやすいです。空気圧が高すぎるとタイヤと地面の接地面積が少なくなります。グリップ力が低下し、車体のバランスも崩れてしまいます。特に高速走行時のスリップリスクが高まるでしょう。
また、雨の日の運転には注意が必要です。グリップ力が低下した状態だとタイヤと地面との間に水の膜ができてしまって、コントロール不能になってスリップを起こします。
タイヤの空気圧が低いままで走行を続けるということは、たわんだつまり変形した状態で走行しています。特にタイヤの中央部分がへこんで、両端は地面に擦れやすくなる形です。
その結果、両端のゴム部分の摩耗が進みます。タイヤの劣化も早くなって、より頻繁にタイヤを新しいものと交換する必要が出てきます。
タイヤは劣化すると、傷ができやすくなったり、ひび割れを起こしたりしやすいです。そのため、運転中にタイヤがパンクしたりバーストしたりするかもしれません。
タイヤを頻繁に交換することでタイヤ代がかさむだけでなく、事故リスクも高まるでしょう。
スリップの項でも紹介しましたが、タイヤの空気圧は低すぎても高すぎても望ましくありません。適正値よりも高い状態にすると、タイヤ内部の空気はパンパンの状態です。
この張り詰めた状態のままで走行すると、地面からの衝撃を受け止めきれなくなります。またタイヤの接地面の中央部だけが集中的に摩耗してしまいます。
さらに、ちょっとした衝撃でも、タイヤに亀裂が入りやすいです。亀裂が走行するたびに徐々に広がって、バーストやパンクする可能性も考えられます。
また、タイヤがパンパンだと接地面積が少なくなります。するとグリップ力が低下して、ブレーキをかけてもなかなか止まらなくなるかもしれないので、空気圧が高ければいいというものでもありません。
車のタイヤの空気圧点検の基本
タイヤの空気圧は適正な状態を維持しなければなりません。そのためには、定期的な空気圧のチェックをおすすめします。
では、タイヤの空気圧の点検は具体的にどのように行えばいいのでしょう。どこで点検を依頼すればいいか、どのくらいの頻度で点検すればいいかについてまとめましたので参考にしてみてください。
タイヤの空気圧ですが、車種によって適正な値は異なります。そこで、愛車の適正な空気圧をまずは把握しましょう。
メーカー推奨の空気圧は、車のどこかに記載されています。車種によって異なりますが、通常は運転席のドアの開口部に掲載されているものが多いです。
もし、どこにもそれらしきラベルが見られないというのであれば、マニュアルにも記載されているはずです。「kPa」という単位で記載されていますが、これは「キロパスカル」という単位になります。
中には、純正品以外のタイヤに交換している方もいるかもしれません。この場合、メーカー推奨の空気圧と異なる可能性があります。
もし社外品のタイヤを取り付けているのであれば、そのメーカーの推奨値を確認してください。
タイヤの空気圧をどのくらいの頻度でチェックすればいいかというと、理想は月に1回のペースです。毎月チェックしておけば、大きく空気圧が下がっている場合でも早期発見できます。
1か月で空気圧が大きく下がったのであれば、パンクやひび割れが起きている可能性が疑われます。走行を中止し、車を購入したディーラーなどに一度相談してみるといいでしょう。
しかし、中には毎月タイヤ圧をチェックするのはスケジュール的に厳しいという方もいるかもしれません。その場合、タイヤの空気圧グッズを活用するのも一つの方法です。
中にはセンサーがついていて、車内でタイヤの空気圧を逐一チェックできるようなアイテムも見られます。このようなアイテムで簡易的でも空気圧のチェックをするのがおすすめです。
タイヤの空気圧の点検方法ですが、お店にお願いすることをおすすめします。専用の器具を持っているので、正確に空気圧を測定できるからです。
ガソリンスタンドやカー用品店で空気圧のチェックをお願いできます。またディーラーでも空気圧の測定を行っているので、立ち寄った時についでにお願いしてみるといいでしょう。
ガソリンスタンドは日本でも、セルフ式の店舗が増えてきています。セルフ式のガソリンスタンドには、空気入れの備え付けられているお店が多いです。
必要に応じて、自分でタイヤに空気を入れることもできます。空気圧が低下した時には、空気入れも同時に行うようにしてください。
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車のタイヤの空気圧点検をガソリンスタンドで行うポイント
タイヤの空気圧の点検は、最寄りのガソリンスタンドで行うのがおすすめです。給油する時についでに空気圧の点検を行えば、それほど面倒ではないはずです。
ところで、ガソリンスタンドで空気圧の点検を行うにはどうすればいいのでしょう。点検をお願いする方法や注意点について、まとめてみました。
ガソリンスタンドには、「空気充填機」を設置しているところは多いです。タイヤに空気を入れる器具ですが、これがあるガソリンスタンドであれば空気圧の点検が可能です。
空気圧の点検ですが、スタンド内に車を入れるとスタッフが駆けつけてくれるでしょう。この時に給油と空気圧のチェックをお願いすれば、スタッフがチェックをしてくれます。
よくガソリンスタンドに給油しに行くと、スタッフの方から「空気圧の点検はどうしますか?」と声をかけてくれることも少なくありません。もし空気圧の点検を希望するなら、「お願いします」と伝えるとチェックをしてくれます。
もし月に何度か給油するのであれば、月に1回点検すれば十分です。その月すでに点検を済ませているのであれば、断っても構いません。
ガソリンスタンドで空気圧の点検をするのは、給油をする際のついでというパターンが一般的です。では空気圧だけ点検をお願いできないかというと、そうではありません。
空気圧だけの点検をお願いしても、スタッフは対応してくれるはずです。しかし、点検だけお願いするのであれば、点検料や空気の補充をした場合その費用を請求される可能性はあります。
給油とセットであれば、サービスの一環として無料で引き受けてくれるお店が多いです。費用を請求されるくらいなら、給油の時に空気圧も一緒に点検してもらった方がいいでしょう。
ガソリンスタンドでのタイヤの空気圧点検や充填は給油とセットであれば、ほとんどの場合無料です。しかし、100%どのお店でも確実に無料とは言い切れません。
中にはスタッフの方から「点検しますか?」と声をかけてきて無料だと思ったら、点検料を後で請求されたという話も聞かれます。無料が当たり前と思わずに「料金はかかりますか?」と質問しておきましょう。
タイヤの空気圧の点検だけをお願いしても無料というところもあります。しかし、空気圧の点検だけをしに行くのは気が引けるという方もいるかもしれません。
その場合には、給油もしくは洗車など、ほかのメニューを利用する際についでで空気圧の点検をすれば、後ろめたさを感じることも少なくなるでしょう。
ガソリンスタンドを見ると、空気だけでなく窒素を入れられるお店も増えてきています。窒素を入れることでいくつかメリットがあるからです。
空気と比較して、窒素はタイヤの主成分であるゴムの分子を通過しにくい性質があります。つまり空気のように抜けにくく、いつまでも空気圧を一定のレベルでキープできるわけです。
窒素は空気と比較して、音を伝える力が弱いと言われています。つまり運転中に路面からの音が吸収でき、車内が静粛で快適になります。
純粋な窒素を充填すれば、火災になった時に延焼を食い止められるのもメリットです。空気の場合、酸素が含まれているので、どうしても火が出ると燃え広がる危険性が出てきます。
いざというときの事故の被害を食い止められるので、空気だけでなく窒素の充填も検討してみるといいでしょう。
タイヤの空気圧をセルフスタンドで確認する方法
ドライバー自身で給油するセルフスタンドも増えてきています。普段給油する際にはセルフというドライバーも多いかもしれません。
セルフでもタイヤの空気圧をチェックすることは可能です。この場合、自分でタイヤの空気圧をチェックすることになるでしょう。
そこで、セルフでタイヤの空気圧を点検する際に注意すべきことについて以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
ガソリンスタンドに設置されている空気充填機は、主に3種類あります。どの種類かによって使い方も変わってくるので、3つのタイプを理解しておきましょう。
ボンベのような形状をした空気充填機があれば、これはエアタンク型です。
エアタンク型は「+」と「-」の2つのボタンがあり、「+」は空気を入れる。「-」は空気を抜く。という意味でこちらを使って空気圧を調整します。
ガソリンの給油機のように地面に設置されているものを据置型と言います。
据置型の中でもさらに「デジタル式」と「ダイヤル式」の2種類に分類することが可能です。
適正な空気圧を入力します。そうすればその空気圧になるように充填機が自動的に空気を出し入れしてくれます。
メーターが掲示されているのが特徴です。この場合、ダイヤルを使って適性の空気圧に合わせれば、こちらも自動的に調整してくれます。
タイヤの空気圧を自分で点検する際には、まず愛車の適正な空気圧を確認します。車のどこかにタイヤ空気圧のラベルが記載されているはずなので、こちらをまずはチェックしてください。
次に現在のタイヤの空気圧を測定します。
タイヤのエアバルブのキャップを外します。そして空気充填機のホースを押し当てます。するとエアゲージのところに空気圧が表示されますので、その数値を確認してください。
もし適正な空気圧になっていなければ、適正な数値になるように空気を入れたり抜いたりしましょう。
適正な空気圧に自動的に調整するので自分で点検する必要はありません。
空気の充填方式は、種類によって異なることはすでに紹介しました。ここではさらに詳しく見ていきます。
エアバルブにホースをつなぎ、「+」で空気を入れ、「-」で空気を抜いていきます。空気圧が適正なものにできたら、ホースをエアバルブから外し、エアキャップを取り付けましょう。
空気圧の設定をすれば自動的に調整してくれるので便利です。据置型の場合、デジタル式とダイヤル式の2種類があって充填方法は異なります。
「+」と「-」のボタンで適正な数値に調整します。
メーターの横のダイヤルを回して調整します。
数値を設定したところで、タイヤのバルブキャップを外して、ホースをつなげて空気圧を調整します。
自分でタイヤの空気圧点検をする際の注意点
自分でタイヤの空気圧の点検や充填をする場合には、いくつか注意したいポイントがあります。
まず、タイヤが熱を持っている時には点検を控えるようにしてください。タイヤが熱くなりすぎていると空気がタイヤの内部で膨張しているので、空気圧が正しく表示されないからです。
朝や夜のような路面温度の低いタイミングで測定するのがおすすめです。
また、何度かここでも紹介したように、タイヤの適正値になるように充填してください。タイヤの空気圧を高めに入れてしまうと、これもまたタイヤが変形してしまって正しく運転できなくなります。
空気の持ちを長くしようとして、空気圧を高くし過ぎる人もいるようです。しかし逆にタイヤの寿命を速めてしまう結果につながりかねないので、適正な空気圧をキープしましょう。
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