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更新日:2018.12.01 / 掲載日:2018.08.02
月刊SUV最前線 Part.2 SUZUKI新旧ジムニー比較 新型VS先代
20年分もしくはそれ以上の大きな進化を遂げた新型だが、先代との差はどれほどなのか? も気になるのではなかろうか。ここではポイントごとに見比べることで、その違いを確認してみたい。
【エクステリア】新旧、いずれも一目でジムニーと分かる
四角いデザインは先々代ジムニーを彷彿させる。
無骨な新型と比べると、先代は柔らかみのある洗練されたデザイン。
見た目でもタフなオフローダーであることを主張しているようだ。
一見、こちらが新しいのか? と思っても不思議はない。
【インテリア】手狭なスペースながら、完成度は上々
視認性に富んだメーターやセンターコンソールに集まる操作スイッチなど、道具感の演出を強く感じる。
本設計は20年以上前だが、ツボを押さえた改良と積極的に豪華仕様の特別仕様車を投入してきた。
実用優先の思想で最新設計を取り入れたキャビン空間。
新型と比較しても大きくは見劣りしない先代。
荷室寸法はほぼ先代と変わらないが、完全にフラットになるラゲッジ面や汚れに強い防汚フロア加工など、実生活で便利に使える機能が大きく強化されている。
リヤシートのバックレストを格納すれば、荷室スペースは拡大されるが、座面に大きな段差が生じるなど、古さを感じる部分も少なからず存在している。
プロが求める道具感は新型にも濃密に宿る
ジムニーは荒れ地を走るプロユースを念頭にしたクロカン4WDだ。初代以降の歴代モデルは、いずれもタフなメカニズムを大きな売りとしている。
そんな流れもあって、1998年に登場した先代も走行メカニズムはプロユースを前提とした設計が与えられていた。ただし、内外装はレジャー感覚やスポーティなキャラを取り込んだ、一般ユーザーの獲得を視野に入れたデザインを採用。実際、先代の後期モデルともなると、とても20年前に基本設計がされたモデルとは思えないほど若々しさがある。特にインテリアは改良時に現在のSUV設計の主流となりつつあるプレミアム&スポーティのデザインテイストを取り入れたことで、新型に見劣りしないキャビン空間だ。
その一方、新型はジムニーの本質である道具感を高めた設計が随所に注がれている。実質本位を全面に出すという考え方は2代目に近いかもしれない。ハスラーやクロスビーなどにある、生活の場で便利で楽しく使える雰囲気を優先させたデザインとは違った感覚が新型には宿っている。
ただし、適応用途や性能の考え方は新旧に隔たりはない。あるのは先代が登場してから20年近い歳月を経た環境と技術の変化である。
そこではパワートレーンと安全&運転支援機能が大きな要点だ。先代が登場した頃の軽乗用車のエンジンは、回転数を回して稼ぐタイプが主流であったが、今は省燃費性を高めるために、エンジン回転は極力回さず、それでいて力強さも要求される。新型はまだ試乗する機会がなく、その特性は未知数だが、現代のパワートレーン設計のほうが、ジムニーが求める悪路踏破性にも有利と思われる。
また、新型のラダーフレームにはX字型メンバーや前後のクロスメンバーを加えて捻れ剛性を強化。ボディマウントも新設計となった。いずれも操安性や快適性の向上に有利な設計要点。当然、先代が苦手としていたオンロードの走りの改善も期待できる。
また先進安全装備を中核とした利便系装備は、新型は圧倒的に優れている。正直、これを先代に期待するのは酷だろう。
新型と先代を比較すれば、エクステリア意匠など好みの部分を除けば、およそすべてで新型が勝る。だがジムニーの本質は「本格オフローダー」。新型も先代も、プロの要望に応えられる確かな性能を持っているのは間違いない。
【パワートレーン&メカニズム】質実剛健のメカニズムはジムニーの真骨頂
新型のエンジンは、省燃費性能も考慮された最新R06A型ターボに変更。最高馬力は64PSと変わらないが、最大トルクは9.8kg・mと僅かに低くなっている。
先代のエンジンは、1990年代から使われているK6A型ターボを搭載。64PS/10.5kg・mと、僅かながらも最大トルクが上。また後期は改良により省燃費性能も高まっていた。
トランスミッションは先代と同じ4速ATと5速MTを設定。副変速機の切り替え操作がレバー式に変更されている。
先代も5速MTと4速ATの組み合わせ。5速MTの変速比は新型に比べるとローギアに設定されていた。また副変速機の切り替え操作はスイッチ式だった。
ラダーフレームはクロスメンバーの追加などで捻れ剛性を向上。ボディマウントも大型化され、乗り心地の向上も図られた。
ラダーフレーム+パートタイム4WD+3リンクリジッドアクスル式サスペンションは、ジムニーのタフな走りを約束する重要メカニズム。
新型は先進安全装備も充実
フロントウインドウ上部に設置されるモジュールユニットにレーザー受信部と単眼カメラは配置。誤発進抑制機能など、実効性が高い機能が備わるのは心強い。
ジムニーに設定されるのは、レーザーレーダー+単眼カメラ式のスズキセーフティサポート。装着車も安価で設定されるなど、マスト装備の一つだ。
ジムニーシエラの違いは?


ワイドフェンダーが生み出す大胆スタイルの評価が高く、受注が殺到している新型シエラ。海外でも注目が高く、早くもベビーGの愛称が付けられるほどの人気。入手まで相当な時間がかかることが予想される。

先代シエラは、ジムニーの影に隠れていた印象が強く、月の平均販売台数は100台前後だった。そのため新型シエラは年間1200台と弱気な販売目標だったのだが……。
【グレード解説】オススメグレードは?王道ジムニーか性能のシエラか悩ましい選択
ジムニー
XL【セーフティパッケージ・4AT】
ベーシックのXGとの価格差は約13万円。仕事道具としてはXGでもいいが、プライベートを楽しむなら利便快適装備も充実したXLがいい。衝突回避ブレーキ等のセーフティパッケージは4.2万円高なので忘れずに装着すべし。ジムニーシエラ
JC【4AT】
悪路踏破性最優先でシエラを選ぶなら話は別だが、余裕を求めたステップアップなら最上級グレードも悪くない。JLとの実質価格差は約12万円であり、雰囲気もゆとり狙いの車格感を高めた内外装への投資なら納得できる。
維持費を度外視できるなら高性能のシエラで決まり
ジムニーとシエラをどう選び分けるかの考え方は、これまでとまったく同じである。税金まで含めた維持費はジムニーが有利、オンロードもオフロードも走行性能ではシエラに分がある。新型もコスパならジムニー、ゆとりならシエラという展開になるが、気になるのは動力性能である。
スペックでの比較になるが、最高出力も最大トルクも、新型のほうが差が拡大している。現在のスズキの軽乗用車の主力エンジンをジムニー用にチューニングし直したことで、新旧の進歩は少なくないだろうが、シエラは排気量増が大きい。しかも、ジムニーとシエラの価格差は約18万円。税金の差だけでも年額3万円近いのだが、維持費に厳しい環境でなければ、シエラを選んだ方が満足できるはずだ。
グレード設定はジムニーが3タイプ、シエラは2タイプに相当する構成。ヒルディセントコントロールも含めて悪路踏破向けの機能や装備は、全グレードに共通設定となる。オフローダーとしてのコスパを優先するならば、ジムニーのベーシックグレードとなるXGがベスト。エアコンがマニュアルタイプとなるなどシンプル仕様だが、デュアルセンサーブレーキサポート装備車も用意される。XL(JL)以上ではプッシュ式スターターなどの今風の利便装備も装着。最上級のXC(JC)はデュアルセンサーブレーキサポートやLEDヘッドランプなどが標準装着され、内外装の加飾もグレードアップされるが、実用性に大きな違いがないのに10万円を超える価格差は悩み所だ。
もうひとつ考えなければならない選択がミッションだ。オフローダーを求めるならばMTでもいいが、そうでなければATを勧める。シフト操作の省力化だけでなく、ハードなオフロード走行でのクラッチワークはオンロードの比ではない。ATならばトルコン任せで楽にオフロードを楽しめる。
●新型ジムニー 主要諸元&装備

●新型ジムニーシエラ 主要諸元&装備

新型は純正オプションも魅力的
ジムニー/ジムニーシエラの雰囲気を一変させる内外装パーツも充実。いずれも純正ゆえに完成度も高く、新型の魅力を大きく高めてくれる。特にオススメなのが紹介している4つのスタイル。他人とは違うジムニーを求めるなら、検討する価値は大きい。
オフロードスタイル
装着アクセサリー
・スペアタイヤハーフカバーデカール
・マッドフラップセット
・フードデカール
・サイドデカール
・フロントグリル
・アルミホイール(16インチ)
・ナンバープレートトリムサバイバルスタイル
装着アクセサリー
・スペアタイヤハーフカバーデカール
・フロントグリル
・フォグライトガーニッシュ
・サイドデカール
・ドアミラーカバー
・メッキドアハンドル
・ルームミラーカバー
・ナンバープレートトリム
リバイバルスタイル
装着アクセサリー
・スペアタイヤハーフカバーデカール
・ルームミラーカバー
・リヤバンパープレート
・サイドデカール
・ベースキャリア
・サーフボードアタッチメント
・ナンバープレートトリムヘリテイジスタイル
装着アクセサリー
・スペアタイヤハーフカバーデカール
・マッドフラップセット
・フードデカール
・ドアミラーカバー
・サイドデカール
・カラードスチールホイール(16インチ)
・ナンバープレートトリム
新型ジムニー/ジムニーシエラ 松本隆一の購入最新事情
想定以上の人気。シエラの納車は1年待ち以上かも……
売れ行きはすこぶる好調。生産能力を大きく上回る受注が入っているため、すでにバックオーダー(受注残)をたっぷりかかえている。ジムニーの納期は6か月以上、シエラは12か月以上とのことで、当分の間、この状況は続くとみていい。少しでも早く欲しいというなら、いますぐディーラーへ走るしかない。値引きは渋く、基本は3~4万円。なかには「車両本体からの現金値引きはいっさいできません」などと言ってくることもある。現状では車両本体と付属品の値引き合計が10万円を超えたら文句なしの特上クラスだ。
ジムニーシエラはさらに深刻。もともと年間国内販売目標台数は1200台とされていたこともあり、ジムニーよりも納車目安は厳しく、現状は1年以上と言われるケースも多い。
発売時に公表されたジムニーの年間国内販売目標台数は1万5000台。だが、すでに納車まで半年待ち以上と言われるなど、想定を超える人気を集めているようだ。
提供元:月刊自家用車