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更新日:2020.04.23 / 掲載日:2018.08.27

大進化を遂げた新型クラウン 新型vs先代 実力チェック

新型が良くなっているのは当たり前。問題は、どれほど良くなっているのか、だろう。6年ぶりに登場した新型クラウンは、クラウン史上、類を見ないほどの全面刷新が図られたモデルだけに、その実力は率直に気になってしまう。新型と先代は、どれほどの差があるのだろうか?

CHECK POINT 1 エクステリア&パッケージ

●新型VS従来型 サイズ比較

革新の先進感が際立つ新型のデザイン
 王道セダンらしい3BOXから5ドアファストバックへとフォルムを大きく変化させているが、クラウンらしい後席乗員への配慮や取り回し性は新型にも継承されている。居住性の要となるホイールベースは70mm増で、先代マジェスタ相応となった。絞り込んだリヤピラーや6ライトの採用など、デザイン面の工夫も強く感じる。先代はそんな刷新された新型に比べると、尖った部分が少なくおとなしい印象。比較車両がロイヤル系だったことを考慮しても顕著に感じる。

  • 【先代】

  • 【新型】

  • 12代目ゼロクラウン以降、13代目、14代目と伝統のクラウンからの脱却が図られてきたが、新型と比べると、まだまだ従来路線だったことを再確認できる。

  • フロントマスクの変貌のみならず、薄いリヤピラー&6ライトのデザインも際立つ。15代目となる新型は、従来のクラウン像から完全に脱却したことを実感できる。

走りと機能は大きな差新型の進化ぶりが著しい

端正なセダンフォルムに際どいフロントマスクを施したエクステリアにしても、ファントゥドライブの演出にしても、先代は伝統的なクラウンの価値感と、世界的なプレミアムセダンのトレンドの間で揺れ動いていた印象が強い。結果、どのモノサシを当てても中途半端な印象が否めなかった。
その点、新型は世界のトレンドを上手に汲み取っている分、迷いがなくなったように思える。ただし、それがクラウンに相応しいかは別の話だが……。
ただ、走行性能や運転支援機能は無条件に向上したと考えていい。そのポイントのひとつは安心感と快適性だ。新型の快適性は先代ロイヤル系と大差なく、音や振動の刺激の量はほぼ同等だ。それでいて操安性はアスリート系を上回り、高速走行での安心感は明らかに勝る。乗り心地と操安の高次元の両立は、クラウンの新時代を感じさせるに十分である。またACCやLKAなどの運転支援機能も、設定機能も補正精度も確実に1ランクアップしている。
寛ぎや居住性は好みもあり甲乙つけ難い部分もあるが、走りや機能などユーザーメリットが多い部分に限定すれば、新型の進化ぶりは際立っている。

CHECK POINT 2 走り

瞬発力が求められる状況で新型の素性の良さが光る
 エンジン音の演出などでドライバーズカーとしての魅力を高めていることも新型の特徴だが、それはオマケ的な要素。最も変わったのは走りへの信頼感だ。その変化をもたらした要点はシャシーである。FRの高性能車というと、操る手応えとか、乗りこなす楽しみに注目が集まるが、新型クラウンはそういった面白さは薄い。タイトターンでも高速コーナーでも、ちょっと深めの舵角を与えるだけで綺麗にラインに乗ってくれる。加減速や路面のうねりで方向性が乱れることもほとんどない。先代も癖のある操縦性ではなかったが、乗り比べると方向安定性も、接地感も頼りなく、走行速度域が高くなると緊張感も相応に増してくる。
 動力性能は、悠々と走らせている時とパワーを必要とする時の繋ぎの感覚がかなり違う。先代ハイブリッド車はある程度負荷が大きくなると急にエンジンの頑張り感が強くなったが、新型は必要なパワーに応じて連続的に回転数が変化する。ターボ車はハイブリッド車ほどの運転感覚の変化はないが、余力感が一段上だ。
 快適性を基本に悠々と走らせた時の差は少ないが、パワートレーンやシャシーの力を必要とする状況になるほど、新旧の差は顕著に現れる。

  • 【新型】

    2.5ハイブリッドは184PS/ 22.5kg・m(エンジン)+105kW/300Nm(モーター)を発揮。ゆったりと走らせる状況では差を感じないが、高速走行や瞬発力が求められるワインディングでは、新型の巧みな制御が際立ってくる。また、刷新された新シャシーと足回りの恩恵は大きいようだ。

  • 【先代】

    取材車は2.5ロイヤルハイブリッド。178PS/22.5kg・m(エンジン)+105kW/300Nm(モーター)と新型と同等のスペックを持つが、高速走行などで乗り比べると物足りなさは否めない。また足回りは快適重視のセッティングで、新型との差を顕著に感じた。

  • 【新型】

  • 【先代】

シビアな走行状況での潜在力は圧倒的に新型が上

アクセルを瞬時に踏み込んだ際のレスポンスの良さや、コーナーに入った時の安定感は明らかに新型に分がある。先代も高速走行を多分に意識したモデルであったが、新型と乗り比べると大きな差があることを実感できる

CHECK POINT 3 燃費性能

今回のテストコースは、房総半島南部を縦断するルート。海沿いの平坦な市街路&郊外路や、南部の山岳地帯を上り下りする山岳路までカバーする、実践的なコースを選んだ。

実燃費はほぼ互角だが運転しやすさには大きな差がある
 新旧の2.5ハイブリッド車のJC08モード燃費を比較すると、新型が上回っているが、そのアドバンテージはわずか0.8%でしかない。今回行った区間距離の短い簡易計測方式では、「一踏み」の差でひっくり返るほどの違いである。また新型はおろしたての新車、先代は走行距離が3万kmを超えていた個体であったため、新型がやや有利という状況だった。
 そのことを踏まえて行ったテスト結果は、約140kmの全区間平均燃費は先代が20.90km/L、新型が20.79km/Lとなり、JC08モード燃費とは逆転した結果となった。状況別での違いを見ると、ちょっとした運転条件の変化で吸収されてしまうレベルだが、中高速の巡航では新型、市街地走行など加減速の多い低中速では先代が勝る。燃費傾向としては、新型と先代に大きな差はないが、速度が高まるほど新型の方が伸びる傾向にある。
 また、走行時のパワーフィールやドライバビティの違いも見逃せない。加減速が多い市街路でも、高負荷域での瞬発力が求められる高速路でも、新型の方が明らかに自然な制御をみせる。燃費性能は同等でも、運転しやすさは新型の方が明らかに上だ。これも大きなアドバンテージであることは疑いない。

  • 【君津PA 12:55】スタート地点は館山道の君津PA。新型も先代も、2.5L直4+モーターを搭載する2.5ハイブリッド車でテストを行った。

  • 【富津館山道路 富山PA付近 13:20】まずは館山道を南下するルート。途中対面通行エリアがあるなど、高速道路といえども走行速度は80km/h前後。ハイブリッド車には苦手の道路状況だ。

  • 【館山駅付近 13:35】高速を降り、海沿いをさらに南下。館山市の中心街は車の流れも多く、ストップ&ゴーも必然的に多くなる。平均車速は35km/hほどとゆったりペース。

【14:20 須崎灯台付近】最初の目的地となった須崎灯台付近に到着。ここまで記録した区間ごとの燃費を確認してみると、新旧ともに大きな差はなく、少々肩透かしの感も…。

  • 【15:20 館山駅付近】休憩後、半島中央部を目指すことに。ここからのルートは、しばらく市街地を走った後は、緩やかな勾配が続く山岳路になる。

  • 【16:10 千葉県酪農の里付近】山並みが深くなるにつれて、車の台数も激減。淡々としたペースで走り続ける。燃費傾向はほぼ同等だが、アクセルレスポンスは明らかに新型が上だ。

  • 【17:20 久留里城付近】久留里城付近で走行距離は100kmを超えていたが、やはり燃費に大きな差は見られない。最終目的地のうみほたるPAでもこの傾向は変わらなかった。

●新型VS従来型 クラウン燃費テスト結果

CHECK POINT 4 キャビン&ラゲッジ

派手な演出は控えめだが、丁寧な仕上げが好印象
 日本を代表する上級セダンだけに、新旧ともに高いレベルのキャビン空間を持つが、パッケージや細部の煮詰め、演出の方法で大きな違いがある。新型はキャビン後部をファストバックとしたことでスタイル優先の感も受けるが、実は後席頭上までは先代と大差ないルーフラインが描かれ、スペースは削られていない。リヤウインドウとの間隔も拡大し、ヘッドルームのゆとりも十分。ホイールベースも70mmほど延長され膝前の余裕も拡大している。
 加飾などは、先代ロイヤル系のような木目調パネルを多様した分かりやすい高級感の演出は控えめだが、素材感や組付け精度なども明らかに高まっている。スポーティ感が強まったインテリアは先代アスリート系よりも上質感が強い。

インパネまわり

  • 【新型】インパネ中央部にモニター類を配するオーソドックスなレイアウトは共通。

  • 【先代】だが、モニターや操作スイッチの配置、加飾意匠が異なる。さらに新型はダッシュボードの高さがやや低くなるなど、スポーツセダンを意識。

シート

  • 【新型】先代ロイヤルのフロントシートはクッション重視のクラウンらしい味付け。一方、新型のシートはやや硬めの印象が強く、乗り比べるとその差は明らか。

  • 【先代】キャビンのゆとりはほぼ同等で、共に後席の足元のゆとりも十分。

  • 【新型】共にタッチパネル式を採用するが、新型は下モニターでナビ操作や車両情報操作が可能。

  • 【先代】一方、先代はモニター下に配される専用タッチパネルで車両情報の操作を行う。

  • 【新型】新型も先代も、中央部にはインフォメーションディスプレイが配置される。

  • 【先代】新型はディスプレイが大型化され、より多彩な情報を視認できるようになった。

  • 【新型】シフトコンソールはシックな雰囲気の新型に対して、先代ロイヤルは豪華さ重視。

  • 【先代】シフトレバーも、先代はギヤ位置ごとに段付きで納まるクラシカルな設計。

  • 【新型】リッド開口はやや狭くなったが、トランク容量に目立った変化はない。

  • 【先代】新型でもゴルフバッグ積載など、先代に求められていた条件はそつなくクリアしている。

CHECK POINT 5 メカニズム&装備

主要メカニズムは最新仕様となり、先代との差は歴然
 新型はシャシーがナロー版のGA-Lプラットフォームに刷新され、パワートレーンも最新改良版が採用されるなど、メカニズム面の進化は著しい。さらに安全&運転支援装備は、文字通り世代違いとなる。新型はAEBSやACC、LKAの機能向上だけでなく、標識認識、側後方監視、後方交差車両検知(自動制動)など新規装備も数多く採用。いずれもクラウン特有の装備ではないが、最先端の安全&運転支援装備設定となっている。
 一般装備は車載IT関連以外に大きな変更はない。ただし、車種構成が大きく変わったため、グレードによる装備設定も変更。G系が従来のロイヤル/マジェスタ系に、RS系がアスリート系に相当する設定だ。

【新型】シャシーはGA-Lプラットフォームの改良版を採用。パワートレーンはハイブリッド系は、3.5はレクサスLS、2.5はカムリに搭載された最新ユニットをベースにしている。

  • 【新型】第2世代のトヨタセーフティセンスは検知能力も大幅に向上。

  • 【新型】LKAやLTAなどの車線維持精度も高まり、強力な運転支援機能の恩恵を受けることができる。

  • 【新型】初代コネクティッドカーと銘打たれた新型は、T-Connectナビや車載通信機が標準装備。ハイブリッドナビが活用できるほか、車車間/路車間通信機能も強化されている。

【先代】先代のシャシーは、12代目のゼロクラウンがベース。パワートレーンもハイブリッド&直噴ターボは設定されていたが、新型と比べると古さは否めない。

  • 【先代】2012年の導入直後からプリクラッシュセーフティは設定されていたが、トヨタセーフティセンスPが標準装備化されたの2016年8月以降からだ。

  • 【先代】エアコンや車両設定の操作は、センターディスプレイ下に配置される5インチTFTタッチディスプレイで行う。

【最終結論】乗れば実感。クラウンが育んだ美点は新型にもしっかりと受け継がれている

 伝統的3BOXからロングキャビンのファストバックフォルムへと外観の印象は大きく変化。ファントゥドライブの要素も高めて、従来までのクラウンとは別物になったのでは? と思っていたのだが、新型を乗るほどに「クラウンらしい」に印象が変わってきた。
 ひとつは後席乗員への配慮だ。乗降性も含めて先代と同等以上の「もてなし」が感じられる。外観の好き嫌いはともかく、実践力でクラウンの常連ユーザーから駄目出しされない配慮が効いている。
 ドライブフィールでは、高性能感の演出はオマケとしても余力感や高速や山岳路での安心感や信頼感、さらに快適性のバランスなど、長年の顧客が乗り換えても、実感できる走りの質の向上がある。そこに最新の安全&運転支援機能が加わり、安心と信頼はさらに高まる。圧倒的に良くなった新型は、既存のオーナーにも徐々に浸透してくはずだ。

提供元:月刊自家用車

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