自動車保険に加入してれば、保険料を設定するにあたって「等級」があることを知っている方も多いでしょう。その中には「デメリット等級」と呼ばれる保険料が割高になる等級があります。

この記事では、デメリット等級を継承しない方法があるのか、リセットできるのかについてまとめました。

自動車保険のデメリット等級について解説

そもそも自動車保険のデメリット等級がよく分からないという方もいるでしょう。

そこで、まずは等級とは何か説明していきます。そして、デメリット等級はどのようなデメリットがあるのか理解していきましょう!

自動車保険の等級とは?

そもそも自動車保険の等級とは?
自動車保険には「フリート契約」と「ノンフリート契約」があります。

フリート契約は、1契約で10台以上の車を保険契約する方法で、主に法人用のものです。そのため、個人が車を保有して保険契約を交わす場合には、ほとんどがノンフリート契約になるでしょう。

ノンフリート契約の場合、等級制度が採用され保険料の算出の際に用いられます。等級は1~20等級に分類され、等級が上に行けば行くほど、保険料の割引率が高くなってお得になります。

もし自動車保険を使うことなく無事故で1年間過ごすことができれば、1等級上がります。逆に事故を起こすなどして自動車保険を使ってしまうと、1~3等級下がってしまいます。

等級の高い人は事故リスクが低いと判断されるため、公平性を保つために保険料の負担を軽減されます。一方、事故を起こした人は事故リスクの高い人と判断されるため、翌年以降の保険料が上がってしまうわけです。

デメリット等級とは?

デメリット等級とは?
自動車保険の新規契約時は6等級からのスタートなので、それよりも等級が低い状態(1~5等級)がデメリット等級となります。

デメリット等級の場合、保険料の割引率が悪くなるのが特徴です。1~3等級になると、逆に保険料は割増しになってしまいます。

等級に伴う割引率は保険会社によって若干異なるところがありますが、いずれも1~5等級は自動車保険を使った人ということになるので、デメリット等級であると定義されています。

保険料は割高になる

デメリット等級のデメリットは、保険料が高くなってしまう点です。

デメリット等級になるのは「保険に加入してすぐに事故を起こしてしまった」もしくは「何度も事故を繰り返したドライバー」です。

つまり、事故リスクの高いドライバーの証拠になってしまいます。保険を使う恐れがあるので、保険会社としても割高の保険料設定にせざるを得ません。

その上、デメリット等級になっている状態で事故を起こすと、保険の契約継続も危うくなります。デメリット等級で事故を起こして3等級ダウンになると、1~2等級になるでしょう。1~2等級のようなデメリット等級の中でも特に等級の低いドライバーだと、保険加入を認めてくれる保険会社も限られます。

自動車保険は乗り換えても等級は引き継がれる

デメリット等級になり、等級をリセットするために保険会社を乗り換えようと思う方もいるでしょう。しかし、デメリット等級は保険会社を変えても引き継がれるので、リセットすることはできません。

自動車保険のノンフリート等級制度は、各損保会社と一部の共催で共通の基準のもとで運用されている制度です。そして、「自動車保険契約確認のための情報交換制度」という保険会社間のネットワークが整備されています。

この情報交換制度で、契約者の等級に関する情報は共有されます。そのため、保険会社を乗り換えても契約者の現時点における等級は引き継がれるということです。

現在の保険を中途解約しても、その時点における等級は継承されます。このように自動車保険を乗り換えても、デメリット等級は免れません。

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デメリット等級をリセットすることは可能?

デメリット等級をリセットすることは可能?
自動車保険を乗り換えるだけでは、保険会社間で等級情報は共有されているため、デメリット等級をリセットすることはできません。

では、デメリット等級をリセットする方法はあるのかどうか、ここで見ていきましょう。

期間内に手続きしないと等級がリセットされる

もし自動車保険を乗り換えるのであれば、速やかに手続きをしなければなりません。等級継承には制約があり、前の自動車保険の満期日翌日から「7日以内」という条件が付いています。

もし満期日の翌日から8日以上経過すると、新規契約という形になってしまうため、今までの等級はリセットされてしまいます。

今まで頑張って20等級を得ている場合でも、保険の乗り換えに8日以上手間取っていると、元の6等級からのスタートになってしまいます。そのため、6等級よりも上の等級を持っていて保険を乗り換えようと思っているのであれば、1週間以内に手続きを済ませるようにしましょう。

デメリット等級は例外

保険の引継手続きは、自動車保険の満期日の翌日から7日以内にしなければなりませんが、これは6等級以上の人が対象で、デメリット等級の人には適用されません。

デメリット等級をリセットするためには、前契約の終了から「13カ月以上」経過している必要があります。これはどの保険会社でも共有です。

もしデメリット等級になり、1週間待ってから別の保険会社で契約してリセットできたとします。すると保険を使った人と使っていない人との間で、保険料負担の公平性が失われます。そのため、デメリット等級はリセットの条件をより厳しくしているのです。

デメリット等級はそう簡単にはリセットできない仕組みになっていることは、理解しておきましょう。

デメリット等級を隠すことはできない

デメリット等級だったことを隠して契約できないかと思う方もいるかもしれませんが、それは難しいでしょう。

その理由は「1~5等級・割増料率適用対象契約情報交換制度」があるからです。

通常、保険会社を乗り換える場合は前契約の証券番号を申請するように言われます。証券番号で照会することで、これまでの等級が判明できるようになっています。

また、中には事故を起こして等級がダウンするので、その前に保険を乗り換えようとする方もいるかもしれません。事故や保険を使ったことを隠して契約しようという背景がうかがえます。

しかし、自動車保険の世界では「事故確認制度」もあります。前契約中に事故を起こしたか、保険を使ったかも調べられるので、保険を使って翌年度に等級ダウンする場合もすぐに判明してしまうでしょう。

そのため、デメリット等級を隠して契約しようとしても、まず不可能と考えてください。

共済に乗り換えてもデメリット等級は継承される

これまで保険会社の自動車保険に入っていて、事故を起こしてデメリット等級になったとします。そこで、自動車保険を乗り換える際に保険会社から共済に移行すれば、等級もリセットされるのではないかと考えるかもしれませんが、それもできません。

共済の自動車保険でも、保険会社の今までの等級は引き継がれます。日本損害保険協会の会員であれば、共済でも契約者の等級などの情報は共有されます。

また、共済の場合は契約する前に「無事故・無違反証明書」を求めてくる場合もありますので注意が必要です。

共済に乗り換える場合でも、デメリット等級を隠して契約はできないことを覚えておきましょう。

新車に乗り換えてもデメリット等級は継承される

今乗っている車を売却・譲渡して新車を購入すればデメリット等級がリセットされると思っているのなら、これも誤りです。たとえ新車に乗り換えても、デメリット等級は継承されます。

厳密に言えば、新車に乗り換えてデメリット等級が適用せずに新規契約する方法はあります。それは今乗っている車をそのまま保有し、新しい車を購入して自動車保険の契約をする方法です。

この場合、次の車の保険契約をする際には「増車扱い」になります。前の車のデメリット等級は引き継がれずに、6等級で契約は可能です。

ただし、2台車を所有することになるため、2つ分の保険料を支払わないといけません。これではかなりの負担になるでしょう。

新車で契約できて、すぐに前の車を手放したとします。すると、車両入替扱いになり次に購入した車両にデメリット等級が適用されるので、2台所有していた意味はなくなります。

契約者を変えた場合のデメリット等級の取り扱い

契約者を変えてしまえば、デメリット等級をリセットできると考える方もいるでしょう。しかし、配偶者や同居親族に契約者の名義を変えても、そのままデメリット等級は引き継がれます。

別居親族や友人に名義を変えれば、デメリット等級はリセットされますが、保険を使おうと思ってもうまくいかない可能性があります。

もし事故を起こした場合、誰が事故を起こしたのか調査をするのが普通です。そこで記名被保険者以外の人が運転した場合、その理由を調べます。そして事故を起こした人が主に車を使用していることが判明すれば、虚偽申告扱いになります。

記名被保険者は、車を主に運転する人の名前を記載するため、虚偽申告になると保険金が下りない、十分な補償をしてもらえない可能性があります。

13か月以上、自動車保険に加入しない方法はリスクがでかい

デメリット等級でも、前の保険が終了してから13カ月以上経過すれば等級はリセットされます。そこで、13カ月保険をつけずに我慢し続ければいいと思うかもしれませんが、この発想は危険です。

もし自動車保険をつけずに車に乗り続ける場合、自賠責保険だけの補償になってしまいます。もしこれで事故を起こすと、必要な補償を受けられない可能性があります。

自賠責保険は対人賠償のみの保険です。対物賠償や搭乗者の障害に対する補償は一切ありません。その上、対人賠償も被害者に対して最高4,000万円(死亡時は最高3,000万円)までとなっています。

過去の事例を見ると相手が死亡した場合、1億円近い損害賠償を請求されることも珍しくありません。そうなると、3,000万円だけではまかないきれません。

自賠責保険で足りない部分は全て自腹になってしまうので、自動車保険に加入しないのはリスクがでか過ぎます。

等級ダウンには3つの程度がある

等級ダウンには3つの程度がある
自動車保険を使った場合、等級がダウンする可能性が高いです。しかし、内容によっては程度が異なります。

等級がダウンする場合、「3等級ダウン」「1等級ダウン」「ノーカウント」の3種類に分類できます。

ここからは、ケース別にそれぞれがどのように違うのか説明していきます。

3等級ダウンの事例

交通事故で対人・対物賠償、車両保険を使った場合は3等級ダウンになります。

例えば、車同士や通行人、自転車にぶつかって相手が死亡やケガをした場合は3等級ダウンに該当します。また、建物や電柱にぶつかって対物賠償を使った場合も同様です。

もし事故を起こして、複数の保険を使う場合もあるでしょう。例えば、車と衝突事故を起こし、相手の車を壊して対物賠償保険、自分の車も壊して車両保険を使う場合が考えられます。

1つの事故で複数の保険を使っても、ダウンするのは3等級です。2個保険を使ったからといって、6等級ダウンすることはありません。

1等級ダウンの事例

運転者に落ち度のない不可抗力の事故に伴う保険の利用は1等級ダウンになります。

例えば、台風や竜巻などの自然災害、火災による車両の損害などが該当します。もしくは飛来物にぶつかった、落下中の物体と衝突した場合も1等級ダウンに該当します。

さらに駐車している車などにいたずらなどをされた場合も1等級ダウンです。車両保険は窃盗にあった場合も補償の対象ですが、これも1等級ダウンになります。

もし心配であれば、保険会社に1等級ダウンで済むかどうか問い合わせておくといいでしょう。

ノーカウント事故の事例

ノーカウントとは、自動車保険を使っても翌年の等級がそのままのものを指します。これは人身傷害保険や搭乗者傷害保険、無保険車傷害保険だけを使った場合が当てはまります。

自動車保険に特約を付けている方もいるかと思いますが、弁護士費用特約やファミリーバイク特約、個人賠償責任特約を付けていて、こちらを使った場合もノーカウントになります。

ノーカウントになるのは、上で紹介した補償だけを使った場合です。人身傷害保険だけならノーカウントですが、対物賠償保険も一緒に使っている場合には3等級ダウンになります。

ただし、保険会社によってノーカウント事故の定義が若干異なる可能性もあります。そのため、加入している保険会社に確認しておくのが賢明です。

事故有係数適用期間に注意

事故有係数適用期間に注意
自動車保険の等級制度には、「事故有係数適用期間」と呼ばれるものもあります。

等級によって保険料の割引率が設定されていますが、実は同じ等級でも「事故有係数」と「無事故係数」に分類できます。また、同じ等級でも事故有係数のほうが保険料も高いです。そのため、事故を起こして保険を使うと等級がダウンするだけでなく、この事故有係数で保険料が上がってしまいます。

事故有係数適用期間とは、事故有係数が適用される期間のことです。3等級ダウン事故の場合、向こう3年間は事故有係数が適用されます。

事故を起こして事故有係数が適用された場合、その後に無事故であれば4年後には無事故係数が適用されます。

事故を起こしても保険を使わない選択肢も

事故を起こした場合、安易に自動車保険を使おうと考えないことも大事です。保険を使用したら等級がダウンしますし、事故有係数が適用されるので保険料の負担が大きくなります。

車をどこかにぶつけて修理しなければならない場合、車両保険に入っていれば保険が利用できるかもしれませんが、3等級ダウンすれば、向こう3年間は少なくても保険料を余計に支払うことになります。

例えば、元の等級に戻るまでに10万円余計に保険料を支払わないといけないと仮定します。一方車の修理代が10万円以内であれば、保険を使わずに自費で直したほうがお得です。

このように損害額と保険料の値上がりとどちらが大きくなるかを考えて、保険を使うかどうか判断しましょう。

デメリット等級にならないためのコツ

デメリット等級にならないためのコツ
デメリット等級にならないためには、簡単に言えば事故を起こさないように常に心がけることが大事です。常に安全運転を心がけることで、事故リスクを少しでも低減できます。

まず、ながら運転は絶対にやめましょう。スマホを運転中にいじるなど、運転以外のことも行っていると注意力が散漫になり、事故が起こりやすくなります。

また、心にゆとりを持つことも大事です。あおり運転が社会問題になっていますが、中にはマナーの良くないドライバーもいます。そのような車や歩行者などに出くわすと、イラっとするかもしれませんが、イライラは注意力や集中力を低下させ、事故リスクを高めます。

「しょうがないな」と相手を許す、寛大な気持ちで運転することも大事です。

事故リスクの高い場面では特に注意

交通事故には、よく起きるシチュエーションがあります。そのような場面に出くわした際、特に注意を払うことで事故を未然に防止できます。

特に多いのは「バック時」「出合い頭」「追突」「右左折時」の4つです。この4種類の事故だけで、交通事故の6割以上を占めると言われています。

バックするときにはミラーだけでなく、目視でもしっかり確認することです。また、交差点で一時停止の標識があれば、しっかり車を止めて左右を確認しましょう。

相手が急ブレーキをかけることも想定し、車間距離を保つなど基本的なことを守って運転することが大切です。

まとめ

①自動車保険の等級は1~20等級があり、最初は6等級からのスタートとなる
②5等級以下になると「デメリット等級」と呼ばれる
③デメリット等級は保険料が割高になるなどのデメリットがある
④デメリット等級は13カ月以上経過しないと継承される

※本記事は公開時点の情報になります。
記事内容について現在の情報と異なる可能性がございます。
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