自動車保険は任意で加入する保険ですが、万が一事故が起きた場合にサポートしてくれるため、車を所有しているほとんどの方が加入しています。

しかし、自動車保険にかかる金額は安いものではありません。車を2台以上所有しているならなおさらです。

自動車保険には、2台目以降の保険料が安くなる「セカンドカー割引」というものがあります。この記事では、そのセカンドカー割引の条件や注意点について解説していきます。

セカンドカー割引とは?

セカンドカー割引とは?
車を2台以上所有しているとどうしても高くなってしまうのが、自動車保険料です。セカンドカー割引制度を使えば、その負担を少しでも軽減することができます。

セカンドカー割引とは、2台目以降の車で新たに自動車保険を契約する際に保険料が安くなる割引制度のことです。

通常、新規で自動車保険に加入すると、ノンフリート等級が「6等級」からスタートになりますが、セカンドカー割引なら「7等級」からスタートすることができるのです。等級が上がれば割引率が高くなるため、割引が適用された場合はおのずと保険料が安くなります。

しかし、セカンドカー割引には条件があります。その条件を満たさなければ適用されません。

ここからは、その条件がどのようなものなのかと自動車保険の等級についても解説していきます。

自動車保険の等級とは?

自動車保険の等級とは?
自動車保険の等級とは、保険料の割引率を決める区分のことです。その区分は1等級~20等級まであり、数字が増えていくごとに割引率も高くなります。

「ノンフリート契約」という言葉を聞くことがあるかもしれませんが、これは契約者の所有台数が9台以下の場合に使用されます。

一般的に、業者でない限り車を9台以上所有することはほとんどないでしょう。そのようなこともあり、自動車保険の等級は「ノンフリート等級別料率制度」とも呼ばれています。

ちなみに10台以上契約している場合は「フリート契約」という言葉が使われます。フリート契約も、基本的には1等級~20等級です。

等級は事故実績によって分類されます。ここで気になるのが、「どうすれば等級が上がるのか?」ということでしょう。

その答えは、無事故または事故の際に保険を使用しないということです。1年間無事故または保険を未使用だった場合は、翌年に等級が上がる仕組みになっています。そのため、無事故・保険未使用が何年も継続すれば、どんどん保険料が安くなります。

また、単に事故と言っても、事故の形態によっては等級が変わらない「ノーカウント事故」というものがあります。例えば、人身傷害や搭乗者傷害などです。この場合は保険を使用しても等級は変わらず、1年後に等級が上がります。

もし事故に遭遇した時にノーカウント事故になるかどうか分からない時は、保険会社に聞いてみると良いでしょう。

セカンドカー割引の条件とは?

セカンドカー割引の条件とは?
セカンドカー割引を適用するには、8つの条件があります。

具体的には「1台目の車に関する条件が4つ」と「2台目の車に関する条件が4つ」です。以下で詳しい内容を見ていきましょう。

条件①:1台目の車が11等級以上であること

セカンドカー割引は、1台目の車が11等級以上であることが絶対条件となります。そのため、無事故・保険未使用で順調に経過していたとしても、1台目の車の自動車保険を契約してから最低5年経過しなければ、割引は適用されません。

条件②:1台目の車の用途・車種が自家用8車種であること

セカンドカー割引は、1台目の車の用途や車種が、以下の自家用8車種に該当している必要があります。

  • 自家用普通乗用車
  • 自家用小型乗用車
  • 自家用小型貨物車
  • 自家用軽四輪自動車
  • 自家用軽四輪貨物車
  • 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン超2トン以下)
  • 自家用普通貨物車(最大積載量0.5トン以下)
  • 特殊用途自動車

全て自家用で使う車であることが必須になります。

条件③:1台目の車の所有者が個人であること

セカンドカー割引は、1台目の車の所有者が個人でなければなりません。

車の所有者を確認する際は、車検証を確認しましょう。所有者欄に個人名が記載されていれば大丈夫です。

また、所有者欄がディーラー、ローン会社、リース業者の場合は、車検証に記載されている使用者が所有者としてみなされます。

条件④:1台目の車の自動車保険の記名被保険者が個人であること

セカンドカー割引は、1台目の自動車保険の記名被保険者が個人でなければなりません。

所有者が個人でなければならない点と似ていますが、所有者と記名被保険者は別物なので、これはこれで確認する必要があります。

記名被保険者とは、契約する車を実際に使用する人を指します。そのため、運転する頻度が高い方や運転する時間が一番長い方にする場合がほとんどでしょう。

記名被保険者は自動車保険証券に記載されているので確認しておきましょう。

条件⑤:2台目の車が今回初めて自動車保険を契約する車であること

セカンドカー割引は、2台目の車が自動車保険を契約するのが初めてである必要があります。契約しようとしている保険会社だけではなく、他の保険会社でも同じように契約がないことが条件です。

しかし、保険会社によっては以前契約をしたことがある車でも、前の保険期間の末日から13ヵ月以上経過していれば、適用になる場合があります。そのため、詳しくは契約をする保険会社に確認してみましょう。

条件⑥:2台目の車の用途・車種が自家用8車種であること

セカンドカー割引は、2台目の車も用途や車種が限定されています。これは1台目の車と同じで自家用8車種です。

業務用などの車は対象外となるので気をつけましょう。

条件⑦:2台目の車の所有者が個人であること(条件付き)

セカンドカー割引は、1台目の車と同じように、2台目の車も所有者が個人でなければなりません。それと同時に、以下のような条件もプラスされます。

①1台目の記名被保険者と同じ人
②1台目の記名被保険者の配偶者
③①または②の同居の親族
④1台目の車の所有者と同じ人

①~④のどれかに該当していれば問題ありません。

また、所有者がディーラー、ローン会社、リース業者に該当する場合は、車検証に記載されている使用者を所有者とみなします。

条件⑧:2台目の車の記名被保険者が個人であること(条件付き)

セカンドカー割引は、1台目の車と同じように、2台目の車の記名被保険者も個人であることが必要です。さらに、以下のような条件がプラスされます。

①1台目の記名被保険者と同じ人
②1台目の記名被保険者の配偶者
③①または②の同居の親族

①~③のどれかに該当していれば問題ありません。

いずれも記名被保険者もしくは配偶者、同居の親族と、近い関係にある方が対象となります。そのため、まったくの他人では割引の適用になりません。

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保険会社が違ってもセカンドカー割引は適用されるのか

保険会社が違ってもセカンドカー割引は適用されるのか
自動車保険は、保険会社によって多少内容が異なります。そのため、自分に合った保険会社を選びたいと思うものです。

1台目の車で自動車保険を契約した時は、その保険会社が一番合っていたから契約をしたという方が多いでしょう。しかし、数年経って2台目の車の自動車保険を契約する際に、他の保険会社のほうが魅力的である可能性は十分考えられます。

セカンドカー割引は保険会社が違っていても上記で説明した8つの条件に該当していれば適用されます。「どこの保険会社で契約しているか」といった契約先に関する内容はないので、1台目の車と2台目の車の保険会社が違う場合でも、セカンドカー割引は適用されるということです。

セカンドカー割引を利用する時の注意点

セカンドカー割引を利用する時の注意点
セカンドカー割引は条件に該当すれば、誰でも利用できることが分かりました。しかし、利用するにあたっていくつか注意しなければならないポイントがあります。

ここからは、セカンドカー割引を利用する時の注意点を2つ説明していきます。

注意点①:セカンドカー割引の申し込みは自分でする必要がある

セカンドカー割引を利用する際は、自分から保険会社に申し出る必要があります。2台目の車を所有しているからといって、わざわざ保険会社のほうから教えてくれるわけではないので注意しましょう。

代理店型の保険会社の場合、担当の営業の人がいれば教えてくれる可能性はありますが、最近ではインターネットを使って保険に加入している方も多いでしょう。

車を2台以上所有している方は、セカンドカー割引の対象になるかどうか保険会社に確認してみましょう。

注意点②:補償の重複に気をつける必要がある

セカンドカー割引を適用して契約したとしても、1台目の車と同様の保険内容がある場合は、重複している分が無駄になってしまいます。

特に「人身傷害保険」「ファミリーバイク特約」「個人賠償特約」の3つは重複しやすいです。

補償内容がかぶらないようにバランスを見て契約すれば、保険料の節約になります。そのため、契約する前は1台目と2台目の保険の補償内容を見比べて確認するようにしましょう。

以下では、人身傷害保険、ファミリーバイク特約、個人賠償特約について、それぞれどのような内容なのかを説明していきます。

人身傷害保険

人身傷害保険とは、補償対象者が死傷した場合、治療費や休業損害などの補償をするものです。過失がない場合はもちろんですが、過失がある場合にも利用できます。

人身傷害保険には「①契約した車に搭乗している時の事故だけが対象の保険」と「②誰かの車に乗っている時や歩行中の事故も対象になる保険」があります。

例えば、1台目と2台目の両方に②のような補償内容がついていると、内容が重複してしまっていると言えます。

そのため、1台目を②の補償内容にしたら、2台目を①の補償内容にするというような工夫が必要です。

ファミリーバイク特約

ファミリーバイク特約は、バイクを運転している時に発生した事故を補償します。

補償の対象となる運転者は、自分やその配偶者、家族、別居している未婚の子供です。

1台目の補償にこの特約がついているのにも関わらず、2台目にもつけてしまうと無駄になってしまいます。そのため、2台目の補償内容にはファミリーバイク特約をつけないようにしましょう。

個人賠償特約

個人賠償特約は、車の運転の他に、補償の対象者が日常生活で他人を死傷させたり、物を壊したりした時の損害を補償します。

補償の対象となるのは、自分やその配偶者、家族、別居している未婚の子供です。

配偶者が自転車で他人にぶつかり、ケガをさせてしまった場合や、子供がお店の商品を壊してしまった場合などにも利用できます。

1台目の車にこの特約がついているにも関わらず、2台目の保険内容にも同じ特約をつけてしまうと重複してしまうので、気をつけましょう。

また、自宅の火災保険にこの特約がついているケースもあります。その場合は自動車保険でこの特約をつける必要はないので確認しておきましょう。

セカンドカー割引に必要な書類

セカンドカー割引に必要な書類
実際にセカンドカー割引を契約する際は、スムーズに進められるように事前に書類を揃えておくのがおすすめです。

セカンドカー割引に必要な書類は2つあります。

  • 1台目の保険証券
  • 2台目の車検証

1台目の保険証券は、11等級以上であることを証明するために必要です。セカンドカー割引の条件になっているので、しっかり確認しましょう。

2台目の車検証は、車種などの細かな車両情報を確認するために必要となります。車を購入したとしてもまだ納車されていなければ、まだ手元に車検証がない状態でしょう。その場合は、見積もりや車を購入した時の契約書といった車の所有者と用途車種がわかるような書類があれば、問題ありません。

セカンドカー割引以外で自動車保険をお得にする方法

セカンドカー割引以外で自動車保険をお得にする方法
これまでセカンドカー割引について解説してきましたが、補償内容を工夫すればさらに保険料を節約することができます。

ここからは、セカンドカー割引以外で自動車保険を安くする方法について紹介します。少しでも保険料を節約したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

車両入替+新規契約

1つ目は、車両入替+新規契約をする方法です。

具体的には、子どもが社会人になり車を購入した場合、親が入っていた保険の対象になる車を子どもの車、記名被保険者を子どもにして、新規で契約する保険の対象の車を親の車、記名被保険者を親にするというものです。

これでなぜ保険料が節約できるのかというと「年齢条件」と「等級」が関係しています。

車の自動車保険には年齢条件があります。一般的に、免許をとってまだ期間が短い若い人は保険料が高く設定されています。社会人なりたての子どもであれば、「年齢問わず補償」や「21歳以上補償」という内容でしか契約できません。そのため、車両入替をして親の等級を引き継げば、新規で契約する時よりも安くできるということです。

一方、親が新規で契約する際も、年齢条件で親の年齢に合わせて制限できるため、子どもが契約するよりも安くなります。これらの要因によって、保険料を節約することが可能となります。

車を運転する人の範囲を限定する

2つ目は、車を運転する人の範囲を限定するものです。

限定できる範囲は保険会社によって違いますが、一般的に「家族限定」「本人・配偶者限定」「本人限定」の中から選ぶことになるでしょう。それぞれの違いについて説明していきます。

家族限定

家族限定とは、車の運転者を家族に限定するものです。

この保険上の「家族」には、血縁関係がある親や子ども、配偶者、配偶者の親などの他に、同居している親族も該当します。

例えば、配偶者の弟が一緒に同居していれば、自分とは濃い血縁関係がなくても家族とみなされます。ここでいう親族とは、「6親等内の血族」「配偶者および3親等内の姻族」なので、配偶者のいとこであれば該当しません。

また、子どもが別居していても未婚であれば家族とみなされます。別居している子どもが結婚している場合は、別の家族となるため該当になりません。そのため、同じ敷地内に住んでいても、別棟で生活しているなら適用外です。

二世帯住宅に関しては、保険会社によって判断基準が分かれることがあるので確認しておきましょう。

本人・配偶者限定

本人・配偶者限定とは、運転者を自分とその配偶者に限定するものです。配偶者は一般的に婚姻関係が成立している相手のことを指します。

しかし、保険会社によっては事実婚や内縁関係でも配偶者とみなされるケースもあります。判断基準が異なるので、事前に確認してみると良いでしょう。

本人限定

本人限定とは、運転者を自分のみにするものです。限定する範囲が一番狭いので割引率がとても高く、保険料が安くなります。

仮に、たまに自分以外の人が運転する場合は、その日だけの保険をつけることも可能です。滅多に自分以外の人が運転しないのであれば、本人限定にすると良いでしょう。

まとめ

①セカンドカー割引の条件に該当すれば割引が適用される
②1台目と2台目の保険会社が違ってもセカンドカー割引は適用される
③セカンドカー割引は自分から申し込む必要がある
④それぞれの保険の補償内容の重複に気をつける
⑤セカンドカー割引以外にも、2台目以降の車の保険料を安くする方法がある

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