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近年増えてきたのが、春先から夏場にかけて突然猛威をふるうゲリラ豪雨です。これによって河川の氾濫などが原因で洪水が発生し甚大な被害を及ぼしています。

こういった洪水などが起こり、車が水没して壊れてしまうというケースが増えてきていますが、その場合の修理について心配になる人も少なくはないでしょう。自動車保険が適用されて修理ができるのか、万が一の時を考えると気になるという方も多いかもしれません。

そこで今記事では、洪水などのせいで起きた災害が原因で車が水没して壊れてしまった場合の保険対応について解説します。

車が水没したら修理ってできるの?

車が水没したら修理ってできるの?
洪水での冠水などが原因で愛車が水没してしまうと、車体にどのような影響があるのかということを確認していきます。

まず、前提として覚えておきたいのは、現在公道を走っている大半の自動車(特に平成以降に製造された車)には、電気関係の部品が多く使われているということです。車内でいえば「カーオーディオ」「エアコン」「パワーウィンドウ」などです。もちろんエンジンルーム内にもバッテリーだけでなく、車を制御している電気系統の部品が数多く使われています。

これだけでなく、車の車内外においては目に見えない部分で、「ハーネス」と呼ばれる電気系統を動かす配線が張り巡らされています。

車に限らず電気で動く機械にとって、電気系統が水で濡れてしまうということは避けなければならないものです。少しだけ濡れただけならばある程度は動くかもしれませんが、洪水などで冠水した場合などは、車が完全に水の中に長時間浸かってしまいます。

一般的に車が水没してしまった場合は「水没車」として扱われますが、車の状態によっては修理すれば問題なく乗れるものもあります。軽度の場合は車内の泥を綺麗に落とし、影響があった部分を修理すれば、乗り続けることはできるでしょう。

しかし、電気系統にダメージが入ってしまうと将来的にショートしてしまったり、車に悪い影響が出てしまうということも珍しい話ではありません。最悪の場合、「全損」扱いとなる場合もあります。

そうした水没車を修理をするといった時には、たとえ壊れていない部分であったとしても、電気系統の部位にダメージが入っていそうな場合はしっかりと交換をしないと安心して乗るのは難しいでしょう。

車が水没しまった場合、車両保険は使えるの?

車が水没しまった場合、車両保険は使えるの?
ゲリラ豪雨や台風などの影響で河川の氾濫が発生し、住宅街まで水があふれてきて冠水するようなニュースを耳にすることがあります。その際に、大切な愛車が水没してしまって壊れてしまう、という被害が増えてきています。

そうなってしまった場合に、加入している自動車保険を使った修理ができるのか気になるかもしれません。万が一の時のために加入している自動車保険が、こういった際に利用できないと困ってしまうでしょう。

ここでは、保険を使って車両を修理ができるかどうかの疑問を解消していきます。

車両保険に加入していれば車両保険が使える

そもそも自動車保険は、補償内容が大きく分けて4つにカテゴリー分けされています。

  • 対人
  • 対物
  • 人身傷害
  • 車両保険

この中の「車両保険」に加入していれば、洪水などが原因で愛車が水没してしまった場合でも修理をすることが可能です。

前述した通り、車は一度水没してしまうことで、見た目上は問題が無いように見えたとしてもハーネスなどといった電気系統が壊れていて修理できず全損になる場合があります。全損と判断された時には、時価相当額(保険証券に書かれている金額)の満額の保険料が支払われます。

ここで覚えておきたいのは、車両保険に「免責金額」を設定していた場合です。水没してしまった場合、車両保険の免責金額は引かれません。よって、自己負担額ゼロで車両の保険金額を受け取ることができます。たとえ古い車であっても、車両保険金額が10万円~20万円で加入することもできます。

河川の近くに住んでいる場合や、マンションの地下駐車場に駐車している場合など、水没する危険性が多い地域などに住んでいる人にとっては、車両保険に加入しておいても損は無いかもしれません。

洪水による被害で車両保険を使った場合、等級は下がる?

洪水による被害で車両保険を使った場合、等級は下がる?
水没による修理を車両保険で行ったり、全損時に車両の時価相当額の保険金を受け取った場合は、通常の交通事故と同様に等級が下がります。ここで確認しておきたいのは、等級がどのくらいダウンするのかということです。

通常の事故などで自動車保険を使用した場合、次年度の保険更新(契約時)に3等級ダウン事故という扱いになり、事故あり係数適用期間が3年となります。3等級ダウンで事故あり係数がつくと保険料が一気に高くなり、将来的な保険料負担が増加してしまいます。

洪水などで水没した場合は3等級ダウンではなく、1等級ダウン事故という扱いになり、事故あり係数適用期間も同様に1年です。このような処置となる理由の一つとして、1等級ダウン事故はあくまでも「自分自身が原因とならない事故」という見解があるからです。

自分自身がどれだけ気を付けていたとしても避けられない事故のため、通常の事故と同様に3等級ダウンさせるのは気の毒という見解の元、1等級ダウン事故ということになっています。

参考までに水没以外の1等級ダウン事故を紹介すると以下のようなものがあります。

  • 火災や爆発
  • 盗難
  • 落書き
  • 飛び石による窓ガラスの破損
  • いたずらによる被害
  • 飛来中または落下中の他物との衝突 など

これ以外にも補償されるケースがある保険会社もあるので、約款などを確認してみましょう。

車両保険を使った場合の等級ダウンについて再確認してみよう

車両保険を使った場合の等級ダウンについて再確認してみよう
車両保険を使って車を修理した場合の等級ダウンについて、改めて確認をしていきます。前項で「3等級ダウン事故」と「1等級ダウン事故」について触れましたが、等級が下がってしまうことによりどのような影響が出てくるのか解説していきます。

日本の自動車保険には「等級制度」が設けられており、1等級から20等級(一部の共済では21等級)の段階があります。段階ごとに保険料が設定されており、1等級が保険料が最も高く割り増しされていて、20等級(21等級)が最も安く、割引されるようになっています。

この等級については、保険契約期間(1年間)に保険を事故などで使用しなければ、1等級ずつ上がっていく仕組みとなっています。よって、3等級ダウン事故で保険を使用してしまうと元の保険料に戻るまで少なくとも3年はかかるということになります。

これに加えて、「事故あり係数適用期間」と呼ばれる項目が2013年10月から追加されています。各等級ごとに「事故あり」と「事故なし」の2つの保険料が設定されることになりました。

例えば、無事故で10等級に上がった場合と事故で保険を使って10等級に下がった場合だと、後者の方が圧倒的に保険料が高くなります。これは「無事故の人と事故があった人の保険料が同額だと不公平」という観点から設けられた制度です。

洪水の種類によっては保険が使えない場合がある?ケース別に確認してみよう

洪水の種類によっては保険が使えない場合がある?ケース別に確認してみよう
洪水での冠水といっても、洪水になるためにはさまざまな要因があります。原因としてはゲリラ豪雨や台風、津波といったものです。

もしこれらが原因で車が水没して壊れてしまった場合、実は保険が使用できるパターンとそうでないパターンが存在します。以下の項目では、それぞれ水没時に車両保険が適用されるのかされないのかという点について確認をしていきます。

近年は地震や台風といった自然災害が起こることも多いため、きちんとチェックすることが必要です。

台風や大雨による洪水で水没した場合

台風やゲリラ豪雨、高潮などによる洪水が原因で車が水没してしまった場合、車両保険を使った修理や全損時に保険料が支払われるかどうかという疑問について解説していきます。

このようなケースでは、車両保険を使うことが可能です。ポイントになる点として、台風やゲリラ豪雨、高潮による被害は「自然災害」という共通点があります。こうした「自然災害」が原因で車が壊れてしまった場合は、保険を使って修理を行うことができます。

自動車保険は大きく分類すると損害保険の1ジャンルですが、住宅が加入する火災保険についても同様に、台風やゲリラ豪雨、高潮による被害でも保険金が支払われるシステムです。

損害保険は過失がある場合でも万が一の際の備えとして加入するものですから当然かもしれませんが、こういった不意に起きる自然災害で被害を被った場合に頼れるというのは心強いでしょう。

温暖化の影響などもありゲリラ豪富が頻繁に発生し、1年に1回以上は国内のどこかで被害が発生するというニュースがたびたび見られることもあり、こうした保険を活用するのも一つの手段です。

津波が原因で水没した場合

次に想定できる水没のパターンは、津波による被害です。

津波は地震が起こった際に発生します。日本は全国的に地震が多い国で、沿岸部では地震以外にも津波による被害を受ける確率が非常に高いです。

一番記憶に新しいのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災での津波被害でしょう。この津波により、多くの車が流され水没をしました。

2011年の津波被害をはじめとした、地震を起因とした水没被害については、現状の日本国内の自動車保険の制度では「保険適用外の事故」という扱いです。

大きな地震が来れば、車を路肩に置いたまま避難をする場合もあるかもしれません。その際に、緊急通行車両(警察、消防、自衛隊などの車両)の通行を確保するため車両の移動などが必要な場合、やむを得ず車を破損された場合には、自己負担なしで修理をすることができる場合があります。

また別の災害となりますが、火山の噴火が原因で車が壊れてしまった場合は「地震と同様に車両保険適用外の事故」となります。

車両保険を使った修理ができるケースとできないケース

車両保険を使った修理ができるケースとできないケース
車両保険には、一般型とエコノミー型(保険会社によっては「車対車+A」という名称もあり)という、2つの契約プランがあります。

台風やゲリラ豪雨、高潮などで発生した洪水が原因で冠水してしまった場合、どちらの保険プランに加入していても保険を使った修理や保険金の受取が可能です。しかし、水没以外が原因で車が壊れてしまった場合、加入している車両保険のプランによっては、修理することができるものとできないものも出てきます。

ここでは車両保険の双方の契約プランで、水没以外の車の破損を修理できる範囲について確認をしていきましょう。

加入している車両保険が「一般型」の場合

自動車保険で加入している契約プランが、「一般型」の場合を解説していきます。

前述した地震や地震が原因となって起こった津波による水没、火山の噴火による損害以外の車両の破損については全て、保険を使用した修理や保険金の受け取りをすることができます。エコノミー型と違い、保険料の高いプランとなるため、補償内容が充実しているといえるでしょう。

一般型の自動車保険の場合は、上述した自然災害以外の車の破損について保険でカバーすることができます。例えば、運転にあまり慣れておらず電柱やガードレール、ブロック塀などに車をうっかりこすってしまった場合にも、車両保険を使用することができます。

駐車中に当て逃げをされたり、いたずらをされて車に傷を付けられたりした場合にも保険を使えます。さらに、高速道路などを走っていて、前方車両などのタイヤに挟まった小石が飛んできて窓ガラスが割れてしまった、という場合においても保険を使用することが可能です。

「地震や火山以外で車が壊れた場合に、ほぼ全て保険を使って修理ができる」というような保険内容になっています。

加入している車両保険が「エコノミー型(車対車+A)」の場合

車両保険の契約時に保険料を下げられるからといった理由で「エコノミー型」(保険会社によっては「車対車+A」という名称もあり)を契約してしまったという場合には注意が必要です。それは、一般型よりも保険料が安い分、車両保険で修理ができる範囲が限られてくるためです。

エコノミー型のような保険料を抑えた車両保険に加入している場合、「相手の自動車がわからない事故」については、保険を使った修理を受けられなくなります。

この事故の例として、電柱やガードレール、ブロック塀などに車をうっかりこすってしまった場合や、駐車場に車を止めていたらあて逃げされてしまった場合が該当します。これらの場合は保険が下りず、自費での修理を余儀なくされるため注意が必要です。

他の内容については、一般型の自動車保険と同様に、保険を使用した修理を受けたり保険金を受け取ることができます。つまり、こういった保険を契約する場合には、いわゆる「自損事故」と「当て逃げ」が起きた際には、実費で支払うということを割り切るしかなくなります。

ちなみに「車対車+A」の正式名称は「車対車事故および限定危険事故」の略称で、限定危険事故に含まれるのは盗難や水没、落下物などによる破損やいたずらなどによる破損などです。

水没以外の災害でも車両保険は使えるの?

水没以外の災害でも車両保険は使えるの?
前述した通り、ゲリラ豪雨や台風、高潮が原因で発生した洪水によって車が水没した場合には、車両保険を使って車の修理や全損時に保険金を受け取ることができます。

しかし、地震が原因で車が壊れてしまったり、津波によって水没してしまった場合、火山の噴火によって車が壊れてしまった場合には車両保険を使うことができません。

こうした災害が起きないことに越したことはありませんが、発生してしまった場合の車両の破損は仕方のないことでもあります。自然災害が発生した場合においては、元通りの生活に1日でも早く戻るために、なるべく多くのお金を受け取りたいという気持ちも強くなるかもしれません。

そういった場合に、保険の契約内容によっては保険金を少しでも多く受け取ったりすることができるケースも少なからずあります。ここでは、その方法について紹介をしていきたいと思います。

水没などの全損時に役に立つ特約はこれ

車両保険は基本的に「保険対象の車のその時の価格(時価)」を上限として修理費を支払ってもらえたり、保険金が支払われるようになっています。

しかし、年数が経過した車などの場合においては、支払われる保険料が少なくなってしまい、修理費が全額賄えなくなってしまうということもあるかもしれません。その際に、追加費用はかかってしまいますが、車両保険に追加オプションとして付属できる「特約」を保険内容に付加しておくことで事故が起こった際の保険金を増額することができます。

ここでは、車両保険の契約時において万が一の時に利用できる、おすすめの特約を3種類紹介します。

1.車両新価保険特約(新価特約)

最初に紹介する特約は、新車で車を購入した場合には加入しておいた方がいい特約です。それは「車両新価特約(通称:新価特約)」というものです。

通常の車両保険の場合、契約1年目は新車購入時とほぼ同額を上限に保険金が支払われます。しかし、2年目3年目と年数が経っていくと、だんだんと車両金額が下がっていきます。もし3年目に水没して全損となってしまった場合には、大体1年目の6割程度しか保険金が支払われません。

しかし、「新価特約」に加入しておくと、初年度登録から5年間は1年目に設定された保険金額が保証されます。これだけでなく「新価特約」には各保険会社が「契約の自動車が全損になった場合、または修理費が新車価格相当額の50%以上となった場合」という内容を記しています。

つまり、車両金額の半額(300万円の車の場合は150万円以上)の修理費がかかると判断されたら、新車に乗り換えることもできるでしょう。

仮に水没してしまった場合、多くの場合は半損以上の損害になることが多いです。しかし、「新価特約」があれば、新車に乗り換えることもできます。

この特約は、新車購入時~61ヶ月(保険会社によって多少異なる場合がある)時のみしか付加することができません。新しい車に乗っている場合には加入を検討するべき特約です。

2.車両全損修理時特約

2つ目に紹介する特約は、現在乗っている車が5年以上経過している場合に加入を検討したいものです。それは「車両全損修理時特約(車両全損時諸費用特約と故障する保険会社もあり)」という特約です。

この特約は、車両保険価格(時価相当額)プラスアルファの費用が支払われることで、時価相当額を超えた場合の修理費の補填として使用できたり、やむを得ず次の車を購入する際の費用の足しになったりしてくれます。

例えば、時価相当額が50万円の車が交通事故に遭ったり、水没してしまって修理が必要となった場合、修理費が80万円と判断されてしまったケースを考えてみます。こういった場合には全損扱いという形になり、いくら修理費が80万円かかるとわかっていたとしても、上限額の50万円しか保険金が支払われません。

しかし、この特約を付加しておくことで、上限を50万円として保険金に上乗せをして支払われます。

特に、車両が水没してしまった場合には、エンジンの載せ替えやそれに付随する電気系統の交換などで修理費が非常に高額になってしまうこともあるかもしれません。事故修理の場合においても、事故の度合いによっては板金費用が高額になる場合があります。

修理をするにしてもしないにしても、この特約を付加しておけば修理費などに充てられるため、年数の経過している車は加入しておいて損は無い特約といえます。

3.地震・噴火・津波車両全損時一時金特約

最後に紹介する特約は、「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」です。

地震や地震によって発生した津波、火山の噴火などによる損害は、前述した通り車両保険が適用されません。しかし、この特約を付加することで、全額とまではいきませんが50万円を上限に保険金が支払われます。

新車を購入したばかりであっても、これらの被害にあった際には、新価特約があっても保険金は支払われません。よって、この特約があることで、少額かもしれませんが次の車の購入費用の足しにすることもできます。

保険料については年間5,000円程度で、毎月400円程度の加入しやすい保険です。ちょっとした節約で加入することもできるため、もしもの時のために検討してみるのもいいでしょう。

自動車保険の内容についてわからないことなどはプロに相談してみよう

自動車保険の内容についてわからないことなどはプロに相談してみよう
自動車保険は特約などを含めると非常に奥が深いため、詳細まで知らないという人も少なくはありません。保険を使いたい場面に際して、契約内容ではカバーされなかったというようなことも起きてしまう可能性があります。

対面の契約ではない「ネット型の自動車保険」も増えてきていることも要因の一つでしょう。保険の内容をあまり聞かずに保険料の安さだけで保険を契約してしまい、内容について何も知らないという人たちが増加し、その傾向が強くなっていくと想定されます。

自分がどの自動車保険に入れば良いのか、内容について少しでも疑問や気になる事項などがある場合は、保険のプロに相談するのよいかもしれません。多少保険料が高くても、代理店で自動車保険に加入することを強くおすすめします。

たかが自動車保険と思うかもしれませんが、新車で車を購入したら数百万円の財産を保有することになります。それが知識不足などで無駄になってしまうということは避けなければなりません。そのため、しっかりと保険の内容について理解をして、最適な保険に加入しましょう。

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まとめ

①車が水没して壊れてしまった場合は、車両保険に加入していれば修理することができます。
②地震が原因となる津波で水没した場合は車両保険が使うことができない。
③車両保険には2つの契約プランがあり、特に「エコノミー型」を契約している場合は修理範囲が限られます。
④車両保険を使った場合は基本的に3等級ダウンだが、水没で保険を使った場合は1等級ダウンします。
⑤車両保険の基本部分でカバーできない保証は、各種特約に加入することである程度カバーできます。
⑥自動車保険についてわからないことはプロに聞くことをおすすめします。

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