車検を控えていると、費用と同時に検査で落ちるかどうかも気にする方は多いでしょう。検査内容は幅広く、外観から機能面まで細かくチェックされます。

もし不合格になると、追加の整備費用や再検査の手配が発生しやすく、時間と予算の負担が増えがちです。

この記事では、車検の検査項目の概要や不合格になりやすい部分、事前に行うと良いセルフチェックのポイントを解説します。

合格を狙うために必要な知識を押さえ、安全なドライブ環境を整えてください。事前準備をしっかり行うことで、スムーズに受検が進みやすくなります。

ポイント
  • 車検では、安全基準を満たしているかを多角的に判定します。
  • 車検証と車両情報が一致しないと検査を始められません。
  • 外装や下回りは目視で細かくチェックされ、不具合があると不合格になりやすいでしょう。
  • 測定器を使う検査ではブレーキや排出ガスなどを基準値内かどうか確認します。
  • 不備のある箇所は修理を行う必要があり、放置すると費用や日数がかさむケースが多いでしょう。

車検の検査項目を把握して通過できるよう準備しよう

車検の検査項目を把握して通過できるよう準備しよう
車検では、車体の安全性や排ガス基準など、幅広い項目に目が向けられます。実際の検査項目を理解しておくと、車検で不合格になりやすい箇所を事前に対策が可能です。

ここから紹介する検査内容を把握しておけば、急な修理費用や再検査を回避しやすくなり、余計な出費を抑えられます。

車検は法律で定められた基準を満たすかどうかを判定する大切な手続きです。安全運転を続けるうえでも、各項目をしっかり理解しましょう。

車検の検査項目①:車検証との同一性

車検の検査項目①:車検証との同一性
車検証と実車の情報が合わない場合、検査を実施できません。車台番号や型式、所有者情報などが明確に一致していないと、手続きを進める前段階でストップする可能性があります。

名義変更後に書類を更新し忘れている、改造で型式が変わったのに届出をしていないなどの場合は要注意です。車台番号の削り取りや改変した形跡があると、重大な不正とみなされ、深刻なトラブルになる場合もあります。

中古車を譲り受けたときは、早めに車検証を再確認して不備を解消しておきましょう。所有者情報が古いままだと、納税通知などの受け取りにも支障が出るため注意が必要です。

車検の検査項目②:目視による外回りの検査

車体外側の点検は、保安部品の取り付け状態や損傷の有無などを視覚的に確認する工程です。わずかな割れや取り付け不良でも、安全上のリスクが高いと判断されれば、不合格になる可能性があります。

小さなヒビやガタつきを放置すると後々大きな問題へ発展するため、日頃から外観チェックを習慣化してください。

電気系統

電気系統
ヘッドライトやウインカー、ブレーキランプなどの点灯状態は安全に直結するため、検査で厳しく見られます。光量不足やレンズの曇り、配線の不具合は視認性低下につながり、不合格要因になることも考えられます。

警告灯が正常に作動しない場合は、エンジンや電装系に問題があるとみなされやすいでしょう。クラクションの鳴動確認も重要で、故障でまったく音が出ない場合は車検で指摘されます。

定期的に電球や配線の状態をチェックしておけば、急な不点灯を防ぎやすくなります。夜間走行が多い方は、レンズの汚れや光量不足に注意し、メンテナンスを徹底しましょう。

タイヤ

タイヤの溝が浅い、亀裂や膨らみがあると、車検で不合格になる確率が高まります。

路面との接地面がしっかり確保されない状態だと制動距離が延びやすく、安全面でも不安を抱えることになるでしょう。特に、溝が1.6ミリメートル以下ならスリップサインが出るため交換が必須です。

サイドウォールに目立つ傷がある場合も危険とみなされるため、早めに交換を検討してください。空気圧が適切でない場合も燃費やハンドリングに悪影響が及びます。

車検当日に慌てないためにも、日頃から空気圧や摩耗状態をこまめに点検しておきましょう。

ワイパー

ワイパー
ワイパーが正常に動作しないと、前方の視界が確保できないとみなされます。ゴムが劣化して拭き取りにムラがある、動作音が異常に大きいなどの症状がある場合は、検査前に交換すると安心です。

雨天や降雪時に活躍する部品だけに、安全確保の観点で重要視されやすい項目といえます。

ワイパーアームのさびや変形も問題視される可能性があります。適切な視界を保つためには、ゴムの柔軟性を失わないよう定期的に手入れを行い、ウォッシャー液と併せて管理を徹底してください。

ウィンドウォッシャー

フロントガラスの汚れを洗い流すウィンドウォッシャーは、安全運転に欠かせない装置です。液が噴射されない、ノズルの向きが大きくずれているなどの異常があれば、車検で不合格の可能性が高まります。

ウォッシャー液の残量不足も指摘されやすいため、受検直前に補充するだけでなく、ポンプの作動音なども確認してください。ノズル詰まりは細いワイヤや空気などで清掃すると改善される場合があります。

特に冬場は凍結のリスクもあるため、不凍タイプのウォッシャー液を活用するなどの予防が大切です。

ウィンドウガラス

ガラスの透明度や表面の傷は、対向車や歩行者を視認するためにも重要です。

ヒビ割れや飛び石による欠けがあると、安全を損なうと判断され、不合格となる可能性が高まります。フロントガラスやサイドガラスに濃いフィルムを貼り付けている場合も、可視光線透過率が基準未満であれば注意が必要です。

一見わずかなヒビでも振動や外的衝撃で拡大するリスクがあるため、早めの修理や交換が望ましいでしょう。ガラスの内側に汚れや油膜が付着していると視界が悪化する場合があるため、定期的に専用クリーナーで清掃してください。

発煙筒

発煙筒
緊急時の安全対策として車内に備えられる発煙筒は、車検でも常備と有効期限を確認します。有効期限が切れている場合や、装着位置が不明瞭だと指摘されるケースがあります。

高速道路や夜間のトラブルでは、周囲に存在を知らせるうえで欠かせません。警告灯だけでは不十分と判断される状況もあるため、発煙筒の期限は定期的にチェックしておきましょう。

万一発煙筒を使用する機会があったら、速やかに新しいものを補充する姿勢が大切です。

車検で最初に行われる検査は何ですか?
車検で最初に実施されるのは外観検査です。車体に極端な改造が施されていないか、灯火類やミラーなどの外装部品が基準に適合しているかを目視で判断します。ここで不備が見つかると、次の工程へ進む前に整備を求められます。車高が大幅に下がっている改造車や、大型のエアロパーツを取り付けている車両は注意が必要です。
車検証の記載と外観の不一致があると、その時点で検査終了になることもあるため、事前の対策が欠かせません。外装に関する法規制を把握すると、余計な費用や再検査を避けやすくなります。
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車検の検査項目③:目視による下回りの検査

下回りの検査では、車体底部の腐食や油漏れ、サスペンション周りのゆるみなどを直接確認します。

外装以上に見えにくい部分だけに、不具合を放置したまま乗り続けているケースが少なくありません。そのため、思わぬ整備費用がかかってしまうケースも。特に錆びやすい地域で乗っている方は注意が必要です。

ブーツ類

ブーツ類
ドライブシャフトやステアリング部などの可動部を保護するブーツ類に破損や亀裂があると、内部のグリスが流出して部品摩耗を招きます。運転時の異音や振動の原因となり、安全性を脅かす恐れがあります。

車検ではリフトアップして細かな箇所まで目視で確認するため、小さな破れでも見逃されません。

費用が比較的安価な部品交換で済む場合が多いため、ひび割れを見つけたら早めに対処するほうが結果的に出費を抑えられます。長期間放置したままだと、周辺パーツにダメージが及び、修理費用が膨らむおそれがあります。

マフラー

マフラーに穴や亀裂があると排気漏れが発生し、有害ガスが車内に侵入する恐れがあります。大きな音が出る改造マフラーは保安基準を上回る騒音とみなされ、不合格に直結する可能性もあるため注意が必要です。

社外品を装着している場合、基準を満たしていれば問題ありませんが、車検ラインで実際の排気音を測定されるケースがあります。腐食しやすい金属部品ゆえ、定期的なチェックが大切です。

排気周りを整備しておくと車内環境も快適になり、環境への負荷を抑えやすくなります。

オイル漏れ

オイル漏れ
エンジンやミッション、パワーステアリングなど各部からオイルが漏れていないかを確認します。路面を汚染するだけでなく、他車の事故リスクを高めるとみなされる場合があるため、車検では厳しく点検されます。

にじみがわずかでも配管やシールが劣化している可能性が高く、大きなトラブルに発展する前に整備が必要です。

オイル漏れを放置するとエンジン焼き付きやギアの不具合に発展するケースがあり、修理費用が急激にかさむ例も少なくありません。定期点検で早めに対策を行いましょう。

連結部分

サスペンションやステアリングなどの連結部がゆるんでいると、走行時に異音や振動が発生し、コントロール不能に陥るリスクがあります。

車検ではリフトアップした状態で、ボルトやナットの締め付けやブッシュの消耗具合を細かく目視します。

車齢が高い車両は、接合部が錆びて固着している場合もあり、整備の際に部品ごと交換が必要となるかもしれません。

緩みや破損を抱えたまま走行し続けると重大な事故につながるため、検査前の点検が重要です。早めに緩みを修正すると、乗り心地の改善も期待できます。

車検時にタイヤの溝の深さはどの程度必要ですか?
タイヤの溝が1.6ミリメートル未満の場合、スリップサインが出ている状態と判断され、交換が必須です。これを超える溝が残っていても、経年劣化で硬化しているタイヤは制動性能が落ちる場合があります。十分な溝があっても亀裂や偏摩耗が見られる場合は、やはり交換をおすすめします。
安全性を保つためにも普段からタイヤを点検し、明らかな摩耗を発見した段階で早めに交換しておくことが重要です。

車検の検査項目④:測定器を利用する検査

測定器を活用した検査では、外観や目視だけでは把握しづらい性能を数値化して確認します。ブレーキや排出ガス、ヘッドライトの光量などは装置を使うため、正確に基準を満たしているか厳格にチェックされるでしょう。

ここからは、測定器を利用する検査について詳しく紹介します。

サイドスリップ検査

サイドスリップ検査
サイドスリップ検査では、ステアリングを直進位置に保ったまま、車が左右にずれていないかを専用測定台で確認します。

タイヤの取り付け角度やアライメントが狂っていると、片側にだけ摩耗が進む場合があります。燃費にも悪影響を与えやすいため、定期的な調整が推奨されるのです。

車検ラインで一定距離を走らせ、ずれ幅が基準値内に収まっているかを計測します。まっすぐ走っているつもりでも、数値的に基準を超えていれば不合格となるため、事前に整備工場で確認するのが安心です。

ブレーキ検査

ブレーキの効き具合は安全性に直結するため、ローラー式などの装置で正確に測定します。フットブレーキとパーキングブレーキの両方が均等に機能し、左右差が大きくないかなどを数値で判定します。

ブレーキパッドやローターの摩耗、ブレーキフルードの残量や劣化状況が悪い場合、制動力が低下しやすくなるのです。車検前にブレーキ周りを点検し、不安があるときは早めに交換やオーバーホールを実施してください。

安全面だけでなく、走行時の安定感にも影響を及ぼす大切な箇所です。

スピードメーターの検査

スピードメーターの表示と実際の速度が大きく乖離していると、法定速度を守りにくくなります。検査ではローラー上を一定速度で回し、計器の表示と実測値の誤差が規定内かを判断します。

メーターが故障している場合や、タイヤサイズを変更している車両は誤差が出やすいため要注意です。誤差が大きいまま放置すると、車検だけでなく日常の安全運転にも支障をきたします。違反切符を切られるリスクも上がるため、早めに整備しておくことが望まれます。

排出ガスの検査

排出ガスの検査
マフラーから排出されるガスに、基準を超える一酸化炭素や炭化水素が含まれていないかを測定器で計測します。

触媒が劣化している、エンジン調整が不適切などの要因で排出ガスが汚染物質を多く含む場合は、不合格になりやすい傾向があるのです。

環境保護の観点から、年々規制が厳しくなる傾向があります。

オイル交換やプラグ交換などを定期的に行っていれば、燃焼効率が改善され、排ガス基準をクリアしやすくなります。燃費向上にもつながるため、こまめなメンテナンスが重要です。

ヘッドライトの検査

ヘッドライトは夜間やトンネルなどでの視界を確保する装備です。光量や光軸が基準に適合しているかを測定器で調べ、ずれや不足があれば整備が必要です。

HIDやLEDの後付けライトであっても、正しい規格を満たしていれば合格できます。

レンズ内部が曇っている場合は光量不足の原因になるため、クリーニングやレンズ交換を検討するのがおすすめです。

路面をしっかり照らすためにも、日常的に汚れを拭き取り、純正規格との適合を意識してください。

バッテリーの検査

バッテリーの検査
バッテリーはエンジン始動や電装品を安定して動かすために欠かせません。車検ではバッテリーがしっかり固定され、端子部分が腐食していないかなどをチェックします。

比重計などを使い、寿命が近い場合は交換を検討したほうが安心です。バッテリーが突然上がると道路上で立ち往生し、事故や渋滞を引き起こす可能性があります。

特に寒冷地では負荷がかかりやすく、消耗が早まるケースがあるため、日頃から電圧を確認し、必要に応じてメンテナンスを行うと良いでしょう。

車検でフロントガラスに貼っているフィルムは問題になりますか?
フロントガラスや運転席より前側のサイドガラスに貼っているフィルムは、可視光線透過率が70パーセント未満だと不合格になる恐れがあります。視界不良によって事故のリスクが上がるためです。
貼り付ける場合は、事前に透過率を測定するか、対応品を選ぶ必要があります。透過率が基準を超えていても、ガラスに傷や浮きがあると検査員の判断次第で指摘されることがあります。

車検で落ちやすい検査項目

車検で落ちやすい項目として、サイズ変更が大きい車体や過度な車高ダウンが挙げられます。最低地上高を確保できない車両は、段差や路面の障害に対処しづらいとみなされるため、安全面の観点で不合格に直結します。

また、反則金の滞納がある場合は手続き自体が進まず、未納分の支払いを済ませないと車検を受けられません。

フロントガラスやサイドガラスの透過率が低い車両は、視界が悪くなるため落ちる可能性があります。

エンジンルームからのオイル漏れ、摩耗しきったタイヤ、ひび割れが進行しているガラスなど、安全に直結する箇所の不備は厳しくチェックされます。

事前に整備しておくことで、予期せぬ出費と再検査を回避しやすくなります。

車検前にセルフチェックしておきたい項目

車検前にセルフチェックしておきたい項目
車検を受ける際に、あらかじめ自分でチェックしておくと費用や時間を節約しやすくなります。

消耗品や液漏れなどは日常点検の範囲でも確認しやすいため、早めに気づいて整備工場に相談すれば、大きなトラブルを回避できます。

エンジンルーム

エンジンオイルやクーラント、ブレーキオイルなどの液量や変色、漏れがないかを点検してください。定期的なオイル交換を実践すればエンジンの寿命を長く保ちやすく、燃費向上にもつながるでしょう。

ウォッシャー液の残量も不足すると視界確保が難しくなる場合があります。ベルト類の緩みや損傷があると走行中に異音が発生し、突然の故障に発展するおそれがあります。

エンジンルームは熱や振動の影響を受けやすい部位のため、細部まで意識して確認するのが大切です。

車内

車内では、メーターや警告灯が正常に表示されるかを確認します。常に点灯している警告灯がある場合は、センサーや制御系が不具合を抱えている可能性が高いでしょう。

シートベルトの巻き取り機能やロック機構に不調がないかもチェックします。

ホーンを鳴らして音量や反応を確かめれば、いざのときでも安全確保に役立ちます。

ワイパーやライトスイッチの操作感も見逃せません。

車内は直接運転に関わる部分のため、日ごろから気になる症状は早めに整備工場に相談するとスムーズです。

タイヤ・ガラス

タイヤは摩耗が進んでいないか、空気圧が適正かをチェックします。左右の偏摩耗がある場合はアライメント調整が必要なケースが考えられるため、早めに点検してください。

ガラスはフロントやサイド、リアを問わずヒビや欠けの放置が問題化しやすく、車検前に修理や交換を済ませるとスムーズです。透過率の低いフィルムを貼っている場合も基準に適合しているかを確認し、問題がある場合は剥がしておくと再検の手間を省きやすくなります。

安全運転を守るためにも、視界の良好さは重視しましょう。

まとめ

①車検では外観と機能の両面から厳しく検査する
②車検証と車両情報の相違があれば受検自体が不可能
③下回りや外装の小さな不具合も見逃されず、不合格につながる
④測定器を活用した検査は数値基準を精密に確認する
⑤前もって整備を進め、スムーズに車検を通過する姿勢が大切である

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