軽自動車の車検は、法定費用が必ず発生する重要な手続きです。

法定費用は、どの業者で車検を受けても基本的に変わりません。しかし、車の年式や状態、受ける場所によって若干の変動があるため、あらかじめ内訳をしっかりと理解しておくことが大切です。

この記事では、軽自動車の車検における法定費用の詳細や、車検が受けられる場所ごとに、その特徴や相場を解説していきます。

また、車検費用を抑える方法についても紹介するため、参考にしてください。

軽自動車の車検時に法定費用がかかる

軽自動車の車検時に法定費用がかかる
軽自動車の車検には、法定費用として必ず支払わなければならない項目が存在します。これらの費用は国によって金額が決められているため、基本的にどの整備工場で車検を受けても金額がほとんど変わりません。そのため、あらかじめ法定費用の内訳をしっかりと理解しておくことが大切です。

法定費用の主な項目には、「自賠責保険料」「自動車重量税」「印紙代」が含まれます。それぞれの費用が何に基づいて決定されるのかを知っておくことで、車検時の予算計画を立てやすくなるでしょう。

法定費用の内訳

車を所有している以上、定期的に車検があります。その際にかかる費用の中でも、多くの方が気になるのが法定費用です。

法定費用には、自賠責保険料、自動車重量税、印紙代の3つが含まれています。これらの費用は、それぞれ目的が異なり、支払う金額も車の状態や車検を受ける場所によって変動する場合があります。

ここでは、法定費用の各項目について詳しく解説しながら、なぜこれらの費用が必要なのかを考えていきましょう。

自賠責保険

自賠責保険の正式名称は「自動車損害賠償責任保険」といい、すべての車両に加入が義務付けられた国の保険制度です。

この保険の大きな目的は、交通事故の被害者を救済することにあり、相手に対する最低限の賠償をカバーします。

例えば、事故で相手にけがを負わせた場合など、対人事故に関する賠償が主な対象です。物損事故については対象外であるため、相手の車両や物損に対する補償はされません。

ほとんどのドライバーは自賠責保険だけでなく任意保険に加入し、カバーしきれない部分を補うのが一般的です。

しかし、たとえ任意保険に加入していても、自賠責保険に未加入の状態で公道を走ると法律違反となり、罰則が科されます。具体的には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるため注意が必要です。

自動車重量税

自動車重量税は、その名の通り車両の重量に基づいて課税される税金です。

ただし、軽自動車の場合は普通自動車とは異なり、重量による課税の差はありません。その代わり、車両の経過年数やエコカー減税の適用可否によって税額が変わります。

新車で購入した軽自動車の場合、初回の車検時には比較的安い金額で済みますが、年数が経過するごとに税額が増加する仕組みです。具体的には、経過年数が13年を超えると税額が上がり、さらに18年を超えるとより高くなります。

また、エコカー減税の対象車であれば、条件を満たすことで税金が大幅に軽減されることがあります。例えば、燃費性能が優れたハイブリッド車や電気自動車などは減税や免税の対象となるケースが多いため、環境性能に優れた車を所有している場合はメリットが大きいでしょう。

印紙代

印紙代は、車検を受ける際に必要な各種手続きや検査を証明するための費用です。これは、車検を受ける場所や工場の種類によって金額が異なります。

「指定工場」と呼ばれる設備の整った工場で車検を受けた場合、すべての検査工程をその場で完結できるため、印紙代は比較的安く済みます。

一方で、「認証工場」の場合は、一部の工程を外部の検査場で行うため、印紙代が若干高くなる仕組みです。

2021年時点では、指定工場での印紙代は1,100円程度、認証工場での印紙代は1,400円程度です。差額は数百円程度ですが、車検の利便性や整備内容を考慮して工場を選ぶと良いでしょう。

例えば、指定工場であればその場で車検が完結するため、時間を節約したい方に向いています。一方、細かい整備や部品交換を必要とする場合は認証工場での検査も選択肢に入れると良いでしょう。

車検時にかかる法定費用以外の費用について

軽自動車の車検には、必ず支払わなければならない法定費用のほかに、業者への依頼に伴って発生する基本料金や車の状態によって異なる整備費用がかかります。

これらは車の状態や依頼先の整備工場によって金額が大きく変動するため、事前に内訳をしっかり把握しておくことが重要です。特に、車検時に交換が必要な部品が多い場合は、法定費用以上の出費が発生することもあるため、余裕を持った資金計画が必要になります。

基本料金

基本料金
基本料金は、車検の際に業者が行う一連の点検や手続きにかかる費用を指します。この中には、24ヶ月定期点検料、保安確認検査料、車検代行手数料などが含まれます。

これらは車検を通すために欠かせないものであり、車の状態に関わらず必ず支払わなければなりません。

24ヶ月定期点検料は、車の各部品が正常に機能しているかどうかを確認するための重要な点検です。エンジンやブレーキなどの基本的な部品だけでなく、排気ガスの状態や電気系統などの細部に至るまで徹底的にチェックされます。この点検によって異常が見つかれば、必要に応じて修理や部品交換が行われることになります。

保安確認検査料は、車が法律で定められた安全基準を満たしているかどうかを確認するための検査費用です。ブレーキ性能やタイヤの摩耗具合、ライトの点灯状態などがチェック対象となり、ここで基準に達していない場合は車検に合格しないため、整備が必要となります。

さらに、業者に車検を代行してもらう際には、各種書類の手続きにかかる車検代行手数料も基本料金に含まれます。

整備費用

整備費用
車検時に発生する整備費用は、車の劣化具合や部品の状態によって大きく変動します。特に消耗が激しい部品や法定基準を満たしていない部品がある場合、それらを交換しなければ車検に合格できません。

代表的な整備費用としては、タイヤ交換費用やブレーキパッドの交換費用などがあります。例えば、タイヤは溝の深さが一定基準を下回っていると安全性に問題があるため、交換が必要です。また、ブレーキパッドが摩耗しているとブレーキの効きが悪くなり、重大な事故につながる可能性があるため、こちらも早急に交換しなければなりません。

その他にも、オイル交換やバッテリー交換など、車の状態に応じて必要な整備が追加されることがあります。

普通車よりも軽自動車のほうが車検費用が安いのは、なぜですか?
その理由はいくつかありますが、最も大きな要因は法定費用の違いと整備費用の違いです。
軽自動車は普通車に比べて車両重量が軽いため、自動車重量税が低く設定されています。これは車検時に必ず支払わなければならない法定費用の一部であり、軽自動車の場合は普通車よりも大幅に安く抑えられるため、全体の車検費用が安くなります。
また、軽自動車はエンジンや車体が小さいため、部品そのものの価格が普通車よりも安いです。例えば、タイヤやブレーキパッドなどの消耗部品も小型であるため、交換時の部品代が安く抑えられます。
さらに、軽自動車は燃費性能が高いことから、エコカー減税の対象となるケースが多く、これによって自動車重量税が減税または免税されることもあります。
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軽自動車の車検が受けられる場所の特徴と相場

軽自動車の車検が受けられる場所の特徴と相場
軽自動車を所有する上で避けて通れないのが車検です。法定費用はどこで受けても基本的に変わりませんが、車検にかかる基本料金や整備費用は依頼する場所によって大きく異なります。

車検を受ける場所によって、サービス内容や費用に違いがあるため、自分のニーズに合った選び方が大切です。

ここからは、ディーラー、車検専門店、自動車整備工場、ガソリンスタンドの4つの選択肢について、それぞれの特徴や相場をご紹介します。

ディーラー

ディーラーでの車検の費用相場は約7万円~と、他の選択肢と比べて全体的に高めです。

ディーラーは特定の自動車メーカーと契約した正規の販売店であるため、メーカーの純正部品が使用されることが多く、整備の品質には信頼感があります。

また、車に関する豊富な知識を持つ専門の整備士が対応するため、細かい部分までしっかりと点検、整備してくれます。

さらに、メーカー保証やアフターサービスが充実している点もディーラーの大きな魅力です。車検時に見つかった部品の不具合について、保証内であれば無償で修理されることもあり、長期的な視点で見ればコストパフォーマンスが良い場合もあります。

しかし、基本料金や整備費用は他の業者と比べて高いため、費用よりも安心感を優先したい、といった方に向いています。

自動車整備工場

自動車整備工場
自動車整備工場での車検費用の相場は約6万円~です。

地域密着型の整備工場が多く、少人数で運営しているところも多いため、整備士と直接相談しながら車検を進められます。特に、長年通い続けている工場がある場合は、車の状態を把握してもらっているため安心感があります。

整備工場には大きく分けて「指定工場」と「認証工場」の2種類があり、指定工場では車検のすべての工程をその場で完結可能です。認証工場の場合は一部の検査を外部の車検場で行う必要があります。

指定工場のほうが手続きがスムーズで時間も短縮できるため、事前にどちらのタイプかを確認するのがポイントです。

車検専門店

車検専門店での車検費用の相場は約4万円~と、比較的安価に抑えられます。

車検に特化しているため、短時間で効率的に車検を完了できるのが大きな特徴です。多くの車検専門店はフランチャイズ形式で全国展開しており、サービスや価格設定が均一であるため、初めての方でも安心して利用しやすいです。

また、店舗によってはキャンペーンや特典が用意されていることがあり、割引価格で受けられるケースもあります。

しかし、車検専門店では必要最低限の点検や整備のみを行うことが多いため、特に問題がない車であれば安く早く終わりますが、細かい整備や部品交換が必要な場合は追加料金がかかることもあります。

定期的に点検を受けており、車の状態に自信がある方にはぴったりの選択肢でしょう。

ガソリンスタンド

ガソリンスタンド
ガソリンスタンドでの車検費用の相場は約4万円~と、車検専門店と同じく比較的安価です。

多くの店舗が24時間営業しているため、忙しい方でも給油ついでに車検の予約や見積もりができる手軽さが魅力です。また、ガソリンスタンドならではの特典として、車検を受けることで給油割引や洗車サービスが受けられることもあります。

ただし、ガソリンスタンドでの車検は整備を外部の提携工場に委託していることが多いため、実際にどのような整備が行われているのかが分かりにくい場合があります。特に、車検後に不具合があった場合の対応に時間がかかることもあるため、車の状態に不安がある方には注意が必要です。

また、整備士と直接相談する機会が少ないため、事前にしっかりと要望を伝えることが大切です。

軽自動車の車検の流れと必要書類

軽自動車を安全に運転し続けるためには、定期的に車検を受けることが義務付けられています。車検は法律で定められた重要な手続きであり、適切に受けることで車の安全性能を保てます。

しかし、車検の流れや準備する書類について理解していないと、手続きがスムーズに進まなかったり、無駄な時間や費用がかかったりすることも。そこで、車検の具体的なステップと必要な書類について詳しく見ていきましょう。

車検の流れ

車検での最初のステップとなるのが「見積もり点検」です。通常、車検の1〜2ヶ月前に整備工場やディーラーに出向き、見積もりを依頼します。この段階で、整備士が車の状態を細かくチェックし、必要な整備箇所や交換部品の有無を確認します。

見積もりが完了したら、次に行うべきなのは「車検を受ける日程の予約」です。特に人気のある整備工場やディーラーでは予約がすぐに埋まってしまうこともあるため、早めのスケジュール調整が求められます。

「まだ先だから大丈夫」と油断していると、希望の日程が取れず、結果的に車検期限ギリギリになることもあるため注意が必要です。また、早めに予約をすることで、余裕を持って車の整備が進められ、不測のトラブルが発生しても柔軟に対応しやすくなります。

必要書類

必要書類
車検を受ける際には、いくつかの書類が必要です。

  • 車検証(自動車検査証)
  • 自賠責保険証
  • 軽自動車納税証明書
  • 点検整備記録簿
  • 委任状や印鑑(業者に車検を依頼する場合)

車検証は、車両情報や車検の有効期限を確認するために必要です。また、自賠責保険証は有効期限内であることが必須です。

もしあれば点検整備記録簿も用意しましょう。整備士が過去の整備状況を確認しやすくなります。

もしユーザー車検を受ける場合、上記の書類に加えて「自動車重量税納付書」や「継続検査申請書」「軽自動車検査票」などが必要です。ユーザー車検は手続きが複雑なため、専門業者に依頼したほうが安心です。

軽自動車の車検は、どのくらいの頻度で受ける必要がありますか?
自家用の軽自動車は、新車登録から最初の車検までは3年間、それ以降は2年ごとに受ける必要があります。一方、レンタカーなどの業務用として使用される軽自動車は新規登録から2年で最初の車検を受け、以降も2年ごとに車検が必要です。
車検のタイミングを守らない場合、思わぬトラブルに発展することもあります。車検の有効期限が過ぎた状態で車を運転すると、法律違反となり、罰金や違反点数が科されます。こうした事態を防ぐためにも、車検の期限をしっかりと把握し、事前に準備を進めることが大切です。

車検費用を抑える方法

車検費用を抑える方法
車を所有していると、定期的に訪れる車検は避けられない出費です。しかし、適切な方法を実践すれば、車検にかかる費用を大幅に抑えられます。

車検費用は業者によって異なる基本料金や整備費用、さらには日常的なメンテナンスの有無によっても左右されます。ここでは、無駄な出費を防ぎ、賢く車検を受けるためのポイントを見ていきましょう。

複数の業者で見積もりを出す

車検費用の中でも特に大きな割合を占めるのが車検基本料と整備費用です。これらの金額は依頼する業者によって大きく異なるため、1社だけで決めず、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。

例えば、ディーラーはメーカー純正部品を使用するため高めになることが多いですが、そのぶん信頼性やアフターサービスが充実しています。一方で、車検専門店やガソリンスタンドは、必要最低限の整備に絞ることで比較的安価な料金を提示することが一般的です。

複数の見積もりを取って比較すれば、同じ整備内容でも料金に差があることが分かり、自分にとって最適な業者を選べます。

また、見積もりを比較する際には、単に安いところを選ぶのではなく、整備内容や保証の有無なども確認し、納得できる業者を選ぶことが大切です。

定期的にメンテナンスをする

車検費用を抑えるもう一つの重要なポイントは、日頃から定期的にメンテナンスを行うことです。

メンテナンスを怠った車は、車検時に多くの部品交換や整備が必要となり、結果的に高額な請求につながります。例えば、エンジンオイルの交換を怠ると、エンジン内部の劣化を招き、修理費が大幅に増えることも。

灯火類(ウインカーやブレーキランプ)の点検を定期的に行っていれば、車検時に交換が必要な場合でも最小限の費用で済みます。また、タイヤやバッテリーといった消耗品も、異常が見つかったときにすぐに交換しておくことで、車検時にまとめて交換する必要がなくなり、費用負担を軽減できます。

車検費用が高くなる原因はなんですか?
車検費用が高くなる主な原因は、車両の年式や部品の消耗状態です。
まず、年式が古い車は、自動車重量税が増加する仕組みになっています。新車の軽自動車は重量税が安く設定されていますが、13年目、18年目を迎えると税額が増えるため、年式が古いほど車検費用が高くなる傾向があります。
さらに、消耗品の交換費用も見逃せません。例えば、バッテリーの交換には約1万円、エンジンオイルの交換には約4,000円がかかります。ブレーキパッドやタイヤの交換が必要になると、それだけで数万円以上の追加費用が発生することもあります。これに加えて、整備士の工賃も車検費用に含まれるため、交換箇所が多ければ多いほど費用が高くなります。

軽自動車の車検を受ける際の注意点

軽自動車の車検を受ける際の注意点
軽自動車は維持費が安いことで人気ですが、車検時にはいくつか注意すべきポイントがあります。

車検は単なる定期点検ではなく、車の安全性や状態を確認し、必要に応じて整備や部品交換が行われる重要なプロセスです。そのため、安さだけを求めたり、車の状態を無視して車検を受けたりすると、後から高額な修理費がかかることもあります。

ここでは、車検時に特に気をつけたい2つのポイントを解説します。

車検費用だけで決めない

車検業者を選ぶ際に、費用だけを基準にするのは危険です。

たしかに、安い車検には魅力を感じるかもしれませんが、安さの裏には整備項目が最低限に抑えられていたり、十分な点検が行われていなかったりするケースもあります。結果として、後で重大な故障が見つかり、かえって高額な修理費がかかる可能性があります。

一方で、費用が高い業者が必ずしも適切とは限りません。

車検に必要な整備や部品交換が適正な価格で提供されているかを判断するために、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。

見積もりを比較する際には、単に価格だけでなく、整備項目の内容やアフターサービスの有無、保証内容なども考慮すべきです。

乗り換えも検討する

車検の見積もりが予想以上に高額になる場合は、軽自動車であっても乗り換えを検討するタイミングかもしれません。

特に、年式が古くなった車は、自動車重量税が増えるほか、部品の劣化によって交換箇所が増え、整備費用がかさむことがあります。また、走行距離が長い車ほど消耗品の交換が必要になるため、車検費用が高額になりがちです。

こうした状況では、無理に車検を通して使い続けるよりも、新型の軽自動車に乗り換える方が結果的にコストを抑えられることがあります。新型車はエコカー減税の対象となるものも多く、車検費用や税金の負担を軽減できるメリットがあります。

まとめ

①軽自動車の車検時にかかる法定費用の内訳は「自賠責保険料」「自動車重量税、」「印紙代」の3つ
②車検では法定費用のほかにも「基本料金」や「整備費用」がかかるため、総額を把握しておくことが重要
③ディーラー、車検専門店、自動車整備工場、ガソリンスタンドなど、車検を受けられる場所によって費用やサービス内容が異なるため、目的に合った業者選びが必要
④軽自動車は普通車に比べて法定費用が安く、車両の軽さや排気量の小ささがその理由となっている
⑤車検費用を抑えるためには、複数の業者で見積もりを比較することと、日頃からの定期的なメンテナンスで大きな整備を防ぐことが効果的
⑥車検費用が高くなりがちな場合は、整備内容や車の状態を見直すとともに、場合によっては乗り換えも選択肢に入れて検討することが大切

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