自動車税は所有する車の排気量に応じて税額が定められており、まとまった出費が痛手に感じる方も多いでしょう。
自動車税は毎年4月1日時点で車を所有している方を対象に納付義務が発生し、滞納してしまうとあらゆるリスクがあります。
この記事では、自動車税を滞納したときのリスクや、滞納から差し押さえまでの一般的な流れについて解説します。自動車税を滞納してしまったときの対処法も紹介しているため、自動車税に関することでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
- 自動車税の納付期限は5月末が一般的で、自治体によっては6月末の場合もあります。
- 納付期限を過ぎてしまうと延滞金が発生し、長期化するほど総支払額が高くなります。
- 自動車税を滞納していると、納税証明書が発行されず車検を受けられません。
- 督促状や催告書を無視し続けていると、最終的には差し押さえの措置がとられる可能性があります。
- 差し押さえの対象には、銀行口座や給与、自動車、不動産なども含まれます。
- 期限内での納付が難しい場合は、1人で悩まずに窓口で相談しましょう。
自動車税を滞納すると財産の差し押さえに発展する可能性がある
自動車税は、年式や排気量に応じて課税される重要な税金です。自動車税を滞納すると、車検が受けられなかったり、延滞金が発生したりするだけでなく、財産の差し押さえに発展する可能性があります。
ここからは、自動車税を滞納することで生じるリスクを具体的に解説していきます。快適なカーライフを送るためにも、自動車税の重要性や納税を軽視するリスクをよく確認しておきましょう。
自動車税を滞納したときのリスク
自動車税は、車を所有している方全員を対象に排気量に応じて税を納める義務があります。大型のミニバンやSUVは税額が大きくなることもあり、負担に感じてしまう方も多いでしょう。
しかし、自動車税を滞納すると、車検を受けられなくなったり、延滞金が生じてしまったりします。
ここからは、自動車税を滞納したときのリスクについて紹介します。
自動車税を滞納していると、納税証明書が発行されません。車検を受ける際に納税証明書は必要な書類のひとつであり、納税していないままでは車検を通せません。
車検が受けられないと、車検が切れてしまい公道を走ることが法的に認められなくなってしまいます。車検切れの車で公道を走ると、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金、違反点数は6点で一発免停処分が科せられます。
また、車検の直前に納付しても即時対応は難しく、早めの納付が必要です。
自動車税の支払いには期限が設けられており、この期限を過ぎてしまうと、滞納した日数に応じて延滞金が加算されてしまいます。延滞金の利率は、延滞期間が長期化するほど高くなるため、注意が必要です。
自動車税を滞納することによって、延滞金が上乗せされるため、結果的に支払わなければならない金額が増えます。先延ばしにしてしまうことで、より経済的な負担が大きくなってしまうでしょう。
延滞金は本来期限内に納付していれば支払う必要のない費用です。余計な支出を防ぐためにも、納付期限の確認をして厳守することが重要です。
自動車税の支払いには、本来コンビニ払いや銀行振り込み、スマホ決済など様々な方法があります。しかし、納付期限を過ぎて滞納している状態になると、選択肢が制限されてしまう恐れがあるため注意が必要です。
とくに督促状が届いた後には、指定の金融機関の窓口でしか支払えないケースも多く、より手間がかかってしまうこともあるでしょう。自治体や延滞の状況によっては、納税事務所や税務署など、指定された場所でしか支払いを受け付けてくれない場合もあります。
このように、滞納は金銭的な負担だけでなく、利便性も損なってしまいます。
車を売却したり、名義変更を行う際も、自動車税の納税証明書を提示する必要があります。
自動車税を滞納していると納税証明書は発行されず、売却の手続きが行えません。個人間での譲渡であっても、名義変更が行えない状態だと法的な責任の移行ができず、トラブルの原因になってしまうでしょう。
また、業者を利用する際にも買取業者からの信用も失ってしまう恐れがあり、買取を断られたり査定額に影響がでたりする可能性もあります。
スムーズな売却や名義変更を行うためには、事前に納付状況を確認して、未納があれば速やかに納付することが重要です。
自動車税の滞納が長期におよび、督促状や催告書が届いても支払いを行わなかった場合、最終的には財産の差し押さえが行われてしまいます。
差し押さえは自治体が滞納者に対して、強制的に債権を回収する法的手段であり、給与や預金口座、不動産なども対象です。
差し押さえが実行されると、生活に大きな支障をきたしてしまい、家族や職場にも滞納していることが知られてしまいます。
このように、自動車税の滞納は、法的リスクもある軽視できない問題です。どうしても期限内に納付が難しい場合は、窓口に相談に行き、分割払いなどの対応を検討しましょう。
納付の期限が過ぎてしまった際には、各自治体の窓口に納付書を持参し、支払いを行う必要があります。詳しい対応は各自治体によって異なるため、問い合わせて確認することをおすすめします。
自動車税の納付期限
自動車税は毎年4月1日の時点で車を所有している人に納税義務が生じるもので、翌月の5月末日が納付期限と原則で定められています。しかし、自治体によっては若干の差があり、一部の地域では6月末日を期限としているところもあります。
納付書は4月中旬から5月初旬に、車検証に記載されている住所に送付され、納付期間は1ヵ月程度が目安です。
自治体によっては口座振替に対応している地域もあり、一度登録すれば翌年以降自動的に納付が完了します。口座振替を行っている場合でも、残高不足で引き落としができていない場合もあるため、引き落とされているか確認が必要です。
自動車税の支払方法
自動車税の支払い方法は種類が多く、自分の都合の良い手段を選べることが魅力です。金融機関やコンビニでの現金納付だけでなく、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済など多岐にわたります。
クレジットカードで支払うと、ポイント還元が受けられるため、お得に自動車税を納付したい方におすすめです。また、口座振替を設定しておけば、自治体が指定する引き落とし日に自動的に引き落とされるため、納付のうっかり忘れを防げます。
支払い方法の対応の有無は各自治体によって異なり、また支払い方法によっては別途手数料が発生してしまう恐れもあるため、事前によく調べておくことが重要です。
自動車税の滞納から差し押さえまでの一般的な流れ
自動車税の支払いが数日過ぎてしまっただけで、財産の差し押さえが行われるわけではありません。しかし、何日も支払い期限を過ぎているにも関わらず、そのままにしておくと督促状が届き最終的には差し押さえ予告通知書が送られてきます。
ここからは、自動車税の滞納から差し押さえまでの一般的な流れについて解説します。
自動車税の納付期限を過ぎてしまうと、20日以内に各自治体を管轄する税事務所から督促状が送られてきます。督促状は、税金が未納であることを知らせて速やかに納付してもらうことを目的とした書類です。
督促状には新たな納付期限や延滞金についての詳細が記されており、その期限内に支払えば、その後の法的手続きには進みません。しかし、この段階でも無視を続けると、より厳しい措置に進んでしまう可能性があります。
何らかの理由があって、すぐの支払いが難しい場合は窓口に相談に行くなど、早い段階での対処がのちの法的措置を回避するためのポイントです。
督促状は複数回にわたって送られてきますが、これらを全て無視し続けていると次に催告書が届きます。
催告書は督促状よりも一段階強い文章で書かれており、「納付しなければ財産差押さえ等の処分を行うことがある」といった内容で、法的措置をとる可能性があることが記載されています。
催告書は「納付を促すもの」ではなく、「法的措置がとられる前段階のもの」です。催告書が届いた時点で、事態はかなり深刻になっていると認識しましょう。
この催告書も放置してしまうと、さらに問題は悪化してしまうため、速やかな対応が求められます。
督促状や催告書が送られてもなお、自動車税の納付が行われない場合、自治体から最終的な警告として差し押さえ通知書が送られてきます。
この通知書には、「〇月〇日までに納付がない場合は、あなたの財産を差し押さえます」といった具体的な期日と、差し押さえ対象(銀行口座や自動車)が記載されています。
これまでのタイミングであれば、支払いが難しいことを窓口に相談に行くと分割払いなどの対応をとってくれる可能性がありましたが、この時点までくると交渉の余地がほとんどありません。納付を行わなければ差し押さえが執行されるため、差し押さえ通知書に書かれた期日までの期間がラストチャンスです。
差し押さえ予告通知書に記載された期日までに納付を行わなかった場合、実際に財産の差し押さえが執行されます。
差し押さえの対象には自動車そのものだけでなく、預貯金や給与、不動産などが含まれており、生活に大きな影響を及ぼします。
自動車が差し押さえられた場合は車を使用できなくなるだけでなく、競売にかけられて、売却代金が滞納していた自動車税に充てられる仕組みです。
差し押さえが行われると信用情報や社会的信頼にも影響を与えてしまうため、納税義務を軽視してしまう行為は、非常にリスクが高いといえるでしょう。
延滞金は日数が経過するごとに加算されてしまうため、なるべく早期に納付することが望ましいです。
差し押さえの対象となる財産
督促状や催告書を無視し続けていると、最終的には財産が差し押さえられてしまいます。差し押さえの対象には給与や預金口座のほかに、自動車や不動産なども含まれます。
預金や高級車・不要な車は、差し押さえの対象になりやすく、給与の差し押さえにあたり、勤務先にも滞納がバレてしまうでしょう。
ここからは、差し押さえの対象となる財産について紹介します。
給与は毎月安定した収入源で、勤務先が特定されているため、差し押さえの対象になりやすい財産です。多くの自治体が、不動産や自動車ではなく給与の差し押さえを行います。
給与の差し押さえは、滞納額に応じて毎月の給与から一定の額が徴収さる仕組みです。裁判所を通じて勤務先に通知が送られ、差し押さえが実施されるため、滞納していることが職場に知られてしまいます。
その結果、職場での信用や立場にも影響がでる恐れがあるでしょう。
金融機関の預金口座も、即時に現金化できることから差し押さえの対象として選ばれることが多い財産です。自治体は納税者の同意なしに口座情報の開示ができ、滞納額分の預金残高があれば、そのまま差し押さえが行われます。
預金が差し押さえられると一時的に資金が引き出せなくなるなど、日常生活において支障をきたしてしまいます。
複数の口座を持っている場合は、全ての口座が差し押さえられてしまう可能性もあるため注意が必要です。
自動車税の対象となっている車そのものも、差し押さえの対象になります。通勤や通院などで使用している生活必需品であっても、滞納額が高額だったり、他に差し押さえができる財産がなかったりする場合には差し押さえの対象と判断されます。
差し押さえた車は競売にかけられて、売却代金を未納分の支払いに充てられる仕組みです。愛車を失うことは、日常の移動手段を失ってしまうだけでなく、精神的な苦痛も伴うため気を付けましょう。
土地や建物などの不動産も、差し押さえの対象となる財産のひとつです。住居用不動産は生活基盤とみなされて、一定の保護措置がとられる場合もありますが、投資用マンションや別荘など、住居として使用していない不動産は差し押さえの対象となる可能性が高いでしょう。
不動産の差し押さえは、手続きが複雑で時間がかかってしまうことが多いですが、最終的には車と同じように競売にかけられてしまうため、所有権を失ってしまいます。不動産の差し押さえの影響は、大変大きいでしょう。
一括での納付が難しい場合は、分割払いに対応してくれることもあるため、放置せずに相談することが重要です。
自動車税を滞納したときの対処法
自動車税の支払いが困難であることを理由に、督促状や催告書を無視し続けてしまうのは良くありません。しかるべき対応を行うことで、差し押さえを防げます。
また、障がい者など一定の条件を満たしている場合には、減免制度の利用も可能です。
ここからは、自動車税を滞納したときの対処法について紹介します。
自動車税の支払いが難しい場合は、そのまま放置せずにまず自治体の窓口に相談に行くことが重要です。納付を行わずに滞納を続けている状態だと、延滞金の発生や差し押さえのリスクが高まりますが、相談をすることで支払い方法の提案や事情に応じた対応を受けられます。
役所の担当者は、詳しい知識があり丁寧に相談にのってくれます。納付期限に間に合わないと1人で悩まずに、まずは早めに現状を説明して相談しましょう。早めの対処がトラブルを防ぐためのポイントです。
自動車税は排気量によって税額が定められており、さらに新車登録から13年経過した車は自動車税が高くなる仕組みです。車の年式や車種によっては自動車税だけでまとまった金額になることから、一括での支払いが難しいと感じる方も多いでしょう。
このような場合、窓口に相談に行くと、一定の条件下で分割納付に応じてくれる自治体もあります。毎月一定額を無理のない範囲で支払うことで、延滞金や差し押さえを防げるでしょう。
経済的に困窮している方や障がい者、高齢者など、一定の条件を満たす場合には、自動車税の減免制度を活用できることがあります。
例えば、障がい者が日常生活のために車を使用している場合や、生活保護受給者で車が不可欠な状況などであれば、減税制度の対象に該当する可能性があります。
減免の内容や適用する条件は自治体ごとに異なるため、事前に窓口で確認を行いましょう。減免制度を利用できれば、大きな負担軽減につながります。
もし自動車税の滞納だけでなく、他の借金も多くて経済的に困窮している状況であれば、債務整理を検討することも選択肢のひとつです。
債務整理には、「任意整理」「自己破産」「個人再生」などの種類があり、それぞれの状況に応じて借金の減額や免除、支払い方法の見直しなどを行えます。
しかし、債務整理を行うと今後一定期間はローンを組んだりクレジットカードを利用できなくなったりします。社会的信用を失ってしまうため、債務整理を検討する際には専門家に相談しましょう。