愛車を廃車にする時、もう乗ることはないからといって「車検証はいらない」と思っている方が少なくありません。しかし、廃車手続きには車検証が必須です。

この記事では、廃車手続きの流れや手続きに必要な書類について説明します。車検証をなくしてしまった方や捨ててしまった方は、これから紹介する再発行の方法や注意点をぜひ参考にしてみてください。

廃車手続きの流れと必要書類

はじめに、廃車手続きとして「永久抹消登録」と「一時抹消登録」の流れと必要な書類について紹介します。

抹消登録の違いによって、廃車の内容も変わるので、登録方法の違いについて正しく区別しておくことが必要です。

永久抹消登録の流れと必要書類

永久抹消登録の流れと必要書類
永久抹消登録は、車の解体後に廃車の届出を現住所の管轄運輸支局に提出する必要があります。

届出の流れは次の通りです。

はじめに自動車の解体工場にて廃車登録予定の車を解体してもらい、解体届を入手します。この時、解体した車に付けていたナンバープレートは必ず受け取りましょう。

その後、必要書類を用意し、現住所を管轄する運輸局にて永久抹消登録の手続きを進めます。

年度中の手続きであれば、先払いした自動車税や重量税が還付されます。合わせて還付金を申請しましょう。

なお、永久抹消登録で必要となる書類は次のとおりです。

  • 車検証
  • 実印
  • 所有者の印鑑証明書
  • ナンバープレート
  • 解体報告記録日
  • 使用済自動車引取証明書
  • 手数料納付書
  • OCR申請書(第3号様式の3)
  • 自動車税申請書
  • 住民票(車検証情報から住所変更を1回している場合)
  • 戸籍附票(車検証情報から住所変更を2回以上している場合)
  • 戸籍謄本(車検者情報から氏名が変更になっている場合)
  • 委任状(代理人が申請する場合)
  • 所有権解除書類(車検証の所有者名義がローン会社の場合)

ケースによっては必要書類が若干異なる場合があるため、事前の確認が大切です。

一時抹消登録の流れと必要書類

一時抹消登録の流れと必要書類
一時抹消登録は、永久抹消登録と違って一時的に車の使用を中止する手続きです。

例えば、海外へ赴任する場合など、手持ちの車にしばらく乗らない状況になっても、車を所有していれば税金がかかります。そのため、一時的に車の登録を抹消することで税金の支払いが免除されます。

また、手持ちの車を廃車にする場合でも、解体に時間がかかるなどの事情があれば一時抹消登録の手続きをしておくことで税金の支払いを抑えることができます。

手続きの流れとして、まずは車のナンバープレートをはずします。その後、後述する必要書類を揃えて、現住所を管轄する運輸支局にて一時抹消登録の手続きをします。

永久抹消登録と違い、一時抹消登録をした後は「登録識別情報等通知書」を受け取ります。この書類は、再度車を使用する際に必要な書類ですので、紛失しないように注意しましょう。

なお、一時抹消登録で必要となる書類は次のとおりです。

  • 車検証
  • 実印
  • 所有者の印鑑証明書
  • ナンバープレート
  • 解体報告記録日
  • 使用済自動車引取証明書
  • 手数料納付書
  • OCR申請書(第3号様式の3)
  • 手書き費用の印紙
  • 自動車税申請書
  • 住民票(車検証情報から住所変更を1回している場合)
  • 戸籍附票(車検証情報から住所変更を2回以上している場合)
  • 戸籍謄本(車検者情報から氏名が変更になっている場合)
  • 委任状(代理人が申請する場合)
  • 所有権解除書類(車検証の所有者名義がローン会社の場合)

こちらも、ケースによっては必要書類が若干異なる場合があるため、事前の確認が大切です。

愛車の買取相場を知ることで高く売ることができます 愛車のかんたん査定はこちら

廃車手続きには車検証が必要!

廃車手続きには車検証が必要!
ここからは、廃車手続きにおける車検証の必要性について紹介します。

廃車手続きとして紹介した、永久抹消登録と一時抹消登録の2つの手続きの両方に車検証は必要です。

そのため、廃車における車検証の役割をおさえていきましょう。

そもそも車検証とは?

車検証の正式名称は「自動車検査証」です。自動車が保安基準に適合していることを証明するための書類になります。

車検の対象になる自動車が保安検査を受けた後に交付され、検査を受けた自動車に関する情報が細かく記載されています。

廃車手続きに車検証が必要な理由

車検証は廃車手続きの際に必要な書類の1つであり、永久抹消登録と一時抹消登録のそれぞれで提出が必要です。

その理由は、車検を通過した証明書であることに加え、自動車の所有者や使用者を証明する書類でもあるからです。

車検証の住所と現住所が異なる場合でも廃車手続きは可能ですか?
車検証の記載と現在の住所が異なる場合でも、追加書類を準備すれば廃車手続きは可能です。
追加書類は車検証に記載されている住所から今まで何回変更されたかによって異なります。車検証情報から住所変更を1回している場合は「住民票」、2回以上している場合は「戸籍附票」を用意しましょう。

車検証を紛失した場合の対策

車検証を紛失した場合の対策
ここからは、車検証を紛失した場合の対策について紹介していきます。

廃車手続きに必要な書類ではあるものの、代替策はありますので、車検証を失くしても落ちついて対応していきましょう。

①車検証を再発行する

まず1つ目の方法は、車検証を再発行することです。

車検証は紛失したとしても再発行することができます。自分で手続きすることもできますが、代行業者に委託して手続きすることもできます。

この2つの方法について詳細な内容を紹介します。

自分で再発行する方法

自分で再発行の手続きをする際には、現住所を管轄している運輸支局へ行く必要があります。

運輸支局の開庁時間は、朝8時45分~夕方16時ごろが一般的なため、時間内に手続きできるよう予定を調整しておきましょう。

また、再交付のときに必要となる書類は次のとおりです。

  • 再交付申請書
  • 再交付の理由書
  • 手数料納付書

基本的に運輸支局で必要書類を記載し、提出することで手続きは完了します。また、再発行の手続きをする際には300円の手数料が必要なので忘れないようにしましょう。

上記の方法は、普通自動車の車検証の再発行手続きですが、軽自動車の車検証を再発行する場合は、必要書類の提出先が運輸支局ではなく、軽自動車検査協会になります。場所を間違えないよう注意してください。

代行業者に依頼する方法

書類手続きの代行業者を介して手続きする場合は、以下の書類を用意することで手続きを完結できます。

  • 再交付の委任状
  • 再交付の理由書

運輸支局に出向く必要がなく、代行業者に準備してもらった提出書類の内容を確認し、記名・押印することで手続きが完了します。

また、再発行に必要な手数料以外に代行業者による業務代行手数料の支払いが発生する点は注意しなければなりません。金額自体は業者ごとに異なるため、契約前に必ず確認しましょう。

②登録事項等証明書を発行する

車検証を再発行する方法以外に、登録事項等証明書を車検証の代わりとして利用することもできます。

登録事項等証明書とは、車検証とは別に車の登録内容が記載された書類であり、運輸支局で入手可能です。ただし、本書類は普通自動車のみ発行可能な書類であり、軽自動車には発行されない書類であることを知っておきましょう。

本書類の発行を依頼する場合、以下の書類を準備する必要があります。

  • 再交付申請書
  • 手数料納付書+手数料印紙代300円

いずれの書類も運輸支局の窓口で入手可能です。そのため、手続き当日に持参する書類は本人確認書類のみで構いません。

この時に使用できる本人確認書類は、運転免許証、健康保険証、パスポート、外国人登録証明書、顔写真付き身分証明書など氏名及び住所が確認できる身分証明書です。

また、手数料の300円も忘れずに持参しましょう。

③理由書を提出する

理由書とは、車検証を紛失した場合やナンバープレートを紛失した場合など、返却できない理由を記載する書類です。

この理由書は運輸支局にて入手可能であり、必要事項を記入することで車検証をなくしても廃車手続きができるようになります。

理由書に記載する記入内容は、次のとおりです。

  • 自動車登録番号又は車両番号
  • 車台番号
  • 理由書提出の事由(盗難、遺失等の選択項目があります)
  • 盗難に遭った場合:盗難等年月日、届出警察署名、届出年月日及び受理番号の記入が必要(盗難の場合は管轄の警察署に盗難被害を届け出る必要もあるので要注意です!)
  • 盗難・遺失等にあった場所や状況

記載内容に不備があれば受理されない可能性もあるため、必要事項は明確に記載するよう心がけましょう。

④登録番号と車台番号を覚えておく

前述のとおり、車検証、登録事項等証明書、理由書の記載や受け取りの際に、所有車の登録番号や車台番号の記入が必要です。

登録番号はナンバープレートの内容であり、車台番号は車体のどこかに刻印されているため、万が一に備えて場所を覚えておくことをおすすめします。

忙しくて車検証の再発行ができない場合はどうすればいいですか?
代行業者へ依頼すると、必要書類の準備や運輸支局に行く手間が省けるのでおすすめです。

廃車買取業者への手続き依頼では車検証が不要

廃車買取業者への手続き依頼では車検証が不要
車検証が手元にない場合、廃車買取業者に手続きを一任することもおすすめです。

車検証がなくても登録ナンバーと車台番号がわかれば、登録事項等証明書の手続きを含めた廃車手続きを対応してくれる業者は多数存在します。

業者に手続きを一任する場合は、引き取りから書類の準備、運輸支局や軽自動車検査協会での手続きまでを一貫して対応してもらえるか、事前に業者へ確認しましょう。

廃車手続き後に受け取る「廃車証明書」とは?

廃車手続き後に受け取る「廃車証明書」とは?
ここからは、廃車手続き後に受け取る「廃車証明書」について紹介します。

廃車証明書は、車の廃車手続きが終了していることを証明する書類であり、自賠責保険の解約や廃車の種類確認に必要な書類です。

廃車証明書という言葉自体は正式名称ではなく、普通自動車と軽自動車で発生する書類は異なるため、書類ごとの内容についておさえておくことが重要です。

登録事項等証明書

登録事項等証明書は、普通自動車を永久抹消登録したときに証明する書類であり、現在「登録事項等証明書」と「詳細登録事項等証明書」の2つに分かれます。

この2つの違いは、記載されている証明内容です。

登録事項等証明書は、発行時点の車検証に登録された内容が記載されています。

詳細事項等証明書は、新車登録から発行時点までのすべての記録が記載されています。

登録事項等証明書には、通常車検証と同じ内容が記載されていますが、廃車手続き後には廃車である旨が証明書に記載されています。

書類の発行は運輸支局が担当しており、発行手数料として300円が必要です。

登録識別情報等通知書

登録識別情報等通知書は、普通自動車を一時抹消登録したときに証明する書類です。平成20年以前の名称は「一時抹消登録証明書」でした。

記載内容は、普通自動車を永久抹消登録した場合と同じ内容です。

書類の発行は運輸支局が担当しており、発行手数料は350円です。

自動車検査証返納証明書

自動車検査証返納証明書は、軽自動車の自動車検査証返納届の手続きが完了した際に、手続き完了を証明する書類として発行されます。

手続き自体は普通自動車の一時抹消登録と変わりません。普通自動車であれば運輸支局にて証明書が発行されますが、軽自動車の場合は軽自動車検査協会で発行されます。

また、証明書の発行手数料は350円です。

検査記録事項等証明書

検査記録事項等証明書は、軽自動車の解体返納が完了した際に、手続きが完了したことを証明する書類として発行されます。

手続きの内容は普通自動車の永久抹消登録と変わりありません。こちらの書類も軽自動車に関する書類のため、運輸支局ではなく軽自動車検査協会で発行されます。

書類の発行手数料は300円になります。

廃車証明書の再発行方法

廃車証明書の再発行方法
ここからは、廃車証明書を再発行する方法について紹介します。前述した4つの書類について個別で紹介するため、万が一失くしたときに備えて内容を把握しておきましょう。

登録事項等証明書の再発行

登録事項等証明書をなくした場合、運輸支局にて再発行が可能です。

再発行する場合に必要な情報は、廃車した車に関する次の情報です。

  • 自動車登録番号
  • 車台番号の下7桁
  • 再発行手続きの請求自由
  • 申請者の氏名と現住所

これらの情報を運輸支局の窓口で入手できる「登録事項等証明書交付請求」の用紙に記入し、本人確認書類と一緒に提出します。

再発行に必要な手数料は証明書1枚当たり300円であり、証明書自体は当日に発行してもらえます。

なお、車の新規登録時からの履歴を追える「詳細登録事項等証明書」の場合は1,000円かかります。

登録識別情報等通知書の再発行

一時抹消登録申請をした際に交付される、登録識別情報等通知書は再発行できません。

その理由は防犯上危険が伴うためです。例えば、窃盗犯が手続きを行い車を再登録した場合、窃盗した自動車を中古車市場へ売りに出される危険性があります。

万が一、この通知書を紛失してしまった場合で車を再び使用したい場合は、代替書類として「登録識別情報等証明書の遺失等に係る新規検査・登録申立書」を運輸支局に提出しなければなりません。

「登録識別情報等証明書の遺失等に係る新規検査・登録申立書」を提出するには、下記の書類提出が必要です。

  • 譲渡証明書
  • 新旧所有者双方の印鑑証明書
  • 所有権の確認ができる書類(車検証のコピー、自動車税納付済領収書など)
  • 車台番号の拓本(これは車体に刻印されている車台番号に白い紙をあてて、鉛筆で擦ることで番号を浮き上がらせたものです)

なお、必要書類は各管轄の陸運支局に問い合わせてから揃えると手続きがスムーズです。

自動車検査証返納証明書の再発行

軽自動車を一時抹消した際に発行される廃車証明書である自動車検査証返納証明書も再発行できない書類です。

そのため、紛失した場合は次の書類を軽自動車検査協会へ提出し、車を再登録する必要があります。

  • 自動車検査証返納証明書遺失等に係る新規検査願出書
  • 新規検査願出誓約書
  • 自動車検査証返納証明書紛顛末・誓約書
  • 印鑑証明書
  • 車台番号の拓本
  • 実印

書類を1枚紛失すると、これだけの書類を用意しなければなりません。労力を省くためにも重要な書類は紛失しないように管理しましょう。

検査記録事項等証明書の再発行

軽自動車の永久抹消登録に該当する「解体返納」を証明する書類である検査記録事項等証明書を失くした場合、こちらの書類は再発行可能かつ手続きは軽自動車検査協会にて対応してもらえます。

再発行に必要な書類は次のとおりです。

  • 検査記録事項等証明書交付請求書第3号様式(この書類は窓口でも入手できますが、事前ダウンロードもできます)
  • 車両番号
  • 車体番号
  • 認印

また、再発行の書類提出時には手数料が必要です。

廃車証明書は全て再発行できますか?
登録事項等証明書と検査記録事項等証明書は再発行可能です。登録識別情報等通知書と自動車検査証返納証明書は再登録が必要です。

廃車手続き以外に廃車証明書が必要な場面

廃車手続き以外に廃車証明書が必要な場面
ここからは、廃車手続き以外で廃車証明書が必要な場面について紹介します。

思いのほか必要な場面は多いため、書類を紛失しないように注意しましょう。

自賠責保険を解約する場合

廃車証明書は自賠責保険の解約時に必要な書類です。

自賠責保険は車を所持する場合に必ず加入しなければならない保険ですが、廃車手続きを経て車を手放すと加入を継続する必要はありません。

自賠責保険を解約するためには、保険会社へ廃車証明書を含めた次の書類を提出する必要があります。

  • 加入者の本人確認書類
  • 自賠責保険承認請求書
  • 認印
  • 還付金の振込用口座
任意保険を中断する場合

一時的に車を運転しない場合は、任意保険を中断できます。その際にも廃車証明書は必要です。

車の買い替えなどで現在の等級を引き継ぎたい場合に廃車証明書が必要ですが、その他の必要書類は保険会社によって異なるため、手続きをする前に確認しておきましょう。

また、自賠責保険の解約には廃車証明書が必要でしたが、任意保険の解約時は不要なので覚えておきましょう。

一時抹消登録した車の再登録を行う場合

一時抹消登録していた車に再び乗る場合、車を再登録する必要があります。この手続きの際に廃車証明書が必要です。

一時抹消登録は名義を消すだけのため、再登録すれば再び車を運転できます。

普通自動車であれば運輸支局で、軽自動車であれば自動車検査登録事務所にて手続きをしましょう。

新しく購入した車の車庫証明を発行する場合

一度、永久抹消登録したのちに新車を購入した場合、車庫証明の申請に廃車証明書が必要な場合があります。

また、永久抹消登録する前に一時抹消登録していた場合、一時抹消登録した際に交付される抹消謄本の写しも提出を求められるため注意が必要です。

自身が手続きした登録内容については、必ず把握しておきましょう。

まとめ

①廃車手続きには車検証が必要なため保存が必須
②車検証を紛失した場合は再発行するか登録事項証明書の発行が必要
③登録ナンバーと車台番号がわかれば廃車手続きが可能なケースもある
④廃車には再発行できる書類と再発行不可で再登録が必要な書類がある
⑤廃車証明書は廃車におけるさまざまなシーンで活用するため保管が大切

※本記事は公開時点の情報になります。
記事内容について現在の情報と異なる可能性がございます。
車の査定は何社に依頼するべき?
愛車の買取相場を知ることで高く売ることができます 愛車のかんたん査定はこちら