通勤・通学はもちろん、買い物やレジャーなど、自動車は日常生活に欠かすことのできない存在になっています。
ただし、車はお金を出して購入すればすぐに使うことができるものではなく、必要書類を準備して手続きを踏まなければ、公道で使用することができません。
そこで今回は、中古車を購入する時の必要書類を詳しく説明していきます。また、準備する上で注意すべき点なども解説します。
中古車が欲しいと思った時に準備すべき必要書類を総まとめ!
中古車を購入する「だけ」であれば、書類などを色々と準備する必要もなければ、面倒な手続きを行う必要もありません。
ただし、それでは中古車を移動手段に使うことができず、自宅の駐車場などに置物のように保管しておくだけとなってしまいます。
つまり、今回解説していく購入する際に必要な書類とは、単に中古車を購入するだけではなく、それを移動手段として使っていくために必要な書類ということになります。
中古車を購入する時に必要書類を準備する理由
食料品や衣料品などの日用品はもちろん、中古車より高い買い物になることもある貴金属の購入時でさえ、特に必要な書類はありません。
では、なぜ中古車を購入する時だけ書類を準備したり、手続きをしたりしなければならないのでしょうか?
まずは、中古車を購入する時に書類を準備する「理由」について、整理していきましょう。
自動車は便利な移動手段であり、今の生活には欠かすことのできない存在です。
しかし、使用方法や管理方法を誤ると、交通事故を引き起こして他人に被害を与えたり、環境破壊の原因にもなったりすることが考えられます。そのため、使用・管理責任の所在をはっきりしておかなければなりません。
自動車は新車として世に送り出されると使用を始める前に必ず車検が実施され、どこの誰がその車を所有・使用・管理しているか、普通車の場合は「登録」、軽自動車の場合は「届け出る」という決まりになっています。
中古車を購入するということは、その車を前の所有者から譲り受け、以降その車を所有・使用していくということです。そのため、責任の所在も移動する必要があります。
これが、車の「名義変更(移転登録)」です。
車体の売買などで所有者または使用者が変わった場合、必ず名義変更の手続きを行う必要があり、その手続きを進めるためにはこの後お伝えする書類を準備しなければなりません。
所有者が変わったのに名義変更がなされなかった場合、道路運送車両法違反で処罰される可能性があるため注意が必要です。
中古車を購入する時は必ず名義変更が必要ですが、その手続きを今までやったことがないという方いるかもしれません。
一般的な中古車販売店で車を購入すると、既に名義変更された状態で納車されることがほとんどです。これは、販売業者がユーザーに代わって名義変更の手続きを代行してくれているからです。
手続きを代行してもらうためにも、書類を揃えておく必要があります。
せっかく中古車を購入したのであれば、できるだけ早く乗り始めたいと思うでしょう。しかし、必要書類が揃っていないと代行手続きが進められないため、納車がどんどん伸びていくという事態になりかねません。
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中古の普通車を購入する時の必要書類
中古車を購入すると、名義変更並びに手続き代行のため書類を揃える必要があると説明しました。
同じ中古車であっても、普通自動車と軽自動車では法律上の扱いが異なるため、必要となってくる書類の種類も若干変わってきます。
そこでここからは、中古の普通車を購入する際に必要な書類をまとめて紹介していきます。
普通車は、サイズや重量、乗車定員や用途などによって細かく分類されています。そして、一般的に普通車と呼ばれている車は、個人の財産(動産)と同じように取り扱われています。
金額的にもかなり高価な財産となるため、所有者を特定し、その権利を守る目的で土地や家屋における「登記」と同じように陸運局に「登録」するよう義務づけられています。
その高価で大切な個人の財産の所有権者を、赤の他人が簡単に変えられるようでは大変なことになるでしょう。そのため、名義変更を行うには個人を特定する「実印」と、その効力を示す「印鑑証明書」が必要になります。
印鑑証明書は、実印を登録している自治体(通常は住民票登録されている自治体)の役所に、本人または印鑑登録カードを持参した代理人が申請すればすぐに取得できます。
印鑑証明書の発行手数料は300円ほどです。代理人申請でも印鑑登録カードさえあれば委任状も不要ですが、郵送手続きはできないので必ず役所に出向く必要があります。
次に必要となるのが、その車の「車検証」と「自賠責保険証」です。
車検証は、その車の戸籍謄本のようなものですから、売買時の名義変更によって所有者(使用者)が変われば、陸運局などで記載内容を書き換える必要があります。
一方、自賠責保険の対象は、人ではなくその車自体です。それは売買をしても変わらず、仮に契約者名がその車の所有者(使用者)と異なったとしても、保険の効力が失われるわけではありません。
しかし、前の所有者のままにしておくと、万が一事故が発生した際に保険金請求の手続きが複雑になる可能性があるので変更手続きが必要です。
中古車販売店が車両とともに車検証と自賠責保険証を保管しているはずなので、購入者がわざわざ事前準備する必要はありません。
委任状は、中古車購入における名義変更などの手続き全般を、購入者が中古車販売店に委ねたことを示す書面のことです。
委任状に記載する内容は以下の通りです。
- 受任者(手続きを委任された者の氏名)
- 委任する申請内容(この場合は車の名義変更)
- 手続きを委任された車の登録番号または車体番号
- 委任者(手続きを委任する者の氏名)
基本的には中古車販売店側が必要事項を備えた委任状を準備しているはずなので、購入者は委任者として署名・捺印をするだけです。
しかし、委任状は法的に強い効力を持っています。内容に誤りや疑わしい点がないか、しっかり確認してから実印を捺印しましょう。
車検証の名義変更によって、その車の所有権や使用における責任の所在は確認することができますが、管理責任の所在を明らかにする上で欠かせないのが「車庫証明書」です。
車を安全に保管・管理するには、ある程度の敷地が必要です。ただし、敷地があればどこにでも保管していいというわけではありません。
車を保管するには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 道路に面しており車を出し入れできる
- 車がはみ出ることなく収まるスペースがある
- 別のもので占有されていない
そして、条件を満たしている保管場所(車庫)を確保し、所轄の警察署に以下で示す4つの申請書を提出し認められれば、ようやく新規の車庫証明が取得できます。
- 自動車保管場所証明申請書
- 保管場所標章交付申請書
- 保管場所の所在図・配置図
- 保管場所使用権原疎明書面
乗り換えや買い替えなどで中古車を購入する場合のように、既に車庫証明を取得していて保管する車両が変わるだけのケースでは、上記のうち「自動車保管場所証明申請書」だけを警察署に提出し、車庫証明書を入手する形となります。
ただし、警察署によっては上記4つの申請書を全て提出しないと受け付けてもらえないケースもあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
中古の軽自動車を購入する時の必要書類
扱いやすさやコストパフォーマンスの高さから、近年では普通車よりも売れる銘柄が多くなってきた軽自動車を中古で購入する場合、必要となる書類を見ていきましょう。
軽自動車はサイズが小さくパワーが劣るものの、環境性能や快適性は普通車に勝るとも劣りません。
しかし、価格的に安価なことから「財産(動産)」としてではなく、時計や貴金属などと同じ「所有物」として扱われることが多くなります。
そして、所有者(使用者)に関しても、普通車のように陸運局への登録ではなく、軽自動車検査協会に届出がされることになります。
実際、中古の普通車よりも中古の軽自動車のほうが本体価格が高いこともあり得ます。しかし、名義が陸運局に登録されている普通車とは異なり、軽自動車の名義変更には実印と印鑑証明書が必要ありません。
そうとは言え、どこの誰とも分からない人に名義変更するわけにもいかないので、新たな名義人、つまりその軽自動車を購入しようとしている方の住民票は必要となります。
陸運局への登録が必要なことでも分かる通り、普通車の管理統括は「国」が主体となって行っています。
一方、地方自治体が管理統括している軽自動車の場合、名義と同じくその保管場所についても、地方自治体へ届け出をすることになっています。
軽自動車の保管場所を届け出なくてはならないのは、以下の場合です。
- 各都道府県の県庁所在地
- 人口10万人以上の市町村
- 都心部(東京や大阪など)から30km圏内の市町村 など
上記以外の地域では保管場所を届け出る義務がないので、車庫証明書を準備する必要もありません。
また、車庫証明が必要な場合も、取得しなければならないタイミングが購入・名義変更前である普通車と異なり、軽自動車の場合は特に期限の定めはありません。
さらに、車が変わっても軽自動車から軽自動車への乗り換えは、保管場所が変わらなければ新たに提出しなくてもいい場合があります。
その他の必要書類としては、車検証・自賠責保険証・委任状が挙げられます。
これらは中古の普通車を購入する場合と同じです。また、基本的には販売店側が準備するものなので、購入者が用意する必要はありません。
一方、軽自動車ならではと言える書類は「住民票」です。これだけは、自分で準備する必要があります。
しかし、実印や印鑑証明、車庫証明などを事前準備しなくてもいいので、普通車よりも軽自動車のほうが手続き的には楽でしょう。
中古車を購入する時に必ず自分で準備しなくてはならないもの
ここまで解説してきた通り、中古車を購入する時は、ただ車を決めて、お金を支払えばいいというわけではなく、意外にたくさんの必要書類を揃え、手続きをしなければなりません。
一部の書類に関しては、販売店側で準備してもらえますが、必ず自分で揃えなければならないものもあります。
ここからは、中古の普通車を購入した場合と軽自動車を購入した場合にそれぞれ準備しなくてはならないものを見ていきましょう。
普通車を中古車販売店で購入した場合、車検証と自賠責保険証は、お店側が車両とともに保管しています。
車検切れの車の場合は、改めて車検を受け、自賠責保険に加入してからの納車になります。
また、委任状や車庫証明に関しても、準備や入手が納車手続きの一つになっていることがほとんどです。そのため、中古車販売店を利用した際、ユーザー自身が用意すべきものは、「実印と印鑑証明書」だけです。
一方、ネットオークションや知人・友人に譲るといった、業者ではなく個人間で中古車を購入した場合は、売り手側の実印が押された委任状、車両の譲渡証明書、捺印された実印の印鑑証明書などが必要となります。
軽自動車を中古車販売店で購入する場合は、誰でも簡単に購入できる「認印」で構いません。新たにユーザー自身が用意すべきなのは「住民票」ぐらいです。
個人売買の場合は、購入した車の名義変更を自分でしなければなりません。しかし、軽自動車の場合は購入者の認印と住民票があれば、手続きを進めることができます。(売却側の認印・住民票は不要)
このように、購入するにしろ売却するにしろ、普通車と比べ必要書類の準備や名義変更の手続きに手間がかからないことも、軽自動車の利点だと言えるでしょう。
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必要書類を準備する時の注意点
最後に、必要書類を準備する時の注意点を3つ紹介していきます。
普通車を購入する時に必要となる「実印」は、その持ち主が住民登録している地方自治体に登録している印鑑になります。そして、それ以外の印鑑を「認印」と呼んでいます。
実際は、実印と認印に法的な効力の差はそれほどありません。ただし、その印鑑が「まぎれもなく自分の物」であることを証明する印鑑証明書がセットになると、実印の法的効力は強まります。
また、委任状についても、「どんな手続きを代行するためなのか」をしっかり事前確認しておかないと、思わぬトラブルに遭遇してしまうかもしれません。
さらに、実印の押された委任状に印鑑証明書を沿えるということは、相手に自分ができるかなりの権限を与えてしまうことになります。
特にインターネットを利用した不特定多数との個人売買では、詐欺被害などに遭うリスクもあります。
そのため、実印と印鑑証明は、素性のはっきりしない相手に安易に渡さないようにしましょう。委任状に関しても、署名・捺印などをする前にその内容を確認するようにしてください。
警察署に発行してもらう車庫証明書の有効期限は「概ね1ヶ月」とされています。そのため、普通車を中古で購入する際は、期限切れにならないように取得時期に注意しましょう。
一方、役所で発行してもらう印鑑証明や住民票は、法的な有効期限はありません。ただし、中古車販売店によっては「発行日から〇日以内」などといった具合に期限を決めている場合があります。
期限を過ぎると、必要書類を取り直すことになったり、納車の日程が遅れたりすることもあるため注意しましょう。
中古車を購入する時に必要な書類のうち、自分でしか用意できないもの以外の取得を中古車販売店に任せた場合、車両購入費以外に「代行手数料」を請求される場合があります。
特に車庫証明については、申請書類を数枚作成し警察署で所得する必要があるため、10,000円ほど代行手数料がかかることもあります 。
車庫証明の取得手続きは、慣れていないと少々面倒で時間もかかります。ただし、自分で取得することもできるため、コストを節約したい場合はチャレンジしてみてもいいでしょう。