新車試乗レポート
更新日:2023.05.09 / 掲載日:2021.12.28

【日産 リーフ e+】電気自動車の実力を実車でテスト!【グーEVテスト】

文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス

 国内外で新しいEV(電気自動車)が続々とデビューしているが、航続距離や充電効率、使い勝手などは車種によって大きく異なる。さらに冬など気温の低いシーズンは、走行用バッテリー自体の性能が低下。さらに、キャビンを暖めるために電気を使ってヒーターを稼働させる必要があることから、どうしても航続距離が短くなってしまいがちだ。

 では、最新EVの航続距離は、外気温によってどれほど短くなってしまうのか? 本連載の番外編として、今回は2021年4月にテストした日産「リーフe+」の性能を改めて検証することにした。

 今回も監修と解説は、EVや自動運転車といった先進技術に造詣が深い自動車ジャーナリスト・石井昌道氏に依頼。前回のテストと同様のルートを走り、実際の使用状況を想定した走行パターンでチェックを行うことで、季節の違いによるEVの性能差をチェックする。

日産 リーフ e+のプロフィール

リーフ e+

 日産「リーフ」は量産EVの草分けとして2010年12月にデビューし、2017年9月、2代目となる現行モデルへとフルモデルチェンジ。2019年1月には、標準モデルの40kWhに対して62kWhの大容量リチウムイオンバッテリーを搭載し、モーターの出力もアップさせた「リーフe+」をラインナップに加えた。

 前回のテスト後、一部仕様を向上。「アーバンクロム」と呼ばれる新グレードが設定されたほか、エクステリアのエンブレムが新しいブランドロゴへと変更され、フロントグリルの“Vモーション”がブラックへと変更された。さらにボディカラーには、2種類のツートーンカラーが加わっている。

 一方、インテリアでは、プラズマクラスター技術を搭載したフルオートエアコンや、花粉やにおい、アレルゲンに対応した高性能フィルターを採用。また一部グレードには、抗菌仕様のシートやハンドルが標準装備となった。

  • ■テスト中の気温変化
  • ・1回目(2021年4月):最低7℃/最高19℃
  • ・2回目(2021年12月):最低7℃/最高12℃
  • ■グレード構成&価格
  • <40kWh仕様>
  • ・「S」(332万6400円)
  • ・「X」(382万5800円)
  • ・「X Vセレクション」(406万3400円)
  • ・「アーバンクロム」(411万8400円)
  • ・「G」(419万3200円)
  • ・「NISMO」(429万8800円)
  • ・「AUTECH」(410万800円)
  • <62kWh仕様>
  • ・「e+ X」(441万7600円)
  • ・「e+ アーバンクロム」(471万200円)
  • ・「e+ G」(499万8400円)
  • ・「e+ AUTECH」(469万2600円)
  • ■電費データ
  • <G>
  • ◎交流電力量消費率
  • ・WLTCモード:155Wh/km
  •  >>>市街地モード:133Wh/km
  •  >>>郊外モード:145Wh/km
  •  >>>高速道路モード:171Wh/km
  • ◎一充電走行距離
  • ・WLTCモード:322km
  • <e+ G>
  • ◎交流電力量消費率
  • ・WLTCモード:161Wh/km
  •  >>>市街地モード:137Wh/km
  •  >>>郊外モード:150Wh/km
  •  >>>高速道路モード:179Wh/km
  • ◎一充電走行距離
  • ・WLTCモード:458km

気温の低さと雨の影響で春先のテストに比べて20%ほど電費が悪化した

 

 今回のEVテストは冬場の電費はどれぐらい悪化するのかがテーマ。エンジン車と違って余っている熱がないEVは、ヒーターで車内を暖めるために新たな熱を作り出さなければならず、他の季節よりも電費が悪くなるからだ。リーフe+は2021年4月にEVテスト第一回で取り上げており、今回の12月との比較を試みた。

 第一回とは高速道路のコースと計測区間は少し変わっているのだが、今回の計測結果はその1が5.4km/kWh、その2が5.4km/kWh、その3が6.1km/kWh、その4が6.1km/kWhだった。その1とその4は制限速度100km/h区間、その2とその3は制限速度70km/h区間となっており、本来は制限速度が高い区間のほうが電費は悪く出るものだが、その1もその4も交通量が多く、制限速度70km/h区間に近いペースとなってしまっていた。奇しくも、その1とその2、およびその3とその4が同数値になっているが、外気温が7~8℃だったその1とその2が悪く、9~11℃まで上がったその3とその4が良くなっている。

 この日は朝は雨が降っていて暗く、その3以降は雨が上がって陽が射してきたので、車内の温度は外気温以上に差があった。

4月のテスト時も外気温は意外に低くて10~13℃程度だったのだが、陽射しによって車内はそれほど冷えておらず、ヒーターへの依存度は今回よりも格段に低かった。その時のその1の電費は6.8km/kWh。これは計測区間に多少の違いはあるものの、今回のその1とその2の通しの電費である5.4km/kWhがほぼ同様のペースで比較対象になり得る。結果的に約20%ほど寒さによって悪化したとみていいだろう。

 もう一つ、ペース的に参考になるのはその3で、4月は外気温17℃前後で6.4km/kWh、今回は外気温10℃前後で6.1km/kWhだった。こちらも寒さによって悪化はしているものの、外気温の差が大きい割には電費の差は少なかった。

発進時の室内の温度が高かったことで電費の低下が抑えられた

自動車専用道路である箱根ターンパイク(アネスト岩田ターンパイク)を小田原本線料金所から大観山展望台まで往復した

 ターンパイク上り区間では4月の1.6km/kWhに対して今回は1.7km/kWhでほぼ同等。あまりヒーターの影響がなかったということになるが、これは走り始めるときの車内温度が関係しているものと思われる。最初の高速道路その1、往路海老名SAで充電のために30分間停まっていたその2の出発時は車内が冷えていたが、ターンパイク上りを計測するときは、それまで走ってきてヒーターで車内が暖まっていた。それで負荷が少なかったのだろう。冬場はとくに冷間スタートと温間スタートではずいぶんと差がでるということだ。

 下りでは今回が2.8kWh分を回生できたことになっている。4月は4.7kWhと多かったのだが、正直に言えばその時の計算はバッテリー残量を参考に推測したもので、信頼度はあまり高くない。今は電費計の数値から計算していて、これまで18回のテストをしてきた他のデータからも、今回の2.8kWhは平均的で信用度は高いだろう。とはいえ、下りの回生はあくまで参考値にしておきたい。

デフォッガーやワイパーの作動もエアコンの半分程度、電力を消費することがわかった

 一般道の電費は4月が6.2km/kWhだったのに対して、今回は5.7km/kWhと10%ほど悪化した。外気温は今回が9~11℃で、4月は18℃前後だった。出発時に昼休憩を30分ほどとったのでヒーターの負荷もそれなりにかかっただろう。

 もう一つ、今回は雨の影響も少なくなかった。高速道路その1とその2までは雨が降っていて湿気を取るとめにエアコンの負荷が大きく、さらに車内が曇りやすいのでデフォッガーを使い、ワイパーもほぼフル稼働。リーフの電力消費計は、走行用モーターだけではなく、エアコン(ヒーター含む)やその他の電装品も見られて興味深いのだが、デフォッガーやワイパーをハードに使っているとエアコンの半分程度にまで電力消費があがっていた。

東名横浜青葉ICから環八の丸子橋まで約22kmの距離を走行した

総電力量の多さが使い勝手のよさにしっかりとつながっている

海老名SAでの急速充電テスト ※データはテスト時のものです。数値を保証するものではありません

 今回は往路、復路ともに海老名SAで充電を行った。リーフe+のバッテリーは大容量でそんな必要はなかったのだが、同日テストのマツダMX-30が心許なかったので、同時に充電したのだ。

 往路は40kWの急速充電器を使い、30分で15.1kWhを充電。バッテリー残量は65%から90%に回復した(25%のプラス)。80%を超えると出力が下がってくるが、終盤でも30kWぐらいだった。

 復路は90kWの急速充電器を使い、30分で22.2kWhを充電。バッテリー残量は50%から88%に回復(38%のプラス)。充電開始直後は75kW程度の出力で、終了直前は30kW程度になっていた。リーフe+は車両の受け側の能力が90kWに対応しているので、40kWを使うよりも格段に充電量が増えるのが嬉しいところ。また、80%を超えてもそこそこの受け入れ能力があり、急速充電器の使用に関して器がデカいことは有利だとも言える。

膝前にはゆとりがある。足元に気になる段差もない。また、後席用シートヒーターも備わっていた

日産 リーフ e+はどんなEVだった?

テストを監修した自動車ジャーナリストの石井昌道氏

 12月にしては気温が期待したほどには低くなく、電費の差が出るのかどうか心配でもあったが、たいていの場面で寒さによる電費の悪化が顕著にみられた。一般的に、EVは冬場に20~30%程度電費が悪化すると言われるが、それは間違いではないだろう。今回は10~20%程度だったが、もっとも電費がいい条件のときと、本格的な寒さのときでは20~30%になるだろうと、今回の結果からも推測できる。また、寒い日にはシートヒーターやステアリングヒーターのありがたみも改めて認識した。

 リーフe+のバッテリーは62kWhと、Cセグメントとしては大容量であり、ボディが大きすぎないから重量も抑えられていて電費も悪くない。容量に余裕があると航続距離が伸びるだけではなく、急速充電器の使い勝手もいい。かなりバランスのいいモデルだと言えるだろう。

日産 リーフ e+ G

  • ■全長×全幅×全高:4480×1790×1565mm
  • ■ホイールベース:2700mm
  • ■車両重量:1680kg
  • ■バッテリー総電力量:62kWh
  • ■モーター定格出力:85kW
  • ■モーター最高出力:218ps/4600-5800rpm
  • ■モーター最大トルク:34.7kgm/500-4000rpm
  • ■サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム
  • ■ブレーキ前後:Vディスク
  • ■タイヤ前後:215/50R17
  • 取材車オプション
  • ■メーカーオプション:ボディカラー(暁-アカツキ-サンライズカッパー/スーパーブラック ツートーン)、後席クッションヒーター+後席ヒーター吹き出し口+高濃度不凍液
  • ■ディーラーオプション:LEDフォグランプ(インテリジェントアラウンドビューモニター付車)、日産オリジナルドライブレコーダー、ウインドウ撥水12ヶ月(フロント+フロントガラス撥水処理)、トノカバー、デュアルカーペット

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  • 年式 : 2020年
  • 走行距離 : 5.2万km
  • 車検: 検7.11
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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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