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新車試乗レポート
掲載日:2023.01.23 / 更新日:2023.01.23

【レクサス IS500】なぜISに大排気量V8モデルが残されたのか

文●大音安弘 写真●ユニット・コンパス

 レクサスのコンパクトセダンである「IS」に、新グレード「IS500 Fスポーツパフォーマンス」が追加された。これは2021年3月に、北米で発表された新たなISシリーズのフラッグシップモデルである。ハイパワーなピュアエンジン車を愛する彼の地のカーガイ向けに送り出されたマッスルカーであるが、2022年7月に、生まれ故郷である日本への導入が公表された。

世界的にもレアとなった大排気量の自然吸気V8エンジン

IS500 Fスポーツ パフォーマンス ファーストエディション

 日本では2世代目、世界的には3世代目となる現行ISの国内デビューは、2013年5月のこと。前年にデビューした上位のミッドサイズセダン「GS」も退役しており、今やレクサスラインアップの中でも、最も古株となっている。

 もちろん、改良と進化は続けられており、2020年11月には、ビッグマイナーチェンジを実施。ドレスアップや安全面などの機能の向上だけでなく、トヨタが2019年に愛知県豊田市下山地区に新設した車両開発用テストコースで仕上げた第一弾モデルであることを公表するなど、走りも鍛え直されたことがアナウンスされていた。その改良型ISの集大成ともいえるモデルが、このIS500なのだ。

 IS500の最大の特徴は、もちろんエンジンだ。レクサスのハイパフォーマンスモデル「F」やフラッグシップクーペ「LC」に搭載される自然吸気の5.0LV8DOHCエンジンを搭載した。

 ターボじゃないのかと……と思った人は、良く考えてみて欲しい。現在、日本で販売される輸入車で、自然吸気のV8エンジンを搭載するモデルがどのくらい存在するかを。かつては、欧州高性能車の十八番でもあったが、今や6.2LのV8OHVエンジンを搭載するシボレーのコルベットやカマロだけ。それ以外は、全てターボ車なのだ。確かにターボの方が、瞬発力があり、最高出力や最大トルクも上回る。しかし、スペックでは語れないドライビングフィールでは、自然吸気エンジンに分がある。

 たとえば、アクセル操作に合わせて、リニアに反応し、レブリミットまで気持ちよく吹けあがる動作や高回転域での雑味の無いエンジンサウンドなどの快楽は、ターボ車では味わえないもの。もちろん、通常のクルマの2倍以上の排気量を持つから、スペックも普通ではない。IS500は、最高出力481ps/7100rpm。最大トルク535Nm/4800rpmを発揮する。

IS500 Fスポーツ パフォーマンス ファーストエディション

 ちなみに、これまで最もパワフルだった自然吸気の3.5LV6エンジンを搭載する「IS350」よりも最高出力で163ps、最大トルクで155Nmの差があるのだ。

 開発者に拘りを尋ねると、走りなどの性能だけでなく、「見せるエンジンルーム」を挙げる。今や、普段は滅多に開けることのないボンネットをユーザーが開き、眺めて楽しめるように作り上げたというから面白い。単なるフラッグシップ、高級なISではないことを実感させるエピソードではないだろうか。一体、どんな走りを見せてくれるのか、期待を膨らませ、しばしのドライブへと連れ出した。

コンパクトな車体を活かした俊敏なフットワーク

IS500 Fスポーツ パフォーマンス ファーストエディション

 IS500のエンターテイメントは、イグニッションONからスタートする。エンジン始動と共に車内には重低音が響き、ドライバーの心を刺激する。もちろん、アイドル時は、排気音は少し落ち着き、大人な対応も見せる。

 発進すると、意外にも乗り心地が良くて驚かされる。先ほどの排気音の勇ましさとは裏腹に、なんとも落ち着いた走りを見せるのだ。ただそれは、世間を欺く姿ともいえる。ドライバーがアクセルを強く踏み込めば、甘美なサウンドを轟かせ、勇ましい加速を見せつける。そして、ノーズには、重量のあるV8エンジンを搭載しながらも、コンパクトなボディを活かした俊敏なコーナリングも得意とする。これも開発者の拘りのひとつで、コンパクトスポーツセダンの持ち味である軽快さを失わぬように、搭載位置に苦慮したという。まさにこだわりの詰まった一台なのだ。

ISにV8モデルが存在する意義とは

IS500 Fスポーツ パフォーマンス ファーストエディション

 かつて同じエンジンを積んだ先代ISは、IS Fを名乗ったが、同車はFスポーツパフォーマンスに留めている。その点は、日常でV8エンジン車を楽しむという贅沢さを味わってほしいという願いから。

 たしかに、他のFシリーズのようなド派手な演出はなく、普通の人には、スポーティグレードのIS Fスポーツと区別もしにくいだろう。なんともいぶし銀なクルマなのだ。ここまでくると、IS Fが欲しいという欲望も芽生える。しかし、今の世界は、大排気量エンジンには厳しい時代。ましてやコンパクトなクルマに搭載するなど論外だ。性能重視ならば、大排気量かつターボとし、ライバルよりも速くなくては意味がないという、まさに弱肉強食。純粋に、5.0LのV8自然吸気エンジンを楽しむのは、贅沢となっているのだ。

 ではなぜ、ご長寿モデルといえるISに、レクサスが力を入れるのだろう。その答えは、意外にも簡潔。コンパクトなFRであることだ。今もFRのトヨタ車は存在するが、直系のFRは、ISだけ。走りの良さを重視する今のトヨタにとって、ISは貴重な研究材料であり、走りの財産でもあるのだ。

 現在は効率面でもFFが主役のトヨタ。レクサスもその色を強めているのは確かだ。しかし、ISへの想いが変わらない限り、同社がFRという価値を捨て去れることもないだろう。IS500は、そんな期待も膨らませてくれた。

大音安弘(おおと やすひろ)

ライタープロフィール

大音安弘(おおと やすひろ)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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