自動車保険の特徴として、いろいろな特約をつけられる点が挙げられます。自分にとって必要な特約だけをつけることで、オーダーメイド的に補償を受けられるのが魅力です。

各保険会社で、オリジナルの特約をつけることで差別化を図っています。その中の一つに、今回紹介する子供特約があります。

今後、自分の車を子供が運転することもあるかもしれません。そういった時に使える子供特約について、ここで詳しく解説していきます。

保険料がお得になるのが魅力の子供特約

保険料がお得になるのが魅力の子供特約
子供特約とは、年齢条件を設定している人を対象にしたもので、従来の年齢条件とは別に子供の年齢条件を設定して、補償を受けられるようにするものです。

例えば、40代の夫婦がいたとして、保険料を節約するために年齢条件を35歳以上の補償にすることも多いでしょう。ところが、子供が運転免許を取得して運転することになった場合、この年齢条件で子供が事故を起こせば補償が受けられなくなります。

そのため、子供も補償対象になるように、本来であれば年齢条件を見直さないといけません。そこで利用できるのが、子供特約です。

子供特約をつけていれば従来の年齢条件とは別に年齢設定ができ、子供が事故を起こしても補償の対象になります。

自動車保険に子供特約を付けるメリット

自動車保険に子供特約を付けるメリット
子供特約をつけるメリットとして大きいのは、保険料の節約です。

子供が車を運転することになって年齢条件を見直すと、普通なら保険料がぐんとアップします。

そこで子供特約をつければ、子供が運転しても補償される一方で保険料もそこまで上がりません。

ここからは、具体的な事例で比較してみましょう。

自動車保険に子供特約を付けるのにはどのようなメリットがありますか?
通常、子供が運転するとなると年齢条件などによって保険料が高くなります。しかし子供特約をつけられる自動車保険の場合、大幅な保険料の上昇を抑制する効果が期待できます。
18~20歳の子供が運転することになった場合は、子供特約がついている自動車保険がおすすめです。
40代夫婦のみの場合の保険料

子供特約をつけた場合とつけない場合で保険料がどうなるか比較してみましょう。

ここでは、ハイブリッドカーを日常使用している20等級・ゴールド免許で35歳以上補償をつけている40代夫婦の事例を見ていきます。

この場合、保険料は大体15,000~25,000円といった保険会社が多いです。しかし、保険会社によって料金はまちまちなので、この条件で保険料がさらに高い商品も見られます。

特に代理店型の自動車保険は少し保険料が割高になることも多いですが、そうだとしても3万円台程度です。

上で紹介した条件で、年間の保険料が4万円を超えるようなことはまずないでしょう。

40代夫婦に子供がいた場合

先に紹介した40代夫婦に18歳の子供がいて、免許を取得しマイカーを運転することになると保険を見直さないといけません。

この場合、年齢条件は外さないといけなくなります。もしくは家族限定特約をつけることで、保険料を抑える方法もあります。

ただし、この条件でシミュレーションすると、夫婦だけが運転する場合と比較して保険料はぐんと上がるでしょう。

各保険会社のシミュレーションを見てみると、安くても4万円台の後半から6万円超になってしまいます。高いものだと10万円近くにまでなってしまう保険もあるほどです。

これが子供特約をつけた場合どうなるかというと、4万円台前半に節約することが可能です。

子供特約をつければ、他社と比較して保険料のアップ分を抑制できるメリットがあります。

子供特約を付ける際の注意点について

子供特約を付ける際の注意点について
前述したとおり、子供特約をつけることで子供が運転した場合の保険料の上昇分を抑制するメリットがあります。ただし、自動車保険に子供特約をつけるにあたって注意すべきポイントもいくつかありますので、ここで紹介します。

子供特約をつける際、いくつかの条件をクリアしなければなりません。加えて全ての自動車保険に子供特約をつけられるわけではないので、選択肢は限られてしまうでしょう。

子供特約を付ける際に注意すべきポイントはありますか?
子供特約をつける際は、付帯条件がいくつかあるので、確認した上で契約してください。
また、子供特約をつけられる自動車保険は今はまだ少数です。その分、選択肢の幅も狭まってしまうので、この点もあらかじめ理解しておきましょう。
付帯条件がいくつかある

子供特約をつけるにあたって、いろいろな付帯条件が付いてくる点には注意が必要です。保険会社によって条件は異なりますが、複数の条件をクリアしなければならないでしょう。

まずは、子供の所有する車両ではないことです。また、主たる運転者が子供ではないことも、条件として設定している自動車保険は少なくありません。

イメージとしては両親が主に運転する自家用車に、子供も免許を取ったので借りるというパターンです。

子供がマイカーを購入した場合は、この車両に自分の自動車保険の子供特約で補償することはできません。

また、運転者限定で本人限定や配偶者限定でないことを条件としてつけている保険会社も見られます。

子供特約をつける前に、どのような条件が付帯されているかパンフレットなどで確認しておきましょう。

子供特約のつけられる自動車保険は少数

子供特約は、全ての保険会社で設けているサービスではないことは理解しておきましょう。かつては、多くの保険会社で子供特約を用意していましたが、多くのところで廃止となっています。

2022年11月時点で子供特約を用意しているところは、2社のみです。子供特約をつけたいなら、2つのうちどちらかを選択することになります。

もし子供特約がない保険会社で契約している場合、乗り換えないといけません。そのため、子供特約のついている自動車保険に乗り換えても保険料が大して変わらないという可能性もあります。

安易に乗り換えるのではなく、子供特約をつける場合とそうでない場合のシミュレーションをして、どうするか判断したほうがいいでしょう。

適用される子供の範囲について

子供特約をつける際、子供と同居しているか別居しているかも重要なポイントです。

基本的に記名被保険者もしくはその配偶者の同居の子供が、子供特約の条件です。つまり、別居している子供に対しては、子供特約はつけられません。

例えば、大学進学や就職で実家を離れて、長期休暇を使って実家に帰省する子供がいたとします。その子が運転免許を持っていて、帰省中に親の車を借りるから子供特約をつけたいと思っても、この場合はつけることができません。

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子供が運転する場合の自動車保険の契約方法について

子供が運転する場合の自動車保険の契約方法について
子供特約をつけられる自動車保険は、2022年11月時点で2つしかありません。中には子供がマイカーを運転することになったけれども、子供特約なしの保険で契約したいという方も出てくるでしょう。

子供特約以外でも、契約条件を変更することで子供が運転した場合でも補償される方法はあります。

ここからは、主な契約方法についてピックアップしたので、参考にしてください。

子供が運転することになった場合の保険の入り方はどうなりますか?
主に運転する頻度の多いのは家族の中でも誰なのかによって、記名被保険者の名義が変わります。また、子供が同居しているのか、別居しているのかで限定特約の種類も変わってきます。保険会社によっても契約内容が変わってくるので注意が必要です。
記名被保険者は誰にするか

親子で同じ車両を運転することになった場合、記名被保険者の名義をどうするか考えないといけません。

記名被保険者は、誰が主にその車両を運転するかによって変わってきます。基本的に一番その車を運転する頻度の多い方の名義にします。

子供のほうが親と比較してよく運転するのであれば、記名被保険者を子供に変更したほうがいいでしょう。

もし運転実態と契約内容が合っていない場合、事故を起こしても保険金が支払われない場合があります。記名被保険者と契約者が違っていても問題ないので、必要に応じて見直しましょう。

中には「保険料を支払っている人が記名被保険者だ」と思っている方もいるかもしれません。しかし、記名被保険者が子供で、保険料を支払う契約者は親でも契約上問題はないこととなっています。

年齢条件の変更

もし子供特約をつけない自動車保険で年齢条件を設けているのであれば、見直さないといけません。年齢条件をそのままにしていると、子供が事故を起こした場合に補償が適用されないからです。

ただし、年齢条件が適用されるのは全ての子供ではありません。年齢条件は記名被保険者とその配偶者、いずれかと同居している親族が対象です。

もし子供が独立して実家から出ている場合には、そもそも年齢条件の対象外となります。子供が別居している場合、年齢条件を子供に合わせて見直す必要はありません。

同居している場合には、年齢条件なし、21歳以上、26歳以上、30歳以上、35歳以上補償のいずれかの中から選択します。子供の年齢に合わせて見直しましょう。

子供が一人暮らしをしている場合

別居の子供が帰省などで愛車を運転することもあるでしょう。自動車保険の中には、別居の子供を含めた運転者限定特約をつけられる商品もあります。

保険会社の中には「本人・配偶者・別居している未婚の子供」を補償する特約をつけられるところもあります。今契約している自動車保険で、このような運転者限定ができるかチェックしておきましょう。

中には子供は普段別居しているけれども、住民票を移動させずにそのまま同居となっている場合もあるかもしれません。その場合でも、基本生活の実際の拠点がどこにあるかで同居か別居を判断します。

たまに帰省するけれども、普段は別のところで一人暮らしをしている場合には別居の子供扱いになります。

二世帯住居になった場合

いったん独立したけれども二世帯住宅を建てることになって、そこで一緒に暮らすことになった場合は、保険会社によって判断が分かれます。同居扱いになる場合もあれば、別居扱いにされる場合もあります。

また、二世帯住宅の構造がどうなっているかで、判断が分かれることが多いです。生活用設備を一緒にしているのであれば、同居扱いになることも少なくありません。

例えば、建物内部で二世帯がつながっていて自由に行き来できる場合や、台所やお風呂などが共用の場合は同居扱いの可能性が高いです。ただし、隣り合った住宅だけれども、それぞれ完全独立していて生活用設備も共有していないと別居扱いです。

また、家族限定特約をつけられるのは未婚の子供に限られます。結婚して所帯を持っているのであれば、家族限定特約はつけられません。

子供が帰省時のみ運転する場合

普段一人暮らしをしている子供は、家族限定特約の対象外です。しかし、長期休暇中実家に戻って車を運転することがあれば、1日自動車保険に加入するのも選択肢の一つと言えます。

1日自動車保険とは、1日単位で保険に加入できる商品です。帰省中に実家の車を運転する時や友達の車を借りてドライブする時などに加入します。

子供が帰省してくるのはレアケースで、実家の車を運転することも少なければ、自分の自動車保険の補償範囲に子供を追加するよりも1日自動車保険を使ったほうが保険料がお得になるでしょう。

まずは運転者範囲の見直しと1日自動車保険に加入した場合の保険料を算出して、比較しましょう。

子供が新たに車を購入した場合の自動車保険の入り方

子供が新たに車を購入した場合の自動車保険の入り方
子供が運転免許を取得して親の車ではなく、自分でマイカーを購入して運転する場合もあるでしょう。この場合、親とは別に自動車保険に加入しなければなりません。

この時、そのまま自動車保険に加入するのではなく、一工夫すると保険料がお得になる場合もあります。

ここからは、保険料で得をする自動車保険の契約方法について紹介していきます。

親の契約を譲るのも一つの方法

親御さんの自動車保険の等級が高ければ、子供に等級を譲る方法があります。等級は同居している子供になら引き継ぐことができます。

通常、自動車保険に新規契約すると6等級からのスタートとなりますが、親が7等級以上持っていれば、子供の保険料はその分お得になります。

そうすると、親が6等級になってしまうため損になるのでは?と思うかもしれません。しかし、保険料は一般的に年齢が上になると事故リスクが低いと考えられているので、その分お得になります。

子供が6等級からスタートする場合と比較すれば、保険料は安くなるでしょう。そのため、親の等級を子供に譲ったほうが、子供が新規で自動車保険に加入する時よりもトータルの保険料をお得にできるということです。

セカンドカー割引を利用する

親子が同居していて、子供が新しく自動車を購入した場合、条件次第ではセカンドカー割引を使うことで保険料がお得になります。

セカンドカー割引は、11等級以上の自動車保険を保有している世帯が対象となります。もし親御さんが11等級以上であれば、同居親族が新規契約した際は本来6等級からのスタートが7等級から始められます。

1等級上からのスタートになるので保険料の割引率がその分高くなり、保険料がお得になるということです。

セカンドカー割引は同じ保険会社で加入しなければならないと思っている方も多いかもしれませんが、親子別々の保険会社で契約しても条件さえ満たしていれば使えます。

自分の車を子供が運転して事故を起こしたら?

自分の車を子供が運転して事故を起こしたら?
子供が免許を取得して、自分の車を貸し出す場合もあるでしょう。貸し出した車を子供が運転中に事故を起こしてしまうこともあるかもしれません。

この場合、自動車保険に入っていれば基本補償は受けられます。ただし、条件次第では補償の対象外になってしまいます。

ここからは、その注意点について詳しく説明していきます。

家族限定をつけていれば問題なし

まずは運転者の範囲がどうなっているか確認しておきましょう。中には家族限定の特約をつけている方もいるかもしれません。

子供が同居していて、親もしくは兄弟の車を借りて運転した場合、事故を起こしても補償の対象となります。別居の子供が事故を起こした場合でも、家族限定をつけていれば補償の対象です。

例えば、大学に進学して一人暮らしをしている子供が夏休みに帰省して、親の車を借りたとします。そして事故を起こした場合でも親が自動車保険に入っていて家族限定をつけていれば補償を受けられます。

ただし、別居で家族限定の対象になるのは、子供が未婚の場合です。既婚の別居の子供は補償の対象外になるので注意が必要です。

年齢条件に注意が必要

自動車保険の年齢条件を設定すると、限定しない場合と比較して保険料をお得にできるので、つけている世帯も少なくありません。

年齢条件は保険会社によって若干異なりますが、一般的に全年齢、21歳以上、26歳以上、30歳以上、35歳以上の5つの中から選択できます。

もし運転者を限定している場合、一番若い子供の年齢に合わせて設定しなければなりません。

ただし、年齢条件の対象は記名被保険者とその配偶者とその同居の親族までです。もし別居している子供が運転する場合は、この年齢条件の対象外となるため、子供の年齢に合わせて年齢条件を設定する必要はありません。

他車運転特約の補償は可能か?

他車運転特約とは、契約者以外の車を運転して事故を起こした場合に、補償を受けられるものです。

一般的には、友人や知人、親戚の車を借りた時のために付帯することが多いです。自分の自動車保険につけるので、相手の自動車保険を使わずに補償が受けられ、相手の等級ダウンを避けられます。

しかし、もし同居している親の車を借りて運転して事故を起こした場合、他車運転特約は使えません。保険会社では、記名被保険者とその配偶者、その同居の親族が所有する車両は「他車」扱いにはならないためです。

ただし、別居している親戚の車を借りた場合には他車運転特約が適用されます。この部分は混同しないように注意しましょう。

まとめ

①自動車保険の子供特約は、親の車を子供が運転したときに補償され、保険料もお得になる
②子供特約のつけられる自動車保険は数が少ない
③家族限定や年齢条件などを調整するのが一般的
④子供が車を購入した場合、親の等級を引き継ぐことも可能

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