車を査定に出す時に「少しでも高く評価してほしい」「査定金額が多い方がいい」と思うのは当然です。しかし、車種や年式、消耗といった査定に関わる要素はどれだけ力を尽くしてもどうにもなりません。
少しでも査定金額をアップするために見直していただきたいのが「車の清掃状態」です。
車を清掃しておくことで査定にどのような影響があるのでしょう。査定を受ける前に知っておきたい情報をまとめました。
清掃をしておくと車を高く買い取ってもらえる!
買取業者に買い取りを依頼した自動車は、日本自動車査定協会(JAAI)によって定められた基準で査定されます。その車がどのクラスに該当するか、年式や走行距離、エンジン回り等の条件をチェックして点数方式で最終的な査定金額が決まる流れです。
また、査定時には車のボディの状態や内装の状態も査定でチェックされます。車のボディと内装は、傷や汚れが少なくきれいな状態か必ずチェックされます。
査定の基準では、「内装が無減点(ルームクリーニング減点を除く)の良質車については特別に加点する」と定めていて、20点の加点です。
加点採点の項目にもなるので、あらかじめ清掃しておくことをおすすめします。
清掃状態が良くなくても、傷や消耗が少なくスペックが高い車であれば高額査定になる可能性が高いです。また、清掃したとしても車自体の価値が大幅に上がるわけではありません。
しかし、泥だらけで車内にごみが散乱したような車は高額で買い取りたいと感じられないでしょう。汚れた状態は査定士が受ける印象も決して良くはありません。
また、泥や汚れでボディに傷や汚れがあってもわかりにくくなるため、正確な査定のために清掃が必要になることもあります。その分手間や時間がかかってしまうので、査定額も抑えられてしまう可能性があります。
きれいに保てていないことで、車のメンテナンスも怠っているのではと思われてしまうこともあります。査定には明確な基準があるものの、実際に判断をするのは人間です。
清掃ができていない、手入れされていない車は査定ではわからない不具合や消耗が隠されているのでは、と疑われてしまうこともあります。
そのため、高額での査定はできず、買い取りした後に整備や修理が必要な可能性を考慮した査定になってしまうかもしれません。
一方、清掃してきれいな状態であれば大切に乗ってきた車であることがわかり、査定士も作業しやすくなります。清掃が直接査定をアップさせるわけではなくても、大切な要素の一つです。
査定前の清掃【外装編】
車の清掃は外装と内装に分けられます。
外装については、普段の洗車の内容でも十分です。泥がついていないか、目立った汚れがないかをチェックしてください。
車の外装をきれいにする時は、まず全体をチェックして泥や汚れを事前に取っておきます。
また、ボンネットの内側(エンジンルーム)も汚れやすい部分です。普段はウォッシャー液の点検や補充の時くらいしか見ない部分かもしれません。
しかし、ボンネットの内側は、空気の取り入れ口になっているため、砂や枯れ葉が堆積していることがあります。細かい部分の汚れを取り除く時には、使い終わった歯ブラシや専用ブラシを使いましょう。汚れをかき出してから専用シートでふき取ります。
ライト回りも隙間に汚れが貯まりやすい部分なので、しっかり取り除きます。目立つ汚れを落としてからたっぷりの水で全体を洗い流してください。
カーシャンプーを使ってボディやガラスの汚れを落としてから、しっかりと水ですすぎます。輪ジミが残らないようにウエスで水分を取って完了です。
自動車の足回りも汚れやすい部分です。泥汚れや、さびは見た目に大きく影響します。
タイヤとその内部の汚れをシャワーやブラシで落としていきます。足回りの汚れは主に地面から巻き上げた泥汚れとブレーキダストです。強めの水圧をかけて落としやすい部分から清掃してください。
外装部分は、車がおかれている環境がダイレクトに反映されます。海が近ければ潮風、雪が多い地域では融雪剤が金属部分を傷めてしまいます。
単純に見た目を整えるだけでなく、質を保つためにも定期的にきれいにしておきましょう。
車を自分の好きなようにアレンジするため、ステッカーを貼る方も少なくありません。お気に入りのキャラクターやデザインを貼ることで、個性を演出できます。
しかし、買取査定の面でステッカーには良いことがありません。
ステッカーは旧オーナーの好みなので万人するわけではなく、新しく販売する時には剥がすことになります。そのため、買取業者が買い取ってからステッカーを剥がすことになり、その手間やコスト分は査定から差し引かれてしまうでしょう。
また、ステッカーがあることでステッカーの下の塗装がチェックしにくくなります。
ステッカー剥がし液も市販されているので、査定を受ける前に自分で剥がしておくのがおすすめです。また、ドライヤーや中性洗剤でもステッカーを剥がせます。
ただし、ステッカーを力ずくで剥がすとボディやガラスに傷ついたり、シール跡が残ったりして査定でマイナスの影響を与えます。作業に不安がある場合には、そのまま査定に出しましょう。
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査定前の清掃【内装編】
内装は、車を利用する時に直接肌に当たる部分です。そのため、ユーザーにも内装の状態を気にする方が多いです。
きれいにしているつもりでも、案外ほこりやごみが溜まるので、清掃をおすすめします。
車の内部のうち、汚れやすいのが足元に置かれているマットです。
まずは、マットを取り出して洗っておきましょう。マットは専用の洗剤もありますが、家庭用の中性洗剤でも十分洗えます。汚れている部分なので、面倒でも手洗いをするのがおすすめです。
ガソリンスタンドにある、フロアマットの洗浄機を使うという手もあります。すべてのマットを取り外したら、掃除機で足元にある砂や小石をきれいにします。
掃除機はハンディタイプで先が変えられるものが便利です。ブラシタイプのアタッチメントは細かい部分の汚れをかき出したり、シートの隙間のほこりを吸い取ったりすることができます。
フロアマットは、砂やほこりの他に雨水や食べこぼしなどで汚れやすい部分です。ダニや雑菌が発生しやすくなるので定期的に洗うようにしてください。
フロアマットを洗うことで、車内の嫌な臭いが改善することもあります。
査定を受ける前には、ダッシュボードやトランク内など車内にごみを残さないようにしましょう。
ごみがあるからといって減点になるわけではありませんが、査定を受ける時の印象は悪くなってしまいます。余裕があればトランクのように広い部分は掃除機がけをしておきましょう。
車内のごみを捨てるだけであれば数分でできるので、車内に臭いをつけないためにも、こまめにごみを捨てるようにしてください。ごみ箱を置いて一か所にまとめておくと、捨てる時にも手軽になります。
シートの汚れやシミもできるだけ取り除いておきます。薄くて目立たないシミであっても、大きければ査定に影響することがあります。
車内の食べこぼしが原因でシートがベタベタしている場合には、しっかりふき取っておきましょう。新しいシミであれば、ウェットタオルで叩いただけでも落ちることがあります。
古いシミや頑固なシミは専用の洗剤を使うのがおすすめです。シミ取りは漂白剤を使うこともできますが、塩素系の漂白剤だと色落ちしてしまうことがあります。使い方には十分注意してください。
査定前の清掃【匂い対策編】
査定のハンドブックでも自動車内の異臭は40点という大きなマイナス項目です。異臭はペットやタバコ、飲食といった原因で起こります。
臭いを除去できるまでに時間がかかることもあるので、スケジュールに余裕を持って取り組むようにしましょう。
車内の臭いを取るためには、まず全体を拭き掃除します。いくら消臭剤を使っていても、臭いの元が残っていれば臭いを絶つことはできません。
車内のごみを捨てて、掃除機でほこりを吸い取った後に内装の拭き掃除を始めてください。車内の布製品を洗うだけでも臭いはだいぶ軽減できます。
また、天井やパーツ部分等を柔らかい布で拭きあげます。車内に傷がつかないように慎重に作業しましょう。
臭い対策に活用してほしいのが、重曹です。
重曹には中和作用と除菌作用があります。ごみや汗、ペットのようなたんぱく質や油の匂いは、酸性の性質がありますが、重曹には酸性を中和する作用があり、無臭に変化させることができます。
また、気になる手あかや皮脂の汚れにも重曹は効果的です。重曹の静菌作用によって雑菌の繁殖を防ぐこともできます。
車内の掃除に限らず、普段のお掃除にも重曹は強い味方になるでしょう。
重曹は粉のまま臭いの原因に振りかけて使うこともできますが、拭き掃除に使うのであれば水に溶かしてください。
100mlの水に小さじ1杯程度の重曹を入れて、洗浄液を作ります。雑巾を洗浄液に入れてから絞ってシート等を拭きあげましょう。
重曹は薬局やドラッグストアの他、100円ショップでも簡単に購入できるアイテムです。家庭の掃除にも使えるので、常備しておくと便利です。
使い方を間違えなければ便利な重曹ですが、使う時には注意も必要です。
重曹には研磨作用があるため、柔らかい部分に使うと傷をつけてしまうかもしれません。傷がつかないか不安な場合は、隅の方で試してから使うようにしてください。
また、重曹は弱アルカリ性で手荒れの原因になることがあります。使用する時にはゴム手袋などで肌を守りましょう。
最も手軽な臭い対策が車内の換気です。晴れた日にドアを開けて換気するだけでも、一定の効果が期待できます。
また、定期的に外の空気を入れながらエアコンを運転させることによって、空気を循環させることが可能です。普段の走行のついでにもできるので、換気を習慣にしましょう。
車内のファブリックやシートの臭いを取っても、エアコンに臭いがついていることがあります。せっかくきれいにしてもエアコンを動かした途端に臭いが充満してしまいます。
エアコンをクリーニングするには、どのような方法があるのか紹介します。
車のエアコンは汚れやすい部分です。花粉が飛びやすい時期や湿気が多い季節には特に清掃をおすすめします。
カーエアコンを掃除するには、グローブボックスを外してからエアコンフィルターを取り外して洗浄してください。
グローブボックスの外し方は車種によって違います。必ず取扱説明書等を確認してから作業しましょう。
フィルターを引き出す時にほこりが舞い上げないように、ゆっくりと引き出してください。
エアコン本体(エバポレーター)は専用の洗浄剤を使って掃除します。カー用品店やホームセンターでも購入できるので、必ずカーエアコン専用のものを使いましょう。
取り外したフィルターは水洗いをしてから陰干しし、しっかりと乾燥させてから元に戻しましょう。フィルターの中には水洗いできないものもありますので、注意してください。
どうしても臭いが取れない時には、交換することも検討しましょう。交換する際は、フィルターの品番を確認して同じものと交換します。
車の臭いを気にする方は多いため、色んな種類の消臭剤が販売されています。
消臭剤の中でも手軽で人気なのがスプレー式の消臭剤です。臭いが気になる部分に直接スプレーできるので、マットやシートの臭いが気になる場合にも便利です。
また、エアコン吹き出し口につけるタイプの消臭剤もあります。これはエアコンから出るカビ臭さを減らす時に使うのがおすすめです。
気になる臭いを一気に取り除くのであればスチーム式の消臭剤も便利です。これは、車内を煙で充満させるタイプの消臭剤となります。エアコンと車内の臭い対策を一度でできます。
他にも日常的に使える置き型の消臭剤もあるので、目的や臭いの原因によって適した消臭剤を選んで使うようにしてください。
清掃時の注意点
車の清掃方法に難しいものは、そこまでありません。ほとんどの部分は自分でできると感じる方も多いでしょう。
ただし、車の清掃する時には注意しなければならないこともたくさんあります。どのような点に注意すべきかまとめました。
査定を受ける前の清掃は、査定までのスケジュールに余裕を持ってスタートしましょう。
フロアマットの洗濯や換気は天気が良い方が実施しやすいので、休日で天気が良い日に清掃するのがおすすめです。
車の臭いを取るには、臭いの原因を探らなければいけません。シートやエアコン清掃を行うとなれば、時間もかかってしまいます。
タバコやペットの臭いが原因の場合は、早い段階で車内での喫煙やペットの乗車を避けるようにして、頻繁に換気します。
臭いはいきなり対策しようとすれば、きつい香りの消臭剤を使うことになり、逆効果になってしまうかもしれません。買い取りを検討した時点で臭い対策をスタートするようにしてください。
車の清掃をしていると、今まで気づかなかった傷やへこみが気になってしまう場合もあります。「目につくから修理してしまおう」と考えるかもしれませんが、基本的には修理せずにそのまま査定に出すのがおすすめです。
買取業者は修理工場と提携したり自社工場を持ったりすることも多く、一般よりも安く車の修理ができます。せっかく修理代をかけても、それ以上に査定金額で差がつくかどうかは分かりません。
買取業者の方が安く修理できる可能性もあります。逆に中途半端に修理して、跡が目立ってしまえばそれが査定の減額になることがあります。
傷やへこみを無理に直そうとするよりも、そのまま査定に出して任せましょう。
査定前の清掃は完璧にしようとすれば、費用も手間も大きくなってしまいます。しかし、どれだけ完璧に清掃しても、それで査定が大きく上がる可能性は少ないでしょう。
清掃は、あくまでもできる範囲で十分です。前もってごみを片づけたり、換気したりする程度であれば乗車するついででもできます。
また、中性洗剤や重曹といった家庭で使う洗剤も車の清掃に使えるので、お財布と時間に負担がかからない程度の清掃を行いましょう。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!
普段からメンテナンスを怠らないことが大切
車内は密閉された空間です。そのため、ほこりやごみも溜まりやすく、臭いが気になってしまいます。快適に車を使うには、査定前に限らず定期的に清掃するようにしてください。
エアコンのカビやダニは定期的に乾燥させることで防げます。また、汚れやシミも早めに気がつけば落としやすいはずです。外装部分も定期的に清掃しておけば、メンテナンスしやすくなります。
気持ちよく使うため、車の品質を保つためにも定期的に清掃しておきましょう。