新車試乗レポート
更新日:2026.07.28 / 掲載日:2026.07.28
孤高のオフローダー、ジムニーノマドよ永遠なれ!【九島辰也】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
ジムニーノマドのメディア向け試乗会が行われた。一般道とオフロードコースを使ってのテストドライブとなる。では、なぜ今試乗会が行われたのか。その理由は7月1日付で仕様変更が行われたからだ。言うなればマイナーチェンジ。内部資料的にいえば、1型が2型へと進化した。
2型に進化したジムニーノマド、今度は買える?

そのジムニーノマドは現在、実際に買えるのかと疑問が湧く。なぜなら発表されたのは2025年1月30日だが、2月3日には受注停止を宣言した。理由は一気に5万台の受注が来てしまったというもの。うれしい悲鳴だが、混乱のタネになった。その後5月30日に増産計画をアナウンス。月間販売台数1200台を7月より約3300台にすることを明言した。インド工場での増産体制が整ったのだろう。そして年を越した今年1月30日に今回の仕様変更の発表と受注を再開、今回の試乗会の開催へとつながった。となれば、買える可能性は高まったと思っていいだろう。
ちなみに、ノマドの海外マーケットは、オーストラリア、ニュージーランド、中東、南米、アフリカだそうだ。かなり実用性のあるエリアのニーズに応えているように思える。軽量なジムニーは砂漠でも沼地でも重宝される。その一方、北米とヨーロッパでは販売していない。衝突安全、排ガス規制などの規制と関係しているのだろうか。もしヨーロッパで販売したなら、イタリアあたりで大人気になる可能性は高い。
進化のポイントはセンサー類の強化

それはともかく、新型ジムニーノマドの進化したポイントだが、一言で表すならセンサー類が増えた。具体的には後方のパーキングセンサーで駐車が楽になったり、車線逸脱制御機能を全車標準装備にしたり、ブレーキサポートの範囲を自動二輪や自転車にまで拡大している。ACCを追加したのもそうだ。安全や快適性の部分で機能性を高めている。
では、実際に走らせた感想に移ろう。まずステアリングを握ったのは5MT。これで富士山周辺の公道を走らせた。

印象は一般道でもかなり扱いやすくなっていた。乗り心地はよく、ステアリングやアクセル、ブレーキ操作に対する反応がいい。従来型とはダンパーの減衰力が異なる気がする。パワーは1.5リッター直4のNAユニットに限界はあるものの、常用域では問題ない。しかもキャビンは思いのほか静か。

ブリヂストンのデューラーもオフロードタイヤとしては静粛性が高く、ロードノイズは気にならない。サイズは195/80R15のままだ。そして、注目はMTのフィーリング。スズキ自社製のそれはショートストロークでカチカチ入る優れもの。ジムニーノマドを思い通りに操れるクォリティを持っている。ジムニーではない背の低いモデルでも試したくなる出来栄えだ。

オンロードの次には4AT車でオフロード走行を試した。4WDローレンジでのヒルクライムやダウンヒル、モーグルなどの走行だ。で、ここではブレーキLSDトラクションコントロールが威力を発揮した。どこか一輪が空転するとそれをブレーキがつまみ、トラクションを他のタイヤへ振り分けるというものだ。ブレーキをつままないと、空転しているタイヤにいつまでも動力が伝わってしまうので、それを阻止する役目を果たす。

ユニークなのはある程度の空転を許容してから作動すること。エンジンが高回転まで回り、脱出に必要なトルクを得てからじゃないとブレーキLSDトラクションコントロールは起動しない。大きなエンジンを積んだ輸入オフローダーはそもそもトルクが太いためタイヤが一回転も空転しないうちにブレーキをつまむのだが、それとは考え方が違うのだ。それぞれの特性で制御が変わるのは知れば知るほど楽しい。
本格オフローダーの伝統は受け継がれた

そんなジムニーノマドは自動車業界でも足跡を残す一台だ。なんたって日本で買えるラダーフレームで前後リジッドアクスルで副変速機を持ったクルマはもはやこれだけ。伝統のプロファイルを今も継続している。
しかも4WDシステムはセンターデフを持たないパートタイム式。オールドスクールな機械式システムは健在だ。それでいて、今回の仕様変更のように細部を進化させているのだから恐れ入る。こいつは永遠だ。
いつかフロントが独立懸架式になる時が来るかもしれないが、その時は名前が変わることになるであろう。
新車価格帯:292万6000円(ジムニーノマド 全グレード)