新車試乗レポート
更新日:2022.05.07 / 掲載日:2022.05.07

レクサス・LX公道試乗

ベースとなっている新型ランドクルーザーと同じく納期が4年近くなるとアナウンスされている新型LX。ようやく公道を走る機会が得られ、オフロードと共にその実力を確かめることが出来た。新設された4人乗り“EXECUTIVE”のゴージャス感も含め、ランクルとは一味もふた味も違う、その実力をチェックしよう。

●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

ベースのランクルとは何が違うのか!? レクサスフラッグシップSUV

LEXUS LX

●発表(最新改良)日:’22年1月12日(未実施)
●価格帯:1250万~1800万円
●販売店:レクサス全店
●問い合わせ先:0800-500-5577(レクサスインフォメーションデスク)

◆試乗グレード LX600(5人乗り) ●車両本体価格:1250万円 ●ボディカラー:ソニッククォーツ
◆試乗グレード LX600“EXECUTIVE”(4人乗り) ●車両本体価格:1800万円 ●ボディカラー:マンガンラスター(有料色16万5000円高)
◆試乗グレード LX600“OFFROAD”(7人乗り) ●車両本体価格:1290万円 ●ボディカラー:テレーンカーキマイカメタリック

いたずらに華美な演出がなく
アウトドアシーンにもマッチ

 先代同様にランクルをレクサス化したモデルがレクサスLXである。ランクルに新世代ツインターボエンジンが導入されたこともあって、新型LXはパワートレーンも共通化。レクサス基準により静粛性や剛性の向上が図られたプラットフォームやランクルには採用されていない3段階で車高調節が可能なAHCの採用などの上乗せがなされるが、上位モデルというほどの性能差はない。
 逆にだから安心、信頼できる。
 オフロードの運転支援機能は共通。悪路の中でもハードな岩場登降坂もクロールコントロールとスリップ制御で何の苦労もなく踏破。タイヤがキュッと鳴る程度で済ませる繊細なスリップ制御もあって、エンジン制御等々も穏やか。心理的にも落ち着いていられる。極限踏破性だけでなく、感覚的にも乗り手に優しいのが印象的だった。
 「凄さ」の多くはオフロード性能に集約されてしまうが、オンロードも得意だ。オフロードで示した低回転域のパワーコントロールのしやすさはオンロードでは車重を意識させない力強さに繋がる。高回転も伸びやかで荒ぶるような部分もない。ブレーキの操作感や制動特性もアクセルコントロールとバランスよく適合し、どの速度域でも運転しやすい。
 細かな凹凸での揺動感や操舵初期応答にフレーム型シャシーの本格オフローダーと意識するものの、いたずらにスポーツ感覚やオンロードの高性能感を加えていないフットワークも好感が持てた。とくにハンドリングは深めの舵角で安定し、操舵や加減速に対して穏やかに追従するので初見のコーナーでも自然体で運転できる。全高1.9m、車重2.6t級の車体に身構える必要もなかった。
 もちろん、高速直進の据わりもよく、大トルクに乗せて高速ツーリングは快適そのもの。NXが採用するセーフティセンスよりも半世代古いタイプだが、優秀な全車速型ACCや走行ライン制御LKAもあって、運転ストレス少なく車窓からの風景や車内の会話を楽しめる。
 走りにレクサスの個性を感じたかと問われたら「否」。静粛性を中心に快適性の上乗せを感じるものの、総じて言えば特徴のほとんどはランクルと共通。ただ、ランクル由来の長所やバランスを崩さなかったのは見識。内外装はランクルに比べると素材や造り込みにこだわった設計だが、華美な演出を抑えているのでアウトドア趣味とのマッチングも悪くない。コスパを考えると悩ましいが、ランクルは実用車感が強すぎると思うユーザーのグレードアップには最適だ。

265/55R20の大径タイヤを履くLX600標準車。“EXECUTIVE”はさらに大きい265/50R22を履き、迫力のスタイリングに。“OFFROAD”は走破性に考慮した265/65R18を履く。
「Tazuna Concept」と呼ばれる思想を取り入れた運転操作に集中できるインパネデザイン。各ディスプレイパネルも視線移動が少ないレイアウトだ。
クロカン的ではない、適度な包まれ感のある1列目シートデザイン。オフロードなどで大きく揺すられた時のホールド性に考慮した設計になっている。
最上級“EXECUTIVE”の後席。2人掛けで、左側のシートはリラックスモードスイッチにより、最大レッグスペース1000㎜の空間を作り出せる。
“EXECUTIVE”の後席左右にはマッサージ機能が備わっている。操作は後席中央の液晶タッチディスプレイで行う。リクライニング機能もここから操作できる。
広大なラゲッジスペースを持つ“EXECUTIVE”。ロール式のトノカバーが装備され、リクライニングした後席に干渉しないようにセパレーターが設けられている。
ランドクルーザーと同じ4つのカメラで車両周辺の状況を確認できるマルチテレインモニターを採用。後輪付近を表示する世界初のバックアンダーフロアビューも搭載。車両後方の位置関係の把握に役立つ。
路面状況に応じてAUTO/DIRT/SAND/MUD/DEEP SNOW/ROCKという6つのモードから選択できるマルチテレインセレクトを搭載。オフロードでもレクサスらしく静粛性が高められている。

■主要諸元(LX600・5人乗り)

●全長×全幅×全高(㎜):5100×1990×1885 ●ホイールベース(㎜):2850 ●車両重量(㎏):2550 ●パワートレーン:3444ccV6DOHCツインターボ(415PS/66.3㎏・m) ●トランスミッション:10速AT ●WLTCモード燃費:8.0㎞/ℓ ●最低地上高:200㎜ ●最小回転半径:6.0m ●サスペンション前/後:ダブルウィッシュボーン/トレーリングリンク ●ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク、後/ベンチレーテッドディスク ●タイヤサイズ:265/55R20

■主要装備(LX600・5人乗り)

265/55R20タイヤ&20×8Jアルミホイール(切削光輝+ダークメタリック塗装)、ヒッチメンバー(カバー付)、マルチテレインセレクト、ダウンヒルアシストコントロール、セミアニリン本革シート(運転席・助手席・セカンドシート左右席シートヒーター& ベンチレーション機能付)、セカンドシート(4:2:4分割可倒式/電動アシストタンブル機構付)、レクサスLXプレミアムサウンドシステム、ナビゲーションシステム、デュアルディスプレイ(12.3インチタッチディスプレイ&7インチタッチディスプレイ)ほか

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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