新車試乗レポート
更新日:2025.02.28 / 掲載日:2025.02.18
スバルの唯一無二、レヴォーグレイバックを雪上で試す【九島辰也】

文●九島辰也 写真●スバル
クロストレックをメインにした青森での雪上試乗会には、レヴォーグレイバックも用意されていた。こちらもスバルの人気モデルであることは間違いない。レヴォーグファミリーであることからも根強いファンを持っているのは想像がしやすい。
ワゴンをリフトアップしたスバル独自のモデル

“根強い”としたのは、決して派手なクルマではないが、唯我独尊だからだ。ワゴンをリフトアップしたボディは国産ではオンリーワン。それにSUV然としたキラキラしたモデルではないところが、指名買いを勝ち取っている気がする。ステーションワゴンの地上高を上げたスタイリングは、スバルではレオーネに繋がる伝統芸だ。
それはともかく、最低地上高200mmのレイバックは雪上を頼もしく走った。こうしたフラットな路面じゃない環境ではその空間が役に立つ。雪の塊が転がっているのはもちろん、轍すら気にせず走ることができる。前後のバンパーやドライブシャフトと路面の間に雪が詰まってしまっては、事故やら故障やらに繋がりかねない。昨今のゲリラ豪雨のニュース映像を観ても、クルマと路面の間に空間があるのはメリットと考えていいだろう。200mmの最低地上高はその辺のSUVと比べても遜色のない高さだ。
魅力は200mmの最低地上高と数値以上にパワフルなエンジン

そんなレイバックの心臓は、1.8リッター水平対向4気筒直噴ターボが搭載される。最高出力は177ps、最大トルクは300Nmというシロモノだ。数字だけ見ると最近の傾向では物足りなく思えるかもしれない。特に出力は2リッタークラスで250ps以上を叩き出す猛者は少なくない。とはいえ、実際に走らせると数字を超える力強さをドライバーに与える。アクセル操作に対する反応の良く、スタートから機敏さを感じさせられた。これは、ターボによるアシストが働いているからだ。スバルのターボは低回転の領域からしっかり回るので、それを実現する。スペック表によると1600回転で最大トルクを発生させるらしい。

このパワーユニットに組み合わされるのはCVTのリニアトロニックで、駆動方式は彼ら得意のシンメトリカルAWDシステムが採用される。当然だがレヴォーグと同じもので、通常はフロント60:リア40のトルク配分を状況に合わせてコントロールする。
しなやかなサスセッティングとゆとりのある最低地上高のおかげもあって、雪道であっても安心してドライブできるのは流石だ。

アーバンスタイルの「ブラック・セレクション」も魅力的

参考までにタイヤを説明すると、試乗車は雪上用にYOKOHAMAのICE GUARD iG70を履いていた。サイズは225/55R18。これはオールシーズンタイヤを履いた標準タイヤと同じサイズになる。その意味ではスタッドレスでも見た目の印象は変わらないので、キレイにバランスが取れているように思える。
そんなレイバックには現在2つのグレードが用意される。“リミテッドEX”とそれをベースにお化粧した“ブラック・セレクション”だ。ホイールを含め細部までブラック塗装されたそれは厳つくてかっこいい。ブラックの本革シートも高級感をもたらしている。価格はおよそ25万円高くらいだろうか。レイバックをアーバンスタイルで乗るならこんな仕様もありかもしれない。