新車値引き情報
更新日:2023.06.12 / 掲載日:2023.04.26

X氏の値引き大作戦 カローラスポーツが高額の下取りコミで34.5万円引き!

常連客だって油断しません! 納期の遅れに慌てず騒がず!! 熟練X氏が50万円を奪取!!!

【プロローグ】 私の住んでいる地区ではクルマは、一家に1台どころか一人に1台が当たり前。当然ながら、我が家でも両親を含めた家族全員が運転免許を所持し、現在、5台の乗用車を所有しています。

 それぞれがメインで使うクルマ(私はカムリ)は一応、決まっていますが、必要に応じてシェアしています。ちなみに、毎年の自動車税による貢献度は半端ないです(笑)。

 我が家のラインナップのなかで、最も古いのはエスティマ。購入したのは14年も前ですが、3.5Lエンジンはいまも健在で、実にパワフル。ミニバンの割には重心も低めで高速道路を定員乗車で余裕のクルーズ。室内も広過ぎず狭過ぎずで、とにかく素晴らしい! これまで北海道から南関東までいろんなところに出かけて、楽しい思い出を作ってくれました。

 しかしながら近年、ただでさえ高額の税金がさらに割り増しになっています。また「パワーと引き換えの燃費の悪さ」も時代にそぐわないし、何より息子たちの成長に伴って多人数での移動の機会が激減してしまいました。空席の3列シートを運搬するのはやはり非効率です。

 そんな折、月刊自家用車で「半導体の供給不足によって新車の納期が長期化し、これに影響されて中古車が高騰している」との情報をキャッチ。我が家のエスティマは低年式なれども、程度は良好。「もしかしたら高値が付くかも?」。

 そこで、家族会議にて「エスティマの買い替え」を提案すると、全員が「賛成!」。さらに話を進めると「長男が中心となって乗るクルマに代替えしよう」となりました。

 長男の希望は「スポーティな見た目と取り回しやすさ」とのことで、大本命はカローラスポーツ。ヴェゼルとキックスも有力候補です。商談はもちろん月刊自家用車を長年愛読する私が買って出ました。

 いよいよ作戦を開始。

 現在所有しているモコを購入した日産へ。応対してくれたのは、いかにも熟練という感じのベテラン。買い替えの経緯を伝えて「コンパクトで軽快なクルマを探しています」とやる。

 最初からホット客をしっかりアピールすると、e-POWERの特長を熱心に説明してくれた。ただしキックスとノートは6か月待ちとのこと。

 キックスの展示車をみせてもらうが、長男はシフト操作にいまひとつ馴染めないようだ。確かに両親も運転することを考えると、先進的過ぎて誤操作を招く恐れがあると感じた。

「Xさん、軽EVはいかがですか? ぜひサクラを試乗してみてください」

 長男と交代で運転してみる。モコと違って力強い発進加速で好印象だが、ガソリン車やハイブリッド車に慣れている私たちにはeペダルに違和感がある。車体デザインは悪くはないが「う~ん……なんだかなあ」って感じ。とくに当事者の長男は抵抗があるようだ。結局、キックスに関して突っ込んだ話をしないで終了となってしまった。

 数百メートル離れたホンダに乗り込む。この店では過去に農業で使うホビオやアクティを購入している。ここでもベテランのセールスさんが対応。予備校の講師にいそうなタイプだ。

 ヴェゼルの見積もりを作成してもらったが、値引き額は無記入。どうやらこちらの様子を探っているようだ。

X「けっこう高くなりますね」

「値引きは11万円ですが、エスティマを下取りに出していただけるなら10万円で取ります」

 オプション込みの支払い総額は350万円にもなった。

X「えっ、値引きは11万円だけ? 嘘でしょ?」

「下取り車も併せて、まだ頑張れると思います」

 本日はここまで。


フェア特典に惑わされるな! “盛り盛り”を排除せよ!

 数日後、長男と一緒にトヨタA店を訪問。ここではカムリを購入しており、そのカムリで乗り込む。なお、ショールームの本棚には直近3か月間の月刊自家用車が並んでいました(笑)。

 すぐに担当セールスさんが挨拶に出てきた。30代と思しき中堅で、誠実感がある。客を持ち上げ、いい気分にさせる会話がとても上手だ。

「半導体の不足やコロナなどいろんな理由で、注文をいただいても長期に待っていただいてるんです。受注残が溜まり過ぎてカムリやカローラクロスは現在受注できなくなっているほどです。正直、納車しないとお代をいただけないので、いま新車ディーラーは大変なんですよ」

X「ウチは取り立てて急いでいないので納期に時間がかかっても大丈夫です。カローラスポーツとツーリングはどれくらいかかりますか?」

「どちらも半年くらいですね。ただし、トヨタは海外輸出分の車両を国内にまわす努力をしていて少しずつ早くなってます。ガソリン車ならハイブリッドより数か月早くなりますよ」

 両車のカタログをじっくりチェックするが、やはり長男は“カロスポ”を推す。

X「私は燃費のいいハイブリッド車を勧めているんですが、長男はパドルシフトを装備したガソリン車を気に入っているんですよね。とりあえずカロスポのガソリンGグレードだと、支払い総額はいくらになるかな?」

「ほかならぬXさんだから最初から本気でいきます! 今月は特典としてディーラーオプション10万円分プレゼントを実施中ですよ」

 提示してきた値引き条件は特典の10万円分を含めて23万円。差し引きすると、車両本体値引きは13万円となる。

 作戦会議で松本さんが「ディーラーオプションの無料サービスは額面通りに受け取ってはいけません。純正品の定価は市販品と比べると高いので、割り引いて考える必要があります。車両本体値引きに換算すると額面の半分くらいとみるといいでしょう」といっていたので、実質的な値引きは13万円+5万円で18万円ということになる。これではとても目一杯とは思えない。

「Xさん、10万円の特典は今月限りなので早めの決断をお願いします」

X「まだクルマ選びを始めたばかりなので、そう簡単には決められません。まあ、多少遅れてもセールスさんの力で頑張ってもらえると思ってますよ。ところで14年落ちのエスティマを下取りに出したらどうなります? ずっと土足厳禁で大切に乗ってるんですけど……」

「わかりました。後日、査定させてください」

 続いて経営の違うトヨタB店へ。この店からは現所有のルーミーを購入している。担当セールスさんは私と同年配で、とても真面目な人。がっちりした体格でラグビー経験がありそうな雰囲気を持つ。

X「最近、店舗を移転して広くてフレッシュなショールームになりましたね」

「いえいえ、今までが狭かったんですよ~」

X「カローラスポーツを考えています。ガソリンGグレードはどのくらいになりますか?」

 トヨタA店と同様のオプションを選んで見積もりをお願いすると、

「ナビ、ドラレコ、ETCを装着するんだったら、メーカーオプションのディスプレイオーディオ・プラスを選んだほうがお得ですよ。大画面になるだけでなく、ドラレコとETCも付いてきます」

 価格差を比べると、なるほど、納得。この人、扱う商品説明に長けていて、選択を迷った時の軌道修正が的確だ。

 提示された車両本体とディーラーオプションからの値引き条件は26万円。トヨタA店より3万円アップしたが、まだまだ目標にはほど遠い。次回のイベント開催時に下取り査定してもらう約束をして引き上げた。

 その夜、家族会議を開催。長男はやはりカロスポを強く推してきた。

X「カロスポだったらガソリン車を選ぶのはやめにしないか? エスティマの車検はまだたっぷり残っているので納期に多少の時間がかかってもかまわない。今買うならハイブリだべ!(方言です)」

 長男はパドルシフトに未練があるようだったが、上級グレードのG“Z”を選ぶことでハイブリッドに合意した。

 週末、下取りのエスティマでホンダに乗り込む。前回のヴェゼルの値引きは11万円。今回は値引きを20万円にアップしてきたが、下取りは10万円で支払い総額は340万円。う~ん……まだまだ予算オーバー。

 見積書をよく見ると頼んでいないメンテナンスパックや延長保証などが“盛り盛り”だ。

X「最低限の整備は自分でやるのでメンテナンスパックは不要です。それから最近の国産車の品質を考えたら延長保証も不要ですよ。ホンダ車は長持ちしないの?」

「いやいや、機械ですから、大事にされていても長年乗ってると思いがけなく故障することがあるんです。保証を付けておいたほうが安心ですよ」

X「確かに一理ありますが、いろいろなクルマに長く乗ってきましたが、故障したことはありません。国産車の品質を信頼してますよ。万一、故障したら、その時はその時です」

 必要としないものをすべて省いたことで支払い総額は320万円くらいになった。それにしても、ユーザーが頼んでもいないものを黙って計上してくる売り方には疑問を感じる。

 フィットe:HEV・RSの見積もりも出してもらうと、値引きは7万円、下取り10万円で、支払い総額は270万円とのこと。ヴェゼルより出費は少なくなるが、7万円引き程度では食指が動かない。


“土禁”にしてて良かった 14年落ちがなんと25万円

 ホンダを後にしてトヨタA店へ乗り込んだ。標的をカロスポハイブリッドG“Z”に変更。今回はエスティマの査定をしてもらう。もちろんトヨタB店の助言に従ってメーカーオプションのディスプレイオーディオ・プラスを付けることにした。

「Xさん、ドラレコとETCはどれにしますか?」

長男「ディスプレイオーディオ・プラスにセットされてますよ」

「あっ、そうですね」

 このセールスさん、誠実で好感が持てるのだが、商品知識がやや不足。ちょっと惜しい。ともあれ、この指摘で他のトヨタと競合していることがはっきりとわかったはずだ。

「5年超えてからの延長保証はどうしますか? 付けるお客様が多いですよ」

X「トヨタ車は壊れませんよね。長年乗ってますが、故障した覚えがありません。通常の保証だけで十分です」

「わかりました。少々お待ちください」

 いったん奥に引っ込んで、しばらくして戻ってきた。

 カロスポの値引きは27万円(フェア特典10万円分を含む)、下取りは25万円で、支払い総額は290万円。

 おおっ、下取り額は思っていたよりかなり高い。

「これでどうでしょう? 切りよく収めました!」

X「290か……頑張ってくれたけど、やはりハイブリッドにするときついなー。(長男に向かって)車格を下げてフィットにするか?」

長男「フィットでもいいよ。あちらはパドルシフトが装備されてるからね」

「Xさん、すみません、しばらく待ってください」

X「そうそう、ガラスコーティング(5万5000円)を追加してください」

「わかりました。頑張ってきます!」

 再び戻ってくると、値引きは32万5000円にアップしたが、支払い総額は290万円そのまま。つまり、追加したガラスコーティング分をそのまま値引きしたわけだ。

「いかがですか?」

X「家でもう一度相談して、来週末にまた来ます」

 週末、ホンダのセールスさんが来訪。最近は直接売り込みにやってくるのは珍しい。並々ならぬ闘志を感じる。

「Xさん、ご提案があります。ヴェゼルのグレードをひとつ下げてXにしませんか? これなら予算に収まると思います」

長男「いや~それだと俺の希望装備が外れるんですよねー」

 結局、条件の上乗せはなし。期待外れに終わった。

 その日の午後、トヨタB店を訪問。店舗移転のオープンイベントを賑々しく開催中で、袋いっぱいの記念品を長男と二人分いただく。イベントは大いに盛り上がっているので、条件アップが望めそうだ。

X「家族会議の結果、カロスポのグレードをハイブリッドG“Z”に変更します。下取りのエスティマは14年落ちだけど、走行距離は8万㎞に満たないし、土足厳禁で大切に乗ってました。高値を期待していますよ」

 ところが提示してきた下取り額はたったの5万円。値引きも24万円でストップ。支払い総額は320万円で、トヨタA店より30万円も高い。

X「エスティマって、以前はこの店の取り扱い車でしたよね。もっと高くできないの? それから値引き額が前回(26万円)より下がっているけど?」

「いや~、ハイブリッド車はガソリン車より値引きが厳しいんですよ。下取り車は……(査定本を見せながら)……この年式だと正直1000円なんですが、特別に5万円付けたんですよ。他店はどうでしたか?」

X「下取り額は桁が違います。値引きもぜんぜん上です」

「う~ん……そうですか……」

 セールスさんの様子からすると、トヨタA店を上回るような数字は期待できそうにないので、商談を終了。イベントに経費をかけ過ぎて値引きや下取りにまわせなくなったのかも?

 その足で、トヨタA店へ。

「お待ちしてました!」

X「最後のお願いに来ました」

「えっ、最後のお願いってなんでしょうか?」

X「支払い総額の290万円はのみますが、後ろ窓のスモークフィルム(2万7500円)と希望ナンバーが欲しいんですよ。OKならこの場で決めます。お願いします!」

「Xさん、もう限界なんですけど……う~ん……ご期待に応えられるかどうかわかりませんが、ちょっと待ってください」

 15分後、営業所の奥からセールスさんと手提げ紙袋を下げた店長さんが現れた。

「Xさん、OKです!」

店長「Xさん、引き続きお付き合いをお願いします。これ、成約記念品です」

X「ありがとうございます!」

 いってみるもんですね(笑)。

 最終的な条件は車両本体とメーカーオプション(19万6900円)から19万390円引き、ディーラーオプション(19万8770円)から15万5000円引き(フェア特典10万円を含む)で、値引きの合計は34万5390円。下取り額はリサイクル費用1万5220円をプラスして26万5220円となった。なお、注文書にはエコカー減税なしの数字が記載されているが、新年度でも継続されれば、その分は減額になる。

 最後に松本さんからアドバイスされた“確認”をおこなう。

X「下取り額の25万円は半年後の納車まで据え置きですね」

「はい、そうです」

X「納車の直前になって下取り車は出さないことにしてもいいですか?」

「はい、かまいません」

 これにて作戦終了。下取り車は現時点で買い取り専門店に査定してもらったところ「10万円程度」とのこと。納車が近づいたらもういちど比較するつもりだが、トヨタA店の25万円を超えるのは難しそうだ。

購入データ
TOYOTA カローラスポーツ
From福島県
トータル値引き 34.5万円
値引き採点 5
車両本体値引きは19万390円だが、付属品19万8770円から15万5000円引き(特典10万円を含む)で合計34万5390円(値引き率10.5%)。下取り額は相場からすると“超”高取り。


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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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