新車値引き情報
更新日:2023.01.26 / 掲載日:2023.01.26

X氏の値引き大作戦 ベテランX氏が新車パッソで濃厚20.3万円引き!

えっ、たったの2.5万円引き 初心者X氏、思わず凍りつく 裏X氏参上! 快刀乱麻の大活躍

【プロローグ】 我が父は大のクルマ好きで「大学生の頃から月刊自家用車を筆頭に多数の自動車雑誌を愛読している」とのこと。読むだけではなくクルマに関するリポートを投稿し、過去に掲載された誌面をしっかりファイルしています。
 いわく「交渉は今回で29回目。掲載回数は日本一やで!」(個人の感想です=編集部)。
 父は2021年4月号の「X氏の値引き大作戦」に登場し、カローラツーリング(兄のクルマ)から値引き39.8万円/値引き率18.2%を獲得。松本さんから「超ウルトラC! ベテランならではの多彩な戦術を披露してくれた」との評価をいただいています。
 ここで、ある日の家族の会話を紹介しましょう。
X「父さん、これまで思い出に残っているクルマはなんや?」
「そやな、15台乗ったけど、印象深いのはR32スカイライン・タイプMとR32GT-Rや。この2台はとにかく速かったで! 日産だとP10プリメーラにもY33グロリアにも乗ったな。トヨタはセルシオにエスティマ、ヴェルファイア。そうそう初代レガシィB4も面白かったで」
「今までどれだけクルマにお金使ってんねん! 家一軒、建ってるわ」(笑)
 そんな父のもと、交渉をスタートします。当初は中古車を検討していましたが、父に相談すると「やめとき! 中古車はいま高騰しとうで。数年先のことを考えると、思い切って新車にしたほうが満足感のあるカーライフが送れるんとちゃうか」とのこと。さすがベテラン、説得力のある回答です。
 狙いはコンパクトカー。本命は予算(120万円)にぴったり当てはまりそうなパッソ。現在、母が乗っているので親しみもあります……といっても、私の運転技術をまったく信用していないようで、いままでほんの数回しか運転させてもらっていませんけど……(笑)。ちなみに、母のパッソの購入リポートは2022年8月号の「私もX氏」に掲載されました。

【9月11日(日)】 三桁万円を超える高額商品の商談なんてもちろん初めての経験なので、けっこう緊張します(笑)。
 まずはスズキへ。狙いはスイフトです。いかにもベテランという感じのセールスさんが応対してくれました。
「9月は半期決算のキャンペーン中なのでお得ですよ!」
X「…………」
 いきなりの売り込みに気おされて言葉が出ません。すると、すかさず父がサポート。
「息子は4月から社会人になるので通勤にクルマが必要なんですよね。まだ半年も先だけど、いま新車は納期に時間がかかると聞いて早めに契約しようと思っています。金額が合えばすぐにでも決めますよ」
 おおっ、ストレート勝負。
「いまなら付属品11万円分をプレゼントします。さらに車両本体値引きは10万円です」
 しかし、車両価格が155万円を超えているので、この程度では完全に予算オーバーです。
 続いて三菱へ。応対してくれたのは若手のセールスさん。
「実はミラージュは消滅する可能性があるんです」
「生産終了ってこと?」
「はい、まだはっきりとは決まっていませんが……」
X「実物を見て、けっこう気に入ったんやけど……今月中には決めたいと思っているのでいくらくらい値引きできますか?」
「正直、ほとんど売れてないんで、あまり値引きできないんです。でも、社会人になられるお祝いということで、15万円引きはなんとかしましょう」
 三菱を引き上げて、クルマのなかでの父と会話。
「消滅寸前のクルマが15万円引きじゃ、ちっとも買い得感はないで。50万円くらい引くなら話は別やけど」
X「仲間に『ミラージュ、買った』って言うても『それ、どこのクルマや?』ってなるわ。やっぱ、ボツにしよ」
 続いてホンダ。フィットは「10月にマイナーチェンジされる」とのことで、現行モデルはオーダーストップ。新型の実物は正式発表まで見られないとのことで、これまたボツに。


父退場、とたんに暗雲立ち込める あかん、やっぱり横に座っていてな

 その足でマツダへ。狙いは父が推薦するマツダ2。自分的にはリヤのデザインが丸みを帯びすぎて“お尻の大きい昆虫”感があり、どうも馴染めません。
X「これもボツになる可能性が高いで。商談はパスしてもいいんとちゃう?」
「マツダ2はよく出来たコンパクトカーやで。それにいろんなタイプのセールスさんと商談して場慣れすることが大切や」
X「さっきみたいな新人っぽい人と商談してもあまり役に立たない気がするんやけど。マツダとアポイント取ったとき、なんか新人みたいやったんや」
「若いセールスマンをなめたらあかん。新人には上司がサポートするんで、上手に話をもっていけば、特別な値引き決裁が飛び出すことも多いで」
 案の定、担当はいかにも新人という人でした。商談ではメモばかりとっていて、いっこうに話が進まない。「大丈夫?」って思いましたが、いったん奥に引っ込んで上司を連れて戻ってきた。なるほど、父の言う通りの展開になってきました。
上司「Xさんのお父さんは交渉に慣れているようなので、最初から限界を出します。20万円引きで、ぜひお願いします!」
 マツダは値引きが渋いと聞いていたので、ちょっとびっくり。ただし、これ以上の上乗せは難しそうでした。
 本命のパッソを扱うトヨタへ。まずは父が昔から付き合いのあるトヨタA店です。この店からは過去に父がヴィッツを購入していますが、兄のカローラツーリング、母のパッソでは他店にやられているのでリベンジを期待しています。
 顔見知りの店長さんが登場。開口一番「Xさん、今回は買ってくださいね! ズバリ、ご希望額を言ってください」
「MAX!」(笑)
 パッソの値引きは16万円。ヤリスは17万円とのこと。
「ナビとかETC、ドラレコ、その他諸々は量販店で買って持ち込むつもりやけど、工賃はサービスしてくれるんやね?」(車両以外の装備品は父がプレゼントしてくれます。感謝!)
店長「全部は難しいけれど、できるだけ安く取り付けます」
「検討してみますわ」
 ここで父は用があるため引き上げましたが、商談にもだいぶ慣れてきた(気がする)ので、パッソに狙いを絞って、私ひとりで経営の違うトヨタのお店をまわってみることにしました。
 トヨタB店ではベテランのセールスさんと商談しました。
X「4年間のアルバイトでためたお金をつぎ込んで買うので、できるだけ安くパッソを買いたいと思っています。だから付属品いっさいなしの見積もりをお願いします」
 結果は値引き8万円。
「フロアマットはサービスで付けますよ」
X「ナビやETC、ドラレコなどは量販店で買って持ち込むつもりなんですけど……」
「その場合、工賃が4万円ほどかかりますね」
 続いてトヨタC店。相手はメガネをかけたエリートっぽいセールスさん。冷たい対応をされるのではと思っていたが、パッソの値引きは12万円。さらに付属品3万3000円をサービスしてくれました。
「私も若い頃、バイトでためたお金でクルマを買いました。だから、他人事とは思えません。パッソとしてはかなり頑張りましたよ」
 ここでも持ち込みの場合は工賃が4万円ほど必要とのこと。
 トヨタD店は兄と母が立て続けに新車を購入した店です。大いに期待したのですが、パッソの値引きは2万5000円! あまりの仕打ちに委縮して突っ込めません。それにしてもなんでこんなに値引きが少ないのか、わけがわからん。
 なお、パッソの納車時期はどこも「12月頃」とのことでした。4月の通勤までに運転に慣れておくことを考えると、ちょうどいい時期です。
 戻って父に報告すると、
「トヨタD店は『ほっといても買ってもらえる客』と思っているようやな。この店はきっちり攻めれば最後は必ず出してくるで。ま、どこの店もこれからが勝負やで!」
X「やっぱり父さんがいないと、向こうは本気にならへん。こんどは横に座っていてな」

【17日(土)】 突然ですが、今日は息子に変わって父親の私が交渉を進めます。
 報告を聞いて、まったく商談経験のない初心者が百戦錬磨のセールスマンを相手に値引き交渉をするのはやはり厳しいようです。そこで“裏”X氏の登場となりました。パッソに狙いを絞ったということなので、先週、息子が商談したトヨタ各店を私ひとりでまわり、それぞれの担当セールスさんに次のようなことを訴えました。
•親からの資金援助はなし。アルバイトでコツコツと貯めたお金を全額つぎ込むそうなので、協力をお願いしたい。
•なるべく支払い総額を安くしたいので、フロアマットなどの付属品はいっさいなし。
•車庫証明手続きはこちらでやるので費用はカット。
•クルマを取りに来るので納車費用もカット。
•最初から限界値引きを出してもらいたい。
•明日、息子と一緒に来て決めるつもりだ。
 すると、どのセールスさんも「付属品なし、諸費用カットでは値引きが出しにくい」と言いつつも「事情はわかりました。なんとか頑張ります!」と回答。トヨタB店が車両本体値引き12万円、トヨタC店が同15万円引きを提示してきました。
 兄と嫁のクルマを立て続けに購入しているトヨタD店へ。あいにく担当セールスさんが休みだったため、店長さんが応対してくれました。そこで、他社との競合を伝えると、
店長「どのくらいをご希望でしょうか?」
裏X「ズバリ、車両本体価格の15%引き以上です」
店長「約19万円引きですか……完全に規定を超えてしまいます。本部に相談するので、明日までの宿題とさせてください」


勝負やで! 必殺ワザ4連発★よっしゃ! 実質30万円引き!!

【18日(日)】 再び息子の私がリポートします。昨日、父が一気に商談を進めてくれたおかげで「購入車はパッソに決まり!」となったのですが、問題はどこの店に勝負をかけるかです。
 これには父がズバリと回答してくれました。
「トヨタD店や! ここは必ずやってくれると読んだで」
X「担当さん、休みやったんやろ。話をしていないのに、わかるんか?」
「さっき携帯に着歴が残っていたんや。履歴を見たら、昨日の夜も着歴があったで。店長から連絡が入ってあわてて電話してきたんやな。やる気満々やで。長年の経験から、こういうときはいけるで」
X「父さんが言うなら間違いないやろ」
 というわけで、トヨタD店に乗り込みました。
「息子は夕方からバイトが入っています。なので、手早く決めましょう」
「わかりました。納期は微妙なんですが、いますぐ決めていただければ12月中に間に合いそうです」
「12月登録は年落ちになるので1月の登録でお願いします。支払い総額が息子の予算120万円になるならこの場で決めますよ」
「Xさん、正直120万円は厳しいです。124万円、これで何とかお願いします!」
 ここで、父から授かった作戦No.1を繰り出します。貯金通帳を取り出して、
X「これ、見てください! これが私の全財産なんです。なんとか120でお願いします! ナビやETC、ドラレコ、リヤスピーカー、レーダーを買わないといけないので、車両にはこれが限度なんです」
「こちらのお店では長男と嫁さんが続けてお世話になっています。3台目もお願いしたいので、なんとかあと4万円、どうにかなりませんか?」
「う~ん……ほんともうギリギリなんです」
「他のトヨタをまわるのも面倒だし、嫁さんがパッソを買ったときは値引き率17%を超えてましたよ。それに比べたら楽勝でしょう。あと4万円くらい決裁をもらってください」
「最近は上から『値引きを抑えろ』って厳しく言われているんです。正直、124万円でも限度を超えているんですが……よし、わかりました! 戦ってきます!」(笑)
 いったん奥に引っ込んで、しばらくして戻ってきました。
「Xさん、本部決裁をもらってきました。120万円でOKです! 付属品なし、諸費用カットでパッソからここまで出したことはありませんよ」
 値引き条件は20万3460円で、支払い総額は120万円ジャストです。
 ここで父の助言により計上されていた延長保証(6600円)をメーカーオプションのリヤワイパー(1万4300円)に変更したため、支払い総額は差額分7700円をプラスした120万7700円に。
「この7700円、なんとかなりませんか? 120を超えた分は私が出さなければいけないんですよね」(笑)
「すみません、本部決裁をもらっているので、これ以上は勘弁してください」
 ここで作戦No.2を発動。
X「わかりました。7700円はそのままでけっこうです。そのかわり、ナビとETC、リヤスピーカー、レーダーを量販店で買ってくるので、取り付けをサービスでお願いします。それからタッチペイントとナンバーフレームもサービスしてもらえませんか? 全財産を使い切ってしまうので、これ以上の出費はできないんです」
「息子の社会人デビューのお祝いということで、ひとつよろしく頼みます」
X「兄と母も取り付け工賃はサービスでしたよね」
「いままでOKなのに、今回はNGってわけにはいきませんよね。私の一存では決められないので少々お待ちください」
 しばらくして、
「本来は4万円ほど工賃をいただかないといけない案件ですが、なんとかします! ただしひとつだけお願いがあります。ナンバーフレームだけは試乗車からのお下がりとさせてください。傷とかはないので新品とほぼ変わらないですよ」
X「わかりました。OKです」
「店長には『大切にためたお金で購入していただくのでなるべく希望を叶えてあげましょう』って言われました」
X「ありがとうございます!」
 これで終了……ではありません。作戦No.3です。
「そうそう、忘れていました。ボディとガラスコーティング、長男と嫁さんが買ったときにはサービスしてくれましたよね」
「3台目だけNGってわけにはいきませんよね。なんとかしましょう!」
 そして作戦No.4。
X「僕からも最後のお願いです。ガソリン満タン!」
「……ですよね。これもなんとかしましょう!」
 これにて終了。なお、一括で120万円払ってもよかったのですが、手元にいくらか残しておかないと遊ぶこともできません。最終的に2回払いの残価設定ローンを利用することにしました。これによって支払い総額は金利5万2326円が加わって126万26円となっていますが、1年後に繰り上げ返済をして利息分を軽減する予定です。

購入データ
TOYOTA パッソ
X
From兵庫県
トータル値引き 20.3万円
値引き採点 5
車両本体とメーカーオプション(3万6300円)から20万3460円引き(値引き率15.5%)。付属品いっさいなし/車庫証明・納車費用カットの“スッピン”状態なので、中身はすこぶる濃い。


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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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