新車値引き情報
更新日:2023.03.27 / 掲載日:2023.03.25

X氏の値引き大作戦 フォレスター購入はイバラの道?苦難の末に15.6万円引き

必殺の越境作戦が不発 スバルの牙城に大苦戦 土壇場のハンコ作戦で逆襲

【プロローグ】 某日、書棚から久しぶりに「月刊自家用車2007年7月号」を取り出してきました。

 黄色いページを開くと、15年前の嫁さんと私が親指を立ててポーズをとっています。

 掲載されたリポートを見ると、プロフィールの家族欄には「DINKSです」と記してありました。当時は「共働き/子供なし」の夫婦をこう呼ぶのが流行りやったけど、今風にいえば“パワーカップル”(高収入ではありませんけど=笑)ですかね。

 ただし、それから5年後、DINKSは返上しました。待望の子供が誕生し、X氏として購入したフォレスターは“ファミリーカー”として大活躍してくれました。

 つい最近まで、嫁さんも私も「家族15年分の思い出が詰まったクルマなので、手放す気にはなれん。まだまだ乗るぞ!」と宣言していました。

 ところが突然、事件は起きました。妻の実家から我が家へ戻る途中、信号待ちをしていると、エンジンがプスン。あれ? おかしいな? 再びエンジンをかけて走行するが、すぐさまプスン。やむを得なくコンビニの駐車場に退避、レッカーにてスバルに運ばれていきました。

 後日、スバルに状態を訊ねると「修理することはできますが、費用がかなりかかります。それに完全には直らないかもしれません。また故障する可能性もあります」やっていわれました。

 あ~、ついに来てしまった。

 15年間、慣れ親しんだ愛車を手放すのは身を切る思いやけど、安全に快適に走るためには、ここらが潮時やな。

 フォレスターは泣く泣く廃車にしてしまったので、すみやかに新車を注文しなければなりません。今までも四駆やったけど、こんど購入するクルマもやっぱり四駆は外せんな。それに家族でキャンプに出かけるから荷物をたくさん積めるクルマがええよね。スバリストというほどではないけれど、やっぱり気になるのは最近、マイナーチェンジをして新型となったフォレスター。これが大本命です。ちなみに、前回は嫁さんがリポートしましたが、今回は私が担当します。


【交渉1日目】 まずは日産へ。作戦会議の際、松本さんから「エクストレイルは新型の販売が始まっていますが旧型の在庫車も残っています」と聞いていました。どちらを選ぶかは交渉をしてから決めるつもりです。

 担当の営業さんだけでなく、店長さんまで出てきて「ぜひ、新型を試乗してください!」と売り込んできました。

 試乗中「日産の技術を詰め込んだ新型エンジン」を熱心に説明してくれたが、嫁さんばかりか私もクルマにはあまり詳しくありません。夫婦揃って「ほー」「へー」を繰り返すばかり。うーん、エンジンの良さが半分もわからん。

 ショールームに戻って新型の見積もりを出してもらうと、支払い総額はなんと430万円! 夫婦揃って「え~!」とびっくり仰天。しかも「値引きはほとんどできません」。

 あかん、400万円なんて数字を聞いたら、もう完全に戦意喪失やで。

X「新型、高すぎます! 旧型、残ってませんか?」

「旧型ですか……京都では2台しか残っていません」

 付属品いっさいなしで、見積もりを出してもらうと、車両本体値引きは約30万円で、支払い総額は313万円。あれ、思ったほど安くならん。

「早く決めないとすぐに売り切れてしまいますよ」

「まだクルマ選びを始めたばかりなんです。もう少し検討しまーす」

 その日の夜、日産の営業さんが訪ねてきました。

「旧型をぜひ決めていただきたいので、支払い総額を300万円ちょうどにします」

 車両本体からの値引きは44万5300円。さらに3万円相当の付属品を無料サービスしてくれるとのこと。300万円と聞いて妻の目が輝いた。営業さんも熱心で、とても感じがいい。あかん、あかん、ここはいったん態度を保留やで。

 営業さんが帰った後、松本さんに電話を入れて状況を報告しました。

松本「エクストレイルの旧型としてはさほどの値引きではありませんね。新型が発売されてもまだ売れ残っている在庫車なのですから50万円引きでも物足りないくらいです。もっとも、現在、新車の納期の長期化を背景に中古車が高騰しています。とくにSUVの高年式中古車は異常ともいえる高値を付けているので、ディーラーには在庫車をあえて登録してしまって新古車として売りに出しても損はしないという思惑があるようです。したがって、これ以上の値引きは出してこないかもしれません。旧型でも即納が可能なので、多少割高でも喜んで買うユーザーもいると思います」

 なるほど。ともあれ「エクストレイルの旧型の在庫車なら、びっくりするような値引きを取らないと買い得感がない」ということになります。嫁さんにこのことを説明すると、

「そうやね、よう考えたら、新車を買いに行って旧型を選ぶなんて変やわ、やめとこか」

 後日、日産の営業さんが再び売り込んできたので「旧型ならもっと安くならないと買う気になれない」と伝えたところ、

「Xさん、300万円より安いエクストレイルの新古車はありませんよ。旧型でもすぐに納車できる新古車はすぐに売れちゃうんです」

 松本さんがいっていた通りのようです。これで旧型エクストレイルの脱落が決定しました。

妻の目は輝けど……旧型はあかん 本命フォレスターは激渋であかん

【交渉2日目】 いよいよ私が本命と考えているフォレスターを商談します……が、その前に時計の針を少しばかり戻させてください。

 これまで乗ってきたフォレスターをレッカーでスバルA店に持ち込んだ頃にタイムスリップします。相手はメンテナンスでお世話になっていた営業さんです。

「とりあえずラジエターの修理に7万5000円かかります。ただし、この修理をしても完全に直るとは保証できません。まだエンストが続くようなら、さらに修理費用がかかります。ざっと70万円くらいはかかると思ってください」

X「う~ん……直るか直らないかわからないのに7万5000円もかける気にはなれへんわ。残念やけど廃車にします」

「新車を購入していただけるなら廃車にする費用は当社で負担しますが、購入しないなら廃車するのに2~3万円の費用がかかります」

 とりあえず態度を保留。

 妻に報告すると、

「え~、月刊自家用車には『あらかじめリサイクル費用を払ってあるから廃車費用はかからない』って書いてあったで」

X「おお、そやったな。『どんなクルマでも買い取る』って業者に訊いてみよか」

 インターネットをチェックして一番高値を付けてくれそうな業者を見つけて査定してもらったところ、なんと10万円で買い取ってくれました。

 ちなみに、フォレスターはスバルに預けてあったので、買い取りの際に担当営業さんに立ち会ってもらいました。つまり「我が家にクルマがなくなった」ことを知っているわけです。

 さて、ここで時計の針を元に戻します。

 本日、スバルの担当営業さんから「おクルマ、お考えですか?」との様子伺いの電話がかかってきたんで、新型フォレスターの試乗をお願いしました。準備ができるまで、しばらくかかるとのことです。


【交渉3日目】 RAV4も気になる存在です。トヨタに出向いて商談してみました。

 提示してきた値引き条件は約20万円で、支払い総額は360万円とのことです。

X「う~ん……予算は300万円なんです」

「どう頑張っても300万円にはなりません。そこまでやったら完全に赤字です」

X「じゃ、いくらになるん?」

「RAV4は一部改良して新型となったばかりなので20万円引きでも頑張ったほうなんですけど……本日、決めていただけるなら360万円より安くなるように上司に掛け合ってきますが……」

X「今日の即決はできへんわ。ところで納期はいつ頃?」

「すみません、いま納期は遅れに遅れています。Xさんのご希望のガソリン車の場合、8~9か月かかります。ハイブリッドは納車の目処が立たないので、現在受注を止めています」

 営業さんの様子からすると、30万円引きはいけそうな雰囲気がするが、それでも支払い総額は……350万円!

 た、た、高い!

 マツダでCX-5を見せてもらいました。しかし、SUVにしては思ったより“セダン”色が強く、アウトドア仕様にはなってない。これではキャンプに行く気にはなれんため、ボツとしました。


【交渉4日目】 先日のトヨタに出向いてRAV4を試乗させてもらいました。

 さすが天下のトヨタ車! ハンドリング&コーナーリングは実になめらかで、思わず「おぉ!」と感動。ただし、屋根のデザインが波状になっているのがいまいちピンとこん。

 また、カーナビが標準装備になっているため設定価格を押し上げているのも納得できんところです。

X「スマホのGPSが使えるんでカーナビはいらへんで。カーナビがオプションで選べたら費用が抑えられるんやけど」

「カーナビは標準装備なので、取り外しができません。その分、値引きを頑張ります」

 しかし、結局、具体的な上乗せの提示はなし。支払い総額は360万円のままやった。


【交渉5日目】 スバルA店から「試乗車の用意ができました」との連絡が入ったので、早速、出向きました。

 これまで乗ってきたフォレスターは大阪で購入しましたが、京都に越してからはこのお店でメンテナンスのお世話になっていました。

 フォレスターには15年間乗ってきたので、新型に変わっていても違和感はなく、運転しやすい。それにしてもアイサイトは素晴らしい! 

 ショールームに戻って商談を開始。提示してきた見積もりを見ると、値引きなしの総額は330万円を超えています。

X「RAV4やエクストレイルも検討しているんやけど、乗り比べてみると、やはりフォレスターがええね。ズバリ、支払い総額を300万円にしてくれたら本気で考えます!」

「え~、300万円はぜんぜん無理です。Xさんの場合、付属品をまったく付けていないし、車庫証明費用とか納車費用も削っているんで、値引きがほとんどできないんです。ETCとかはいらないんですか?」

X「純正品のETCは高いから、量販店で安く買ってきますわ。取り付けはお願いします」

「それでは、取り付け費用(5000円)とセットアップ費用(3685円)を計上させてください。ドライブレコーダーはどうされますか?」

X「いまや必需品やね。でも、純正品はやっぱり高いよね」

「汎用品と比較すると高めではありますが、純正品のほうが信頼性は高いですよ。アイサイトとの互換性の検証も行っているので安心です」

X「いわんとしてることはわかるけど、性能を比較しても、やっぱり純正品は高い!」

 いわせてもらえば「性能が良くて高い」のは当たり前、「性能が良くて安い」のがええよね。価格に厳しい大阪育ちの性根がうずくわ(笑)。

「わかりました。市販品のドラレコを買ってお持ちいただければ有料になりますけど、うちで取り付けますよ」

X「じゃー、取り付けてもらおうかな」

(電卓をたたきながら)「ETCとドラレコの取り付け費用/セットアップ代の合計金額2万8685円を含めると334万円くらいになります。上司に交渉しても支払い総額は320万円が限度ですね」

「えー、完全に予算オーバーや。考えさせてもらうわ」

 交渉決裂。いったん退散。

 我が家で嫁さんと相談。

「スバル、思ったより厳しいねー。作戦会議で松本さんがいうてた“大阪越境作戦”やってみよか?」

X「そうやなー」


あれ!? 大阪がのってこない 敵は身内にいたんか~い(笑)

【交渉6日目】 電話で予約してから大阪のスバルB店に出向きました。

「こんにちは! お待ちしておりました」

 おぉ! かわいい女性の営業さんです。これまでの経過を伝えて、

X「以前は大阪に住んでいて、先日、廃車にしたフォレスターも大阪で購入したんです。だから値段しだいでは大阪で購入するのもアリですわ」

「どのくらいをご希望でしょうか?」

X「ズバリ300万円! OKなら決めますよ」

「300万円ですか……上と相談してきますので、少しお待ちください」

 こんなかわいい娘からお願いされたら、上司も首を縦に振るしかないんでは……正直、私だったら、ふたつ返事でOKしちゃうな……むふふふ。

「うん? にやけとるな。なに、考えてるん?」

(怖っ、お前はエスパーか)

「お待たせしました。上と交渉したのですが、付属品なし、諸費用カットでは厳しいんです。支払い総額320万円が限界です。すみません、これ以上は無理です」

 う~ん……地元のスバルA店ではETC/ドラレコの工賃込みで320万円。こちらは含んでいないので同じ320万円でも割高や。あかんな―。退散。


【交渉7日目】 スバルA店へ。嫁さんと相談した結果、大阪はあきらめて地元に勝負をかけることにしました。

「Xさん、お待ちしていました!」

X「今日は、ハンコをもってきましたので、お値引きを期待していますよ!」

「何度も足を運んでいただきありがとうございます。正直、前回の320万円がいっぱいいっぱいなんです。もう上乗せはまったくできない状況なんですが、本日ご契約いただくということで、318万円で上司に掛け合ってきます」

X「しゃーないなー。よろしくお願いします」

「頑張ってきます! お待ちください」

 しばらくして戻ってきました。

「Xさん、上司からOKをもらいました! 318万円でよろしくお願いします!」

「雨の日にサイドウインドウをちょっと開けて換気したいのよね。サイドバイザーって便利だから付けたいわ。サービスしてくれませんか?」

「ほんと、厳しいんんです。もうなにも付けられません。勘弁してください」

X「サイドバイザー、あれってかっこよくないんや。クルマ好きは付けへんで。どうしても必要なら、あとから買うこともできるで。今回はやめとこ」★妻「ちょっと、あんた、誰の味方やねん」(笑)

 318万円でハンコを押して、契約完了。最終的な条件は車両本体から15万6255円引きとなっていました。

購入データ
SUBARU フォレスター
X-ブレイク(4WD)
From京都府
トータル値引き 15.6万円
値引き採点 3
付属品なし/諸費用カットで値引きは15万6255円(値引き率4.9%)。合格ラインには達しているが、もうひと押ししたかった。ドラレコなどの取り付け工賃も無料サービスを狙いたかった。


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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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