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更新日:2025.03.25 / 掲載日:2025.03.25

解説、マツダ電動化戦略「ライトアセット」【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

文⚫︎石井昌道 写真⚫︎マツダ

 マツダは2023年にラージ商品群の展開を始めるにあたり、エンジン縦置きFRベースのプラットフォーム、直列6気筒のディーゼルおよびガソリン・エンジン、直列4気筒エンジン、PHEV、MHEV、トルクコンバーターレスATなどあらゆるユニットを新規に開発して一気に投入。

 その他にもMX-30ではMHEV、BEVにくわえてロータリーエンジン搭載のPHEVもデビューさせるなど、自動車メーカーとしてはスモールプレーヤーであるにも関わらずとんでもない開発能力を示してきた。

 さらに、先日は電動化のマルチソリューションをライトアセット戦略を発表。そのなかでも注目は2027年中に次期CX-5には独自のフルハイブリッドシステムを採用し、しかも組み合わせるエンジンは新開発のスカイアクティブZとなることと、同時期にEV専用プラットフォームによる新しいBEVも発売する予定だということ。ラージ商品群に続いて息つく暇もないほどに新規開発を続けているのだ。

 スカイアクティブは2010年に発表された新世代技術で初めて登場したのは2011年のデミオで、ガソリンエンジンのスカイアクティブGを搭載していた。

 純エンジン車ながらハイブリッドカー並の燃費を目指していて30km/L(10・15モード)を達成。同年に6ATのスカイアクティブ・ドライブも搭載したアクセラ、そして翌2012年にはディーゼルエンジンのスカイアクティブD、プラットフォームまで含めたフルスカイアクティブのCX-5が発売された。

CX-60に搭載されるSKYACTIV-D 3.3

 エンジンで特徴的なのは圧縮比で、ガソリンは一般的なユニットよりも高く、ディーゼルは低いのだが、どちらも14.0に行き着いたのが興味深い。燃焼の基礎研究から始めて熱効率を追い求めていったのだが、究極のゴールはガソリンとディーゼルの融合であり、予混合自己着火にいきつく。

 それを一部採り入れたのが2021年にマツダ3やCX-30に搭載されたスカイアクティブX。新開発の火花点火制御圧縮着火(SPCCI)を採用してガソリンだが圧縮比は最大16.3まで高まり(日本仕様はレギュラーガソリン用で15.0)、対スカイアクティブGで10%程度の燃費改善、MHEVも組み入れたことで車両全体では約30%改善となった。

 その次にくるのがスカイアクティブZだ。技術的な詳細は明らかになっていないが、スカイアクティブXのSPCCIを進化させて、さらに薄い燃料での燃焼可能範囲を拡げることにくわえ、新たな技術で熱損失を抑えることで熱効率を高めるのだという。

 また、スカイアクティブXはコストパフォーマンスが今一つで人気が出なかったが今度はアフォーダブルになるというのも注目だ。これらの技術は直列6気筒やロータリーにも並行展開されるという。

理想の燃焼を追求したSKYACTIV-Xは、さらに進化を続けSKYACTIV-Zとして登場予定

 ハイブリッドシステムについては、以前は現在のスバルのS:HEVと同じようにTHSの技術供与を受けたアクセラハイブリッドが存在したが、マツダらしさが感じられなかったからか不発に終わった過去がある。

 それも踏まえて独自開発をして、モーターを始めとする電動デバイスを活用してエンジンに苦手領域を補完、スカイアクティブXとともに最高の効率を目指す。ユーロ7など厳しい排気ガス規制をクリアしながらパフォーマンスを確保するという。

 EV専用プラットフォームはBEVのみならずPHEVも展開するべくフレキシビリティの高いものになり、マツダらしい走りの楽しさも追求しているという。

EV専用プラットフォームはPHEVシステムの搭載も見越したフレキシブルな設計を採用している

 将来的には乗用車はBEVに集約されていくというのが大方の見立てで、マツダもそれを否定してはいないが、2030年までは電動化の黎明期ととらえ、地域やユーザーのニーズに合わせて柔軟に対応して多様な商品を用意するマルチソリューションの電動化を進めるというライトアセット戦略。

 熱効率などでは世界トップと言っても過言ではないICE(内燃機関)の技術力を武器に、多くの動力システムが展開される見込みだ。

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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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