車の最新技術
掲載日:2022.08.15 / 更新日:2022.08.15

真夏のエアコンがもたらす燃費への影響【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

文●石井昌道 写真●トヨタ

 前回のコラムでは、過去にエコドライブ・インストラクターを務めていたときに様々なテストをしたなかから、アイドリングストップの効果等について話したところ、真夏のエアコンの影響はどうなんだと質問があった。夏を迎える前に展開すればよかったと思いつつ、テスト結果を振り返ってみたい。

 テストを行ったのは2.5L NAエンジンのミニバン。外気温が25℃の場合、エアコンオフで走行すると8.1km/L、エアコンを24℃設定で走行すると7.1km/Lで約14%の悪化。外気温がそれほど高くなく、設定温度も控えめではあってもエアコンの燃料消費は決して少なくない。

 外気温35℃のときのテストでは、24℃設定のエアコンオン(内気循環)で5.8km/L、エアコンオン(外気導入)で5.6km/L、エアコンMAXで5.1km/Lだった。エアコンを使わないときに比べて真夏にMAXで効かせると60%近くも燃費が悪化することになる。これは極端な例だが、春秋の過ごしやすい季節でエアコンを使わないか、負荷がほとんどかからない状態と真夏でも快適な室内温度になるようにエアコンを使いながら走ったときでは燃費は約20%違う。だから燃費やエコドライブを考えるうえでエアコンは重要なファクターなのだが、真夏にエアコンオフで走るなんて不快を通り越して危険さえある。ドライバーが快適に過ごせることは安全に繋がるともいえる。そこで快適に過ごしつつ、賢い使い方がないかと考えたわけだが、じつはびっくりするほどの裏技や大技はなかった。

 それでも炎天下で車室内が60℃近くにもなっているときに、どうすれば快適かつ効率的かを探ったところ、とりあえずは窓を全開にするなどして室内温度を下げるのが、あたりまえだが効果的。ほんの30秒程度で10℃ほどグンと下がる。余裕があればエンジンはかけずに室内の空気を入れ換えるだけしてもいいし、窓を開けてすぐに走り出してもいい。窓を閉めたままエアコンオンで走りだすのが一番燃費的にはよくない。車室内が60℃近くのときに、1分間窓を開けてから走り出したクルマと、窓を閉めたまま走り出したクルマで、5kmほどの燃費を測ったところ、約20%の差があった。5~10分程度で車室内の温度は快適になってきてそこからはエアコンの負荷はかわらないので、差は出ない。走り出しで車室内の空気を入れ換えるかどうかが重要なだけだ。

 結果としては、炎天下に駐めていたクルマで走り出すときには、まず窓を開けて30秒から1分程度は過ごす。そのときにエアコンオンでかまわないだろう。これは何もデータをたしかめなくても多くの人が実践していることだろう。

 もう一つは酷暑ではないものの、エアコンオフではつらいというときの効率的な使い方だが、普通に考えれば温度設定を高めにしていけばそれだけ燃費の悪化も防げると思いがちだが、それは意外と効かないこともある。というのもカーエアコンは、冷たい空気を作りだして室内に供給してくれるが、28℃などの高めの温度設定に対しては、冷たい空気にエンジン廃熱の暖かい空気を混ぜて出してくるだけ。だから効率良く使おうとするなら、車室内が冷えてきたら小まめにエアコンオフ、あるいはA/Cボタンオフにするなど、オンオフで切り替えるのがいい。ちょっと面倒くさいけれど。というわけで、夏のエアコンにまつわるエコドライブ・テクニックは、大した裏技・大技はないものの、走り出しのときに窓を開けることはかなり効く。短い走行の後に駐車して、車室温度が上がってまた走り出すなど、ショートトリップを繰り返すと燃料消費は増えるので、できれば用事はまとめて済ます、駐めるにしても地下駐車場や日陰などを選ぶなどの工夫が効いたりもする。

 細かいところでは、窓を全開で走ったら空気抵抗が増えて燃費が悪化するのでは? と思う人もいるだろう。たしかに窓全開の影響は想像以上に大きく、高速道路のテストで計測すると空気抵抗は約10%も増加し、燃費も5%ほど悪化した。ただし、街中での影響は燃費にして1~2%ほどの影響しかないので、炎天下の走り始めの短時間ならば問題はないだろう。それよりも車室温を10℃ほど下げられるほうが取り分は大きい。

 熱源が少ないかほとんどない電動車は冬場のヒーターの効率化が課題だが、エンジン車が夏場のエアコンで燃費が悪化するのは致し方ないところ。多少の工夫で乗り切るしかないのだ。

石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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