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更新日:2022.10.28 / 掲載日:2022.10.25

新型マツダCX-60 ディーゼルモデル試乗レポ!新開発FRの魅力

「ラージ商品群」として技術発表が先行していた、マツダの新開発FRプラットフォーム。その第一弾となるプレミアムSUVがついにリアルワールドにデビュー。今回はディーゼルモデルの試乗をリポートしよう。

●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

ブレることなく“マツダらしさ”を追求

MAZDA 新型CX-60 XD-ハイブリッド エクスクルーシブスポーツ
●ボディカラー:マシーングレープレミアムメタリック(特別塗装色:5万5000円)
●車両本体価格:505万4500円

■XD-ハイブリッド エクスクルーシブスポーツ 主要諸元 ※オプションを含まず
●全長×全幅×全高(㎜):4740×1890×1685 ●ホイールベース(㎜):2870 ●最低地上高(㎜):180 ●最小回転半径(m):5.4 ●車両重量(㎏):1910 ●パワーユニット:3283㏄直列6気筒DOHCディーゼルターボ(187kW/550Nm)+モーター(12kW/153Nm) ●WLTCモード総合燃費:21.1㎞/ℓ ●タイヤ:235/50R20

グレードバリエーション&価格

公道試乗インプレッション

走りのプレミアム感は
明確に向上している
 FRプラットフォーム開発のひとつの側面が直6ディーゼル搭載にある。重く大きな上級SUVに対してFRベースとした方がオンロードでもオフロードでも有利なのは間違いなく、それも大きな理由だろうが、動力性能と燃費や環境性能面でさらにグレードアップしたディーゼル車の開発が新プラットフォームの存在意義を高める。
 新開発直6ディーゼルの内径×行程は既存の4気筒ディーゼルと同じ。2気筒増やして排気量が1.5倍、2.2ℓが3.3ℓとなった。排気量増により過給圧を低下させるとともに全域EGR稼働とし、高熱効率域を拡大。この成果はCX-5ディーゼル車とのカタログ燃費を比較しても一目瞭然だ。
 肝心の動力性能だが、力強さと滑らかさの融合が見所。ガソリン直6のような重質な感覚は薄いが、低回転でのトルクの盛り上がりと高回転の加速の伸びに優れ、悠々としていて操り心地がいい。4気筒ディーゼルのようなパンチを欠く部分もあるが、逆に言えばそういう部分を減らしながら余力を向上させているのも直6の特徴だ。
 新開発のトルコンレス8速ATは変速時の駆動トルクの揺れが若干気になったものの、巡航からの加速と高速域での加速の両面で小気味よいフィールを生んでいる。
 また、6気筒化により同じエンジン回転数でも4気筒より爆発回数が1.5倍に増加。例えば、単位時間当たりの爆発回数は4000回転なら4気筒の6000回転相当になる。これはドライブフィールでは伸びやかな加速感となり、トルク変動の細分化と合わせて操る心地よさの要点にもなっている。
 フットワークは「人馬一体」でファントゥドライブにこだわるマツダ車なら、相当FRテイストにこだわると予想していたのだが、今までのマツダSUVの走りの傾向を継承している。ロードスター的な走りのSUVではない。
 サスチューンは他のマツダSUVと同様に同クラス標準より硬め。加減速やコーナリングで姿勢をよりフラットに保つ。逆に言えばリヤサスの沈み込みなど、加速時の後輪蹴り出し感は低め。後輪への駆動伝達を主にした4WD制御だが、運転感覚では負荷に応じたトルク配分を行っている感じだ。
 当然、極端な回頭反応は抑えられ、落ち着きのある挙動で操舵に素直なラインコントロール性を示す。全長は4.7mを超えるがワインディング路の運転感覚はひと回りコンパクトに感じられるのだが、それも素直なハンドリング故と言えよう。付け加えるなら縦置きレイアウトで前輪最大舵角が大きくなり、小回りも利く。
 FRプラットフォームと直6ディーゼルの採用はクルマ趣味濃度を高めるためではなく、ラージクラスでもマツダSUVの走りを維持、さらには進化させるための選択だったようだ。結果、ゆとりある走行性能と、マイルドハイブリッドシステムを併用したクラス最良級の燃費を獲得している。
 走りは高く評価できるが、SUVとして優等生かというと、気になる点もある。主駆動輪を後輪としたことで悪路踏破性も向上し、走りの側面ではSUVらしさも高まったが、スペース効率は低め。キャビンスペースはCX-5と同等レベルだ。キャビンスペース重視ならストレッチキャビンのCX-8があり、CX-60は相対的にツーリング性能とファントゥドライブ等の走りに特化させたモデルともいえる。もっとも、ミドルSUV標準相応のキャビンスペースを備えているので、性能面の余裕や走りの質感に付加価値を見出すユーザーには魅力的だ。その点ではマツダが掲げる「人馬一体」と「魂動デザイン」が最も色濃く出たSUVなのである。

これが魂動デザインの最新形。シルエットは積載重視のアウトドア派とは一線を画すロングノーズ&ショートデッキで、泥臭さ皆無の都会派クロスオーバーデザインだ。ホイールは18インチまたは20インチ(写真)。
クーペライクな表情も見せるが、主にウインドウラインのデザインによるものであり、ルーフ後半は極端に下げず、室内空間を確保する。
SUV的なタフさをことさらに強調せず、高級乗用車のインテリアを目指したデザインだ。メーターは7インチマルチスピードメーターまたは12.3インチフル液晶(写真)。
マツダ車だとひと目でわかる共通性がありながら、常に進歩を続けて新たな表情を見せる。ライトは前後ともにフルLEDだ。
センターディスプレイは、10.25インチまたは12.3インチ(写真)を用意する。
後席はグレードにより6:4分割またはリモコンレバー付きの4:2:4分割(写真)。

注目メカ1/新開発FRプラットフォーム

MAZDAラージ商品群用の新作プラットフォーム。縦置き6気筒の搭載を前提に開発されており、セダン等への展開も予定されている。

マツダは自社商品群をスモール/ラージと区分するが、ラージ向けはFRを選択した。

注目メカ2/3.3ℓ直6ディーゼルハイブリッド

マツダ独自のクリーンディーゼル技術を活かし、マイルドハイブリッドを併用して動力性能と環境性能を両立。トルコンレスATを搭載する。

今回試乗した3.3ℓディーゼルハイブリッドのほか、ガソリン、ガソリンPHEVを設定。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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