車種別・最新情報
更新日:2022.05.13 / 掲載日:2022.05.01

トヨタ・bZ4X正式発表!

各社から続々と登場しているBEVモデル。
その中でもひと際注目を集めているのが、
トヨタが4月12日に発表したこのbZ4Xだ。
先月号ではプロトタイプ試乗をお届けしたが、
今回は明らかになった詳細を見ていこう。

●文:川島茂夫 ●写真:トヨタ自動車(株)

トヨタ入魂の次世代BEVモデル、ついに正式発表!

高い電費性能を実現!
今ある最適解のひとつだ

 プリウスが登場した時も同様だったが、環境負荷軽減に対してトヨタのこだわりは強いようだ。それはトヨタ初となる量販実用BEVのbZ4Xにも強く現れている。例えば1㎞走行に要する電力量はWLTCモードで128kW(FF標準タイヤ)。最大のライバルと目されるアリアB6が166kW/㎞。スペックによる計算値では電費はbZ4Xが約23%も優れ、ふた回りもコンパクトなホンダeさえも上回る電費性能を達成している。
 高効率化達成のためのこだわりは車体全域に及ぶ。プラットフォームにはバッテリーの積載性と駆動系のレイアウトをBEVに最適化したe-TNGAを採用。バッテリーフレームを車体骨格の一部とし、軽量化と高剛性を両立しているのも構造面の特徴のひとつだ。
 気になるパワートレーンはモーター/駆動系/インバーターを一体化したeAxleを採用する。4WD車の後輪駆動ユニットはレイアウトの違いはあるが構成面では前輪駆動ユニットと共通化され、モーターの出力も共通になっている。冷却系はバッテリーとモーターの効率を向上させるために二系統を採用している。
 また、4WD制御については操安との統合制御に加えて深雪&泥濘にも対応した2モードのXモードを採用。180㎜の最低地上高と合わせてSUVらしい悪路走行にも対応できる設計だ。なお、一般走行モードはFF/4WD車共通で航続距離重視のエコモードとバランス重視のノーマルモードが設定されている。
 モード電費とは無関係だが、実用走行では重要な空調の負担軽減。エアコンの効率向上のほかに、電気系ユニットの廃熱を利用したラジエターの霜取り機構を採用するなどして幅広い温度域で効率化。空調による室温管理が非効率な短距離ではステアリング&シートヒーターに加えて、脚部を暖める輻射ヒーターを設定。住環境の快適性と高効率な走りの両立を図った。
 トヨタセーフティセンス及び運転支援機能はノア/ヴォクシーやレクサスNXなどのトヨタ系最新モデルとほぼ同じ内容となっている。スマホを用いた車外からのリモコン入出庫が可能なアドバンストパークも用意。車載ITは基本機能も対話型音声コマンドを備えた最新仕様と共通設定だが、充電スポット案内やスマホによるリモコン操作などBEV向け機能が加えられている。
 内燃機車と比べれば充電環境がハンデとなるが、高効率化による航続距離の延伸と一般的な使用環境における使い勝手への配慮など、先進感ではなく現実的な状況での今ある最適解のひとつと言うべき内容を備えたモデルである。

TOYOTA bZ4X(ビーズィーフォーエックス)

●発表(最新改良)日:’22年4月12日(未実施) ●価格帯:FWDモデル/600万円、AWDモデル/650万円 ●問い合わせ先:0800-700-7700(トヨタ自動車お客様相談センター)

【リース専用車】
※初年度5000台の生産販売。第1期3000台分の申込み受付は5月12日より。個人への提供はサブスク「KINTO」、法人への提供は全国のトヨタレンタリース店/トヨタモビリティサービスを通じて行う。KINTO月額利用料は5月2日に案内。

メカニズムの注目点

コンパクトにまとめられたeAxle
効率を高めるための様々な工夫

 パワートレーンで特徴的なのはeAxleだ。動力制御を行うPCU構成要素の中からインバーターをモーター/駆動系と一体化して小型化と高効率化を図った。4WD車では前後とも同型モーターを用いている。従って前輪駆動用モーターはFFと4WDで異なっている。バッテリーはリチウムイオン型で、新開発の大型セルタイプを96セル搭載。また、バッテリーの温度制御には電動系から独立した水冷式を採用する。プラットフォームはサスペンション周りなど一部でGA-Kと共通する部分もあるが、BEV専用の主骨格構造とレイアウトを採用したe-TNGAを新開発。高い保護性能を有したバッテリーパックのフレームを応力材としても用いている。

BEV専用プラットフォーム

BEVモデル専用のプラットフォームをスバルと共同開発。主要骨格部品にホットスタンプ材や超ハイテン材を用い、軽量化も達成している。
駆動用電池パックを床下に配置し低重心化も達成。衝突時の入力荷重を複数骨格に分散させることで高い安全性を確保している。
前後のオーバーハング部分を切り詰めることで、ロングホイールベース化を達成。広いキャビン空間を実現している。

先進安全&運転支援技術の注目点

トヨタトップレベルの充実した機能。
最新モデルに相応しい内容だ

 先々行車認識や進路判定を行う全車速型ACC、先行車追従機能付LTA。対歩行者や右左折時の危険回避サポート機能も備わったPCS。半自動化された駐車入出庫機能のアドバンストパーク等々を用意。BEV専用の機能ではなく、いずれも既存車種に展開されている内容ではあるが、最新モデルらしい充実ぶりだ。

新型ノア/ヴォクシーやレクサスNXで採用されている数々の先進機能を搭載している。
車外から専用スマートフォンアプリを操作することで遠隔で駐車や出庫が可能になる機能も。子どもやお年寄りの乗降時にも役立つ。

eAxle(イーアクスル)

新開発バッテリー

バッテリーは極端な高温や低温下では入出力が制限されてしまい、寿命にもかかわってくる。そのためバッテリー温調システムを導入し、安定した充放電環境を整えている。

回生ブースト

アクセルを緩めるだけで回生ブレーキによる減速度を増やし、滑らかに減速させる技術を採用。人間の感覚に合った特性にするため、細かくチューニングが行われている。

ESU(Electricity Supply Unit)

高効率輻射ヒーター

乗員の周囲のみを素早く温める遠赤外線を利用した輻射ヒーターのほか、高効率なヒートポンプシステムも採用し、空調利用によるエネルギーロスを抑制している。

ソーラー充電システム

理論値では年間1750㎞の走行を可能にするという。駐車中は駆動用バッテリーを充電、走行中は補器バッテリーに給電することで航続距離を伸ばす役割を担う。
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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

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オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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