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新車試乗レポート
更新日:2019.05.22 / 掲載日:2018.06.14

【試乗レポート】もっともっといいクルマに。新型マツダCX-3が大幅改良で魅力アップ!

CX-3 XD L Package 4WD

文と写真●ユニット・コンパス

 大幅改良を受けた新型マツダ CX-3をひとことで表現するなら、「マイナーチェンジにも関わらず、次世代レベルに進化した」となるだろう。新型CX-3は、見た目の変化以上の大きなジャンプアップを遂げており、まさにひと皮むけた乗り味を披露したのだ。

 ここで言う「次世代レベル」とは、マツダが2019年に向けて投入を予告している新世代商品を指す。まだ姿の見えないものを引き合いに出すのはおかしい話だが、もちろんそれには理由がある。順を追って説明しよう。

次世代モデルの考え方を取り入れたマイナーチェンジ

 近年マツダ車が劇的にレベルアップしたのは、2012年に導入した「SKYACTIV」テクノロジー、そして中長期的なスパンですべての商品を一括して企画、マツダ車全体の目指すべき方向性を定めて基本骨格については一体となった取り組みを行うことで、ラインアップの多様性とスケールメリットを両立させるという、「モノ造り革新」によることはよく知られているとおり。
 さらにマツダは、新技術や装備、知見については年次改良によって積極的に商品へと落とし込むことで、つねに商品の鮮度、魅力をキープする手法を取り、年々ラインアップに細やかな改良を加えている。その源泉となっているのが、2018年末から2019年以降の市場投入を予定している次世代技術なのだ。
 こうして次世代技術の開発によって得られたものを出し惜しみせず、年次改良を受けるモデルに適宜適用しているため、2018年に年次改良を受けて登場したマツダ車はどれもが実力を大幅に高めている。具体的には、CX-5、アテンザ、ロードスター/ロードスターRF、そして今回紹介しているCX-3がそれにあたる。

 なぜ次世代技術を既存車種に「先出し」するのか。そこには、マツダの戦略、考え方がある。
 一般的にクルマは6~8年というスパンで商品のライフサイクルが考えられている。登場してから2、3年ごとに大幅改良を受けるものの、相対的な魅力は徐々に低下していくことになる。ユーザー側は「モデルライフ末期だからライバルよりも見劣りするけど、その代わり値引きで安く買えるなら、それはそれで賢い選択」という形でそれを受け入れてきた。これはこれで合理的な市場原理ではあるが、予備知識を仕入れ、値引き交渉を行うというストレスがあるのは事実だ。
 それに対してマツダは、頻繁な改良によってショールームに並ぶクルマの魅力をつねに一定以上にキープすることで、不公平感のないワンプライス販売を成り立たせようとしている。従来の商習慣とは異なるアプローチで逆風もあるだろうが、フェアな買い物をしたい考えるユーザーにとっては歓迎すべき流れだろう。

快適性と操縦安定性を両立させるアイデア

 改めて新型CX-3について、どのような改良が行われたのか紹介しよう。
 マツダによれば改良のテーマは「気品ある美しさと先鋭さ」。その目標に向かって操縦安定性、乗り心地、静粛性、エンジン、デザイン、安全性能といった幅広い領域にわたり手が加えられている。

 試乗コースは横浜の街中をスタート地点に高速道路を交えたもの。そこで感じた印象は冒頭のとおり、マイナーチェンジの枠を超えている。とくに印象深かったのが、室内の静粛性と運転のしやすさ。
 ガソリン仕様はもちろんのこと、ディーゼル仕様であっても従来型とは格段に騒音レベルは抑えられており、他社のハイブリッドと比較できるレベルに達していた。目標としたのは「自然に会話を楽しめる空間」とのことだが、なるほどそのとおり。CX-3はコンパクトSUVセグメントのなかでも大人っぽいキャラクターの持ち主だが、新型ではそれがさらに進化した印象だった。
 聞けば、吸音材の増量といった通常行われる対策だけでなく、ドアパネルの板厚をアップさせるような生産工程にまで影響を与える施策を行なったという。
 異例の対策としては、操縦安定性と快適性を引き上げるための改良もそうだ。新型では、次世代モデルの開発で培った知見をいち早く取り入れ、サスペンションシステムの考え方を変えている。
 従来ではボディに伝わる力の大きさを低減するようにサスペンションを設計していたが、新型ではそれを「時間軸で遅れなく、滑らかにコントロール」するという発想で再設計したというのだ。考え方を変えるということは、ものづくり的には全部やり直しだ。さらに新しい考え方にはタイヤのたわみもサスペンションとして組み込むため、タイヤも新開発。この決断には社内だけでなく部品メーカーも驚いたというが当然だろう。
 一般的な自動車の開発スケジュールでいえば、次期モデルに開発の軸足を移しているであろうこのタイミングで、マツダはどうしてこのように広範囲かつ力のこもった改良を行ったのか。その理由について開発をまとめた商品本部 CX-3主査の冨山道雄氏は、「次世代モデルにつなげるためにも、現行型CX-3はいいクルマだったと思って頂けるような内容にしたかった」とコメント。今後登場してくるニューモデルと並べても、見劣りのしないレベルに到達させるために、「できることはすべてやった」と晴れやかな表情で語った。

ディーゼルエンジンは排気量を1.8Lに拡大。実用燃費も向上

 さらにエンジンについても見直しされている。ポイントは、運転のしさすさにつながるトルクアップと実用燃費の改善だ。
 とくにディーゼル仕様(SKYACTV-D 1.8)は、排気量が1.5Lから1.8Lへと拡大されている。これは、実用燃費を考えたときに、車格に応じた適切な排気量があるという「ライトサイジング」に基づいた設計。従来は排気量はできるだけ小さく、それを加給で補うことで走行性能は担保するという発想だったが、それでは試験データはよくても、実際に路上を走らせた際に燃費が悪化するということがわかったからだ。新しいSKYACTV-D 1.8は、年間を通して燃費変動が少なく、走らせても気持ちのいいエンジンに仕上がったと開発スタッフは胸を張る。
 走らせた感想も、確かにマツダの主張が大げさではないと感じられるものだった。SKYACTV-D 1.8はアクセルの踏み込みに対してクルマの動きが素直についてくるという、マツダの最新ディーゼルユニットに共通する美点を備えており、そこがまずは好印象。クルマから伝わってくる余裕、ゆとりのある走りは、大幅に高められた静粛性と相まってクルマ全体がワンランク上になったかのようなイメージにつながる。より大きなクルマや輸入車の乗り換えでも満足できる仕上がりと言える。

爽やかな乗り味のガソリンモデルは指名買いする価値のある出来

CX-3 20S PROACTIVE S Package 2WD

 一方のガソリン仕様(SKYACTV-G 2.0)もなかなか魅力的なエンジンになっていた。車格に対して比較的排気量が大きいため、従来でも十分な性能を提供してくれたが、新型ではさらにドライバーの意思に対して忠実で、すっきりと気持ちのいい走りだった。都市部に住むユーザーで雪道に出かける機会が少ないなら、FFのガソリンも大いに魅力的な選択肢になる。ディーゼルとの差額を使って本革シートを選ぶなど、装備を充実させることで満足度は高まるはずだ。
 また、細かい話になってしまうが、今回の改良でサイドブレーキが電子式となり、アームレストが後席も含めて装備されるようになった。それに伴ってカップホルダーや小物入れも改良され、使いやすくなっている。新型はより遠くに出かけたくなるようなクルマに進化しているが、そんなときにアームレストの有無は快適性に大きく関わってくる。
 2015年の登場からルックス面では傑出した個性、魅力を持つCX-3だったが、ここにきてクルマ全体の魅力がスタイリングに追いつき、全体のレベルは大きく進化した。マツダの次世代モデルをいち早く体験できる存在として、ぜひ一度ハンドルを握り、試してもらいたい1台だ。


CX-3 SKYACTIVE-D 1.8 4WD(6速AT)

全長×全幅×全高 4725×1765×1550mm
ホイールベース 2570mm
トレッド前/後 1525/1520mm
車両重量 1370kg
エンジン 直列4気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量 1756cc
最高出力 116ps/4000rpm
最大トルク 27.5kgm/1600-2600rpm
サスペンション前/後 ストラット/トーションビーム
ブレーキ前/後 Vディスク/ディスク
タイヤ前後 215/50R18

販売価格 212万7600円~306万2080円(全グレード)

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グーネットマガジン編集部

ライタープロフィール

グーネットマガジン編集部

1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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