カーライフ
更新日:2018.11.25 / 掲載日:2015.04.17
くつろぎの車内で過ごすリラックスタイム

日産 ティアナはこんなクルマ
日産の上級セダンを代表するモデル。FFレイアウトを活かした広いキャビンスペースと、上質感が漂うインテリアをセールスポイントとし、快適性を重視するユーザーに支持されている。2代目まではV6の設定もあったが、現行の3代目では国内モデルは4気筒2.5Lのみの展開となった。
日産 ティアナ XV(CVT)
新車価格帯:249万9120円~319万6800円 (全グレード)
主要諸元
平成27年式
日産 ティアナ XV(CVT)
全長×全幅×全高:4880×1830×1470mm
ホイールベース:2775mm
トレッド前/後:1585/1585mm
車両重量:1470kg
総排気量:2488cc
エンジン:直4DOHC
最高出力:173ps/6000rpm
最大トルク:23.9kgm/4000rpm
JC08モード燃費:14.4km/L
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:マルチリンク
ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
タイヤ前後:215/55R17
全世代で目指すのは高級な居間のくつろぎ
2003年に市場投入されたティアナは、ローレルとセフィーロを統合するカタチで誕生した高級セダン。FFの駆動方式から推察できるように、2代目でFFに転身したセフィーロのDNAを強く継承する。
多くの日産ファンはいまも覚えているだろうが、初代J31型のキーワードは「モダンリビング」。大柄なサイズを誇るFF車ならではの広いキャビンに、高級家具をイメージさせる上質感あるインテリアを融合させることで新たな価値観を創出し、高級セダンの世界に新風を吹き込んだ。その象徴は、木目調パネルを大胆にあしらったインパネやセンターコンソールと、モダンファニチャーを思わせる造形のシートだった。
以来、キャビンの快適性とデザイン性にこだわるクルマづくりは、ティアナの伝統となる。2008年投入の2代目J32型は、「おもてなし」をテーマとして、インテリアをクルマとしての機能性に根ざしたデザインへと昇華させたのが見どころ。そして2014年デビューの3代目では、「モダンリビング」や「おもてなし」のコンセプトを継承しつつ、グローバル化への対応を進めた。
ご存じのファンも多いだろうが、現行のL33型では、ついに北米で販売されるアルティマとのモデル統合が図られた。スタイルやインテリアにスポーティさが加味されたのはそれが理由で、現行ティアナはDセグメントセダンの世界的なトレンドを反映させたモデルとなっている。
そんなティアナの最新の話題は、2月の改良における「エマージェンシーブレーキ」の新搭載。自動ブレーキおよび「踏み間違い衝突防止アシスト」の設定は、マークXやカムリなどのトヨタ勢に差をつけるポイントで、ティアナはその魅力を大きく底上げすることに成功した。
RIVAL
トヨタ マークX

新車価格帯:250万9715円~401万1429円 (※G’sを除く)
すべてにおいてひとクラス上の内容
マークIIを名乗っていた時代から、国内のアッパーミドルクラスでライバル関係にあるモデル。ただし、マークXの心臓はV6で、駆動方式はFRと、成り立ちから大きく異なっている。パッケージ面から見ればカムリがより近い。
ホンダ アコードハイブリッド

新車価格帯:375万4286円~401万1428円 (プラグインハイブリッドを除く)
ゆとりのスペースと低燃費な走り
海外市場でも火花を散らし合う仲。しかしながら、アコードのボディサイズはより大柄で、日本においては取りまわし性の面で「やや難あり」という印象がある。国内はハイブリッドに絞った展開で、燃費のよさをアピールする。
マツダ アテンザセダン

新車価格帯:276万4800円~396万9000円(全グレード)
スタイリッシュさと上質感をアピール
ホイールベースと全長を拡大することで、現行型のセダンはティアナと同格のモデルにまで成長した。躍動感あるスタイルと、トルクフルで燃費のいいクリーンディーゼルの心臓を最大のウリとする、マツダらしい上級セダンだ。
HISTORY ヒストリー
PAST MODEL
平成15年2月 | 初代ティアナを発売 |
平成20年6月 | 2代目ティアナを発売 |
NEW MODEL
平成26年1月 | 3代目ティアナを発売 |
平成27年2月 | 安全装備を充実化 |
世代別中古車物件比率

中古車市場では初代ティアナが圧倒的に多い。このデータから、当時の人気の高さがうかがえる。次に先代モデルが多く、昨年デビューしたばかりの現行型はやや少なめだ。
※すべての価格は参考価格です

3rd 新開発リヤマルチリンクサスで走りにも磨きをかけた3代目
乗員全員がくつろげる癒し系のインテリアはそのままに、3代目ティアナでは走りにもメスが入った。
リヤサスペンションを一新し、さらに自動エマージェンシーブレーキを搭載することで魅力度アップ!

中古車参考価格帯:190万円~270万円(平成26年式※全グレード)
快適性と実用性に走りの魅力が加わる
そもそもコスパの高さやリーズナブルな維持費をウリにしてきたモデルだけに、国内仕様が4気筒2.5Lモデルだけに絞られたのは納得がいく。QR25型は充実した低中速トルクが自慢のユニットで、約80%のパーツを一新した新世代エクストロニックCVTとのコンビにより、走りと燃費の性能を改善した。
そしてシャシー。基本となるDプラットフォームを先代から継承しつつ、リヤサスを一新して操縦安定性と乗り心地の大幅なレベルアップを図った。とくに、17インチ55タイヤを履くXVグレードに乗ると、ティアナの進化を実感しやすい。
初代や2代目には望めなかったスポーティな走りを、3代目は峠道のようなステージでも楽しむことができるのだ。そう、内外装だけでなく、走り味もスポーティ方向にシフトしたわけだ。とはいえ、ティアナ本来の快適性を高めた上での走りのレベル向上なのだから、だれもが納得をするはず。その意味では、アルティマのDNA注入は成功と言っていい。

EXTERIOR エクステリア
走りの力強さをカタチでも表現
2代目までのスタイルは、プレーンな面構成を特徴としていた。だが、3代目のエクステリアは、エッジを効かせたラインと抑揚のある面を採用し、これまでのティアナには見られなかった躍動感やスポーティさを表現している。アルティマとの統合がもたらした、目に見える大きな変化と言っていいだろう。

ヘッドライトは鋭い眼光をデザイン的に表現している。XL以上のグレードはキセノン式が標準で、フォグランプは全車標準のアイテムとなる。
INTERIOR インテリア
すべての乗員がやすらげる空間
エクステリアと同様にスポーティ指向となったが、ティアナならではのリラックス感はきちんと継承されている。ステアリングにテレスコピック調整を加えたことで、ドラポジの自由度が拡大したのも見逃せない点だ。頭上高の余裕は大きくはないが、後席の足元は広々としていて、ゆったりくつろぐことができる。



オットマンは改良を加えてさらに快適に
助手席の電動オットマンは、初代の頃からのウリのアイテム。位置を最適化することで、ふくらはぎを支える範囲を拡大し、脚を伸ばした姿勢での快適度をより高めたのがL33型の見どころだ。一度使ったら、クセになること請けあい。XVとXLに標準で装備する。
MECHANISM メカニズム
走りの質感を変えた足まわりのレベルアップ
フットワークが軽やかになっただけでなく、乗り心地もグッと上質になった現行ティアナ。そのカギを握るのは、新設計されたリヤサスだ。また、旋回中や立ち上がり時に、内側の2輪にブレーキをかけてラインがはらむのを抑止するアクティブトレースコントロールの導入も、ハンドリングの向上に大きく貢献。

応答性に効くリンクブッシュと、安定性に効くコネクトブッシュを組み合わせた、新設計のマルチリンク式サスをリヤに採用する。これで走りが変わった。

MOD(移動体検知)機能付きアラウンドビューモニターを設定。Dプラットフォームを基本としながら、ボディ剛性をより高めた。
MARKET DATA マーケットデータ
中古車の数が少なく、市場が熟成するのはまだ先
3代目はエンジンが2.5Lの1機種のみで、グレードは装備別に3タイプ設定される。もっとも数
が多いのは中間グレードの「XL」。走行距離は5000km未満がもっとも多く、相場は227万円である。
グレード×年式別平均相場
平成26年 | |
---|---|
XE | 192万円 |
XL | 225万円 |
XV | 243万円 |
走行距離×年式別平均相場
平成26年 | |
---|---|
5000km未満 | 227万円 |
5000km~1万km | 230万円 |
1万km以上 | 234万円 |
2nd プラットフォームをリニューアルしてゆとりの室内空間を獲得した2代目
絶大な人気を誇った初代からバトンを渡された2代目は、新規プラットフォームを採用して全面リニューアル。
より伸びやかになったエクステリアと優雅なインテリアは、先代オーナーも納得の出来映えだった。
日産 ティアナ
中古車参考価格帯:90万円~240万円 (平成20年~平成24年式全グレード)
主要諸元
平成20年式
日産 ティアナ 250XL(CVT)
全長×全幅×全高:4850×1795×1475mm
ホイールベース:2775mm
トレッド前/後:1560/1560mm
車両重量:1500kg
総排気量:2495cc
エンジン:V6DOHC
最高出力:185ps/6000rpm
最大トルク:23.7kgm/4400rpm
10・15モード燃費:12.0km/L
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:マルチリンク
ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
タイヤ前後:205/65R16
ハードとしての品質を大幅に進化した後継
土台を「FFーL」から新世代の「Dプラットフォーム」に切り替えることで、パッケージ効率に磨きをかけ、走りの性能や安全性を大幅に向上させたのがJ32型の見どころだ。
まずはキャビン。後席の足元空間に加えて、前後席のヘッドルームも先代と比べてより広くなった。だが、それ以上の進化は形状とデザインを一新したシートで、くつろぎのレベルを大きく高めることに成功した。「デザインが平凡になった」との声もあるだろうが、クルマのシートとして優秀なのは2代目のほうだ。
そして走り。パワフル&スムーズなV6の心臓は、この世代のティアナの大きな魅力と言っていい。CVTのラバーバンド感は気になるものの、クルージング時の高度な静粛性と、アクセルを踏み込んでいったときのパワー感は、高級サルーンを実感させる好フィーリングだ。
加速が豪快なのは3.5Lだが、パワーを持て余し気味な面もあり、燃費もほめられない。ゆえにバランスを考えた選択は2.5Lモデルとなる。
INTERIOR インテリア
シンプルなデザインで高い質感を伝える
ソフトパッドを積極的にデザインに採り入れることで、「やさしい包まれ感」を表現したのが2代目のインテリアの特色だ。ティアナ伝統の木目調パネルや、シルバー加飾との融合を図ることで、独特の高級ムードを醸し出している。

MECHANISM メカニズム
上質なフィールのV6エンジンは秀逸
4WDの心臓は4気筒のQR25DE型だが、FF車はV6を搭載。2.5LのVQ25DE型は185馬力/23.7kgm。一方、3.5LのVQ35DE型は252馬力/34.2kgmの高性能。滑らかな回転フィールや高い静粛性も、V6の特大の魅力だ。


高級感をより高めた特別仕様車アクシスも人気
オーテックが手がけた個性派。専用グリルや専用フィニッシャーの採用でより高級感を高めた内外装が目を引くが、マニアは中身に注目する。2.5LのFF車は、専用サスなどの採用で走りに磨きをかけている。
MARKET DATA マーケットデータ
5年落ちだと100万円台前半の予算でねらえる
フルモデルチェンジ以降、先代ティアナの相場はリーズナブルになった。もっとも数が多い「250XL」を見ると、7年落ちで107万円、5年落ちで112万円、3年落ちで152万円が平均価格となっている。走行距離は3万~5万kmが中心で、物件数もそれなりに充実しているので買いやすい。
グレード×年式別相場
平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
250XE | 103万円 | 105万円 | 111万円 | 131万円 | 133万円 | – |
250XL | 107万円 | 113万円 | 112万円 | 148万円 | 152万円 | 163万円 |
250XV | 120万円 | 116万円 | 138万円 | 117万円 | 149万円 | 181万円 |
350XV | 122万円 | 136万円 | 129万円 | – | – | 179万円 |
走行距離×年式別相場
平成20年 | 平成21年 | 平成22年 | 平成23年 | 平成24年 | 平成25年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
3万km未満 | 128万円 | 120万円 | 140万円 | 146万円 | 178万円 | 186万円 |
3万km~5万km | 121万円 | 136万円 | 120万円 | 137万円 | 139万円 | 160万円 |
5万km以上 | 103万円 | 99万円 | 88万円 | 126万円 | 101万円 | – |
年式
もっとも数が多いのが、デビュー年の平成20年式で、全体の42%を占める。高年式車両は数が少なめだ。走行距離
1万km未満の低走行車はかなり少なく、多くは3万~5万kmが中心。走行距離が伸びた車両も目立つ。

グレード
大きく分けると、2.5L車が3グレード、3.5L車が1グレード。3.5Lの「350XV」がかなり少ない状況。
1st 中古車市場ではまだ現役の初代

中古車参考価格帯:20万円~100万円 (平成15年~平成20年式全グレード)
「モダンリビング」のコンセプトをみごとに具現化した初代ティアナのインテリアは、いま見てもとても魅力的。プレーンなスタイルもまだまだ現役の印象で、古びた感じはしない。セダンに「リラックス」を求めるなら、J31型は「十分あり」の選択と言っていい。ベストバランスは2.3L・V6搭載のFFだ。

IMPRESSION
自動車ジャーナリスト森野恭行の○と×
GOOD
単なる高級サルーンに終わらない、おもてなしの心
キャビンが広い高級セダンは多くあるが、「デザイン性」や「おもてなし」というプラスαの魅力を盛り込んで、独自のアピール点としたのはティアナの光る才能だ。オットマンを装備するなど、助手席の「癒し」に注目した発想も素晴らしい。奥さんを大事にするひとが指名買いする理由がそこにある。そうしたキャラだけに走り味はコンフォート寄り。2代目まではとくにその傾向が強い。
BAD
新型はスポーティなるもやはり基本は快適性重視
コンフォート寄りの味つけがあだとなり、J31型、J32型はスポーティな走りを不得意項目とする。FRのライバルと比べると、ハンドリングはアンダーステア傾向が強く、3.5Lモデルは「直線番長」といえる性格を持つ。だが、3代目でハンドリングの能力は目に見えて向上。とはいえ、まだ極上とまでは言えず、ステア中立のあいまいなフィーリングと高速域のダンピング不足に課題を残す。
※すべての価格は参考価格です
※中古車市場データはGoo-net3月末調べ。