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更新日:2021.08.17 / 掲載日:2021.08.17
全国のドライバーに「2021年あおり運転実態調査」実施 チューリッヒ保険
チューリッヒ保険は8月17日、全国のドライバーを対象とした「2021年 あおり運転実態調査」の調査結果を公表した。
本調査は今年で4回目の実施で、全国のドライバー2230人を対象に行われた。今回の調査では、近年あおり運転に関する報道が増えている事や、あおり運転に対する厳罰化を盛り込んだ改正道路交通法が昨年成立したことなどの影響から、7割強のドライバーがあおり運転防止を意識した運転を心掛けているなど、関心の高さがうかがえる結果が表れた。
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あおり運転をされた経験のあるドライバーは5割 あおり運転防止の意識は高い傾向に
「あおり運転」をされた経験はありますか?(出典:チューリッヒ保険)
「あおり運転」を受けないよう以前よりも意識して運転するようになりましたか?(出典:チューリッヒ保険)
あおり運転をされた経験があると答えたドライバーは5割に上り、そのうち「1年以内にある」という回答は2割近い数字に。
いっぽうで、近年のあおり運転に関する報道を受け、以前よりも被害防止を意識した運転をするようになったというドライバーは76.4%で、安全運転、あおり運転防止に対する意識の高さがうかがえる結果となった。
あおり運転厳罰化で減少期待されるが 危険運転する人の心理は変わらないという意見も
「あおり運転」の厳罰化により危険運転が減少すると思いますか?(出典:チューリッヒ保険)
危険運転が減少すると思わない理由は?(出典:チューリッヒ保険)
近年の悪質なあおり運転に起因する事件・事故の多発化を受け、2020年6月にあおり運転の厳罰化を盛り込んだ「改正道路交通法」が衆院本会議で可決、成立し、同年6月末に施行となった。
この改正道路交通法が危険運転の減少・抑止につながると回答したドライバーは64.7%。
昨年の76.9%から12.2ポイント減少する結果となり、危険運転が減少しないと答えた理由では「危険な運転をする人の心理や行動は変わらないと思う」が67.3%で、昨年に引き続き最も多い結果となった。
この結果を受け、九州大学大学院システム情報科学研究院教授で交通心理学を専門とする志堂寺和則氏は、テレビや新聞等のメディアで危険運転に関する多くの報道があり、動画投稿サイトにも動画がアップされ続けていることから、「危険運転は今も行われている、厳罰化にはなったけれども期待していたほどには減ってはいないようだという印象を持つドライバーが増えたようだ」という見解を示している。
およそ2人に1人がドライブレコーダーを利用 未使用者の懸念点は?
自分の車にドライブレコーダーを取り付けていますか?(出典:チューリッヒ保険)
ドライブレコーダーの普及で「あおり運転」は減少すると思いますか?(出典:チューリッヒ保険)
ドライブレコーダーを利用する理由は?(出典:チューリッヒ保険)
ドライブレコーダーを利用していない理由は?(出典:チューリッヒ保険)
ドライブレコーダーの利用については、約半数のドライバーがマイカーにドラレコを取り付けているという結果に。
また、ドラレコの普及によってあおり運転が減少すると回答したドライバーは73%で、ドラレコ普及への期待感が表れる結果が示された。
ドラレコを利用する理由については「事故発生時に自分が不利にならないようにするため(84%)」が最も多く、実際にあおり運転防止の直接的な対策としてドラレコの利用が選ばれている。
いっぽうでドラレコを利用しない理由としては「購入したいがコストがかかるため(67%)」が最も多い結果となり、ドラレコの利用意向の高さを裏付ける結果となった。
前述の志堂寺教授も「ドライブレコーダーを装着した車が増えれば、“あおり運転のような危険な運転をすれば、後々、自分の運転の様子が映像資料として警察に届けられたり、動画投稿サイトにあげられてしまうかもしれない”と思い、危険な運転行為をすることを思いとどまるという抑止効果が期待できる」としており、「ドライブレコーダーは、記録された映像を使って家族や同僚とお互いに運転ぶりをチェックし安全運転に役立てるといった、別の使い方もできる」と安全運転の意識向上にもつながると期待を寄せている。
あおり運転被害は「車体を接近させる挑発行為」がトップ 被害を受けたドライバーは「やり過ごす」対応が多い傾向
どんな「あおり運転」をされましたか?(出典:チューリッヒ保険)
「あおり運転」をされた時にとった対処方法は?(出典:チューリッヒ保険)
あおり運転に遭遇した時に受けた被害について、1位は「あなたの自動車に激しく接近し、もっと速く走るように挑発してきた」(76.5%)、2位は「車体を接近させて、幅寄せされた」(25.3%)となり、前年とほぼ同様の結果に。
また、あおり運転を受けた時の対処については「何もしなかった」が38.3%で1位、「道を譲った」は36.0%で2位、3位は「他の道に逃げた(14.5%)」となり、全体的に「やり過ごす」対応をとったドライバーが目立つ結果となった。
あおり運転を受ける事でパニックになるかもしれないという心境を踏まえ、志堂寺教授は「ドライブレコーダーをつけるなどの事前対応をしておくことで、気持ちに少しの余裕が出るかもしれない」としている。
「追い越し」があおり運転の起因に? 被害防止の工夫は「周りを気遣って刺激しない」運転
「あおり運転」をされたきっかけと考えられる運転行動は?(出典:チューリッヒ保険)
「あおり運転」をされないように工夫していることは?(出典:チューリッヒ保険)
あおり運転被害を経験したことがあるドライバーに、その起因について聞いたアンケートでは「追い越しをした(25.6%)」という回答がトップに。
次いで「スピードが遅かった(21.4%)」、「車線変更をした(15.4%)」、「車間距離を詰めた(12.0%)」といった回答が並び、あおり運転が起こるきっかけがスピードや進路変更にまつわる行為にあると感じているドライバーが多くみられた。
また、あおり運転を受けないための工夫については「車間距離をしっかりとる(55.5%)」、「急な割り込みをしない(35.3%)」、「ウィンカーは早めに出すようにしている(33.8%)」、「不用意にクラクションを鳴らさない(32.3%)」といった回答が多く、周りのドライバーを気遣い、刺激しない運転を心がける人が目立った。
志堂寺教授はあおり運転が、(1)衝動的にあおり運転をしてしまうタイプ(衝動型あおり運転)、(2)邪魔な車を排除するためにあおり運転を道具として使うタイプ(道具型あおり運転)の2タイプに大別されるとしつつ、どちらにしても「周りの車、ドライバーをしっかりと見て、ドライバーがどう思っているかを考えた運転が大切」と呼び掛けている。
実施概要
調査タイトル:あおり運転に関する調査
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2021年7月16日~7月20日
調査対象:1週間に1回以上運転している全国のドライバー2230人