中古車購入
更新日:2019.01.27 / 掲載日:2017.12.04
新型ティアナの“おもてなし”を味わう

ティアナは何位? 2.5Lは250XEの246万7500~250XVの326万5500円。250XLとXEに用意される4WDは21万円高。350XVは394万8000円
【本記事は2008年7月にベストカーに掲載された記事となります。】新型ティアナのコンセプトは「日産の新世代フラッグシップカー」であります。こう書くと「フーガがあるでしょ?」と思うことだろう。確かに日本市場だとフーガやシーマという上級モデルも存在する。しかしティアナの主力市場である中国やロシアじゃ、日産ブランドの最上級モデルなのだ。アコードやカムリよりワンランク格上というポジショニングとなりアウディA6やベンツEクラスと競合するほど。したがってエクステリアもインテリアも従来型ティアナより一段と上を目指したのだった。ボディサイズは先代よりも全長が50mm長く、全幅が30mmワイドな全長4850×全幅1795×全高1475mmとクラウンロイヤルに比べ全長が20mm短く、全幅が同じ、全高が5mm高い堂々としたサイズだ。なかでも気合い入ってるのが室内スペースである。先代に比べ室内長は20mm短くなったものの、室内幅は10mm広く、室内高はプラス10mmとなり、日本でライバル関係となるマークXより、リアシートのニースペースが80mmも長いのだ。写真は身長180cmのドライバーに運転席を合わせた状態でのリアシート。クラウンだって相手にしない(クラウンより20mm広い)。座ってみたらどうか? びっくりギョウテン、超個性的であります! 普通、運転席&助手席とリアシートは、座面の硬さを同じくらいの味つけにする。ところが新型ティアナのリアシートときたら、わりとスポーティな運転席&助手席に対し、猛烈にソフト。「ふにゃんとしてる」と言い換えてもよかろう。「座ってみたら予想外に沈み込んでタマゲタ」というソファのよう。じゃ気持ち悪いかというと、そんなことありません。シートのパッドを3層構造として、振動吸収性を約50%向上させている。ベンツなどのシートがスプリングを使った硬めのベッドだとすると、ウォーターベッドのような感じ。御存知の通り水圧は常に一定。したがってベッドとして使うと1カ所で体重を支えるのでなく接触面全体で均等荷重になる。すばらしいのは「高級モデルだけ良い」でないこと。2.5Lのベーシックグレードや普通なら柔らかさを出すと耐久性が落ちる本革シート仕様まで同じような座り心地になっているのだ。加えて路面からの振動などもフカフカのシートで見事に吸収してくれます。世界トップの仕上がりはリアシートの座り心地だと思う。もちろんオットマンも最高です。
走りはどう進化したのか?

新型ティアナで限りなく大きな進化をしたのは、乗り心地の質感である。従来型のティアナも決して日本車としちゃ悪くなかったけれど乗り比べたらお話にならないくらい違う。今や日本車の乗り心地、大きな進化を遂げようとしてます。最大のキーポイントは「KYBが危機感を持った」ことだと思う。しかしここにきてユーザーの要求レベルが上がったんだろう。同時に日産やスバルのように「開発部隊の評価が低い部品は使わない」というメーカーも出てきた。新型ティアナの実験担当者に聞いてみたら「KYBも相当な危機感を持っているようです」。そんなこんなでやっと高い品質のショックアブソーバを開発する気になったらしい。騙されたと思い、次の休日はディーラーへ行って新型ティアナの2.5Lに乗ってほしい。ぶよぶよだった従来の日本車と全く違う乗り味を体感してくれることだろう。路面からの当たりが滑らか。それでいてステアリングインフォメーションはキッチリしており、コーナーで腰のあるロールをしてくれます。ただ今回試乗した3.5L車はハーシュネスを出してました。ごく初期モデル(広報車)のみ少しバラつきが出ているそう。エンジンはどうか? 結論から書くと252ps/34.2kgmの3.5LV6(旧型に比べ21ps/0.2kgmアップ)だとオーバーパワーということになる。というか新開発の2.5LV6で充分パワフルなのだ。アップダウンの多い富士山麓の試乗コースさえ「これで文句ないでしょう!」という走りを見せてくれており、快適かつ滑らか。エンジンやCVTで不満を感じることはほぼなし。上手にまとめてます。そうそう。今回試乗しなかったものの、16インチタイヤを履くベーシックグレードはいちだんと穏やかな乗り心地のクルマに仕上がっているとのこと。最後に価格。最も安い250XEは助手席オットマンが装備されず、16インチフルホイールカバーなどとなるが246万7500円と旧型の230J-Mより5万2500円高いだけ。量販モデルとなりそうな250XLはナビは32万5500円のオプションとなるが、パールスウェードシートや助手席パワーオットマン、本革ステアリングなどが付き275万1000円とこれで充分といった感じ。250XVは本革&木目調ステアリング、パールスウェードシート、ナビが標準でBOSE製オーディオや電動ガラスサンルーフなどほぼ350XVと同装備で326万5500円。350XVは贅沢装備満載で394万8000円だが先代と比較するとお買い得。車格や質感、居住性、コストパフォーマンスなど総合的にみるとすべてにわたって先代からの進化度は大幅アップといっていい。

5人の評論家が評価 ティアナVSライバル アッパーミドルセダンランキングさて、最後に新型ティアナはアッパーミドルクラスのライバル車に対してどう評価したのか?5人の評論家の採点を集計した結果、なんとスカイラインと同点の1位に輝いた。鈴木、竹平、国沢、渡辺各氏が旧型ティアナの採点から1点ずつ点数を上げ松下氏は先代からの進化ぶりに驚き、3点も上げた。
鈴木直也

2.5L、V6 DOHC:2WDは先代の2.3L直4から185ps/23.7kgmの新型2.5L直6、4WDは先代より7psアップの167ps/24.5kgmの2.5L直4を搭載。
ティアナの魅力というと、(1)デザインコンシャスなインテリアと、(2)V6エンジンのスムーズな走りを、(3)250万円以下からというリーズナブルプライスで堪能できること。これは新型でも同様で、この美点にさらに磨きをかけているのが、ライバルに対する新型ティアナのアドバンテージだ。初試乗でとりわけ感心したのは、まずインテリアの品質感の高さだ。旧型はデザインの斬新さに生産部門がついていけない感があったが、新型は内張りの手触り、シートの座り心地、樹脂成型品の精度感など、総合的なクォリティが大幅アップ。カムリ、インスパイアあたりはもちろん、マークXも抜いてクラウンに迫るくらいの仕立ての良さを感じさせる。さらに、乗り心地と静粛性のレベルも非常に高い。V6の滑らかな回転フィールとか、ソフトでしなやかな乗り心地など、走りに上品さが感じられる。
竹平素信

明るいシルキーエクリュのインテリアカラーと違い、落ち着いた色が好みの人はブラックもラインアップ
すばらしい仕上がり。特にキャッチコピーでもあるモダンリビングについては素直にこのクラス一番の心地よさ、もてなされている感じがいい。きっちり作られているインパネの質感もレクサスIS以上のもの。走りは特に2.5LV6がすばらしい。V6とCVTとのマッチングはお見事。このティアナで最も気に入ったのはリアシートの座り心地(乗り心地)。17インチはややゴツゴツ感が気になるが16インチだとバッチリ。この上質さはクラウンと肩を並べるほどだと思う。
国沢光宏

スカイライン:250GT(2WD)は279万3000~331万8000円、350GTは348万6000~380万1000円、2.5L V6は225ps/26.8kgm
「駆動方式より実力を重視」するという人であれば、イッキにティアナの魅力がクローズアップされる。なんせコストパフォーマンスを考えれば圧倒的なNo.1! さらに2.5Lのパワフルなエンジンを、滑らかで省燃費のCTVと組み合わせて搭載。クラウンやフーガを凌ぐ居住性や乗り心地、快適性まで持ってます。インテリアのコダワリ具合なんかも突出。ただアッパーミドルクラスのセダンを買うようなユーザー層はトヨタシンパが多い。引き分けなら間違いなくトヨタ選ぶし、10対7くらいの優勢勝ちでも劣勢のトヨタを選択する傾向。私がこのクラスのセダンを買うなら、迷わずティアナを選びますけどね。
松下 宏

カムリ:2.4Lのみ。247万8000~336万円。2.4Lエンジンは167ps/22.8kgm
旧型の6点から9点に採点したのは想像以上だったから。特にデキの良さを感じさせたのは静粛性や乗り心地の良さで、このあたりではクラスのトップレベルにあり、ベンチマークともいえるカムリに匹敵する性能を備えている。とりわけマンホールのふたや路面の凹凸を超える時のよさが際立った。逆に今時のクルマらしくないのが排ガスが★3つで★が1つ足りないことや17インチタイヤ装着車は最小回転半径が5.7mもあって取り回しがしにくいことなどが欠点。VDCがまだ全車に標準にならない点も不満だ。全体としてはとてもよくできたクルマだが満点には届かない。
渡辺陽一郎

先代は広い室内を備える半面、ステアリングの反応が少々曖昧で、走行安定性も中級レベル。マイチェンで改めたが、ライバル車を超えられなかった。ところが現行型は、北米版アルティマなどと共通の剛性を高めた「Dプラットフォーム」を採用。走行安定性を向上させた。特に後輪の踏ん張り感が優れ、挙動変化も穏やかだから運転者に不安を与えにくい。この点はライバル車を上まわる。居住性は先代型もカムリと並んで高水準。新型は床を15mm下げて室内をさらに広げた。フロントシートはバックレストの形状を見直してかなり快適だ。リアシートは窮屈なFRのライバル車よりは格段に優れ、腰が少し落ち込むカムリも上まわる。問題は横滑り防止装置の設定。価格をマークX250Gと同額に抑えた買い得な250XLには用意されない。ここはライバル全車に負けている。