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故障・修理
更新日:2022.10.18 / 掲載日:2022.10.18

補機ベルトは安全を守る大切な部品 実例から重要度を学ぶ

 「自動車用補機ベルト」はパワーステアリング、エアコンコンプレッサー、冷却ファン、オルタネーター、ウォーターポンプなどのエンジン補機を駆動させる役割を担う重要な交換部品である。しかし、巷では不適切な交換作業が行われたと思われる案件や、ベルト自体の故障も発生している。ベルトの点検では「緩みと損傷の確認」と「張力の点検・調整」が重要だ。ベルトの不備がどのようなトラブルに繋がるのか、実例を踏まえて覚えておこう。

 「自動車用補機ベルト」はパワーステアリング、エアコンコンプレッサー、冷却ファン、オルタネーター、ウォーターポンプなどのエンジン補機を駆動させる役割を担う重要な交換部品である。しかし、巷では不適切な交換作業が行われたと思われる案件や、ベルト自体の故障も発生している。ベルトの点検では「緩みと損傷の確認」と「張力の点検・調整」が重要だ。ベルトの不備がどのようなトラブルに繋がるのか、実例を踏まえて覚えておこう。

ファンベルト交換3カ月後に高速道路でエンジンが停止

 これから記載する内容は、ある自動車整備振興会の「整備相談窓口」に寄せられた自動車ユーザーからのクレームである。

●相談内容

 整備工場でファンベルトを交換。3カ月後(この間の走行距離数百km)、高速道路を走行中にエンジンが停止した。ディーラーにサービスカーで運んでもらい修理を実施。約8万円請求された。そのディーラーの整備士から「明らかに整備ミスで、ファンベルトが緩んだため、オルタネーターが作動していなかった」と言われ、整備工場に苦情と賠償を求めたが、「3カ月も前のことなので責任はないし、任意保険のレッカーサービスで運んでもらえばお金もかからなかったのではないか」と言われた。整備相談所から工場に8万円払うように言ってほしい。認証工場はこんなものなのかという苦情。

●対応

 当会は故障原因を究明し賠償の仲裁等をする機関ではないことを説明した上で、会員工場であれば相手側の工場に事情を聞いてから改めて相談に応じたいと提案したところ、「車検を1台依頼しているので、整備相談所から電話され、適当に作業されても困るので、今は整備工場名を言えない。車検が終わったら再度電話する」とのこと。その後、連絡なし。

ベルトの故障は一般道路でも高速道路でも発生している

 このクレームでポイントになるのは、ディーラーの整備士が話した「明らかに整備ミスで、ファンベルトが緩んだため、オルタネーターが作動していなかった」という発言である。このことから、高速道路を走行中にエンジンが停止した原因は「オルタネーターの作動不良」であったと判断できる。そしてこの整備士は、オルタネーターの作動不良が起きたのは、ファンベルトが緩んだためであり、それは整備ミスによって引き起こされたと結論付けている。
 本当に整備ミスでファンベルトが緩んだのかを検証することはできないが、巷では確かにベルトの故障が発生している。

故障部位別発生件数の割合(2021年9月~11月、国土交通省調べ)
(2021年9月~11月、国土交通省調べ)

 上表は、国土交通省が日本自動車連盟の協力のもと、2021年9月から11月までの間に発生した自動車の路上故障について、「装置別および部位別の故障発生状況」の分析を行った結果である。
 路上故障発生件数は8万4791件で前年同期比6.5%(5854件)の減少。道路別の内訳は、「一般道路」は8万4169件で6.0%(5405件)の減少、「高速道路」は622件で41.9%(449件)の減少となった。高速道路は新型コロナウイルスの影響を受けて大きく減少した。
 この中から「故障部位別発生件数」の割合をみると、一般道路では「ファンベルト」は0.7%で9位、高速道路では0.6%で9位と共に10位以内に入っている。
 整備工場では車検・定期点検時にはベルトの点検を100%実施しているはずだが、それでも走行中にベルトの故障が発生している。この原因が点検時の不具合の見落とし、必要な整備の未提案、不適切な交換作業といった整備ミスに起因するものなのか、それとも、ユーザーの整備の先送り(交換を提案されたが次回に先送り)によるものなのかは定かではないが、走行中の故障によって事故に遭うという万一の事態は絶対に避けなければならない。

補機ベルトの適切な点検と交換の実施を!

自動車用補機ベルトの張力測定の例

 そうした事態を避けるため、自動車メーカーではサービスインフォメーションを通じて、整備に関する注意喚起を行っている。整備士向け情報のため専門的な内容だが、症状が出た際に適切な整備を依頼する材料となるだろう。
 ダイハツ工業が発出した「オルタネーター用Vリブドベルトの張力点検・調整時の注意事項」を見ると、車両整備におけるオルタネーター用Vベルトの調整作業において、ベルトの取付張力が不適切(過張力)の場合、ウォーターポンプのベアリングが損傷し、異音やチャージランプ点灯に至る事例があるとして、Vリブドベルトの張力点検・調整の際には、次の点に注意して作業するように呼びかけている。

(1)車両整備時にサービスマニュアル記載の手順でVリブドベルトの張力を点検すること。基準張力外の場合は再調整すること。
(2)ベルトの調整は張力の基準値を確認のうえ実施すること。
・オルタネーター用Vリブドベルトの張力点検
 張力を測定する際は、リモートケーブルを取り付けた「テンションゲージ」もしくは「音波式張力計」を使用して張力を測定すること。車種によりテンションゲージや音波式張力計によるベルトの測定位置が異なるので、サービスマニュアルを確認して作業すること。

補機ベルトの点検で使用する「音波式張力計」
補機ベルトの点検で使用する「音波式張力計」

出典:アフターマーケット 2022 年 9月号

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ライタープロフィール

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車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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