故障・修理
更新日:2019.09.07 / 掲載日:2019.09.07
目指せ30万km! オンボロジムニー快適化計画 その7
ここ数回は内装のことばかりに気を取られてすっかり忘れていたが、実は数か月前からクーラントがじわじわと漏れていた。本格的な暑さが到来して、オーバーヒートになる前に、キッチリと穴を埋めて修理しようと思う。
1981年に登場したSJ30型から引き継いだ四角いボディを持つJA22W。ギア比の高さが災いしてマニアからはそっぽを向かれた不人気モデル。
いつも湿り気味のラジエーター上部にはひび割れが?!
普段の走行はショックアブソーバーの抜け以外は、ほぼ問題なく走れるようになったジムニーだが、暑い季節を迎えるに当たり、不安な部分が一つ解決できないままだった。それは、クーラントがラジエーターからジワジワとニジみ続けていることだった。それ以前にも、バイパスホースやスロットルボディ下にある温水ワックスバルブからもニジんでいたのだが、これらはホースを付け直したり、分解が困難な場所ゆえに漏れ止め剤も投入したところ見事に収まったのだ。
しかし、ラジエーターからのニジみは修復する気配がない。場所はどうやらフィラーネックらしく、常にキャップの下が湿気っていて、その垂れたクーラントがアッパータンクの縁に流れたりするので、コアとタンクの接合部まで漏れているようにも見える。漏れ量自体はたいしたことはないので、オーバーヒートする心配はないのだが、点検のためにキャップを開けると、口元一杯に入っているはずのクーラントレベルが少し下がっているのだ。これはクーラントの減りだけでなく、ラジエーターとリザーバータンク間でのクーラントの出入りがうまくいってないことの証明でもある。また、漏れるということはキャップで設定した内圧に達しないわけだから、沸点が大気圧状態と同じになってしまう。
そんなことで、夏になると常に水温が高い状態で使われるため、少しの漏れやシステム内の沸点低下が突発的なトラブルに繋がる可能性がある。
普通なら、ラジエーターを別のものに交換するところだが、幸いこのラジエーターは昔ながらの真ちゅう製なのだ。これならハンダが使えるから、DIYで直せるのではないか?と考えて、ちょっと本腰を入れてみることにした。
まず漏れ場所の特定だ。フィラーネックにキャップテスターを取り付けて加圧し、怪しい部分に石けん水を掛けると、ブクブク泡が出る! 思った通り、ネック部の取り付け部らしく、タンクとコア間は漏れが見られなかった。
ひび割れを埋めようとしたら……
高級な銀ロウより、鈑金ハンダがDIY向きか?
現在のラジエーターはコアがアルミ製で上下のタンクは樹脂性になっているのがほとんどだ。昔は(今でも?)ラジエーターの修理は当たり前だったから専門店もあったのだが、最近はどうなのか? つまり、我々新人類(死語だろうが)は、ラジエーターを修理に出したという経験がないわけで、大昔の雑誌で読んだ記憶を元に、いくつかの方法を試してみるしかない。
それで、オーナーが用意してくれたのはホームセンターで買ったトーチと銀ロウだ。今回の修理内容では、さすがにダメだろうと思った。まずトーチの火口が大きく、細かい部分の作業に向いてない。さらに、銀ロウは強度があるが、素人にはサラッとした状態に溶かすのが難しい。それでも貴重な修理実験であり、オーナーの手前もあるので一応やってみる。
まず、塗装を剥離剤で剥がしてブラッシング後、フラックスを塗って加熱。熱くなった頃合いを見計らってロウ棒を押し当てるのだが、シャープペンシルの芯がボキボキ折れるような感じで、全く付く気配がない。さらに、フィラーネック部にはリザーバータンクのホースを繋ぐパイプがあって狭いので、接合しそうにない。
それでも、なんとかフィラーネックのクラック部へロウ棒を溶かし込もうと適温を探りながら加熱を続けていると、トンでもない事態へ発展。突然、フィラーネックがアッパータンクからポロッと落ちてきたのだ。「うわぁ、終わったー」と舌打ちするも取れた部分を見て安心した。もともと、コア、タンク、フィラーネックと分割して作られたのが接合されているのだから、最初からフィラーネックを外すつもりで加熱すればよかったのだ。
フィラーネックとアッパータンクの接合面は、半分近く浮き上がり、水アカが付いて茶色になっている。フィラーネックが付いたまま横からロウを流すことができても、すぐ剥がれていたかもしれない。ここで剥がれたことで、完全に修復できる自信が出てきた。
エアがなかなか抜けない
鈑金用ハンダなら作業性がよく強度も確保できそう
フィラーネックが外れて本来の接合部が露出したことで、修復作業はラクに確実にできる見通しが立った。クラック部を横からふさぐのは難しいが、元々の接合面なら互いの接触面積が広いので、ハンダで十分な強度を出すことができる。あとはどうやって、くっつけるか?である。正式な修理法は知らないので、思いつきの方法だ。まず、双方の接合面を綺麗にしてから、トーチやハンダごてを使い、ハンダメッキをしておく。ごく薄く表面を覆っておけばよいが、ハンダに適した温度に上げて、なじませておくことが大事だ。
手で持てる程度に冷ましたところで、接合面をぐるっと一周する長さのハンダを切り出してタンクに置き、その上にフィラーネックを置いてハンダをサンドイッチしておく。軽く抑えられるよう工具を準備してから、トーチでフィラーネックの接合部をキャップ側から加熱するとハンダが溶け出すので、その時に軽くフィラーキャップを押し込んでやり、あとは自然に冷却させたのだ。素人考えなのだが、うまくいったようでガッチリくっついていた。
ジムニーはラジエーターの脱着が簡単なので、漏れテストは車上で行った。するとキャップ圧をオーバーする1kg/cm2+αの圧力を掛けても、漏れはもちろんキャップが取れる気配もない。これなら、残留フラックスで腐食するなどしないかぎり、当分大丈夫だろう。
最後はちゃんとしたクーラントを入れてエア抜きをする。残念ながら、エア抜きは、コツがイマイチつかめ切れておらず、またもや時間がかかってしまう。スピルフリー(ジョウゴ)を載せたまま暖機しているのがいけないのか? 口元一杯までクーラントを入れたらキャップをしてエンジンを短時間空吹かししてから、減った分を足すほうがイイのかもしれない。
いずれにせよ、これでクーラントは一滴もニジまないようになり、真夏のオーバーヒートのリスクも激減したことだと思う。
前回で取り付けたインプレッサの純正シート。助手席側はアルミ製のアングルとプレートを使用したのだが、強度と耐久性に不安があるので、スチール製のアングルで作り直すことにした。用意したアングルは3mmの厚みのもの。前回作ったアルミ製のアングルと全く同じ寸法で切り出し、穴をあけるのだが、ボール盤が不調でアルミ製のように簡単に穴があかない。仕方がないので小さいサイズから穴あけを開始して、9mmの穴をあけるまでに4回もドリルの刃を交換して穴を拡大した。時間はかかったが、前回アルミで製作したパーツと同じものが完成した。今回は取り付け部分を前方にずらしたので、シートは後ろに下がって足もとに余裕ができた。ただし、リヤシートは窮屈になったが。