パーツ取付・交換
更新日:2018.10.22 / 掲載日:2018.10.22

タイヤ交換時のホイールナットの正しい締め方や締め付け規定トルク・交換時期や工賃の目安を解説

タイヤ交換時のホイールナットの正しい締め方や締め付け規定トルク・交換時期や工賃の目安を解説

タイヤ交換をする際には、ナットの取扱に関する知識が不可欠です。ナットは、ホイールとタイヤを付け合わせる役割があります。雑にナットを使ってしまうと、運転中の脱輪などといった、重大な事故にもつながりかねません。しかし、初めてタイヤ交換をするという方で、ナットをどのように扱えばいいのか良く分からないという方も少なくないと思います。ホイールナットの締め付け方をしっかりと把握し、タイヤ交換をすることで、より安全な走行が可能になります。今回は、ホイールナットに関する基本的な知識をはじめ、ホイールナットの正しい締め方や締め付け規定トルク・交換時期や工賃の目安について解説します。

ホイールナットの基本

この項目では、ホイールナットの基本的な役割や各部位の名称などについて、解説をしています。

・ホイールナットの役割とは?

ホイールナットとは、ホイールをハブ(車体)に固定するためのパーツであり、車体を安定して走行させるためにも必要不可欠なものになります。ナット自体は、大きなパーツではありませんが、数個のナットでタイヤとホイールを支えており、外れてしまうと走行に支障が出てしまう、極めて重要なパーツと言えます。

・ホイールナットの各部位の名称

ホイールナットの部位は以下のような数字と文字で表されます。

【 M12×P1.5 21HEX 】

読み方は、下記の通りです。

1.ミリメートルネジ(Mの部分)

単位がmmであることを表す表記です。

2.ネジの直径<12の部分>

ネジ軸の直径のことを指します。M12の場合、12mmです。

3.ピッチ<P1.5の部分>

ネジ山における螺旋のの山と山との隙間1つ辺りの幅を示しています。

4.二面幅<21の部分>

縦からナットを見た際における面同士の幅の長さを指しています。

5.六角形(HEXAGON)<HEXの部分>

二面幅が六角形に基づいていることを説明する単語です。

要約すると【(ネジ直径)×(ネジ山ピッチ)(二面幅)】となっており、これらがホイールナットの各部位の名称とその意味となっています。タイヤ交換の際、ホイールとナットを付け合わせるにあたって、ホイールナットの部位サイズとホイール自体が対応しているナットのサイズを合わせる必要がありますので、しっかりとホイールナットの部位名と意味を理解しておくようにしましょう。

ホイールナットのサイズについて

ホイールナットのサイズについて

ホイールナットのサイズについての見方や、メーカー別の大まかなサイズ基準について解説します。

・ホイールナットのサイズの見方とは?

ホイールナットのサイズは、前項の「ホイールナットの各部位の名称」でも解説したように、部位ごとの数値がかかれた文字列から読み取ることができます。また同様に、ナットに適合するホイールの規格についても、しっかりと調べる必要があり、ナットの種類と購入したホイールの規格が合わない場合や、自分の車と買ったホイールが適応していなかった場合には、購入分の代金が無駄になってしまいますので注意しましょう。

・メーカー別ホイールナットのサイズ

メーカー別のホイールナットのサイズは以下の通りです。ただし車種によっては、同じメーカーでも微妙にネジサイズが異なっている場合もありますので、タイヤ交換やホイールの交換などをする際には、表だけに頼らずに自分の車に対応するネジサイズを、確認しておくようにしましょう。

M12×P1.5:ホンダ・ミツビシ・トヨタ・マツダ・ダイハツ
M10×P1.5:ホンダ・ミツビシ(軽自動車および旧車)
M12×P1.25:ニッサン・スバル・スズキ(軽自動車および旧車)
M14×P1.5:レクサス(LS系)、トヨタ ランドクルーザー(100系/200系)・ シビック タイプR(FK2/FK8)など

ホイールナットの種類

ホイールナットの種類

■ホイールナットの形状の種類

ホイールナットの形状の種類について代表的な2種類について解説をします。

・貫通ナット

貫通ナットとは、穴の両端が開いているナットのことを指します。ホイール装着後のハブボルトの長さがナットの高さよりも長かった場合においても、問題なくナットを取付けることができ、利便性のあるホイールナットと言えます。スポーティな印象のためスポーツカーに人気があるナットです。

・袋ナット

袋ナットとはナットの穴の後端が閉じているナットのことです。外見からはナットの穴が無いのが特徴で、貫通ナットよりも見た目がカッコ良いと思う人もいます。その一方で、ボルトの長さがナットよりも長くなってしまっていた場合には、ナットが取付けられなくなるというデメリットがあります。なお、後述しますがホイールに接する面(座面)はいくつかの規格があり、貫通ナットも袋ナットにも用意されているので、ホイールキャップの取付の有無や取付後の見た目の好みなどで、適宜、選択していくと良いでしょう。

■ホイールナットの材質の種類

ホイールナットの材質の種類としては、以下のような材質が使われています。

・アルミ(ジュラルミン系)
・スチール
・チタン合金
・クロモリ

それぞれ強度や価格に差異があるため、ナットを選ぶ際には各材質の特徴を把握しておくことが大切です。

■ホイールナットの取付座面の種類

ホイールナットの取付座面は、主に3種類に分類され、それぞれで形が大きく異なっています。

・平面座

国産車の内三菱やトヨタなどといった一部メーカーにて使用されているナットであり、名前の通りナットの底面が平面になっている点が特徴です。

・テーパー座

ナットの底面が約60°のテーパー状(すり鉢状)になっているのが特徴で、その見た目からテーパーナットなどと呼称されることもあります。

・球面座

ナットの基底部が球面状になっています。

ホイールナットの交換方法

ホイールナットの交換方法

ホイールナットの交換方法について、必要な工具や正しい締め付け方について解説をします。

・ホイールナットの交換・締め付けに必要な工具

ナットを締め付けるには「レンチ」と呼ばれる工具を使用することが一般的です。これはボルトやナットを緩めたり、締め付けるために使われる工具です。レンチを使ってナットは締め付ける必要があるわけですが、一言にレンチと言ってもさまざまな種類のレンチが存在します。

例えば、
・L型レンチ
・クロスレンチ
・トルクレンチ
・インパクトレンチ

など少し調べてみるだけでも数種類のレンチがあることが分かります。基本的にはこれらのホイールナットの締め付け時に利用されるレンチを揃えれば、ナットの締め付けには問題ないと言えるでしょう。トルクレンチは必要なトルク量をセッティングし、目標とするトルクでナットを締めることができます。トルクレンチ自体はそこまで高価なものでもないので、初めてタイヤ交換をする場合などでは1本購入しておくと良いのではないでしょうか。

・ホイールナットの正しい締め付け方・順番

1.ホイールを車体に取付ける(すでにホイールが取付けられており、ナットを付け替える場合はこの手順は省略)
2.ホイールをハブに押さえつつ、手締め(ソケット)でナットを指でゆっくり回しボルトにつける
3.最初にはめたナットの対角線上のナットを(2)と同様の手順で回していく(後にトルクレンチで締め付けるため、締め過ぎないようにする)
4.残ったナットを順に(2)と同様の方法ではめていく
5.トルクレンチを用い、指ではめたナットを同じ手順・順番で締めていく

・ホイールナット締め付け規定トルクとは

規定トルクとは、ホイールナットを締め付けるにあたって必要な力加減のことです。これは自動車メーカーが車種毎に定めており、ナットを締め付ける際には、その規定されたトルクで締め付ける必要があります。なお、それらトルク値は一般的に普通乗用車では100~120N・m(10~12kgf・m)、軽自動車では70~90N・m(7~9kgf・m)とされています。より詳細なトルク値は、メーカーによって異なるため、実際にホイールナットの取付を行う際は取扱説明書を通して自分の車のトルク値を知っておきましょう。メーカーで設定されているトルク値は比較的精密であるため、ナットを交換する時、正確にトルクを刻むことに不安が残る場合には、目的のトルクを設定してナットを締められるトルクレンチを利用することがおすすめです。

・ホイールナットが外れない時の対処法

ホイールナットが外れない場合の原因としてはネジ山部分が錆びてしまっていたり、なめて(潰れて)しまっていたりすることが考えられます。いずれの場合においても自力で取り外すことは難しく、店舗などに持ち込み、専用の工具で取り外してもらう必要があります。

タイヤ交換時のホイールナットに関する注意点

タイヤ交換時のホイールナットに関する注意点

タイヤ交換時のホイールナットの注意点としては、ナットをハブボルトにはめる順番を対角線上のナットの順にはめるようにするという点が挙げられます。というのも対角線上以外の順番でナットをはめてしまうと、取り付けバランスが偏ってしまう恐れがあるからです。ホイールをしっかりと装着せずに運転をし続けてしまうと、タイヤの脱輪などといった事故に繋がりますので、特に注意しましょう。

・ホイールナットを締め付け過ぎない

ナットを締める際にトルクが強すぎる場合、ホイールナットが必要以上に強く締め付けられてしまうことがあります。その際には、次のタイヤ交換でナットがうまく外れないことや、ナット自体がなめてしまう(ネジ山が壊れてしまう)ということこともあります。ホイールナットを必要以上に締め付け過ぎないようにしましょう。

・ホイールナットが正しい向きになっているか確認する

ホイールナットを交換する時、貫通ナットなど上下どちらも穴が開いているナットを利用している場合には、ナットの向きを上下間違えて交換してしまうことがあります。
そのような場合、ナットが緩みやすくなるほかナットやホイール自体が傷ついてしまうということも考えられますので、交換前にはしっかりとナットの正しい向きを確認しておくようにしましょう。

・タイヤ交換後はホイールナットの増し締めをする

タイヤ交換後はホイールナットを増し締めしておくようにしましょう。増し締めとはホイールナットを締め、50 km~100kmほど走ったのちにホイールナットを締め直す行為のことです。これによってホイールナットが緩みやすい状態になっていないかといった不具合を確認することができます。

ホイールナットの交換・メンテナンス

ホイールナットの交換・メンテナンス

ホイールナットの交換時期や、メンテナンスの必要性の有無について解説をしています。

・ホイールナットの交換時期の目安・タイミングとは

ホイールナットはタイヤなどのように、常にストレスがかかっていたり、消耗するものではありませんから、必ずしも定期的な交換が必要というわけではありません。しかし、ナット自体の締め付けが強いことや、長期間にわたるメンテナンス不足によりナットが緩んでしまっていると、いずれネジ外れ、運転中にタイヤが脱輪してしまうこともあります。このため一定間隔でのナットの点検は、必要不可欠と言えるでしょう。

・ホイールナット交換の工賃の目安

ホイールナットを交換するだけであれば、ナット分の代金だけで済みます。ホイールナット1個当たり、100円程度で購入することができます(ナットの材質などによって多少増減します)。しかし、この場合、あくまでもタイヤ交換時にホイールナットを交換した場合の費用の目安となります。ホイールナットを交換するだけの作業を依頼する場合は、車一台に対して、おおよそ2,000円ほどの工賃を目安としましょう。ホイールナット交換工賃は業者によって違いがあるため、交換を依頼する際には、必ず工賃を確認しましょう。

・ホイールナットの点検方法

ホイールナットの点検方法には目視で行う方法と点検ハンマーを利用した方法の2種類があります。

■目視による点検方法

目視による点検の確認ポイントは以下の通りです。

・ホイールナットが変形しているなど、それによって不均衡が現れていないか
・ホイール自体が欠けていたり、亀裂が入っていたりしていないか
・ホイールボルトが錆びていたり、ネジ山が潰れたりしていないか
・ホイールナットが欠けていたり、緩んでいたりしていないか

■点検ハンマーを利用した点検方法

ホイールナットの下部に指を添えながら、ナットを点検ハンマーで軽くたたきます。この時にナットから濁った音がしないか、ほかのナットで点検した際に聞こえないような異常音が聞こえないかチェックします。このようにして、ホイールナットの緩みや欠損がないかをチェックします。タイヤを取付ける際に必ず必要になるのがホイールナットです。ホイールナットが正しく締められていなかったり、破損などを起こしていた場合は、タイヤの脱輪につながるなどの大変危険な状態となってしまいます。タイヤ交換をする際には、ホイールナットの正しい締め方や締め付け規定トルクを理解して、間違いのないように取付けるようにしましょう。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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