新車試乗レポート
更新日:2026.06.22 / 掲載日:2026.06.22
19万円以上にその差は大きい。【トヨタ RAV4 プラグインハイブリッド車】【石井昌道】

文●石井昌道 写真●ユニット・コンパス
2025年12月に発売されたRAV4に、新たにPHEV(プラグインハイブリッド)が加わった。純エンジン車の設定はなくパワートレーンはHEV(ハイブリッド)との2本立てとなる。どちらもリアにモーターを持つ電気式4WDとなっている。
新しいプラグインハイブリッドシステムの特徴

直列4気筒2.5Lエンジンは共通しているが、ハイブリッドシステムはHEVが第5世代なのに対してPHEVは新開発の第6世代が先行的に採用された。
先代RAV4 PHEVとの違いはリアシート下にあったDC/DCコンバーターをPCUと一体化したeAxleとし、同じ場所にあったAC充電器とともにエンジンルームに配置。空いたスペースを活用することでHEVと同等の室内空間を確保した。一体化によって高さを15%低減、重量を18%削減と軽量コンパクトに仕上げながら出力は12%向上しているという。

新開発のバッテリーパックは先代比で容量が約30%増加し、EV走行距離は95kmから151km(GR SPORTは145km)と約50%の延長となった。それだけEV走行時の電費がいいということだが、モーターの進化や高効率なSiC(シリコンカーバイド)を使用したことなどで実現した。
パワートレインの印象は想像以上だった

グレードは標準の「Z」とスポーティな「GR SPORT」が用意される。今回はどちらも90分ずつ試乗した。
パワートレーンの第一印象は想像以上に鋭い加速を見せることだった。HEVと違ってEV走行で長く走るPHEVはフロントモーターが強力で、HEVの100kW(136PS)/208Nmに対して151kW(206PS)/ 272Nm。186PS/229Nmのエンジンとの組み合わせで大きく上回っている。さらに、電気式4WDはリアのモーターのパワー/トルクが上乗せされるのでパフォーマンスアップに直結。システム出力は329PSとなり、0-100km/h加速は5.7秒とGR86を上回る加速力だ。

とはいえ、普通に走らせている限りはその速さを誇示することはなく、むしろスムーズで上質な印象。電力が十分にある状態でのEV走行ではエンジン音がなく、ロードノイズや風切り音もきちんと抑えられている。ハイブリッド走行ではエンジンの始動/停止が頻繁に繰り返されるが、その切り替えが極めてスムーズで、エンジンの音・振動も抑え込まれている。エンジンブロックは従来よりも丸みを帯びた構造とすることで剛性を高め、eAxleとの連結部も剛性向上。それらがエンジン本体および始動/停止時の音・振動を抑制する要因になっている。

また、巡航走行からサッと加速したいときにアクセルを踏むとモーターの素早く力強い反応によって良好なドライバビリティが得られている。
Zの乗り心地はしなやかで落ち着きがある。先代のKプラットフォームを引き継いでいるが、改良によって各部の剛性が向上しているという。
欧州メーカーでは、既存プラットフォームの大幅改良版に“Evo”などの名称を追加して世代を区別しているが、トヨタでは特に新名称はないという。ただし、内部的には“2周目”などと呼んでいるらしい。確かに走らせていてもボディの剛性感は高く、それゆえにサスペンションがスムーズにストロークしているのが実感できる。

ダンパーはKYB製プロスムースで、摺動部材でフリクションをコントロールすることで初期入力から減衰が高まるタイプ。低速域から乗り心地がいい。
GR SPORTは専用チューニングが施される。フロントにパフォーマンスダンパーが追加され、リアサスペンションメンバーは強化。スプリングやダンパーのレートを高め、オフセット+10mmのホイールを採用してトレッドを20mm拡げている。Zに比べるとサスペンションは明らかに引き締まっているが、不快なほどの硬さはない。路面から入力があったときの上下動の収まりがよくなるとともに、ステアリング操作に対する反応が良くなっている。GR SPORTは本格派ではなく、日常の快適性を犠牲にしない範囲で操縦安定性を高めるグレードとされているが、まさに狙い通りの仕上がりだ。
ハイブリッドの実質的な価格差は19万円

約150kmものEV走行によって環境負荷を低減する効果が大きいうえに、スポーツカーを凌駕するパフォーマンスまで実現しているRAV4 PHEV。補助金を活用するとHEVとの価格差がわずか19万円に抑えられているというから、従来は10%以下だった販売比率が高まることが期待される。商品力の高さが認識されれば倍増しても不思議はない仕上がりだ。


