車を売却する際、どの買取業者に頼むか悩むという方が多いかもしれません。そんな時にインターネットなどで調べていると、目にする機会が増えるのが「一括査定」という言葉です。
一括査定とは一体どういったものなのでしょう?
今回は、車の一括査定について、メリットやデメリット、注意点などを詳しく解説していきます。
一括査定とは?
車を売却したい時、最初に気になるのが売ろうとしている車の価値でしょう。売ろうとしている車にどれほどの金額がつけられるかを把握することで、次の車の購入の予定も立てやすくなります。そのため、ほとんどの方が買取業者に依頼して見積もりを出してもらいます。
しかし、満足できない金額を提示されることもあるでしょう。そのような場合は、別の買取業者にまたお願いしなければなりません。何度も同じようなやり取りをくり返すのは、なかなか大変なものがあります。
そんな時に便利なのが「一括査定」です。
一括査定とは、「売却したい車の情報」と「個人情報」を一度入力するだけで、複数の買取業者に査定の申し込みができるサービスです。
一括査定の仕組みと流れ
一括査定のサイトは、複数の買取業者と提携しています。サイト側は査定申し込みを代行して、車を売りたい方の情報を買取業者に提供しています。
このように売り手と買取業者の間にサイトを挟むことで、車を売りたい方は手軽に売るところを選べ、買い取りたい業者はたくさんお客さんを紹介してもらえるという仕組みです。
個人情報を入力するのは不安になるかもしれませんが、一括査定の申し込みで入力する情報はごくわずかです。「こんな車を売りたい人がいる」といった程度なので、安心してください。
次は一括査定の流れを説明します。一括査定を使って車を売るためには、4つの段階を踏んでいきます。
一括査定の申し込みは、自宅のパソコンやスマホから簡単に行えます。
サイトを運営している企業によって選択できる買取業者の数は違いますが、どこのサイトも「売りたい車の情報」と「個人情報」を入力します。
車の情報は、主に車種・年式・走行距離・車体色などです。個人情報は、主に氏名・住所・電話番号となります。
申し込み後は電話でのやり取りになるので、電話番号は必須です。
手元に車検証を準備しておくと、申し込みがスムーズに行えるでしょう。
査定依頼が完了すると、入力した情報が一気に複数の買取業者に提供されます。ほとんどの場合、そんなに時間がたたないうちに各買取業者から連絡がくるでしょう。
各買取業者は提供された情報を見て連絡をしてくるので、売りたい車についての情報はある程度共有しています。そのため、後は査定日を決めるだけとなります。
一括査定は、一度に複数の買取業者に申し込みをすることが可能です。申し込みをすると申し込んだ買取業者の数だけ電話がくるので、注意しましょう。
査定日になると、買取業者が出張査定をしてくれます。
買取業者ごとに査定日や時間をずらしてもよいですが、その都度対応するのは大変です。そのため、全ての買取業者の査定日と時間を一緒にしてしまえば、査定が一度の対応で済むので忙しい方にはおすすめです。
出張査定ではありますが、この時点でのお金の発生はありません。
買取業者による査定がおわると、査定額を提示してくれます。全ての買取業者の結果が集まったら金額を比較し、売りたい買取業者と売買契約を結びます。
この時に、自分が希望する金額に届かなかったということも考えられます。そのような場合は、売却をやめてキャンセルすることも可能です。
キャンセル料や出張査定料を請求されることもないので、納得いかない場合は無理に契約する必要はありません。
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一括査定のメリットとは?
一括査定は手間がかからず、気軽に申し込みができます。そのため、車を売る際はぜひ利用したいサービスと言ってもいいでしょう。
ここからは、一括査定をするメリットを3つ紹介します。
一括査定の魅力は、一度に複数の買取業者に申し込みができるという点です。
査定の申し込みでは、連絡先や車種、年式、走行距離、車体色などの入力が必要となります。
それを業者ごとに入力していたら大変な作業です。申し込みをするだけで非常に時間がかかってしまうため、たくさんの業者に依頼をすることを諦めてしまう方もいるかもしれません。
一括査定であれば、それが一度の入力で簡単に完了します。
また、提携している買取業者が多ければ、お住まいの地域の業者だけではなく全国展開している業者ともやり取りが可能です。その地域では需要がない車でも別の地域では需要があるということも考えられるため、そういった点から見てもたくさんの買取業者に査定してもらうことは、とてもメリットがあります。
1社だけに見積もりを依頼すると、自分の車が適正に評価されているのかが分かりません。
一括査定なら、短期間でいくつもの見積もりが手に入るため、それぞれの査定額を比較できます。
また、査定額を比較することで、自分の車の相場を知ることができます。自分の希望する金額に満たない場合でも複数の買取業者が同じような金額であれば、納得して次に進むこともできるでしょう。
さらに一括査定からの申し込みであれば、買取業者側も依頼している業者が他にもいるということを分かっているため、一番高い査定額を提示して契約につなげようとする競争心理が働きます。そのため、なるべくいい条件を提示してくれるでしょう。
一括査定では、無料で出張査定をしてもらえるという点もメリットの一つです。
ディーラーでの下取りの場合は、自分で車を持って行かなければならず、査定のために余分な交通費や時間がかかってしまいます。
その点、一括査定は希望する場所に来てもらえるので便利です。予定の組み方次第では、各買取業者の査定日時を合わせたり逆にバラバラにしたり、自分の好みに合わせて調整もできます。
また、車検が切れている場合や故障している場合でも、無料で来てもらえるので安心です。
一括査定のデメリットとは?
一括査定は手軽に利用ができて便利な反面、デメリットもあります。後から後悔することがないように把握しておきましょう。
ここからは、考えられるデメリットを3つ紹介します。
一括査定の申し込みをすると、買取業者から次々と電話がかかってきます。それは、一括査定を利用した方の約7割は「一番先に電話がきた買取業者に決定する」と言われているからです。
買取業者は車の情報が届き次第、いち早く電話をかけて申込者と査定日時を決めようとします。
申し込む時間にもよりますが、夜に電話がくることも珍しくはありません。
どうしても営業電話が苦手な場合は、自分で対応できそうな業者数に絞って一括査定の申し込みをするといいでしょう。
一括査定サイトでの申し込みは一度であっても、その後の日程調整や立ち合い、商談などに関しては全て自分で行わなければなりません。
まず、申し込みをした次の日くらいまでは、いろいろな買取業者から連絡がくると思っておきましょう。さらに査定の日時を何回かに分けて組んだ場合は、その都度立ち会う必要があります。
あまりにも多くの買取業者に依頼してしまうと、その分だけ後からの対応が増えてしまいます。
そのようなことを頭に入れ、はじめから苦にならない業者数に査定をお願いすることが大切です。
一括査定を利用する際に、複数の買取業者の査定日時を同じにすることで、査定にかかる手間を減らすことができます。
しかし、買取業者の担当者はある程度決まっているため、毎回同じ担当者同士が顔を合わせることが多くなります。そのため、担当者同士で買取価格について裏で取り引きされてしまうかもしれません。
このような事実は、申し込んだ人が知ることは難しいとされています。
実際あったトラブルとその対処法
一括査定を利用した際に、買取業者と申込者の間でトラブルが起こる場合があります。
ここでは、よく耳にするトラブルとその対処法をいくつか紹介します。
申し込みから出張査定まで、無料でできるのが一括査定の魅力です。しかし、買取業者側の立場になれば、人件費や情報料が発生しています。
そのため、担当者の中には他の買取業者に契約される前になにがなんでも契約をしたいという気持ちから、強引な営業を行う人もいます。
担当者に「他の買取業者はこんな高くつけませんよ」などと、うまい口車に乗せられて多少納得がいかない査定額でも契約をしてしまうケースが発生しているので、注意が必要です。
査定額に納得がいかないのに、強引に契約しようとする担当者に当たってしまったら、毅然とした態度で断りましょう。
言葉巧みに営業してくるので気持ちが揺れ動いてしまうかもしてませんが、大前提として査定額に納得ができないのなら契約をしないことです。
もしも契約をしてしまった場合は、消費生活センターに相談するのがおすすめです。受付は平日の10時~16時となっています。
トラブルに詳しい専門のスタッフが、親身に解決へと導いてくれるでしょう。
一括査定では、買取業者は他の業者と価格競争をしなければなりません。高い査定額を提示したほうが契約までたどり着く可能性が高いので、中には嘘の査定額を提示する買取業者もいます。
このような買取業者は、必ずといっていいほど契約成立後に様々な理由をつけて減額を迫ってきます。
例えば、「後から修復歴が見つかった」「査定時に見落としていた傷があった」「故障している箇所が見つかった」といった内容です。
このような理由から減額され、結果的に他の買取業者のほうが高かったというケースが発生しています。
しかし、このような場合は買取業者の主張を鵜呑みにして減額に応じなくてもいいこととなっています。
契約後に減額を迫られても応じないようにしましょう。
査定とは、車のプロが正しい価値を算定する場であるため、実際に傷があったとしても査定の時に見つけられなかった担当者の責任でもあります。
そのため、「こちらは契約額を変えるつもりはありません」とはっきり断りましょう。
それでもしつこい場合は、消費生活センターに相談するのをおすすめします。
上記の減額トラブルとあわせて起きているのが高額なキャンセル料の問題です。
減額に応じないと伝えると、今度は高額なキャンセル料を請求してくるケースが発生しています。もちろん、このような場合もはっきり払わないと伝えましょう。
ただし、申込者が2社以上の業者と契約をしてしまっている場合はキャンセル料を支払わなければならない可能性があります。一度契約をしたにも関わらず、後から来た買取業者のほうが高い査定額を提示したため契約してしまうことを「二重契約」といいます。
二重契約は申込者の落ち度なので、キャンセル料を請求されることがあります。
二重契約などの落ち度がない場合は、高額なキャンセル料を払う必要はありません。
二重契約の場合には、一度契約をしたことによって発生した費用についてのみ払う必要が出てきます。しかし、あまりにも高額なキャンセル料は別の話です。
もし二重契約をしていて高額なキャンセル料を請求されたら、明細を提示してもらいましょう。それを見て、払うべきものは払い、必要のないものは支払いに応じなくても問題ありません。
車の売り時はいつ?タイミングを誤ると損することも!
トラブルに巻き込まれないための注意点とは?
トラブルに巻き込まれた時の対処法を知っておくのも大事ですが、なるべくならトラブルに巻き込まれたくはないでしょう。
では、具体的にどのような点に気をつければいいのか、ここではポイントを4つ取り上げて紹介します。
まずは、信用できる買取業者なのかを見極めることです。信用できる買取業者は、査定内容や金額の根拠についての詳細、契約の内容、これからの段取りについて丁寧に説明してくれます。
具体的な説明もないまま営業をかけてきたり契約しようとしたりする買取業者は、避けたほうが無難と言えます。
また、買取業者のホームページを検索して、住所や連絡先、過去の実績などが載っているかを確認するのも一つの手です。
一括査定サイトでは車の情報や連絡先を入力します。その際に電話番号や住所の入力も必要なので、事前に個人情報がどこまで渡るのかを把握することも大切です。
JADRIとよばれる「日本自動車流通研究所」に加盟していたり、セキュリティ対策についてサイト内に記載があれば、個人情報の取り扱いが比較的厳しいと推測できます。
このようなことを参考にしながら、どの一括査定サイトを利用するか選んでみてください。
連絡方法を模索してみることもトラブル回避の方法です。
一括査定サイトによっては、連絡方法を電話かメールで選択できるところがあります。中には、査定依頼後の連絡方法をメールのみに限定できるところもあります。
メールでの連絡であれば、自分の好きなタイミングで読むことができる上に、打ち合わせ内容を文章として残すことが可能です。
直接担当者と会話することを避けられるので、強引な営業をされにくいところもメールの利点です。
トラブルを避けるためにも、自分に合った連絡方法を選択しましょう。
査定依頼後の電話が多いという問題は、依頼している買取業者が多いために起こるものです。
依頼する買取業者数は必要最低限に留め、できるならば大手の買取業者にお願いするのが無難です。
なぜなら、しつこく営業電話をかけてくるトラブルは、中小規模の買取業者に見られることが多いからです。
大手の買取業者なら絶対にトラブルが発生しないというわけではありませんが、企業ブランドがあるため、あまり変なことができないということがあります。
一括査定に向いていない車とは?
一般的に買取業者は、買い取った車を店舗で販売したり、業者用オークションで販売したりします。そのため、車の状態によってはどちらにも販売できないケースがあり、そのような車は一括査定には向いていません。
- 廃車寸前の車である(もう動かない車など)
- 水没車や冠水車である
- 大破している
- 非常に古い車である
上記のような車は、買い取ったところで販売しても売れ残る可能性が高いです。次の利用者が乗れるような状態ではないので、これらの車の場合は0円の査定額をつけられることも少なくありません。
このような車の場合は、一括査定よりも廃車専門の買取業者や適切な買取店に依頼をしたほうがいいでしょう。
地域によってはたくさんの業者を選べない可能性も
買取業者は、それぞれ対応する地域の範囲を決めていることが多いです。そのため、住んでいる地域によっては一括査定を申し込んでも、たくさん選べるほど買取業者の選択肢がない場合があります。それでは、一括査定をした意味がありません。
遠方の地域などで選択肢がない場合は一括査定を諦めたほうがいいでしょう。
また、そのような地域の場合、まれに出張料がかかったり車の受け渡しに別途で陸送費がかかったりするケースがあるので、事前に確認することをおすすめします。