エンジン出力不足？　エアコンコンプレッサー抵抗大　ロック寸前　スズキワゴンＲ｜車検・点検・修理のグーネットピット

「エンジンの力が無く感じる時があるし、この間はアイドリング中に
エンジンが止まった事もある」という不具合です。
症状は「出ない時は全く無い」との事なので、症状確認が出来ないと、
正直難しい診断です。
診断機でデータモニタしながら試運転。
いたって調子も良く、いったい何が起きるの？と１５分程度イロイロ
試しても症状すらわからないままでした。
諦めて工場に戻る時、さすがに暑いので、ＡＣスイッチをＯＮ。
しばらくして「キー」とエンジンルームから音が。
その瞬間エンジンパワーも取られる感覚があり、原因はエアコンコン
プレッサーがロックする寸前だったと判断され、不具合へのツジツマ
が合います。
入庫時、「今日は調子がいい」というのは、ＡＣがＯＦＦでした。
補足ですが、
コンプレッサーが完全にロックすると、エンジンＥＣＵは監視している
ので、ＡＣの作動がキャンセルされます。
今回の整備内容は、
エアコンコンプレッサー、レシーバーキット（水分とゴミ取り）、クー
ラーベルト取替と、ガス補充時にエアコンオイルも補充します。

ガスが入り過ぎたり、クーラーコンデンサの電動ファンが回らなかったり
しても似た症状になるので、そこは確認済です。
エアコン（クーラー）ガスを回収し、リフトアップ。
フロントバンパーを取り外すと、コンプレッサーが見えます。
高圧、低圧のクーラーパイプを外した所、特に低圧側の取付部に腐食が
見られます。
低圧側は冷え側で結露する為、腐食は予想できるのですが、経年劣化でガス
漏れが発生する理由も、何となくですが想像できますね。
レシーバーの取替は、
ワゴンＲの場合コンデンサーと一体の為、コンデンサ本体を車両から外します。
レシーバーキットの中身は、
乾燥剤、フィルター、スナップリングです。

レシーバーを取替えたい理由が、
コンプレッサーの内部の損傷と判断されるので、金属粉がエアコン
システム内部に不具合を起こさない様にする予防です。
鉄粉がエキスパンションバルブ（霧吹き部品）に噛み込むと、別の
不具合が起きたり、コンプレッサーの摩耗が進んだりなどなど。
取り外したフィルター部分を見ると、キラキラした鉄粉が。
正常なエアコンシステムでも少なからず金属粉は出ますが、乾燥剤も
黒ずんでいるのを見ると、交換して安心と言えます。

レシーバー部の筒に新品の乾燥剤を入れて組戻します。
コンプレッサーはリサイクルパーツで対応です。
各繋ぎ部のＯリング交換と、錆取り清掃にて組付け。

フロントバンパーを組戻すのですが、
このワゴンＲは、８割以上、取付部分がクリップ（プッシュリベット）
になっています。
経年劣化で折れたり、緩くなっているので、要所で取替。
エアコンガス規定量とオイルを注入します。
エンジン出力不足については勿論解消され、エアコンの効き（冷え）も
問題無く良好です。
作業完了になります。