新車試乗レポート
更新日:2022.03.16 / 掲載日:2022.03.12

スバルの技術が光るソルテラの雪道性能【石井昌道の自動車テクノロジー最前線】

文●石井昌道 写真●スバル

 先週はトヨタbZ4Xプロトタイプをレポートしたが、今週は共同開発されたスバル・ソルテラのプロトタイプ。こちらは群馬県サイクルスポーツセンターでのスノードライブとなった。先週もお伝えした通り、このプロジェクトではトヨタにスバルのエンジニアが赴き、まずは“一緒にいいEVを造ろう”ということから始まったという。86/BRZのように最初からそれぞれが個性を分けることは考えていなかったそうだが、開発終盤にきて実験車両でテストを行ううちに、ソルテラにスバルらしさを盛り込みたくなったらしい。

 そこでソルテラのAWDに限り、回生の強さを任意に調整するパドルシフトの採用(資料にはパドルシフトとあるが、EVはシフトがないのでパドルスイッチと呼ぶべき?)、ドライブモードをノーマル、エコ、スポーツの3モードとしたこと(bZ4Xは2モード)、さらにショックアブソーバーを専用セッティングにした。

 回生の強さは通常のDレンジはエンジンブレーキ相当のLv2、右を1回引くと弱くなるものの回生ゼロのコースティングではないLv1、左を1回引くとちょっと強めのLv3、左を2回引くとさらに強いLv4となる。Sペダル・ドライブ(いわゆるワンペダル・ドライブ)でアクセルペダル全閉にしたときはLv4よりも強い減速度となるが、それでも最大減速Gは1.5Gで完全停止まではしない。他車ではもっと強くしているモデルもあるが、スバルとしてはペダルの踏み替え頻度を減らすことでドライバーの疲労を減らすことやモーターならではのシームレスな加減速コントロールを楽しんでもらうことに注力しつつも、減速度が強すぎると同乗者が不快に感じる場面がある、停止時はドライバーにブレーキペダルを操作してもらうのが安全思想的に正解という考えから、こういった設定になっているという。

スバル ソルテラ

 ドライブモードについては、インテリジェント、スポーツ、スポーツ♯と用意しているSIドライブに倣ったもの。

ショックアブソーバーの減衰力はやや高めのセッティングで、コンフォート志向のbZ4Xに対してスポーティになっているという。どれも走りを意識した差別化だ。

 逆にbZ4Xにあってソルテラにないのはステアリング・バイ・ワイヤによるワンモーショングリップ。いまのところ採用する予定はないという。

 今冬の群馬県は積雪が多く、コースは激狭で緊張感があったが、それだけにソルテラAWDのコントロール性の良さが光った。モーターは緻密なコントロールが可能なので雪など滑りやすい路面で走りやすいのが常だが、さらにAWDとあって自信を持って走らせることができた。速度を上げていくほどに、リアモーターの頼もしさを感じるのがスバルらしいところ。後ろから押される加速感はもちろんのこと、コーナー進入時に安定性を高めなど、巧みな4輪駆動力制御のおかげで滑りやすい路面でも安心感があり、しかも良く曲がってくれて楽しく走ることができる。

 パドルシフトを駆使したり、Sペダルドライブに切り替えるなどいろいろと試してみたが、Sペダルドライブが最高に走りやすかった。滑りやすい路面に対してギリギリ強めの減速をスムーズに引き出せるからだ。回生をもっとも弱いLv1にしてブレーキペダルで減速させるとABSを作動させてしまうこともあって、わずかだが思い通りにならないこともあった。

スバル ソルテラ

 滑りやすい路面でのトラクション性能も高いのだが、これはスリップ抑制の制御が素早いからだ。通常はタイヤの滑りを感知してからブレーキECU→EV ECU→モーターECUを経てトルクダウンさせるが、ソルテラはタイヤの滑りを直接モーターECUが感知してすぐにトルクダウンの判定を行う。タイムラグが少ないからトルクダウンの量も少なくて済み、ドライバーがお仕置きされているようなフィーリングも抑えられる。タイヤを滑りが最小限でグイグイと突き進んでいくのが気持ちいい。bZ4Xプロトタイプの試乗はサーキットだったためパワーがモノをいう高速度域だったのでモアパワーという気持ちにもなったが、雪道ならば十分以上だった。

 bZ4X/ソルテラは、FWDでは前に150kW(203.9PS)のモーター、AWDは前後に80kW(108.8PS)のモーターを搭載してシステム合計で160kW(217.5PS)となる。普通に考えればFWDをベースにリアに20〜30kWのモーターを追加することでAWDは成立するが、それではスバルらしいAWDにならないという判断からわざわざ前後とも同じ出力のモーターとしたそうだ。AWDの走破性はリアの駆動力および駆動配分をどれだけ強めることができるかで決まるという、これまでのシンメトリカルAWDの経験からくるものだ。その意味が雪道のドライブでよくわかった。速度を高めていってもリアモーターの頼もしさや安定感を実感できたからだ。

スバル ソルテラ

 モーグルでX-MODEを試して見てもモーター駆動ならではの緻密な制御によってスムーズに走っていくのが印象的だった。210mmと長めにとられた最低地上高によって、ソルテラは本格的なSUV性能をも備えているのだ。

 AWD以外にスバルのエンジニアの貢献度が高かったのが衝突安全性を考慮したボディ造りだそうだ。万が一の衝突の際に、床下に敷き詰められたバッテリーや高電圧部品を保護するために堅牢なボディ骨格となり、サイドから入力に対する強度は現行のエンジン車に対して200%向上。また、バッテリーがあるためレインフォースを前後に貫通させることが叶わないため、バッテリー前方にホットスタンプを採用して強度を高め、サイドがレインフォースに代わって力を受け持つマルチロードパスとされた。SGPで養ったフレームワークなどの経験が応用されたという。

 モーター駆動のメリットとスバルらしいAWD、秀逸なドライバビリティによって雪道の走行ではエンジン車ではあり得ないほどの性能と一体感があったソルテラ。様々なシチュエーションの一般道で走らせるのが待ち遠しくて仕方がない。

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石井昌道(いしい まさみち)

ライタープロフィール

石井昌道(いしい まさみち)

自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストへ。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイク・レース等への参戦も豊富。ドライビング・テクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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