新車試乗レポート
更新日:2022.03.25 / 掲載日:2021.10.27

【試乗レポート シトロエン ベルランゴ】フランス製ミニバンが売れまくるワケ

シトロエン ベルランゴ

文●岡本幸一郎 写真●ユニット・コンパス

たてつづけに即完売

 日本でもミニバンの人気が高いように、欧州でも小柄で背高な実用車の人気は高い。中でもライバルであるルノー カングーがいちはやく日本に正規導入されて人気を博しているのは周知のとおり。そんなカングーの人気を尻目に、実は本国ではルノーよりも早くからこうしたクルマを手がけていたシトロエンも、ついにベルランゴの日本導入に踏み切ったのが2019年10月のことだ。

 現行ベルランゴは3世代目となり、2018年のジュネーブショーで初披露されたときから、特徴的なエアバンプやランプ類をはじめ随所に遊び心を感じさせる新世代のシトロエンのデザイン哲学を取り入れたユニークな容姿が話題となっている。

 日本導入を記念した特別仕様車「デビューエディション」のオンライン予約を開始するや、わずか5時間半で完売。翌11月に再びオンライン予約を実施したところ、これまたほぼ同じぐらいの所要時間で枠がいっぱいになったというエピソードもすでにあるほどだ。

 翌2020年8月にはカタログモデルの先行予約が始まり、10月に装備がシンプルな「FEEL」、上級の「SHINE」、特別仕様車「SHINE XTR PACK」の3モデルが発売されたのだが、特別仕様車が売れまくったため、追加販売されることも発表されることになった。つまりこれまでずっと予想を上回る売れ行きを見せているわけだ。

ストレージスペースがスゴイ

 外見だけでなくインテリアも非常に個性的なつくりで、デザインの面白さに加えて、実に全28ヶ所に合計186リットルにもおよぶストレージスペースが設けられているというから驚く。前席まわりでは、8インチタッチスクリーンディスプレイわきのダッシュボード上面に設けた、「Topbox」と呼ぶリッド付きのストレージのほか、インパネやドア内張り、前席下のフロアなど、運転席周辺だけでもいたるところにスペースがある。

 グローブボックスは、助手席エアバッグがルーフ部分から展開するようにされたことで、11.8リットルもの大容量を確保することができている。同門ブランドのいくつかの右ハンドル車では車検証や取扱説明書を積むスペースがないのとは大違いだ。

 中でも注目は、「Modutop」と呼ぶルーフ部のストレージだ。これは屋根の大半を占めるパノラミックルーフと収納スペースを融合させたという斬新なアイデアによるもので、フロント側には収納トレイがあり、中央部には最大で14リットルという大きなバッグを積むこともできる。

 ラゲッジスペースの上に設けられた、約60リットルもの容量を持つシーリングボックスは、後席とリアゲートの両側からアクセス可能なつくりになっていて、これまた便利に使えそう。これだけあれば本当にいろいろなものを車内に積んで置けて、それが走行時にちらばってしまう心配もないのもありがたい。

 電動スライドドアに慣れた身からすると、それがないのは不便に感じるのは否めないが、お国柄ということでヨシとしたい。バックドアはライバルのカングーが横開き式のところベルランゴは跳ね上げ式で、単独で開閉できる便利なガラスハッチを備えているのも特徴だ。

 2列目には横幅が均等な3人分の独立したシートがあるので、真ん中に母親が座って子どもを両側に乗せたいようなときでもベンチシートよりもしっかり座れる。リクライニングができないのは少々残念なものの、それぞれ個別に折り畳みができるので使い方に応じていろいろなアレンジできる使い勝手のよさもベルランゴならでは。全幅と全高がほぼ同じスクエアな形状のボディにより広々とした車内空間を、より有効に使うことができる。リアシートを倒したときの奥行きは1.88mで、助手席まで倒すと2.7mもの長尺物も積める。ただし、完全にフロアが平らにはならないので車中泊するにはちょっと工夫が必要だ。

さじ加減が絶妙の乗り味

 日本向けのエンジンは1.5リッター直列4気筒ディーゼルの「BlueHDI」のみで、ディーゼルとしては音や振動はそれほど大きくない半面、トルク感もやや控えめな感も。これに同クラスでは望外の8速AT「EAT8」が組み合わされる。少し前まで「まだ4速ATか」と言われつづけていたPSAが、なんといまや倍の8速というのも感慨深い。

 静粛性もまずまずで、低速時のみエンジンやタイヤが発する音を感じるものの、速度を上げると周囲の音とまぎれてあまり気にならなくなる。このあたりシトロエンは何か独自のノウハウを持っているかのようだ。

 創立100年周年を超えたシトロエンの歴史は、「人々の”移動の自由”と”自由な移動”を支え、それをコンフォート(快適)なものとすること」をずっと追求してきたと謳っており、このベルランゴにも快適性をさらに高めようという新しい概念である「シトロエン アドバンスド コンフォート」のコンセプトが足まわりやシートなど随所に盛り込まれている。

 プラットフォームは、近年のPSA車の中核をなしてきた「EMP2」を用いたフロントと、従来型の改良版となるリアを組み合わせたというもので、けっして最新版ではないものの味付けの按配がよい。乗り心地はシトロエンらしいソフトタッチな雰囲気を感じさせながらも、やはり重心高のそれなりに高いクルマゆえロール等の挙動を抑えるべく微妙にひきしめられた感覚もあり、そのさじ加減がまさに絶妙。走りの仕上がりもなかなかのものだ。

 この独創的ワールドに惹かれる人が少なくないことは、これまでの売れ行きでも明らか。この価格帯とサイズ感で、実用性と個性のどちらも重視するという人にとって、たしかにこれ以上の選択肢というのは他になかなか心当たりがない。

執筆者プロフィール:岡本幸一郎(おかもと こういちろう)

1968年、富山県生まれ。幼少期に早くもクルマに目覚め、学習院大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの企画制作や自動車専門誌の編集に携わったのち1998年にフリーランスへ。軽自動車から高級輸入車まで幅広くニューモデルの情報を網羅し、近年はWEBメディアを中心に寄稿。ドライビングスクール等のインストラクターも務める。日本自動車ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

シトロエン ベルランゴ シャイン XTRパック(8速AT)

  • ■全長×全幅×全高:4405×1850×1850mm
  • ■ホイールベース:2785mm
  • ■車両重量:1630kg
  • ■エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
  • ■総排気量:1498cc
  • ■最高出力:130ps/3750rpm
  • ■最大トルク:30.6kgm/1750rpm
  • ■サスペンション前/後:ストラット/トーションビーム
  • ■ブレーキ前・後:Vディスク/ディスク
  • ■タイヤ前後:205/55R17
  • ■新車価格:325万円-362万9000円(全グレード)
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