新車試乗レポート
更新日:2021.05.31 / 掲載日:2021.05.28

SUBARU「e-BOXER」の魅力大解剖

SUVを含め、個性ある車種ラインナップを誇るスバル。今回はマイナーチェンジで大幅進化したXVとフォレスター、さらにその中でも「e-BOXER」搭載車に注目して、その特徴と魅力について解説していこう。

【左】
SUBARU XV Advance
●車両本体価格:292万6000円
●ボディカラー:ラグーンブルー・パール

【右】
SUBARU フォレスター Advance
●車両本体価格:315万7000円
●ボディカラー:ホライゾンブルー・パール

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電動化時代にあって、多くのユーザーの満足度を高められる

スバル電動化技術の尖兵として誕生したのが、e‐BOXERだ。大まかな分類ではハイブリッドのひとつだが、水平対向とAWDに最適化した設計が見所のひとつ。純内燃機仕様の2.5Lと寸法面の互換性を確保し、フレームやフロアパンの設計変更なしでの搭載を可能とした。つまり、AWDプレミアムの進化を求めるだけでなく、標準化を前提に開発された。

このe‐BOXERと相性がいいのがSUV、XVとフォレスターである。スバルAWDのSUV市場戦略を担う2車だが、コンセプトと車格設定が多少異なる。それぞれの特性、あるいはキャラクターに相応に振る舞うのも、e‐BOXERの特徴である。

XVはSGP(スバルグローバルプラットフォーム)第一弾として発表された、インプレッサ スポーツをベースに開発。専用開発のサスペンションやSUVでもゆとりの最低地上高の確保、悪路用駆動力制御を備えたX‐MODEの採用など、悪路対応力の高さがセールスポイントのひとつだが、ボディシェルそのものはインプレッサと共通。200mmの最低地上高をしても全高は1550mmでしかない。SUVとしては低全高低重心であり、ロール等の体感挙動は少ないが、無理にストロークを締め上げるようなチューニングではない。SUVとしては低い重心と、着座位置からくる賜だ。

言い方を換えるなら、XVの走りにはスバルのもうひとつの柱である「スポーツ&ツーリング」系統の薫りが含まれる。それをさらに高めるのが、e‐BOXERだ。

同仕様は登場時の上級設定だった2L車の、性能進化モデルとしてMCで追加された。電動パワーアシストはパーシャル域での動力性能を向上。踏み込み初期からタイムラグの少ない反応のよさも加えて、巡航ギヤ維持能力や中間加速性能は1クラス上のパワートレーンを思わせる。XVの持ち味となる、ツーリング&ラフロードの両立点が高まるわけだ。

そしてスバルSUV戦略の牽引役となるフォレスターでは印象がちょっと異なる。同じくSGPを採用しているが、室内高及び荷室部の延長により車体サイズは一回り大きい。ゆとりのキャビンと積載性はSUV主軸クラスに求められるアウトドアレジャー用途に適した設計。最低地上高はスバルXVよりもさらに大きな220mm。長くなった全長をしても余裕の数値で、同クラスSUVでも最大級。悪路踏破性を重視した設計なのがスペックからも分かる。

XV比で車重が90kg程重くなるが、車重相応にローギヤード化された最終減速比と、常用回転域を広めに取った変速制御により加速性能を高めている。とくに高回転を用いたほうがパワー感があって好ましく思うドライバーに、心地いいタイプである。

巡航時の回転数に大きな隔たりはない。XVと比較するとダウンシフトのタイミングはやや早めなのだが、踏み込み時のトルクの立ち上げがよく、繊細なアクセルコントロールに対する追従性は良好である。ラフなコントロールでは程よく穏やかな反応を示し、懐深いドライバビリティを特徴にするのだが、繊細なコントロールでの反応は運転技量が高いドライバーにはアドバンテージ。もちろん、そのコントロール性は雪路等の滑りやすい路面でのフォレスターの強味のひとつでもある。

無理に締め込むことなく重心の移動や挙動を穏やかに往なすサスチューニングは、ゆったりとした乗り心地と身に馴染むような操縦感覚をもたらし、同乗者とドライバーが車内コミュニケーションを楽しみやすい。パワートレーンもフットワークもキャビンスペースも、レジャー用途向けのSUVらしさに溢れたモデルと言えよう。

長距離ツーリングとタウンユースの使いやすさ、オンロードの快適とラフロードの強さは両モデルに共通しているが、パッケージングの違いも含めたキャラクターは異なる。e‐BOXERの印象も9割方は共通しているのだが、残り1割はキャラクター違いに対する適合を変えたような印象。ドライバビリティの特性を細かく作り込める電動の柔軟性があればこそ、XVにもフォレスターにも最適化が図れたわけだ。

電動化は時代の要請でもあるが、それを適応用途や個性に応じて使いやすくできるかがユーザーにとっては最も重要であり、e‐BOXERは車種毎のユーザーそれぞれに、高い満足度を与えられるパワートレーンなのである。

新しいスバルの走りと、運転しやすさを感じられるパワーユニットだ

 2LのNAエンジンを核とした、1モーター/2クラッチ(下流は中立機構)によるパラレル式ハイブリッドを採用したシステム。コンパクトな10kWハイブリッド用モーターを用いるなど、省スペース設計が特徴だ。水平対向エンジンや、変速域を拡大しても効率が低下しにくいチェーン式CVTなども含め、スバルならではの独自性に溢れるシステムだ。

【フォレスター】繊細なアクセルコントロールへの追従性も良好で操る楽しさがある

■主要諸元(フォレスター Advance)
●全長×全幅×全高(mm):4625×1815×1715(ルーフレール装着車は+15) ●ホイールベース(mm):2670 ●車両重量(kg):1640 ●パワーユニット:1995cc水平4直噴DOHC(145PS/19.2kg・m)+モーター(10kW/65N・m) ●トランスミッション:CVT(リニアトロニック) ●駆動方式:4WD ●WLTCモード燃料消費率( 総合モード):14.0km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:ストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R)●タイヤ:225/55R18

【スバルXV】悪路対応性を高めつつスバルらしいスポーツ&ツーリングを味わえる

■主要諸元(XV Advance)
●全長×全幅×全高(mm):4485×1800×1550(ルーフレール装着車は+25) ●ホイールベース(mm):2670 ●車両重量(kg):1550 ●パワーユニット:1995cc水平4直噴DOHC(145PS/19.2kg・m)+モーター(10kW/65N・m) ●トランスミッション:CVT(リニアトロニック) ●駆動方式:4WD ●WLTCモード燃料消費率( 総合モード):15.0km/L ●ブレーキ:ベンチレーテッドディスク(F)ベンチレーテッドディスク(R) ●サスペンション:ストラット式(F)ダブルウィッシュボーン式(R)●タイヤ:225/55R18

フォレスター&スバルXV 車両解説

icon フォレスター

フォレスターのパワーユニットは1.8L直噴ターボと、このe-BOXERとの2本立てのラインナップ。e-BOXER車は軽快さだけでなく、ストップ&ゴーの多い市街地での扱いやすさもブラッシュアップ。シンメトリカルに配置されたユニットが生む低重心化の恩恵もあり、背の高いSUVながらどっしりと落ち着いた挙動も示す。

icon スバルXV

ルックスは街並みに映える都市型SUVながら、ゆとりある最低地上高で悪路対応性は十分高い。X-MODEもさらにその魅力を高める。静かなe-BOXERユニットも加わり、長距離適性は高いのだ。なおe-BOXER搭載車はXVの中で上位の位置付けとなり、エントリーとして1.6LのNAユニット搭載車もラインナップ。

icon フォレスター

アクティブさとスポーティさを感じられるインテリアデザイン。アドバンスは本革シートをメーカーオプションで用意するなど、さらなる上質感も付与している。四隅に広いボディから分かる通り、室内はしっかりと広く使えラゲッジルームの使い勝手も抜群。レジャーでも大活躍だ。

icon スバルXV

こちらのインテリアは、スポーツウェアのように、洗練感とアクティブさを両立させたデザイン。インプレッサ同様に乗員空間は広々しており、ラゲッジルームもゴルフバッグ3個を積載可能で、340Lの容量を確保。開口部幅が広いので、実際の積み下ろしも楽々だ。

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●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之

提供元:月刊自家用車

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。

また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。

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